不動産投資には戸建投資、アパート投資、マンション投資、その他にもテナントビル投資や駐車場投資など、様々な種類の運営対象があります。
中でも、アパート投資は検討候補になりやすい物件タイプと言えます。しかし、高めの家賃収入を期待できる新築を建てるか、それとも価格の安い中古物件を取得するかの判断で迷う場面は少なくありません。
そこでこの記事ではアパート経営の特徴、新築と中古のメリット・デメリットについて詳しく解説します。アパート経営を検討している方や、新築か中古かで悩んでいる方は参考にしてみてください。
目次
- アパート経営の特徴
1-1.建物は軽量鉄骨や木造が中心
1-2.利回りはマンションより高め
1-3.設備面はマンションに劣る - 新築アパートのメリット
2-1.家賃を高く設定できる
2-2.融資を受けやすい
2-3.設備・外観が優れている - 中古アパートのメリット
3-1.価格が安い・利回りが高い
3-2.土地の価格より安いものもある
3-3.賃貸需要を確認してから購入できる - 新築アパートのデメリット
4-1.価格が高い・利回りが低い
4-2.需要がわかりにくい
4-3.賃貸に出した実績がない - 中古アパートのデメリット
5-1.資産価値は経年劣化とともに下落している
5-2.維持費・修繕費がかかりやすい
5-3.新築時よりも空室リスクが高くなっている - まとめ
1.アパート経営の特徴
まずは、アパート経営の特徴から確認してみましょう。
1-1.建物は軽量鉄骨や木造が中心
アパートの構造は、軽量鉄骨や木造などの比較的安価な工法の建物が中心です。価格が安いというメリットがあるものの、法定耐用年数は軽量鉄骨造18年、木造22年と短くなっており、建物の資産価値が失われるのが早いというデメリットもあります。
1-2.利回りはマンションより高め
アパートは建物価格が安いぶん、利回りはマンションよりも高くなる傾向にあります。
利回りは立地や築年数、物件のグレードやエリアなどによっても違ってきますが、傾向としてアパートのほうがマンションよりも高いのが特徴です。
1-3.設備面はマンションに劣る
アパートの構造上、設備面はマンションに劣ります。鉄筋コンクリート(RC造)の建物は、壁が厚く、断熱性や防音性にも優れています。上の階や隣の住人の足音や声を気にすることなく生活できるのがマンションの強みです。
また、マンションにはエレベーターや機械式駐車場、共通エントランスなどの設備が多くあります。特にエントランスがあるとオートロックや防犯カメラを設置できます。
アパートの場合、共通のエントランスを備えている建物はあまり多くないことから、防犯性においてもマンションのほうが優れているケースが多いと言えるでしょう。
このように利回りが多少低くても、設備が充実しており、居住性が高いのがマンションです。ただし、一棟マンションは最低でも5千万円以上、1億円以上の物件も多く、価格が高いので不動産投資初心者の方が購入するのは難しくなります。
一方、中古の一棟アパートの場合、3,000万円台で購入できるものもあります。そのため、不動産投資の初心者の方でも、ある程度の頭金を用意できれば一棟アパートを購入しやすいと言えます。
2.新築アパートのメリット
アパートを購入する際は、自分で土地を選び、建築業者に施工を依頼して建てる「新築アパート」か、不動産会社から売りに出ている「中古アパート」を購入する2つのパターンがあります。
まず、新築アパートを購入するメリットから見ていきましょう。
2-1.家賃を高く設定できる
新築物件のメリットは、家賃も高く設定できることです。特に最初の入居者は新築物件に住むことに価値を感じる方も多く、相場より高い家賃を設定しても入居者が見つかりやすいのが特徴です。
アパートに限らず、建物は経年使用で基本的に劣化していくため、新築時は高い家賃を設定することができます。他の競合物件の家賃を比較してみても、築年数が浅い物件は比較的家賃が高く、築年数が古い物件は家賃が低めです。
2-2.融資を受けやすい
アパートを新築で購入する場合、最低でも数千万円のお金が必要です。しかし、それだけのお金を自己資金で用意するのは難しいため、不足分は金融機関からの融資を受けるケースが大半となります。
新築物件の場合、木造アパートでも35年の融資を受けることが可能です。木造物件の法定耐用年数は22年、軽量鉄骨物件の法定耐用年数は18年と短くなりますが、新築で建てる場合、一般の住宅と同じように35年の長期ローンの融資を得られる可能性が高くなります。
また、新築物件は金利も低くなる傾向にあるので、金利と返済期間の両面でメリットがあり、毎月の返済負担を抑えられます。
毎月の返済金額が少ないと、空室が発生してもローンを返せないなどの事態を避けやすくなります。長期間の融資を受けられ、さらに金利が低いという点は新築物件ならではのメリットです。
2-3.設備・外観が優れている
新築アパートを建てる場合、最新技術やデザインを盛り込むことが可能です。例えば、2021年築のアパートと1990年に建てられた築30年以上のアパートでは、防音性や断熱性において居住性能が違います。
デザインもその時の最新のものを取り入れることができるので、若年層の入居者を引き付けやすくなります。また、高性能かつ長期間使える最新の設備を導入しやすいなどの特徴もあります。
中古アパートでは設備は古かったり、故障しやすかったりなどのリスクがあります。このように設備面を充実させやすい点も新築アパートの大きなメリットです。
3.中古アパートのメリット
次は新築アパートに対する中古アパートのメリットを見ていきましょう。
3-1.価格が安い・利回りが高い
中古アパートは新築アパートよりも価格が安いのが特徴です。築年数で価格が落ちるほか、建築会社の利益が価格に含まれておらず、売主の意向で価格が設定されているためです。
新築アパートを建てる場合、その価格にはアパート建築会社の利益が含まれています。例えば、建築費用が3,000万円の場合、その内訳は建材費用2,000万円、建築業者の人件費・利益1,000万円などの価格構造になっています。
しかし、中古アパートの場合は新しく建てるわけではないため、原則的に売主の意向によって価格が設定されています。なお、仲介不動産会社の仲介手数料が発生する点には注意しましょう。
不動産は経年により価格が徐々に低下していきます。例えば、築10年で1割ほど価格が下がり、築20年もすれば2~3割ほど新築時よりも価格が下がる傾向があります。
購入価格が下がれば、利回りを高く設定しやすくなります。収益性を求める場合、価格の安い中古アパートが検討候補になるでしょう。
3-2.土地の価格より安いものもある
築年数の古い中古アパートの中には、土地をそのまま買った時よりも安い場合があります。
例えば、坪単価50万円、敷地60坪の場合、土地の価格は50×60=3,000万円となります。しかし、その土地に築30年などのアパートが建っていると、場合によっては建物含めて2,700万円というように、土地価格よりも安く売りに出ていることがあります。
このような築古アパートをリフォームした場合、運用次第では高い利回りを狙うことができます。このような掘り出し物の物件が眠っていることがあるのも中古アパート経営のメリットです。
3-3.賃貸需要を確認してから購入できる
中古アパートをオーナーチェンジで購入するメリットとして、それまでの賃貸需要を確認してから購入できる点も挙げられます。
新築物件の場合、賃貸物件としての運用実績がないので、どれくらいの収入があるのか、どれくらいの家賃設定が妥当なのかは、過去の実績や周辺の家賃相場から類推することになります。
一方、オ-ナーチェンジで中古物件を購入する場合、前の持ち主や不動産会社からそれまでの家賃や入居率、修繕履歴などを確認してから購入できるので、「購入したけど需要がない」などのリスクを回避しやすいのが特徴です。
また、すでに入居者がいる物件を買えば、購入直後から家賃収入が入ってきます。収益性がある程度担保されている点も中古アパートのメリットです。
4.新築アパートのデメリット
アパート経営における新築アパートのデメリットや注意点についても、しっかりと確認しておきましょう。
4-1.価格が高い・利回りが低い
新築アパートは中古アパートよりも価格が高くなるため、家賃を高く設定できても利回りは低めになります。家賃収入から毎月のローン返済分や税金・維持管理費を差し引くと、新築アパートで中古アパートよりも高い利回りを期待するのは難しいと言えるでしょう。
4-2.需要がわかりにくい
新築アパートを建てる場合、中古アパートと違って経営していた人がいないため、需要がどの程度あるのかを見込みにくいのがデメリットです。
東京都心など人口密度が高く、賃貸需要や周辺情報も多いエリアでは確率の高い予測を立てることが可能ですが、地方エリアだと周辺の賃貸需要が読みづらく、新築アパートを建てても入居者がなかなか決まらないケースがあります。
4-3.賃貸に出した実績がない
新築アパートであっても、建物に不備がある可能性もゼロではありません。信頼できる建築業者に建築を依頼しても、実際に人が住んでみないとどのような問題が起こるのかわからないこともあります。
5.中古アパートのデメリット
物件価格の面ではメリットのある中古アパートですが、建物が古いため次のようなデメリットを伴います。
5-1.資産価値は経年劣化とともに下落している
中古アパートの資産価値は経年劣化とともに下落していきます。物件購入価格は安くなる一方で金融機関からの担保評価も下がることから、融資の金利が高くなってしまったり、融資年数が短くなってしまうなどのデメリットがあります。
立地が良く土地値の高い物件であれば金融機関が良い条件で融資してくれることもあります。逆に駅から離れた不便な場所にある築古アパートなどは、利回りが高くても融資を受けるのが難しくなる傾向にあります。
5-2.維持費・修繕費がかかりやすい
中古アパートは新築アパートに比べて外観や躯体、設備が新築アパートに比べて古く、維持費や修繕費も高くなりやすいのがデメリットです。
例えば給湯器が古くなったり、換気扇が壊れたりエアコンを交換するなどの設備に関する修理費用、また。建物が古すぎると強風や地震で壁の一部にヒビが入ったり、吹き飛ばされたりすることもあります。そのため、10年、15年程度の周期で外壁塗装や屋根塗装を行う必要もあります。
5-3.新築時よりも空室リスクが高くなっている
建物が古くなってしまうことで、空室リスクの懸念もあります。オーナーチェンジ物件の場合、長く入居している方が退去してしまったら同じ家賃設定が出来ないケースも少なくありません。
このように、中古アパートは価格が安い反面、新築と比較して様々なリスクを抱えています。中古アパート投資を検討する際は、ランニングコストやこれらのリスクにも注意することが大切です
まとめ
新築アパートの購入価格は高いものの、長期間の融資を期待できます。設備は新しく部屋もキレイなので、維持管理費は中古と比べて抑えることができます。ただし、購入価格が高いことから利回りが低下してしまうデメリットがあります。
一方、中古アパートは新築に比べて利回りが高く、物件価格が安いのが主なメリットです。一方、建物が経年劣化していることから、修繕などの運用コストが多くかかり、入居者付けに苦労することもあります。
投資対象のアパートを選ぶ際は、自分の予算やどれくらいの収入がほしいのかなど、最初に資金計画を立てながら、購入する物件を決めることが大切です。その上で、新築と中古のメリット・デメリットをしっかりと確認するようにしましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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