0から分かる相続不動産の売却手続き、不動産売却の流れも解説

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相続した不動産を売却するには、不動産の名義が相続人の名前になっていなければ売却することができません。不動産を相続する際の手続きや、手続きの際に必要な書類はどのようになっているのでしょうか。

この記事では、相続した不動産を売却する際に必要な手続きと流れをご紹介します。

目次

  1. 相続人全員で不動産の遺産分割協議を行う
    1-1.不動産の「現物分割」
    1-2.不動産の「代償分割」
    1-3.不動産の「換価分割」
    1-4.不動産の「共有分割」
  2. 遺産分割協議書を作成する
  3. 不動産を相続する際の手続き
    3-1.不動産の相続登記を行う
    3-2.不動産を相続登記する際に必要な書類
    3-3.法務局に相続登記申請をする
    3-4.不動産取得の登録免許税を支払う
  4. 相続した不動産を売却する際の注意点
  5. 不動産売却の流れ
    5-1.不動産会社に査定を依頼する
    5-2.査定した価格で募集を開始する
    5-3.問い合わせが入ったら内覧をする
    5-4.売主と買主が合意すれば契約をする
    5-5.売却する際は仲介手数料や税金などが発生する
  6. まとめ

1.相続人全員で不動産の遺産分割協議を行う

亡くなった人が遺言書を作成していない場合、相続人全員でどのように相続するかを決めます。これを相続分割協議と言います。遺産の分割方法には現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4種類があります。それぞれどのような分割方法なのかを見てみましょう。

1-1.不動産の「現物分割」

相続する現物ごとに相続人を決める方法です。例えば現金はAさん、不動産はBさん、車はCさんというような相続の方法です。それぞれの現物を共有して相続する必要がなく、複雑な手続きがいらないため、最も多く使われている分割方法です。

1-2.不動産の「代償分割」

代償分割とは1人に法定相続分以上の遺産を相続し、残りの人にはその人から遺産として現金をもらう方法です。

例えば5,000万円分の不動産があり、相続人が2人の場合、1人が不動産を所有して、もう1人に2,500万円の現金を渡すという方法です。この場合不動産の所有者が1人になりますので、後々売買する際の手続きなどの手間を省くことができます。

1-3.不動産の「換価分割」

換価分割とは相続する財産を売却して現金化した上で、お金を分ける方法です。代償分割の場合、不動産を相続した人は現金を準備して支払わなければいけませんが、換価分割の場合は財産を売却した現金を分けますので、現金を準備する必要がありません。

1-4.不動産の「共有分割」

共有分割とは遺産の一部もしくは全部を法律に基づいて相続人全員で分割する方法です。一見、最も簡単に分けられるように見えますが、不動産の場合は売却の際に共有者全員の同意がないと売却できないといった問題が生じてきます。

また、共有者が死亡した場合、権利が相続人に移るため、共有者が増え権利関係が複雑になります。そのため、不動産の相続時ではあまり実用的な方法ではありません。

2.遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議を行い、遺産分割が決まったら遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書で遺産分割内容を明確にすることで、相続に関するトラブルを防止することができます。

相続後にのトラブルを回避するために、遺産分勝つ協議書は必ず作成するようにしましょう。

3.不動産を相続する際の手続き

遺産相続で不動産を相続する際の手続きなどについて見てみましょう。

3-1.不動産の相続登記を行う

相続登記とは不動産の名義を相続人の名義に変更することを言います。相続登記を行わない場合、売却したい時に売却できなかったり、相続人が増えて手続きが煩雑になったりする可能性があります。

そのようなことにならないためにも、相続が発生したらすぐに相続登記をするようにしましょう。

3-2.不動産を相続登記をする際に必要な書類

相続登記をする際はどのような書類が必要になるのでしょうか。確認してみましょう。

書類名 内容
被相続人の戸籍謄本 被相続人の死亡を確認するため
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 被相続人が死亡した時の住所を確認
相続人の住民票 相続登記の申請に必要になる
遺産分割協議書 遺産分割の内容を確認するため
相続人全員の印鑑証明書 遺産分割協議書の意思確認のため
不動産の登記事項証明書 不動産を特定するため
固定資産評価証明書 登録免許税を計算するため

書類は発行から3ヵ月以内の原本が必要になりますので、申請時に合わせて準備するようにしましょう。

3-3.法務局に相続登記申請をする

相続登記の書類が揃ったら、相続登記申請をします。相続登記申請は法務局に提出することで行えます。法務局に行けない場合はインターネットで登記申請用紙をプリントアウトして、書類に記入し、郵送で送っても構いません。

申請書は法務局「不動産登記の申請書様式について」からダウンロード可能です。

3-4.不動産取得の登録免許税を支払う

不動産を相続して登記する際に免許税が発生します。計算式は以下のようになります。移転登記は以下の表のように土地と建物と分けて計算します。贈与した場合と税率が異なりますので注意が必要です。

*国税庁「登録免許税の税額表」から引用

4.相続した不動産を売却する際の注意点

不動産を売却して利益がある場合、譲渡所属税を支払わなければいけません。利益は売却価格から取得費や経費を引いてお金が残る場合を言います。

この際に注意をしなければいけないのは、相続した不動産の取得費は、被相続人が不動産を取得した際の価格になるということです。そのため、取得費を確認するために被相続人が不動産を購入した際に作成した契約書が必要になります。

計算する際は、取得費から取得時にかかった費用や減価償却費などを引いたりしますので、契約書だけでなく購入時の書類はきちんと保管しておくことが大切です。

また、売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、 買い入れた時期が古いなどのため取得費がわからない場合には、取得費の額を売った金額5%相当額とすることができます。(国税庁「取得費が分からないとき」を参照)

5.相続した不動産の売却の流れ

相続手続きが終わり、名義変更が終われば売却活動を行うことができます。相続した不動産を売却する際の流れを見てみましょう。

不動産を売却するまでの流れは以下のようになります。

  1. 査定を依頼する
  2. 査定した価格で募集を開始する
  3. 問い合わせがあったら内覧をする
  4. 売主と買主が合意すれば契約をする

では、上記のそれぞれの項目を具体的に見てみましょう。

5-1.不動産会社に査定を依頼する

売却する不動産はまず不動産会社に査定を依頼し、価格を算出します。査定方法には簡易査定と訪問査定があります。

簡易査定は不動産会社が不動産の情報から机上で計算して価格を算出する方法です。簡易査定を見て売主がその価格で売却の話をすすめて良いと判断した場合のみ訪問査定を行います。

訪問査定は、不動産会社の査定担当者が実際に不動産を見に行き査定する方法です。訪問した際は物件の状態だけでなく、駅からの距離や周辺環境なども見て査定します。

不動産会社にこれらの査定を依頼する際は、複数の不動産会社に査定を依頼できる不動産一括査定サービスを利用しましょう。複数の不動産会社から査定を受けることができるため、査定結果を比較することが出来るためです。

【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

5-2.査定した価格で募集を開始する

価格が決定したら募集を開始します。募集は不動産会社が行います。不動産会社は自社の店舗やインターネット、営業活動時に売却する不動産の告知をします。

不動産会社との仲介の契約方法には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つの方法があります。それぞれメリットとデメリットがありますので、不動産会社と話をして決めるようにしましょう。

以下に3つの契約方法の概要をまとめてみました。

媒介契約の3つの種類

比較項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
依頼できる会社数 複数社に依頼可能 1社のみ 1社のみ
買い手を自分で見つてくることができるか 可能 可能 不可能
契約が有効な期間 無制限 3ヶ月以内 3ヶ月以内
レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録義務 任意 あり あり
報告義務 なし 2週間に1回以上、文書で報告 1週間に1回以上、文書で報告

5-3.問い合わせが入ったら内覧をする

内覧とは買主が室内を見ることです。内覧に備えて設備や内装を修繕したり、掃除をしたりしてなるべくきれいな状態で内覧できるようにしておきましょう。また、買主の雰囲気や購入意欲を見るためにも、内覧にはなるべく同席をするようにしましょう。

買主が値引きの交渉をする場合があります。どこまで値引きをするのかなど、不動産会社と事前に打ち合わせをしておくことが大切です。

5-4.売主と買主が合意すれば契約をする

売る主と買主が合意をすれば契約します。契約書は売主が直接交わさなければいけませんので、準備をして取り組むようにしましょう。

5-5.不動産売却では仲介手数料や税金などが発生する

不動産を売却すると不動産会社へ支払う仲介手数料や税金が発生しますので、事前に試算して準備しておくことが大切です。売却の際にかかる費用を表にまとめてみました。

費用 内容
仲介手数料 不動産会社へ支払う仲介手数料
印紙税 契約書に貼る印紙
住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消登記 住宅ローンの抵当権を抹消する際にかかる費用
司法書士の報酬 司法書士へ支払う報酬
譲渡所得税 利益がある場合に発生する税金
その他の費用 建物を解体する必要があった場合などに発生する費用

このように不動産を売却した際は不動産購入時と同じように手数料や税金が発生します。売却して数ヵ月後に支払いが発生するものがありますので、きちんと準備して取り組むようにしましょう。

まとめ

相続した不動産を売却する時の手続きと流れを解説しました。

相続した不動産を売却するには、まず不動産の名義を変更しなければいけません。変更の際は、名義変更を単独で行うのではなく、遺産分割協議をしたり、不動産以外の相続手続きをしたりしなければいけません。

また、不動産の売却には手数料や税金など、様々な費用が発生しますので、事前に確認して取り組むことが大切です。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。