米国株の買い方は?購入場所と注意点、日本株との違いも解説

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米国株への投資に関心を持っている一方で、どの証券会社で取引をするのが良いのか、あるいは購入のための手続きなどをよく理解しておらず不安に感じている方もいるでしょう。

今回は、米国株の購入方法について、大きく3つのパターンに分けて解説します。合わせて口座開設時の注意点や証券会社選びのポイントについてもまとめているので参考にしてください。

※この記事は2021年1月2日時点の情報に基づいて執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 日本の証券会社に口座を開設する
    1-1.日本のネット証券を使う
    1-2.日本の店頭証券会社を使う
    1-3.日本の証券会社に口座を開設する際の注意点
  2. 米国の証券会社に口座を開設する
    2-1.米国の証券会社を使う
    2-2.米国外居住者が利用可能なネット証券を使う
    2-3.米国の証券会社に口座を開設する際の注意点
  3. オフショア市場の証券会社に口座を開設する
    3-1.オフショア市場の金融機関を使う
    3-2.オフショア市場で口座を開設する際の注意点
  4. 日本株と米国株取引の違い
    4-1.日本株を日本の証券会社で買う場合
    4-2.日本株を米国の証券会社で買う場合
    4-3.日本株をオフショア市場で買う場合
  5. まとめ

1 日本の証券会社に口座を開設する

日本国内の証券会社に口座を開くことで米国株を購入することができます。

1-1 日本のネット証券を使う

米国株はSBI証券や楽天証券といったネット証券でも購入できます。ネット証券は店頭証券と比べて取引手数料が安価な水準にあり、スマートフォンやパソコンでの取引のしやすさを追求していることから、株式投資初心者の方でも利用しやすくなっています。加えて口座開設時のキャンペーンなども頻繁に実施されている等のメリットもあります。

口座は各証券会社のウェブサイトから開設できます。口座開設ボタンをタップ(クリック)すると手順が示されるので、それに従って手続きを進めます。必要書類として、免許証などの身分証明書のアップロードやマイナンバーの記入などが求められますので、事前に準備しておきましょう。

なお、ネット証券では直接店舗に訪れて対面でのやりとりはできませんので、分からないことがある場合には、コールセンターに連絡するか、メールなどで問い合わせることになります。

1-2 日本の店頭証券会社を使う

各地に店舗を構えている、いわゆる店頭証券でも米国株取引が可能です。店頭証券ではオンライン取引に加え、店頭でも取引が可能で、証券会社の担当者にアドバイスを受けながら売買することも可能であることが特徴となっています。

例えば野村證券では、米国株を含む外国株の取引方法として3つの取引を用意しています。

  • 外国株式委託取引
  • 外国株式VWAPギャランティー取引
  • 外国株式国内店頭取引

外国株式委託取引では、注文を野村證券が取次ぎ、現地証券会社経由で現地市場にて執行します。時差のため、米国市場の場合には、約定日=取引成立日の翌営業日となります。精算金額は、約定金額(株数×約定価格)の他、現地手数料・現地諸費用等・国内取次手数料等が別途必要となります。

外国株式VWAPギャランティー取引は、現地市場における株式売買のVWAP値を基準にした価格で行う取引です。VWAP値とは出来高加重平均価格のことで、市場で成立した価格を価格毎の出来高で加重平均した価格を指します。野村證券が相手方となって取引を成立させる、相対取引(国内店頭取引)の一種ですが、取引価格は現地市場におけるVWAP値に一定のスプレッドを加減したものとなります。精算金額は、約定金額(株数×取引価格)となります。

外国株式国内店頭取引とは、野村證券が相手方となって取引を成立させる相対取引(国内店頭取引)です。通常、取引価格は現地市場における終値等に対して買付価格は高く、売却価格は低くなります。精算金額は、約定金額(株数×取引価格)となります。

その他、大和証券でもおおむね同じサービスが提供されており、サービスごとのメリット・デメリットもほぼ同じとなります。

1-3 日本の証券会社に口座を開設する際の注意点

日本の証券会社を通じて米国株を購入する場合には、米国の証券会社と日本の証券会社に対してそれぞれ手数料を支払うことになります。明示的には分離されていない場合でも、スプレッドなどで相応のコストを支払うことになりますので、いずれにしても取引のコストだけを考えれば、米国の証券会社に比べて日本の証券会社は割高となります。また、米国の証券会社に比べると日本の証券会社が取り扱う米国株の銘柄数は少なくなります。

米国株を購入する際に、大半の証券会社ではドルと円のどちらでも利用できます。ただし、円で購入する場合には為替手数料がかかります。手持ちの米国株を売却して代金を円で受け取る場合も同じです。

為替手数料を最小限に抑えたい場合には、可能な範囲でドル建てでの運用を心がけるとよいでしょう。また、円高や円安のタイミングを見極めてまとめて通貨を交換することで、為替変動リスクを抑えることができます。

2 米国の証券会社に口座を開設する

米国の証券会社に口座を開くことでも米国株を購入することができます。米国在住(駐在含む)の方や、米国の証券会社で取引をしてみたいという方はご参照ください。

2-1 米国の証券会社を使う

米国の居住者でソーシャルセキュリティーナンバー(Social Security Number 略称: SSN)があれば、日本人でも米国の証券会社で口座を開くことができます。帰国を前提とした駐在員でも可能です。

最寄りの証券会社へ行き、受付で口座を開設したい旨を伝えれば、係の人に案内してもらえます。手が空いている人がいない場合にはしばらく待たされる可能性がありますので、事前にネットなどで予約してから行くとよいでしょう。また、最近では新型コロナウイルスが流行している影響で窓口業務を休止している金融機関もありますので、事前に営業を確認することも必要です。

銀行の口座番号とルーティングナンバー(Routing Number)が必要となりますので、両方が載っている小切手を持参すると便利です。住所や氏名、投資経験など必要とされている基本情報に口頭で答え、最後に契約書へサインすれば終了です。

口座開設や投資助言などで対面でのサービスを必要としないのであれば、オンラインで口座を開設するとよいでしょう。口座開設の流れは対人とほぼ同じで、画面の指示に従って必要事項を各自で入力します。SSNや銀行口座番号など、必要な情報をオンライン画面から入力すれは手続完了となります。ネット証券では、スマホで簡単に取引ができる手軽さで若者からの人気を集めている「ロビンフッド」が注目されています。

証券会社によっては、米国外に転出すると口座の維持や新規の買い付けができない場合もあります。帰国予定のある人は口座開設前に帰国後も口座を維持し、取引を継続できるかどうかを確認しておくとよいでしょう。また、帰国後も継続して取引をする場合には銀行口座も維持しておくと入金などの際に便利です。

2-2 米国外居住者が利用可能なネット証券を使う

日本の居住者の場合には、米国以外の居住者でも口座を開設できる米証券会社を利用することができます。その1つであるインターラクティブブローカー(IBKR)では、米財務省の制裁対象リストやその他同類のリストに記載される国と地域、またはリスクが高いとみなされるその他の国を除き、世界のすべての国の国民または居住者が口座を開設できます。

同社の利用可能国リストの中には日本も含まれています。IBKRはバロンズによる「ベスト・オンライン・ブローカー2020」で第1位に選ばれるなど高い評価を受けています。

口座開設の流れは以下の通りです。

  1. 口座の開設をオンラインで申請
  2. ID(本人確認書類)の提出
  3. 現住所確認書類の受け取り
  4. 申し込み内容の審査
  5. 口座の承認、開設
  6. 入金および取引開始

オンラインでユーザー名やパスワードを指定し、口座の開設を申請します。口座の開設には運転免許証、マイナンバー、パスポートといった身分証明と現住所を確認できる公共料金の請求書などが必要となります。

本人確認のための書類を郵送すると、現住所確認のためのセキュリティカードが送られてきます。通常、審査には2~3営業日かかります。承認が完了すると口座開設の完了を通知するメールが送られてきますので、通知を受け取ったらセキュリティカードで口座を有効化します。有効化されない場合でも発送後21日で自動的に有効化されます。

これで口座の開設手続きは完了となり、あとは入金するだけで取引を開始できます。口座には国内口座(IBSJ)と国際口座(IBLLC)があり、 IBLLC口座を開くことで米国株の購入が可能となります。IBLLC口座では、米国株以外にもFXを含む様々な国際取引所の商品を取引できます。

IBKRのウェブサイトは日本語に翻訳されていますので、英語ができなくても言葉の壁は高くありません。日本語での問い合わせにも対応していますので、英語が苦手な人でも利用できます。

また、ファーストトレード証券でも口座を開設できます。こちらは英語と中国語のみでの対応となっています。口座開設の基本的な流れは同じです。

2-3 米国の証券会社に口座を開設する際の注意点

米国の証券会社に口座を開設した場合、米国に上場しているほぼすべての銘柄を取引することが可能になります。また大半のネット証券では手数料がゼロであることから、日本では余り知られていないマイナーな銘柄への投資や、頻繁な取引を予定している場合にはより大きな利点があります。

その一方で、確定申告が煩雑になるなどいくつかのデメリットがあります。確定申告では通常、取引履歴を自分でまとめてその都度の為替レートを計算し、米ドル建ての値を日本円換算する作業が必要となります。加えて一部の証券会社を除くと、やり取りは英語となりますので、最低限の語学力も必要となります。

また、海外送金に手間がかかるほか、証券会社が破綻した場合や取引が停止した場合など、トラブルへの対処も国内の証券会社と比べると煩雑になる可能性があります。

3 オフショア市場の証券会社に口座を開設する

 
また、オフショア市場の証券会社に口座開設して米国株取引を行うという手段も存在します。

3-1 オフショア市場の金融機関を使う

オフショア市場とは、税制や規制などの面で優遇されている国際金融市場のことです。国境を越えて行われる取引に対して、国内の金融市場とは切り離した法的制約が適用されます。特に税制上での優遇措置を設けることで資本を呼び込み、金融規制による制約を少なくして比較的自由な取引を認めている、主に非居住者向けの市場を指します。

米国株は香港やシンガポール、ルクセンブルクなどのオフショア市場の証券会社に口座を開設することで購入できます。旅行などで現地に訪れた際に、非居住者が口座を開設できる支店に立ち寄って口座を開設することが可能です。パスポートと英文の住所証明書や残高証明書などが必要となりますので、パスポート以外にどのような書類が必要であるのか、事前に調べて準備しましょう。

日本から郵送で口座開設できる金融機関もあります。この場合は身分証明としてパスポートのコピーを郵送することになりますが、弁護士や行政書士などによる認証が必要な場合もあります。

3-2 オフショア市場で口座を開設する際の注意点

口座開設を巡る注意点は米国の証券会社とおおむね同じです。注文方法は証券会社によって異なりますので、利用する証券会社の説明をよく確認して取引を始めましょう。

大半のオフショア市場では税制優遇措置により、運用後の利益に対して課税されるキャピタルゲイン税や配当などに課税されるインカムゲイン税などの税率がゼロとなります。ただし、日本の居住者が海外で得た利益は日本で課税されますので、確定申告が必要となります。

また、米国株の取引では米国の税務当局に非居住者証明(W-8BEN)を提出する必要があります。口座への入金には海外送金の手続きが必要となります。

4 日本株と米国株取引の違い

米国株と日本株の購入での違いの一つに購入単元があります。日本株には単元株制度があり、原則として100株単位での購入が必要となります。一方、米国株は1株から購入できるほか、最近では1株未満で購入できるケースも増えています。

購入価格は銘柄によって大きく異なりますが、ある1つの銘柄を保有しようとした場合、最小の取引単位は日本株の方が高くなる傾向にありますので、少額での投資には米国株の方が向いています。ただし、日本株でも1株から株式を購入できるサービスがあり(ネオモバ、PayPay証券などネット証券を中心に数社取扱)、これを利用すれば数百円といった規模でも株式投資が可能になるため、米国株へのビハインドは無くなります。

4-1 日本株を日本の証券会社で買う場合

日本の証券会社で口座を開設する際に、「特定口座」を選択すると1年間を通じた売買での損益を証券会社が計算してくれます。さらに、「源泉徴収あり」を選択することで株式投資から得られた利益に課される税金が源泉徴収され、確定申告が不要になります。

特定口座は日本株のみではなく、米国株を含む外国株式でも利用できますので、税金に関する手間に限れば、日本の証券会社を通じた日本株の購入と米国株の購入で大きな違いはありません。ただし、米国株は日本と米国で二重課税されるため、確定申告を行うことで外国税額控除により米国で源泉徴収された額の還付を受けることが可能です。

また、日本の証券会社に固有の違いではありませんが、米国と日本では時差によって取引時間が違うほか、米国株への投資は為替レート変動の影響を受ける点が日本株とは違います。また、日本株と米国株では手数料も違うため、取引を検討する証券会社の手数料体系を事前に把握しましょう。

4-2 日本株を米国の証券会社で買う場合

米国の証券会社では、ADR(American Depositary Receipt 、米国預託証券)を通じて日本株を購入できます。ADRとは日本を含む米国以外で設立された企業(外国企業)にドル建てで投資できるように設計された商品です。

ADRは外国企業の株式を預託機関(銀行または信託銀行)に預け、これを担保に有価証券(預託証券)を発行し、通常の株式と同じように取引できるようにしたものです。したがって、厳密な意味での株式ではありませんが、ADRを保有することで株式投資とほぼ同じ効果を得ることができます。ただし、日本で上場されているすべての銘柄にADRがあるわけではありませんので、投資できる銘柄数は限られます。

インタラクティブブローカーは、米国口座とは完全に分離された口座として日本国内口座を開設して、日本の国内に上場されている日本株を購入できます。こちらの口座であれば東京証券取引所などに上場されている銘柄を購入することができます。

4-3 日本株をオフショア市場で買う場合

日本の居住者が日本株を購入する場合、オフショア市場を利用するメリットはほとんどありません。日本の証券会社を通じて購入するとよいでしょう。ただし、留学や駐在などで非居住者となった場合には日本の証券会社の利用は制限され、口座を閉じる必要が生じる恐れもあります。一部の証券会社では帰国まで口座を維持できるサービスを提供していますが、取引はできませんので、業績悪化などで予想外に手持ちの株式の株価が下落した場合でも手じまうことはできません。

将来的に海外で勝負をしたいと考えている方や、定年後の海外移住を検討している方、または実際にそうしている方が日本株への投資を希望する場合には、オフショア市場を利用することでメリットを得られる可能性があります。

香港に拠点を置くマネックスグループのグループ会社マネックスBoom証券では、日本や米国を含む12市場に上場している企業の株式が取引できます。

日本の非居住者であれば、日本へ税申告をする必要がありませんので、キャピタルゲインや配当所得といった投資から得られる利益について、オフショア市場での優遇税制を享受できる場合もあります(居住国の税制によります)。その一方で、海外送金で手数料が発生するほか、口座維持手数料がかかる場合があるなどのデメリットがあります。

まとめ

米国株に限った話ではありませんが、株式を購入する際には自身の居住国の証券会社を利用するのが最も便利です。日本の証券会社を利用する場合、日本株とほとんど同じ感覚で米国株の売買や税務等の諸対応ができる一方、現地の証券会社に比べると、投資できる銘柄数が限定されてしまう可能性があるほか、手数料もやや割高となるケースが多くあります。しかし最近では、ネット証券での取り扱い銘柄数が増えており、手数料も低下していますので、利用しやすくなっています。

また米国株の購入では、米国の証券会社を利用することで米国の居住者と同様に幅広い銘柄への投資が可能となりますが、米国以外の居住者が口座を開設できる証券会社は限られています。また、税金などの処理にも手間がかかります。他にオフショア市場の証券会社を利用することもできますが、ある程度の語学力が必要とされるうえ、納税手続きが煩雑になります。

各社サービスが多様であることから、一概に指摘することは難しいのですが、口座の開設や維持、納税などでの煩雑さとコストはおおむねトレードオフの関係にあります。取引できる銘柄数とコストについても同様のことが言えます。

米国株の取引では、多少の手間はかかってもコストを抑えたい、あるいは日本では取引できない銘柄も取引したいのであれば、米国の証券会社の利用を検討してみるとよいでしょう。一方、面倒なことは極力避けたいのであれば日本の証券会社を利用するとよいでしょう。また現在の居住地や将来の居住予定地によってはオフショア市場の利用も視野に入る場合があります。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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