なぜアパート経営は1棟目にこだわるべきなのか?物件選びのポイントも紹介

アパート経営は安定した家賃収入が得られるうえ、老後の生活資金も形成でき、相続税対策にもなるというメリットがあります。しかし、1棟目の物件選びに失敗すると、長期的にアパート経営を成功させる上で、大きな足かせになることがあります。

そこで今回はアパート経営で1棟目が重要になる理由を解説するとともに、アパート経営で失敗しないためのポイントなどをご紹介します。

目次

  1. アパート経営は1棟目がとにかく重要
    1. 収支が良くないアパートを購入すると何が起こる?
    2. 収支が良いアパートを購入できた時のイメージ
  2. 1棟目のアパート購入時に注意するポイント
    1. 年間収支と資産価格の下落に要注意
    2. プラス要因の「家賃」「減価償却費」
    3. マイナス要因の「維持管理費」「固定資産税」「返済額」
  3. まとめ

1 アパート経営は1棟目がとにかく重要

まずは、1棟目の投資がその後に与える影響について具体的に見ていきたいと思います。

1-1 収支が良くないアパートを購入すると何が起こる?

1棟アパートへの投資額はおおよそ5000万円〜1億円以上の資金が必要となります。一般的な会社員がこの金額を自前で用意するのは、なかなか難しいため、基本的には銀行などの金融機関から借り入れを起こすことになります。

その際、たとえば購入資金を抑えて、入居率が良くない中古アパートを購入したとします。

アパートの入居率は様々な要因によって決まりますが、最も大きく影響するのは「立地」です。中古アパートで入居率が低い場合、大抵が郊外の物件であったり、駅徒歩10分超など利便性が良くないという特徴があります。

建物が問題である場合は、リノベーションや営業活動などでもまだ対応ができますが、「立地」が良くないという点は購入後に自力で改善することはできません。これが不動産(「不動」の資産)と呼ばれる所以でもあります。

不動産は基本的に購入した直後が最も入居率が高いということになりますので、その後の入居率はそれ以下ということになります。また、中古アパートの場合は修繕などメンテナンスコストも高くなります。

さらに、中古アパートには融資もつきにくいため、購入資金の1割~2割の頭金が必要になる、金利が3.0%~4.5%、返済期間が20年以下など、融資条件の面でデメリットがあります。

そうなると、入居率が低くて家賃収入が見込めない上に、融資の返済が大きな負担となってのしかかり、毎月の収支は良くても多少の黒字程度で、いつ赤字になるか分からないという状況になってしまいます。

状況改善のためには物件を差別化するためのリノベーションや集客施策を打つ必要がありますが、確実に入居率や家賃アップが実現できる保証はないので、投資に踏み切れないという事態になることが想定されます。

たしかに返済が完了できれば土地は手元に残りますが、立地が良くない物件だと、数十年後の資産価値は今よりも低下している可能性があります。建物については、40年~50年近い築古アパートになってしまっているため、そのままでは入居者が見込めないと考えて置いたほうが良いでしょう。

この状況で2棟目を購入するというのは非常に難しいですし、投資の選択肢が大幅に限られてしまうことになるわけです。

1-2 収支が良いアパートを購入できた時のイメージ

逆に、1棟目が成功したケースを考えてみます。

先ほどの物件例が中古アパートでしたので、今回は新築アパートの例で考えてみましょう。

新築アパートで駅徒歩10分以内でかつ都心にアクセスの良い駅など、立地が良い物件を購入できると、築10年を超えても入居率を大きく落とさずに経営を進めることができる可能性が高くなります。

新築アパートで立地が良い物件は1億円前後の価格となりますが、しばらくは空室に悩まされることは少ないでしょう。空室が目立たない限りは、家賃を引き下げて入居付けをする必要もありませんので、築10年~15年は新築当初の収益性を維持することができると考えられます。

現在、立地が良い新築アパートの利回り相場は5%~6%程度となりますが、入居需要が見込めるアパートは融資条件も良くなるため、フルローン、金利1%台、返済機関30年といった融資条件も可能となります。

毎月の家賃収入が安定しており、毎月のメンテナンスコストや融資の返済負担も軽くなりますので、毎月の収支は黒字となり、将来の収益性低下に向けて備えていくことも可能となります。

1棟目を成功させた実績と担保としての価値が評価されると、2棟目以降はさらに有利な条件で融資を受ける可能性が高まります。融資額の拡大と金利の低下が実現できれば、より収益性の高い物件への投資が可能となり、加速度的に不労所得を得られるようになっていく、というポジティブサイクルとなっていきます。

このように、1棟目でどんな物件を購入するかで、その後の数十年が大きく左右されることになりますので、1棟目にはこだわることが大切なのです。

2 1棟目購入時に注意するポイント

1棟目の投資で具体的に気を付けなければならないポイントは、年間収支と資産価値がどれくらい維持できるかという点です。詳しく見ていきましょう。

2-1 年間収支と資産価格の下落に要注意

1棟目の投資では、「年間収支のプラス」と「資産価格の大幅下落の回避」を実現することが重要になります。

つまり、

(物件の運用による年間収支×保有年数)+物件の売却額>投資額

となる収支が理想とされます。

年間収支をプラスにして、資産価格をできるだけ維持できるように投資すれば、金融機関から評価されやすくなるわけです。

そこで、「年間収支」と「資産価格」に関する投資要因が大きなポイントとなります。

「年間収支」を決める投資要因とは

年間収支は年間の「収入-支出」で求められ、年間手取収入はその収支結果に「減価償却費×税率」を加算したものになります。つまり、「収入」「支出」「減価償却費」に関わる投資要因を制約条件のなかで最適化すれば年間手取収入は改善できるわけです。

「収入」では家賃収入、「支出」では維持管理費等、固定資産税等、返済額(利息含む)、空室/滞納費用、「減価償却費」では物件価格と減価償却期間などが主な要因になります。

「資産価格」を決める投資要因とは

資産価格を高く維持するための投資要因には、入居率が高い物件であるなどの建物自体の価値に関する要因と、物件の環境・土地等の評価に関する要因があります。「地方よりも都心」「郊外よりも駅近(駅徒歩10分以内)」「ファミリー向けよりも単身者向け」など少子高齢化を考慮した空室リスクが低い物件を選ぶのがポイントです。

2-2 プラス要因の「家賃」「減価償却費」

年間収支や資産価格でプラス要因となるのは「家賃」「減価償却費」、マイナス要因となるのは「維持管理費等」「固定資産税等」「返済額(利息含む)」などです。それぞれ確認していきましょう。

家賃

家賃収入を維持し、低下させないためには入居率が高い物件に投資するのが良いでしょう。入居率が高ければ退居者が出ても入居者がすぐに決まるため家賃の減収が少なくなり、家賃価格も下げなくて済むというメリットがあります。そのため以下のような条件の入居率の高い物件を選びましょう。

家賃を維持できる物件 具体的なポイント
立地が良い物件 入居者が生活するうえで快適で便利な立地であることが入居率を高める条件となる。特に交通と周辺環境での立地要素が優れた物件を選ぶことが必要。交通面では、「最寄駅が徒歩10分以内」「最寄駅から都心まで短時間」「ターミナル駅から近距離」などが有力候補。周辺環境の面では、「コンビニ・スーパー」「学校・病院等が近い」「騒音を発する工場等が近くにない」など。また、入居率を維持する家賃の滞納対策としては賃貸住宅の管理に優れた管理会社へ依頼することで滞納率を下げることが可能
ターゲット層とマッチする物件 ターゲット層と物件の地域、建物の間取りがマッチする物件を選ぶことが大切。ターゲット層が転入過多となる地域なら入居需要は増大し、高い入居率の維持が見込める。たとえば、単身世帯をターゲットにするなら今後も増加しそうな東京23区などの物件が有力候補。また、ターゲット層にマッチした間取りの物件を選ぶ必要があり、単身者をターゲットとするならワンルーム〜1LDK、ファミリー世帯なら2DK、2LDKや3LDKなどが対象となる
建物自体に魅力がある物件 建物の見た目の美しさ、形状や色使いのこだわり、人気設備の付帯、など、建物の外観や設備が入居者ニーズに適している物件は入居率が高くなる。デザイナーズ物件やペット可の物件、楽器化の物件などがこれに該当する。このほか、建物の保全状態が良好で、防犯カメラ・オートロック、インターネット使用料無料などの人気設備のある物件も検討すると良い

減価償却費

減価償却費は物件価格と減価償却期間によって決まるため、これらが年間収支の黒字化につながる物件を選ぶと良いでしょう。

たとえば、築5年、5,100万円の木造アパート(法定耐用年数22年)に投資する場合、減価償却期間は17年(22年-5年)で、毎年の減価償却費は300万円(5,100万円÷17年)になります。つまり、投資初年度から17年間毎年300万円を費用計上でき、300万円×税率分だけ現金が手元に多く残るのです。

しかし、築16年の同額の木造アパートに投資する場合は、減価償却期間が6年間で、毎年の減価償却費は5,100万円÷6年=850万円になります。この場合6年間のみ850万円が計上できますが、それ以降は税金が大幅にアップします。

また、この物件の利回りを6.5%とした場合、年間の家賃収入は5,100万円×0.065=約332万円となります。つまり、518万円(332万円-850万円)の赤字となり、減価償却費は518万円も控除しきれない状態となるのです。さらに、築年数の多い物件の場合、近い将来に大規模修繕が必要になる場合もあるので年間収支に大きく影響するでしょう。

2-3 マイナス要因の「維持管理費」「固定資産税」「返済額」

管理費、修繕費用などの維持管理費、固定資産税や都市計画税の税金が高くなり過ぎない物件に投資するのが良いでしょう。

維持管理費や固定資産税等

適正な維持管理は必要ですが、多額の費用が必要になる物件は年間収支を悪化させます。また、土地の評価額が高い好立地にある物件は、固定資産税等も高額になり、収支を圧迫しやすいので慎重な検討が必要です。

特に固定資産税等の土地の評価額は同じ市内や区内でも大きく異なるので確認が欠かせません。たとえば、東京23区でも路線価格は300万円/㎡から470万円/㎡と大きな差があります。

金融機関への返済

返済額は借入額、借入金利と返済期間で決まりますが、年間収支を過度に悪化させない範囲に設定しなければなりません。融資限度額と金利は金融機関が設定するため、「その制約下でいくら借りるか」「いつまでに返済するか」の返済計画が投資家にとって重要となります。

たとえば、融資限度額が5,000万円、金利2%の場合に自己資金0円、返済期間10年とすると、毎年の返済額は約552万円になります。築12年、物件価格5,000万円、利回り7%の物件の投資の場合、年間収入は350万円なので年間収支は返済額だけで200万円の赤字です。

一方、融資限度額が5,000万円、金利2%の場合に自己資金1,000万円、返済期間17年とすると、毎年の返済額は約278万円になります。築5年、その他の条件が上記と同じなら、収支はその他の経費を除き72万円の黒字となるのです。

このように同じ投資額でも自己資金を増やして借入額を少なくし、また返済期間を一定以上の長さにすることができれば、年間収支の黒字化も期待できます。

3 まとめ

年間収支や資産価格の維持には魅力のある物件や物件価値が下がりにくい環境の地域にある物件に投資する必要があります。

物件の魅力は、前述した立地、利便性、外観(保全状態、デザイン等)、人気設備などに左右されます。入居率が高い物件は自ずと資産価格は高めで維持されやすくなります。

また資産価格が下がりにくい環境は、人口動態、企業、商業施設・観光スポット、教育機関などの要素で決まります。ターゲット層の人口の増大、進出企業の増加、商業施設等の出店の加速、教育機関の回帰などが周辺環境で起これば、入居率は高まり資産価格も高く維持されるでしょう。

立地や物件選びのポイントをもっと詳しく知りたいという方は、アパート販売会社の初心者向けノウハウ資料や無料のセミナーなどを活用して、情報収集をされてみると良いでしょう。

アパート1棟目は、入居率を高める要因が多く、建物自体にも魅力のある物件を検討するようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」