投資信託の利益を確定するタイミングはどう計る?確認ポイント2つ

相場は変動を繰り返すものなので、投資信託を売却する場合は冷静な判断とタイミングが重要です。保有している投資信託の基準価額が、購入時より高くなればなるほど含み益は増加しますが、上昇から一旦下落に転じてしまうと含み益が減るため、“利益が出ている時に売却しないと”という不安な気持ちにかられてしまう場合があります。

不安な気持ちのまま焦って売却し、その後相場が反騰し、後悔してしまうこともあります。そこで、今回は投資信託の利益を確定するタイミングの計り方や確認ポイントについて解説します。

目次

  1. 利益を確定するタイミング
    1-1.ライフイベントが起きたとき
    1-2.目標金額に達したとき
    1-3.他の金融商品に投資したいとき
    1-4.資金が必要になったとき
    1-5.株式市場が過熱気味のとき
    1-6.金融政策が引き締め方向に転じたとき
  2. 利益を確定する上での確認ポイント
    2-1.対象投資信託の解約手数料を調べる
    2-2.現金が振り込まれるまでタイムラグがある
  3. まとめ

1.利益を確定するタイミング

利益を確定するタイミングは、投資目的が達成できたときと、それ以外の時に分かれます。それぞれについて見ていきましょう。

1-1.ライフイベントが起きたとき

ライフイベントとは、結婚や子供の入学など人生における大きなイベントのことです。運用開始時の目的がライフイベントに向けたものの場合、そのライフイベントが起きた時に投資信託を売却しましょう。

もしくは資金に余裕がある場合は、運用目的を変更し、投資信託の見直しをしましょう。運用目的を老後資金に変更した場合にはより大きなリスクを取ることができ、将来的に大きな資産を築く可能性も広がります。

1-2.目標金額に達したとき

当初の目標とする金額に投資信託の資産価値が達したときも投資信託の利益を確定するタイミングです。たとえば、投資信託を購入した目的が、「家の頭金のために1,000万円をつくる」ということであれば、1,000万円に達成したときが解約のタイミングです。

1-3.他の金融商品に投資したいとき

運用している投資信託から他の金融商品に乗り換える場合も利益を確定するタイミングです。たとえば、IPO(新規公開株)の抽選に当選したものの手元に資金がないケースが考えられます。

相当額の投資信託を解約し、該当IPO銘柄の上場日に売却すると、投資信託の解約金より大きな金額を手にすることができる期待が持てます。その資金で、解約した投資信託を再び購入することで資産を増やすこともできます。

1-4.資金が必要になったとき

事故や病気などで突然、資金が必要になった場合には、利益確定が必要となることもあります。この場合、投資信託の基準価額にかかわらず解約することとなりますが、含み損益にかかわらず、保有している投資信託全額ではなく、必要な金額分のみを売却するようにしましょう。

1-5.株式市場が過熱気味のとき

株式市場が過熱気味のときは、利益を確定するタイミングです。例えばS&P500指数やTOPIX等の指数連動型の投資信託を保有していて、指数の予想PER(株価収益率)が30倍を超えるような割高な水準まで上昇した場合、株式市場が調整を迎えて株価の下落とともに投資信託の基準価額が低下するリスクが上がるため、株式市場が過熱気味のときは解約のタイミングといえます。

ただし、投資信託を売却した後も基準価額が上昇し続けることもあります。投資目的が将来の年金など長期間投資が可能な場合は、そのまま保有するか、保有金額の50%を目安に売却し、基準価額が下落した後に再び購入するようにしましょう。

1-6.金融政策が引き締め方向に転じたとき

中央銀行の金融政策の転換点も投資信託解約のタイミングです。特に金融政策が緩和から引き締めに転換された時は、市場環境が大きく変わる重要なターニングポイントとなることが多くなります。

政策金利が引き上げられると市場金利が上昇し、企業の資金調達コストが上昇します。また、金利が上昇すると不動産ローン金利が上昇し、住宅販売が減少することで景気が減速します。つまり、金利上昇は株式市場にはネガティブな要素なのです。

中央銀行が金融引き締め方向に動き始めたら、利益を確定するタイミングと言えます。一旦、投資信託を現金化し、相場が下落した時点で再投資しましょう。

2.利益を確定する上での確認ポイント

投資信託の利益を確定する前に確認しておくべきポイントをまとめました。

2-1.対象投資信託の解約手数料を調べる

投資信託を解約する際、銘柄によっては手数料がかかる場合もあります。また、売却益には地方税が課税されるため注意が必要です。投資信託を売却しても、手元に残るのは手数料・地方税が差し引かれた金額のため、必要金額に届かず資金不足となってしまう可能性もあります。

解約時の手数料としては換金手数料と信託財産留保額の2つがあります。換金手数料は換金時に必要な手数料で、信託財産留保額は解約時の基準価額に対し0.05~0.5%差し引かれるものです。なお、これら解約時の手数料は投資信託により必要な銘柄と必要でない銘柄があります。

2-2.現金が振り込まれるまでタイムラグがある

投資信託を解約しても、現金が振り込まれるまでには時間がかかります。通常、日本株式に投資する投資信託であれば、解約を申し込んだ日から3営業日で支払われますが、銘柄によっては5~8営業日としているものもあります。

換金日数については目論見書に記載されているため、解約時に確認する必要があります。

まとめ

投資信託の解約の主なタイミングは、運用を始めるにあたり、その目標が達成された時です。運用目標がライフイベントの場合、売却のタイミングは目的であるライフイベント(結婚、子供の入学、家の購入など)が発生した時です。そのほか、市場が過熱気味になった場合や、中央銀行の金融政策の変更(緩和から引き締めへ)などが利益確定のタイミングと考えられます。

一方、運用の目的が年金積立の場合は、市場が崩れることで購入金額を増やすことができるため安易に売却せず持ち続けるという選択もあります。

投資信託等を解約する場合、買うタイミングより、売るタイミングの方が難しいと言われています。相場に「たい焼きの頭と尻尾はくれてやれ」という格言があります。これは「高値で売り、安値で購入することが理想的ですが、実際には不可能なため適度な水準で売買しろ」という意味です。あまり欲張らずに適度な水準で売却するようにしましょう。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。