権利証(登記済証)がない不動産の売却方法は?対策の手順を解説

家の売却を検討している人の中には、不動産登記の際に貰ったはずの権利証が見当たらず、お困りの方もいらっしゃることでしょう。しかし、家の権利証が無い場合でも登記名義人本人であることを証明できれば売却は可能です。

権利証(登記済証)は登記識別情報という12桁の符号となり、家の売買といった所有権の移転、ローンを組む(抵当権の設定)といった様々な場面で必要となります。

権利証がない場合、どのように登記名義人本人であることを証明するのでしょうか?今回は権利証が見当たらない場合の対策方法、売却の手続き方法を3つご紹介します。

目次

  1. 家の権利証(登記済証)とは
  2. 家の権利証(登記済証)をなくしてしまった場合
    2-1.権利証を紛失しただけでは所有権は変わらない
    2-2.不正登記防止申出の手続きを
  3. 権利証(登記済証)が無い家を売却するための手続き方法3つ
    3-1.法務局の事前通知制度を利用する
    3-2.司法書士・土地家屋調査士による本人確認
    3-3.公証人による本人確認
  4. 権利証(登記済証)や登記識別情報が必要な場合と不要な場合
    4-1.権利証(登記済証)や登記識別情報が必要な場合
    4-2.権利証(登記済証)や登記識別情報が不要な場合
  5. まとめ

1.家の権利証(登記済証)とは

家の権利証とは正式には「登記済証」という名称で、登記が完了した時に法務局から登記の名義人に交付する書類です。

2004年に不動産登記法が改正されたことにより、現在は登記済証に代わり「登記識別情報」という12桁の符号が本人確認の手段として導入されています。

2008年に不動産登記のオンライン申請が全国で導入されましたが、登記済証では対応できない事からオンライン対応が可能な登記識別情報制度がスタートしました。

不動産(家や建物など)の登記は土地や建物の所在や面積、所有者の住所・氏名等を公の帳簿(登記簿)に記載し一般に公開する事で所有権を明らかにし安全・円滑な取引を行う役割を担っています。

登記済証や登記識別情報を用いて、不動産の売買に伴う所有権の移転やローンを組んだ時の抵当権の設定等といった手続きを行う事が出来ます。

2.家の権利証(登記済証)をなくしてしまった場合

家の権利証(登記済証)を失くしてしまった場合にはどのような問題が起こるのでしょうか?

それぞれ見て行きましょう。

2-1.権利証を紛失しただけでは所有権は変わらない

権利証は不動産の権利を証明する書類で再発行はできませんが、権利をなくしてしまったからといって所有権まで失効してしまうわけではありません。登記簿に記載されている登記名義人が家の持ち主となります。

また、権利証のみで所有権移転・抵当権設定等の手続きを行う事はできません。登記の申請には権利証(登記済証)の他に印鑑証明書や住民票の写し等の添付情報が必要となります。

2-2.不正登記防止申出の手続きを

登記済証(権利証)を紛失してしまったことで不正な登記が行われ損害を被らないために、不正登記防止申出の手続きを行っておきましょう。

不正登記防止申出は登記名義人の権利を守るために、申出から3か月以内に不正な登記を防止する制度です。

手続きは原則として登記名義人が行う事になっていますが、やむを得ない事情で登記名義人本人が法務局へ行けない場合には、委任による代理人が手続きを行う事が可能です。

3.権利証(登記済証)が無い家を売却するための手続き方法3つ

上述した通り権利証(登記済証)をなくしてしまった場合でも家の所有権を失ってしまうことはなく、家の売却は可能です。

手続き方法は主に以下の3つです。

  1. 法務局の「事前通知制度」を利用する
  2. 司法書士や土地家屋調査士に本人確認情報書類の作成を依頼する
  3. 公証役場で公証人から本人確認をしてもらうという

それぞれの手順や注意点を見て行きましょう。

3-1.法務局の事前通知制度を利用する

「事前通知制度」は権利証(登記済証)が無い状態で登記申請書の「登記識別情報(又は登記済証)を提供する事ができない理由」の項の「失念」にチェックを入れて法務局に提出します。

なお様式の添付情報の登記識別情報(又は登記済証)の欄は記載せずに提出します。

申請書や添付情報を提出後、法務局から登記名義人宛に本人限定受取郵便で通知書が届きます。通知の内容は登記申請があった旨と申請に間違いがない場合申出をするといった内容で、通知書に署名・実印を押し法務局に返送する事で申出ができます。

ただし、事前通知制度は登記費用がかからないメリットがありますが、実際の不動産の売買では利用しにくい制度です。

登記名義人である売主が2週間以内に通知書を返送しない場合、買主に所有権の移転(家の持ち主を買主に変更する事)が出来なくなってしまうため、高額である不動産の取引では買主にとってのリスクが大きい手段と言えます。

手続きに数週間を要するため、売却代金は全て支払い済にも関わらず買主に所有権の移転がされていないという事態にも陥ってしまいます。

3-2.司法書士・土地家屋調査士による本人確認

司法書士や土地家屋調査士といった資格者代理人に依頼し「本人確認情報」の書類を作成してもらう事で所有権の移転が可能となります。

「資格者代理人」が登記名義人本人と面談し、公的な身分証明書(運転免許書やパスポート等)の提示を受けた上で本人であることを確認します。物件に関する聞き取り調査をした上で本人確認を行った旨の書類を作成します。

作成された本人確認情報を登記申請と同時に法務局に提出することで登記が完了しますので、スムーズに手続きを行う事が出来ます。

確実に売買取引が行えるため、権利証の無い不動産売買では最も多く利用される手段ですが、他の方法より費用が大きくなるデメリットがあります。

司法書士・土地家屋調査士は、売却を依頼した不動産会社から紹介してもらえる

司法書士や土地家屋調査士などの有資格者は、不動産の売却を依頼する不動産会社から紹介してもらうことが可能です。また、司法書士に依頼する際は不動産売買による移転登記も依頼することになるため、処理が複雑化しないように同一の司法書士に依頼することが通例となっています。

これから不動産会社へ売却を依頼する際は、不動産一括査定サービスの利用を検討してみましょう。一度の物件登録だけで、複数の不動産会社へ問い合わせることが可能なうえ、複数社の査定結果を比較することが出来ます。

物件登録の際は備考欄に「権利証(登記済証)を紛失してしまった」旨を記入することで、売却手続きがスムーズになるでしょう。

【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

3-3.公証人による本人確認

本人確認書類は「資格者代理人」だけではなく、公証役場で公証人に作成してもらう事も可能です。

公証制度は国民の私的な紛争を未然に防ぎ私的法律関係の安定化・明確化を図る事を目的としており、公証役場は全国に約300カ所あります。

公証人は法務局または地方法務局に属し、手数料以外は受け取らないと定められています。司法書士や土地家屋調査士に依頼するより費用が安く済む事がメリットです。

公証役場まで登記名義人本人が出向かなければなりませんが、公証役場は土日祝日が休みという点が人によってはデメリットとなるでしょう。

4.権利証(登記済証)や登記識別情報が必要な場合と不要な場合

権利証(登記済証)や登記識別情報は不動産を売却する際の「所有権の移転」だけではなく、不動産に関する様々な場面で必要となります。権利証(登記済証)や登記識別情報が必要な場合と不要な場合を見ていきましょう。

4-1.権利証(登記済証)や登記識別情報が必要な場合

二筆以上の異なる土地を一つの土地として合わせて登記する「土地の合筆」、建物の合併の登記はいずれも所有権の登記がある場合は、登記済証や登記識別情報が必要となります。

また、法律上登記が完了していない状態である「仮登記」の抹消を登記名義人単独で申請する場合も同様です。

4-2.権利証(登記済証)や登記識別情報が不要な場合

相続で不動産の所有権移転登記を行う際は、権利証(登記済証)や登記識別情報は必要ありません。

相続登記は被相続人が亡くなったことにより登記を行いますので、通常の不動産の売買と違い、「本人の意思により行う」という本人確認の証明は不要です。そのため、権利証(登記済証)や登記識別情報を添付することなく登記を行う事が出来ます。

権利証(登記済証)や登記識別情報は、あくまで法務局が登記名義人本人であることを確認するための本人確認手段の一つであり、「本人の意思で行う」という確認が必要な時のみ提出する事を覚えておきましょう。

また、相続した不動産を売却する際は売買取引となりますので、権利証(登記済証)や登記識別情報が必要になります。相続不動産の売却手順については下記の記事もご参考ください。

【関連記事】0から分かる相続不動産の売却手続き、不動産売却の流れも解説

まとめ

本記事でご紹介した、権利証が見当たらない場合の対策方法、売却の手続き方法は以下の通りになります。

  1. 家の権利証をなくしてしまった時でも所有権は変わらない
  2. 権利証をなくしてしまった場合は不正登記防止申出の手続きを
  3. 権利証を紛失しても不動産の売却は可能
  4. 司法書士や土地家屋調査士の本人確認、公証人による本人確認を行う
  5. 法務局の事前通知制度は、買主のリスクが大きいので殆ど利用されない
  6. 土地の合筆、建物の合併、仮登記の抹消でも権利証(登記済証)や登記識別情報が必要
  7. 相続登記では権利証(登記済証)や登記識別情報は不要

司法書士や土地家屋調査士による本人確認と公証人による本人確認はそれぞれのメリットとデメリットを把握した上で確認方法を決めましょう。

権利証(登記済証)を失くしてしまった場合でもスムーズに家を売却できるよう、この記事が参考になれば幸いです。

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田中 あさみ

田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。