皆さん、こんにちは。「もっとベンチャー企業を応援したい、日本が元気になることに貢献したい!」と思い立ち、ファンディーノ(FUNDINNO)で複数の企業の株式に投資をしてみました。創業間もない企業に対し資金を供給する、いわゆる「エンジェル投資」です。
ファンディーノを利用することでベンチャー企業の株式までもクラウドファンディングで購入できる、そしてエンジェル税制にも対応している、と知ったときには興奮が止まりませんでした。
私は、個人でもベンチャー企業(未公開企業)への投資を10社以上していますが、ネットワークには限りもあり、有望企業を見つけるのはなかなか大変です。
今回は、ファンディーノをとおしてベンチャー企業に投資をし、実際にエンジェル税制を使って確定申告をしてみましたので、実体験をご紹介したいと思います。
目次
1.株式投資型クラウドファンディング ファンディーノとは?
ファンディーノとは、株式会社FUNDINNOが運営する株式投資型クラウドファンディングのサービスです。
1口10万円前後の小口の資金で、IPO(新規株式上場)を狙うベンチャー企業の株式に投資をすることができます。エンジェル税制を適用できる企業があり、対象企業の株式を購入すれば税制優遇を受けることもできます。
私は今まで多くのベンチャー企業の起業家と会って話をしましたが、起業家は常にお金のことで頭がいっぱいの方が多くいらっしゃいました。潤沢に運転資金がある企業ばかりではないためです。
ファンディーノを利用することで、そのようなベンチャー企業の起業家と投資家がマッチングでき、エンジェル投資がスムーズにできるのは画期的な仕組みだと思いました。
私は、日本クラウドキャピタル(現 株式会社FUNDINNO)が運営する、「エンジェル投資家アカデミー」というイベントに出席をし、その後の懇親会で経営者の柴原祐喜さん・大浦学さんと直接お話できました。
自分もファンディーノが紹介する案件に投資をしてみようと考え、実際に投資をしてみることにしました。
- ファンディーノで成約したエンジェル税制適用プロジェクト数:31件(2020年5月現在)
- ファンディーノを通してエンジェル税制を申請した投資家数(延べ人数):3,790人(2020年5月現在)
2.所得税が還付されるエンジェル税制の仕組みとは?
エンジェル税制とは、ベンチャー企業への投資を促進するために、新しい事業に取り組む創業間もないベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇を行う制度です。
税制上の優遇には、投資金額が課税対象となる所得金額から控除されたり、株式譲渡益から控除されるなどがあります。
以前より、私はエンジェル税制があること自体は知っていましたが、投資先がエンジェル税制の対象企業ではなかったため、その優遇を受けたことはありませんでした。
エンジェル投資をすることでリスクマネーをベンチャー企業に供給することができ、その対価として株式を分けてもらいます。
しかし、未公開株は流動性が非常に低く、まさにリスク投資の一つと言えるでしょう。IPOやM&A(合併と買収)をするなどEXIT(資金の回収)できればよいですが、そう簡単にはいきません。
そのように考えていたとき、ファンディーノが募集する案件でエンジェル税制適用企業を見つけました。
投資した企業がIPOする以外に、個人投資家に短期的(副次的)なメリットがあればとは思っていたこともあり、リスクを引き受ける分、税制優遇が受けられるのは投資家にとっても良い仕組みであると感じました。
3.エンジェル税制の適用を受けられる企業とは?
エンジェル税制の優遇措置を受けるためには、個人投資家による資金の払込時点でいくつかの要件を満たす必要があります。
エンジェル税制の優遇措置には、投資した年に受けられる所得税の優遇措置として2種類あります。
私は、ファンディーノで紹介された企業が「優遇措置A」という要件(設立3年未満の中小企業であること、営業キャッシュフローが赤字であること等)を満たしているエンジェル税制適用企業であり、節税効果もメリットであると考え投資することにしました。
優遇措置Aは、対象企業への投資額から2,000円を控除した金額を、その年の総所得金額から控除できるというものです。なお、控除対象となる投資額の上限は、総所得金額の40%と1,000万円のどちらか低い額となります。
エンジェル投資で収益を得るためには、その企業の応援だけでなく、将来のEXITを期待して銘柄を探す必要があります。
私がファンディーノの仕組みが良いと思ったことの一つに、エンジェル税制適用企業を紹介してもらう頻度が多く、ベンチャー企業側もきちんと対応している印象だったというものがあります。
実は、中小企業庁のホームページにもエンジェル税制の対象企業一覧の掲載はありますが、情報が少なく、これだけでは投資判断は難しいと私は感じていました。
私も自身のネットワークで投資先企業を選定するのですが、ベンチャー企業が将来IPOやM&Aできる確率は高くありません。志半ばで倒産することもあるでしょう。
エンジェル税制は、頑張っているベンチャー企業を、リスクを取って応援する個人投資家に対して税制優遇することで、その投資を促進する画期的な制度です。
過去には、投資を検討するベンチャー企業があったとき、その企業のCFO(最高財務責任者)に対して、エンジェル税制の適用をお願いしたこともあります。
ただ、ベンチャー企業は日々、目の前の業務に忙殺されています。資金調達は重要であるとわかっていても、ベンチャー企業はエンジェル税制確認申請をできないのが現状です。
企業側が確認申請書類を作成して都道府県に提出するだけでも相当な工数が取られるうえに、都道府県ではこれらの確認作業を行うため、手続き完了までに時間がかかってしまう背景がありました。
エンジェル税制自体を個人投資家、そしてベンチャー企業側も認知しておらず、また、知ったとしてもすぐに準備することが社内のリソース上限られており対応が困難、というケースも多かったように思います。
4.エンジェル税制を活用した確定申告の仕方
ここからは、確定申告時にエンジェル税制を利用する場合、どのように申告するのか見て行きましょう。
通常、確定申告の期日前に様々な書類が自宅に郵送されますが、ベンチャー企業がエンジェル税制の申請後、エンジェル税制の要件を満たしていることの確認がされた場合、通常の確定申告書類と併せて下記の書類が送られてきます。
- 都道府県庁から交付される「確認書(中小企業等経営強化法第7条の規定に係る確認書)」
- ベンチャー企業から交付される「株式異動状況明細書」
- 「個人が一定の株主に該当しないことを確認した書類」
- 「投資契約書(写し)」
以上がまとめて自宅に届きます。ここでは、ご参考までに、「株式異動状況明細書」、「個人が一定の株主に該当しないことを確認した書類」の写真を掲載いたします。
私の場合は、ファンディーノに紹介された「ロジック・アンド・デザイン」、「コーンテック」というベンチャー企業がエンジェル税制対象企業となりました。
後者のコーンテックは、年末に投資をしたため、企業側から当初、確定申告期日までに必要書類の郵送は間に合わない可能性がある旨のアナウンスがありました。
このとき、私もどう対応をすれば良いのか少し不安になりました。1月末日の段階で、コーンテック社から「熊本県(熊本に本社があります)より、本日現在も確認作業中との報告を受けている」とのことだったからです。
しかし、頑張ってくれたのか郵送物が予定より早く到着し、確定申告の期限に間に合わせることができました。
企業側が準備する書類が間に合わない場合には、個人投資家の方で確定申告期日後に必要書類を税務署に郵送する必要があります。
私はエンジェル税制での確定申告は初めてであったため、最寄りの税務署に確定申告相談をしに行きました。
すると職員の方も、あまり事例がなかったためか、少し時間がかかりましたが、申告に必要な書類をプリントアウトしてくれました。
ちなみに、エンジェル税制は、ふるさと納税と同じく、寄付金控除の扱いとなります。ベンチャー企業1社あたり10万円を出資していますので、合計20万円です。
そして、今回の事例では2,000円を控除した金額(198,000円)を所得から控除することができます。確定申告書の寄付金控除の部分に198,000円を記入します。
以下は職員の方と一緒に必要事項を記載した明細書の原紙となります。少しでも参考になればと考え掲載します。
以上は私が行った確定申告のケースですので、もし初めての場合には、確定申告をスムーズにするためにも税務署の職員の方に確認しながら進めると良いでしょう。事前に自宅などで明細書をプリントアウトしていくととてもスムーズです。
明細書のダウンロードは、国税庁のホームページから行えます。下記のリンクをご利用ください。
「特定(新規)中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書」
「特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄付金控除額の計算明細書」
なお、エンジェル税制適用企業に投資をした場合、実際にどのくらい所得税が控除されるのかに関して、ファンディーノでは、「エンジェル税制税負担軽減シミュレーター」というシミュレーションツールを用意しています。
こちらを活用すると概算とはなりますが、どのくらい控除できるかがわかります。おおよその控除額のイメージができるので使ってみてください。
まとめ
成長が見込めるベンチャー企業を応援でき、エンジェル税制で税制優遇も受けられる。とても魅力的な話ですが、ベンチャー企業の選定(目利き)はかなり難しいです。
まだまだ、日本ではベンチャー企業への投資は歴史が浅く、エンジェル投資はネットワークを持つ一部の個人投資家に限られています。ファンディーノでは、複数の公認会計士が厳しい審査を実施しています。
ファンディーノから紹介された案件が絶対に大丈夫であるという保証はありませんが、個人で一から投資先を探すことと比較すると、効率良く案件を探すことができるようになります。
不動産投資をはじめとして、投資や節税の方法には、様々なものがありますが、株式投資型クラウドファンディングも選択肢の一つとして検討してみると良いでしょう。
ベンチャー投資やIPO投資、エンジェル税制などに関心のある方は、クラウドファンディングで応援したい企業を探してみてはいかがでしょうか。
依田泰典
・ソニーにて、ITソリューション関連の法人営業や企画・マーケティング業務に従事(MVP受賞)。ソニー在籍中、株式投資(信用取引)等幅広く金融商品を運用するほか、東京23区の分譲マンションをメインに不動産投資を実践。
・ソニー退職後、不動産会社(ベンチャー企業・東証上場企業)にて、収益用不動産(1棟物件)の仕入・販売、事業開発(不動産ファンド)、経営企画・広報業務に従事。
・独立後は、東証プライム市場上場グループ企業等の社外取締役、顧問、アドバイザーとして活動(営業・資金調達支援)。その後、仲間とIT関連のスタートアップを創業。
・米系PEファンドのKohlberg Kravis Roberts(KKR)への出資をはじめ、国内では不動産テック等IPOを目論む複数のスタートアップ(ミドル・レイターを含む)への出資のほか、複数のVCファンド(シード・アーリーメイン)にLP出資。
・宅地建物取引士(宅建マイスター)、貸金業務取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、ビル経営管理士、競売不動産取扱主任者、社会保険労務士、行政書士、情報処理技術者等の資格を保有。
・趣味は街の散策と食べ歩き。YouTube鑑賞(BreakingDown、YOASOBI)。漫画(島耕作、キングダム、ザ・ファブル)。格闘技(合気道有段者)。坂道ファン(推しは櫻坂46山崎天)。
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