不動産売却で土地の図面を取得する方法は?売買契約に必要なその他の書類も

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土地を売却する際は、土地の図面が必要になります。しかし、図面と言っても、どのような図面を用意すればいいのか、取得方法が分からないという人も多いと思います。土地売却を速やかに行うためにも、必要な書類を事前に準備しておくことが大切です。

この記事では、不動産売却で必要となる図面の種類、取得方法、売買契約に必要なその他の書類についても解説します。

  1. 不動産売却で使用する土地の図面の種類
    1-1.地図(14条地図)
    1-2.公図
    1-3.測量図
  2. 不動産売却で土地の図面を取得する方法
  3. 売買契約に必要な書類
    3-1.本人確認書類
    3-2.登記済権利書または登記識別情報
    3-3.全部事項証明書(謄本)
    3-4.固定資産税納税通知書および固定資産評価証明書
  4. まとめ

1.不動産売却で使用する土地の図面の種類

土地の図面は「地図」「公図」「測量図」のようにいくつか種類があります。各図面の違いを詳しく解説していきます。

1-1.地図(14条地図)

ここでの地図とは市販されている地図ではなく、不動産登記法第14条で定められている地図のことを指し、地籍調査に基づいて確定された境界線が記載されています。

境界線の精度が最も高いことから、設置されていた境界杭がなくなって隣地との境界線が分からなくなっても、地図を使って復元できます。

1-2.公図

公図は登記された一筆の土地ごとに区切られた図面です。実際の土地の面積や形、境界線が異なっている場合も多いため、参考資料(目安)としては使用できても、正確性の求められる土地売買では、測量を必要とするケースがあります。

ただし、公図は法務局で簡単に取得することができ、おおよその土地の形状を把握したり、地番から権利関係を確認したりなどに役立てることが出来ます。

1-3.測量図

測量図は「地積測量図」「現況測量図」「確定測量図」の3つがあります。土地の売買では、基本的に測量図が必要です。

地積測量図とは、隣地の所有者の同意を得て、実際に土地を測量して作成された図面です。土地登記簿に記録されています。最新技術で測量された地積測量図は高い精度を見込めますが、作成された年代によっては精度が低い場合があるので作成された年代を確認する必要があります。

現況測量図とは、土地の所有者の主張する境界線で測量された図面です。隣地所有者の同意を得ていないため、信頼性という点に問題があります。

確定測量図とは、隣地の所有者の同意を得て境界性を確定させています。誰でも取得できる地積測量図とは違い、土地所有者が所有している原本しかありません。作成には一般測量で40万円程度、官民立ち合いで80万円程度かかります。

【関連記事】境界標(杭)の無い土地・不動産の売却方法は?確定測量の手順も解説

2.不動産売却で土地の図面を取得する方法

公図・地積測量図は「法務局に出向く」「インターネットで申請する」「郵送で請求する」という3つの方法で取得できます。

法務局に出向く場合、最寄りの法務局に出向いて、請求書を作成し、450円分の収入印紙を添えて窓口に提出すれば、その場で取得することが可能です。ただし、法務局は混んでいることが多く、印紙の購入の手間もあります。また平日8時半~17時15分までしか受け付けていません。

郵便の場合、法務局のホームページにある各種証明書請求手続きから請求書をダウンロードし、図面を請求することも可能です。手数料450円分の収入印紙を添付、切手を貼った返信用封筒を同封して土地を管轄する法務局に送付します。

一方、インターネットであれば平日21時まで請求できるため、忙しい人、手数料を抑えたい人はインターネットによる申請が良いでしょう。

インターネット申請は、「登記情報提供サービス」にアクセスし、「一時利用」もしくは「個人利用」から申し込みが可能です。申請料の支払いにクレジットカードが必要になるため、準備しておきましょう。

なお、不動産登記は公開情報のため、不動産仲介会社の方で取得してもらうことも可能です。仲介依頼先が決まっている場合には代わりに取得してもらい、データを送ってもらうのも良いでしょう。

3.不動産売買契約に必要な書類

速やかに売買契約を締結させるには、契約で必要となる書類を事前に用意しておくことが大切です。売買契約に必要な書類として主に以下の4つが挙げられます。

  • 本人確認書類
  • 登記済権利書または登記識別情報
  • 全部事項証明書
  • 固定資産税納税通知書および固定資産評価証明書

各書類について詳しく見ていきましょう。

3-1.本人確認書類

本人確認書類とは、売主の身分を証明するための書類です。本人確認書類には以下のような書類があります。

  • 住民票
  • 印鑑登録証明書
  • 実印
  • 免許証や健康保険証

マイナンバーカードを発行している人は、コンビニで住民票の写し、印鑑登録証明書などの本人確認書類を発行できます。マイナンバーカードを発行していない人は、基本的に住民登録をしている自治体役場にて住民票や印鑑証明書などを発行しなくてはなりません。

3-2.登記済権利書、または登記識別情報

登記済権利書および登記識別情報とは、登記名義人にのみに通知される本人確認書類です。

2005年の不動産登記法の改正前には、登記名義人に登記済権利書が発行されていました。しかし、オンライン化に対応するための改正により、権利証に代わり登記識別情報の制度が導入されました。

登記識別情報には、アラビア数字とアルファベットなどの組み合わせで構成される12桁の符号が記載されています。

登記済権利書や登記識別情報はどちらも再発行してもらえないので、早めに書類を探しておきましょう。

【関連記事】権利証(登記済証)がない不動産の売却方法は?対策の手順を解説

3-3.全部事項証明書(謄本)

全部事項証明書とは、不動産登記簿に記載されている不動産に関する内容を全て表示した書類です。例えば、過去の所有権の移転や抵当権の設定・抹消などが記載されています。

登記所に申請すれば、所有者だけでなく誰でも交付を受けることが可能です。ローン返済が残っている場合、抵当権設定が残ったままです。抵当権設定が残っている場合は所有権移転登記と同時に抵当権の抹消を同時に進めます。

公図や地積測量図と同様に、「登記情報提供サービス」でインターネット申請が可能です。

3-4.固定資産税納税通知書および固定資産評価証明書

土地の売却で所有権移転登記をする際、登録免許税という税金を納めなくてはなりません。登録免許税は固定資産税評価額を基準に算出されます。

また、固定資産税は1月1日時点における土地の所有者が負担するため、売却後に買主が負担する固定資産税を算出しなくてはなりません。

登録免許税や買主が負担する固定資産税を算出するために、固定資産税納税通知書および固定資産評価証明書が必要になります。自治体役場にて取得することが可能です。

4.まとめ

公図や地積測量図は最寄りの法務局に出向く、インターネットで申請するといった方法で誰でも簡単に手に入れることが可能です。また、仲介を依頼する不動産会社でも代理で取得してもらうことが出来るため、相談されてみると良いでしょう。

土地を売却する際には、土地の図面以外にもいくつか書類を準備しなければならず、中には再発行できない書類もあります。それぞれの取得方法について事前に確認し、準備を進めておくと良いでしょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。