不動産会社は不動産の専門家なので、不動産売却に関する相談は全て不動産会社に行えば良いと考えている人も少なくないのではないでしょうか?
不動産会社は不動産の専門家ですが、不動産会社では判断できない内容もあるため、相談内容に応じて相談先を変えることが大切です。
この記事では、不動産売却の疑問を誰に相談すべきなのか、相談内容ごとの相談先について解説します。
目次
- 不動産売却における適切な相談先
1-1.価格査定を依頼したい場合は不動産会社
1-2.税金に関する相談は税理士
1-3.ローンに関する相談は銀行
1-4.境界や測量に関する相談は土地家屋調査士
1-5.正確な価値を知りたい場合は不動産鑑定士
1-6.登記に関する相談は司法書士
1-7.法律全般の相談は弁護士 - まとめ
1.不動産売却における適切な相談先
転勤や出産や独立による家族構成の変化、相続で不動産を取得した人の中には、住み替えや現金化のために不動産売却を検討している人も多いと思います。
不動産売却を進める際は物件がいくらくらいで売れるのか、売却代金に税金はかかるのか、ローン残債はどうなるのかなど何かと疑問が生じます。
不動産の専門家である不動産会社に相談すれば、全ての疑問に答えてくれると考える方も少なくないでしょう。しかし、不動産会社が不動産売却に関連する全ての事に最適な回答が出来るとは限りません。
税金やローンに関する疑問などは、それらの専門的な知識を有する専門家に相談した方が良いため、相談内容に適した相談先がどこなのかを事前に把握しておくことが重要です。
不動産売却で生じやすい相談内容として以下の7つが挙げられます。
- 価格査定
- 税金
- ローン
- 境界や測量
- 正確な価値
- 登記
- 法律全般
それぞれの相談内容の適切な相談先がどこなのかを詳しく見ていきましょう。
1-1.価格査定を依頼したい場合は不動産会社
不動産がどのくらいの価格で売れるのかを知りたいという人は不動産会社に相談しましょう。
現物資産である不動産は、公的な評価額と実際に売却した時の実勢価格に大きな差額が生まれることが少なくありません。
不動産会社では、過去に周辺の類似物件がどのくらいの価格で取引されたのかという情報や実際の不動産の劣化状況や立地条件などを確認しながら価格査定を行うため、より相場価格に近い査定額を算出できる相談先となります。
ただし、不動産査定で過去の取引実績、劣化状況、立地条件のどれを重視するかは不動産会社で異なるため、査定結果も不動産会社によって異なる点には注意が必要です。1社だけに査定を依頼するのではなく、複数の不動産会社に査定を依頼するのがポイントと言えるでしょう。
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
1-2.税金に関する相談は税理士
不動産を売却して得られた売却代金に税金が課されるのかどうかを知りたい人は税理士に相談しましょう。税理士は税金に関する専門家です。
不動産の売却で利益が生じると譲渡所得税が課されますが、控除を受けることができれば譲渡所得税を課されずに済む、または軽減されます。不動産を売却する際に受けられる主な控除は以下の4つです。
- 3,000万円特別控除
- 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換え特例
- 譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
これらの控除は所定の条件を満たし、確定申告をしなければ適切な控除が受けられません。控除を受けられるにもかかわらずそれを知らずに売却を進めた場合には、多額の税金を課税される可能性もあるでしょう。
譲渡所得税だけでなく、印紙税、登録免許税、消費税など、不動産の売却には様々な税金が課されます。不動産売却に伴う税金の詳細について調査したい場合は、税理士に相談しましょう。
1-3.ローンに関する相談は金融機関
ローンの残債がある不動産を売却してもいいかどうか気になっている人も多いのではないでしょうか?そのようなローンに関する疑問を抱いている人は銀行に相談しましょう。
ローンを提供している金融機関は、ローンの契約者に万が一の事態が生じて返済が滞った場合、回収できなくなることを未然に防ぐために不動産に抵当権を設定しています。ローンの残債のある不動産を売却する場合は、この抵当権を抹消する必要があるため、ローンを契約した銀行に相談する必要があります。
ローンの残債を売却代金で補えれば問題ありませんが、残債が売却価格を上回る「オーバーローン物件」である場合には、足りない分を別の資金で補わなくては抵当権の抹消手続きができません。
しかし、オーバーローン物件で差額資金が足りない場合には、金融機関へ相談することで任意売却を検討出来ることがあります。ローンのことで疑問点があれば、金融機関へ早めに相談しましょう。
【関連記事】ローンが残っている家は売却できる?売却の手順、オーバーローンの対策も
1-4.境界や測量に関する相談は土地家屋調査士
境界が確定しておらず、購入希望者から境界の確定を求められた場合は土地家屋調査士に相談します。土地家屋調査士とは、土地の境界を定めるまたは測量を行う専門家です。
土地には道路との境界である官民境界、隣地との境界である民民境界の2種類あります。民民境界が定まっていない、または登記簿上の面積と実際の面積に差異があるケースでは、購入後にトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。
これらのトラブルを未然に防ぎたい人は、売却前に境界や測量について土地家屋調査士に相談しましょう。
1-5.公平な価値を知りたい場合は不動産鑑定士
売却を予定している不動産にいくらの価値があるのか正確に知りたい人は不動産鑑定士に相談しましょう。不動産鑑定士とは、不動産の価値を鑑定する専門家です。
「不動産会社が行う価格査定とは何が異なるの?」と疑問を抱いた人もいると思いますが、不動産鑑定士は鑑定評価に関する法律に基づいて査定を行うことから、不動産会社の査定と比較して、より公平性の高い価格を算出することに適しています。
公平に不動産の資産価値を評価する不動産鑑定は、離婚による財産分与や、不動産相続における遺産分割の際に活用できる手段と言えます。
ただし、不動産鑑定士による鑑定は売却を意図した価格ではないため、実際にその評価額での売却が保証されているわけではありません。不動産鑑定士の評価額と、実際の取引額を参考にした不動産会社の査定結果には大きな乖離が生まれる可能性がある点には注意しましょう。
いくらで売れるのかを知りたい人は不動産会社に価格査定を依頼する、不動産の公平な価値を知りたい人は不動産鑑定士に鑑定を依頼するといったように、目的に応じて相談先を変えましょう。
1-6.登記に関する相談は司法書士
不動産売却に伴う名義変更や抵当権の抹消といった登記に関する疑問を抱いている人は、司法書士に相談しましょう。司法書士とは、不動産の売却で生じる様々な登記に関する手続きを行ってくれる専門家です。
実際の売却時には不動産会社から司法書士を紹介されるケースが多いため、必ずしも自身で探す必要性は少ないと言えます。
しかし、司法書士には不動産の登記識別情報や、身分証明書などの重要な書類を渡す必要があるため、信頼できる司法書士を探して直接やりとりを進めることにはメリットがあります。
司法書士への報酬も依頼先によって変動するため、登記関連での疑問点がある場合には自身でも司法書士への問い合わせを検討してみましょう。
1-7.法律全般の相談は弁護士
不動産を売却する目的が相続による遺産の分割、離婚による財産分与といったケースでは、法律に関する専門的な知識が求められます。このような法律全般に関する疑問は弁護士に相談しましょう。
上記のような目的での不動産売却では、的確な遺産の分割、財産分与が行われていないなど、トラブルが生じる可能性が少なくありません。スムーズに不動産の売却を進めるために、事前に弁護士に相談するのも選択肢の1つと言えるでしょう。
【関連記事】離婚後の家はどうする?売却・譲渡・住み続けるパターン3つを比較
【関連記事】相続した不動産を損せず売却する方法は?FPが解説する4つのポイント
2.まとめ
不動産を売却する際に生じた疑問は、何でも不動産会社に相談すれば良いというわけではありません。相談内容によっては他の専門家に相談しなければならないケースもあるため、相談内容に応じた相談先が誰なのかを事前に把握しておくことが重要です。
この記事には、相談内容ごとの相談先についてまとめています。不動産の売却では、様々な疑問が生じるため、トラブルを未然に防ぎながらスムーズに手続きを進めるためにも、それぞれの分野に適した専門家に相談しながら売却に取り掛かりましょう。
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矢野翔一
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