不動産売却で確定申告が不要になるケースは?譲渡所得の計算方法や税金の控除ができる特例も

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不動産を売却した場合には、譲渡所得税・住民税に関係して確定申告を行う必要があります。また、譲渡所得が発生しない場合であっても、確定申告が必要な場合があるので注意が必要です。

この記事では、不動産の売却において、確定申告が不要になるケース、および譲渡所得の計算方法や特別控除などの特例について解説していきます。

※記事内の税金・税率などは2023年4月時点の情報となります。最新の情報については、国税庁などのサイトをご確認のうえ、税理士などの専門家へのご相談もご検討ください。

目次

  1. 不動産売却で譲渡所得が発生しない場合は確定申告が不要
    1-1.譲渡所得(売却益)の計算方法
  2. 譲渡所得が発生しない場合でも、確定申告が必要になるケース
    2-1.譲渡所得に関して特別控除の適用を受けるケース
    2-2.譲渡損失を他の譲渡所得と損益通算するケース
    2-3.譲渡損失に関する特例の適用を受けるケース
  3. 譲渡所得の確定申告で控除ができる特例
    3-1.マイホームの特別控除
    3-2.空き家に係る譲渡所得の特別控除
    3-3.マイホームの買い換えの譲渡損失の損益通算と繰越控除
    3-4.特定のマイホームの譲渡損失の損益通算と繰越控除
  4. まとめ

1.不動産売却で譲渡所得が発生しない場合は確定申告が不要

不動産の売却では、譲渡所得が発生した場合、売却した年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告をおこない、その譲渡所得につき譲渡所得税および住民税を納める必要があります。

譲渡所得は、給与所得や不動産所得、事業所得などの総合課税の所得とは分離して別個に計算して申告し、課税されます。

住民税は、譲渡所得税の確定申告の計算に基づいて、各市区町村が翌年6月頃に決定し、賦課してきます。それぞれの税率は、売却した不動産の保有期間に応じて下表のようになっています。

区分 所得税 住民税
長期譲渡所得 15% 5%
短期譲渡所得 30% 9%

※参照:国税庁「土地や建物を売ったとき

ただし、課税される所得がない場合には確定申告をしなくても良いことになっているため、譲渡所得が発生しない場合、基本的に確定申告は不要となります。

【関連記事】不動産売却の税金はふるさと納税で控除できる?仕組みや手順を解説

1-1.譲渡所得(売却益)の計算方法

不動産売却において譲渡所得が生じるのは利益が生じた場合であり、正確には、次の算式によって計算する譲渡所得がプラスになる場合、ということになります。

譲渡所得=譲渡価格-(取得費+売却費用)-特別控除

譲渡価格は不動産を売却した価格、取得費は不動産を入手するのにかかった費用、売却費用は売却するときにかかった費用、のうち法令で定められているものとなります。

2.譲渡所得が発生しない場合でも、確定申告が必要になるケース

譲渡所得が発生しない場合には、確定申告が不要であるのが原則です。

しかし、譲渡所得が発生しない場合であっても、特別控除の適用を受ける場合や、損益通算をする場合、譲渡損失に関する特例の適用を受ける場合には、確定申告が必要になります。以下で詳細をみていきましょう。

2-1.譲渡所得に関して特別控除の適用を受けるケース

通常、譲渡所得は売却収入が取得費や売却費用の合計を上回った金額のことを指し、いわゆる不動産の売却益のことです。

しかし、所得税法では、一定の場合に、売却益からさらに控除することができる特別控除額の特例を設けています。このような特例の特別控除の適用には、確定申告をすることが条件となっているため、譲渡所得が発生しない場合であっても確定申告が必要です。

2-2.譲渡損失を他の譲渡所得と損益通算するケース

不動産の譲渡所得は申告分離課税と呼ばれ、給与所得や不動産所得、事業所得などの総合課税の所得と損益通算することはできません。

しかし、同じ不動産の譲渡所得の枠組みであれば損益通算することが可能です。このような損益通算をしたい時には、特定の不動産につき譲渡所得が発生しない場合であっても、確定申告が必要になります。

2-3.譲渡損失に関する特例の適用を受けるケース

一定のマイホーム売却によって生じた損失については、損益通算と繰越控除が認められる特例があります。このような特例の適用を受けるには、確定申告をおこなう必要があります。

3.譲渡所得の確定申告で控除ができる特例

以下では、譲渡所得が発生しない場合であっても確定申告が必要になるケースのうち、特別控除制度と、総合課税の所得と損益通算できる特例についてみていきます。

3-1.マイホームの特別控除

マイホームの特別控除は、マイホームを、住まなくなってから3年以内に売却したときに、譲渡所得から3,000万円までの控除を認める特例です。

マイホームを取り壊してその敷地を売却する場合、その敷地の売却契約が取壊した日から1年以内に締結されること、その敷地を他の用途に利用していないことも条件となります。売却した年の前々年から、その年まで、マイホームの特別控除等の適用を受けていないことが条件となり、実質、3年に1度しか利用できません。

この特別控除を受けた場合、3年以内に新たにマイホームをローンによって取得するときは、住宅ローン控除の適用が受けることができなくなります。

この特例の適用を受けるには、売却契約締結日の前日に、住民票に記載されていた住所と譲渡資産の所在地が異なる場合、戸籍の附票のコピーなど、その譲渡資産を居住の用に供していたことが分かる書類を添付して確定申告をすることが必要になります。

※出典:国税庁「マイホームを売ったときの特例

3-2.空き家に係る譲渡所得の特別控除

相続した空き家を売却して利益が生じた場合、譲渡所得税の課税所得から3,000万円の控除を受けられる特例があります。主な適用条件は、以下のようになっています。

  • 被相続人が一人で居住していたこと
  • 昭和56年5月31日以前築の一戸建てであること
  • 相続によって取得した人が、その土地建物を耐震リフォームするか、あるいは取り壊して相続日から3年以内に売却すること
  • 相続時から売却時まで空き家であること

この特別控除の適用を受けるには、以下の書類が必要となります。ここでは、被相続人が居住していた家屋は取り壊して、その敷地等を売却したものとします。

  • 被相続人居住用家屋等の登記事項証明書
  • 被相続人居住用家屋等確認書

※出典:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

3-3.マイホームの買い換えの譲渡損失の損益通算と繰越控除

マイホームを売却して、新たなマイホームに買い換えた場合で、元のマイホームの売却によって損失が生じたときは、その譲渡損失を給与所得や事業所得などと損益通算できる特例があります。その年に控除しきれなかった部分の損失は、売却後3年間繰越控除ができます。主な適用条件は次のようになっています。

  • 売却した人が元のマイホームを5年超所有していること
  • 買い換える建物の床面積が50平米以上であること
  • 元のマイホームを、住まなくなってから3年以内に売却すること
  • 元のマイホームを売った前年から翌年までの3年以内に買い換えること
  • 新しいマイホームを購入してから1年以内に住むこと
  • 返済期間10年以上の住宅ローンを借りていること

マイホームを取り壊してその敷地を売却する場合、その敷地の売却契約が、取壊した日から1年以内に締結されること、その敷地を他の用途に利用していないこと、も条件となります。

この特例の適用を受けるためには、次のような書類が必要となります。

  • 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)
  • 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
  • 売却契約締結日の前日に、住民票に記載されていた住所と譲渡資産の所在地が異なる場合、戸籍の附票のコピーなど、居住の用に供していたことが分かる書類
  • 買換資産を取得した年の12月31日における買換資産に係る住宅借入金等の残高証明書
  • 買換資産に係る登記事項証明書、売買契約書コピー

また、繰越控除の適用を受けるには、損益通算の適用を受けた年に、確定申告書を提出していること、その翌年分から繰越控除を適用する年まで連続して確定申告を提出していること、年末における住宅借入金等の残高証明書を添付することが必要となります。

※出典:国税庁「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

3-4.特定のマイホームの譲渡損失の損益通算と繰越控除

住宅ローンのあるマイホームを、住宅ローンを下回る価格で売却して損失が生じたとき、一定条件をみたす場合は、その譲渡損失を給与所得や事業所得などと損益通算できます。その年に控除しきれなかった部分の損失は、売却後3年間繰越控除ができます。

主な適用条件は、買い換えの譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例と同様ですが、売却時に売却価格が住宅ローン残高を下回っていることが条件になります。この特例の適用を受けるには、次のような書類が必要となります。

  • 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
  • 売却契約締結日の前日に、住民票に記載されていた住所と譲渡資産の所在地が異なる場合、戸籍の附票のコピーなど、居住の用に供していたことが分かる書類
  • 売買契約締結日の前日における売却資産の住宅借入金等の残高証明書

また、繰越控除の適用を受けるには、損益通算の適用を受けた年に、確定申告書を提出していること、その翌年分から繰越控除を適用する年まで連続して確定申告を提出していることが必要となります。

※出典:国税庁「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

まとめ

不動産の売却で、基本的には譲渡所得が発生しないケースでは確定申告は不要となります。しかし、譲渡所得に関して特別控除の適用を受ける場合や、譲渡損失に関する特例の適用を受ける場合などでは、確定申告が必要になるので注意が必要です。

確定申告をする際には、適用を検討している特例に応じて必要書類が異なります。事前に確認をして、確定申告期限に間に合うよう、予め準備しておくようにしましょう。

譲渡所得税の特別控除や特例の適用を受ける場合は、計算や必要書類の準備が煩雑であったり、判断に迷ったりすることがあります。そのような場合は、税理士などの専門家に相談することを検討されてみることも大切です。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。