仮想通貨(暗号資産)投資は1,000円前後から利用でき、スマホで手軽に取引できるため投資初心者に人気の投資商品となってきています。しかし、仮想通貨はボラティリティが激しいため投資商品としてはハイリスクハイリターンです。
特に過去1年間は相場が大きく上昇しており、仮想通貨取引所では新規口座開設者が急増しました。そこで今回は、仮想通貨投資をこれから始める方向けに、最初に知っておくべき業界の常識を6つご紹介します。
目次
①ビットコインとアルトコインの違い
仮想通貨といえばビットコインを連想する方は多いと思いますが、市場にはXRPやイーサリアムなど多くの仮想通貨が存在しています。こうしたビットコイン以外の仮想通貨は総じて「アルトコイン」と呼ばれています。
ビットコインに投資したいのか、アルトコインにも投資したいのかによって投資行動は変わってきます。投資したいアルトコインが既にあるのであれば、必然的に利用すべき仮想通貨取引所も限られてきます。
真っ白な状態で仮想通貨投資を始めるのなら、まずはビットコイン一択です。ビットコインは仮想通貨市場全体の時価総額の50%前後を占めており、「流動性」も大きいため、大口の資金はビットコインに最初に流入する傾向があります。
アルトコインは値動きが大きいため、一攫千金を狙う個人投資家も多いと思います。しかし、一言でアルトコインと言っても、リップルやイーサリアム、ライトコインなど、メジャーなアルトコインから草コインまで様々な種類があり、それぞれ流動性が全く異なります。
宝くじ感覚で保有すべきものなのか、きっちりとポジション分析をすべきものなのか、自分が取引しようとしている仮想通貨がどの種類なのか、しっかりと見極めて投資するようにしましょう。
②販売所と取引所の違い
多くの仮想通貨交換業者は「取引所形式」と「販売所形式」の2種類の取引サービスを提供していますが、手数料設定や注文機能、取扱銘柄が異なっています。最初に2つの違いを認識することは、仮想通貨投資に大きく役立つでしょう。
販売所形式というのは、投資家が仮想通貨取引所を相手に仮想通貨を購入(売却)するサービスです。提示されている価格で取引所からすぐに購入(売却)ができるので、取引チャンスを逃すリスクが低いというメリットがあります。また販売所の注文画面はオンラインショップの様に「買値」や「売値」だけがシンプルに表示されているため、初心者向きの取引方法と言えます。
しかし、販売所は購入価格と売却価格の差(スプレッド)が実質的な手数料の役割を果たしており、取引所と比べて購入価格が高く、売却価格は低くなる傾向があります。そのため、仮想通貨投資に慣れている方は取引所取引を利用しています。
取引所形式というのは、投資家同士が売買注文を使って仮想通貨を取引するものです。運営会社は取引当事者を仲介する「板」と呼ばれる取引場所を提供します。市場参加者の注文数量が多いほど「流動性」が向上するため、売りたいときに売りやすく、買いたいときに買いやすい環境となります。マイナス手数料を導入している企業もあり、上手に活用することで取引手数料を抑えられるでしょう。
③現物取引とレバレッジ取引の違い
仮想通貨(暗号資産)取引では、実際に仮想通貨を売買してキャピタルゲインを得る「現物取引」以外に、証拠金を担保に資金の数倍の取引が可能な「レバレッジ取引(証拠金取引、仮想通貨FX)」を行うことができます。
一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が公式サイトで公表している統計情報によると、2021年4月次の国内の取引状況は現物取引が4兆1,808億4,200万円、レバレッジ取引(証拠金取引・信用取引・先物取引)は4兆566億3,200万円となっています。
現物取引と並んで人気のあるレバレッジ取引ですが、利用可能な仮想通貨取引所は限られています。取扱銘柄や取引形式、注文ツールも企業によって特徴があるため、口座開設前にチェックしておきましょう。
④まずは少額投資、ドルコスト平均法を検討する
これから投資を始めようと考えている場合、まずは少額の投資からスタートすることが大切です。ビットコインであれば0.001 BTC、0.0001 BTC(約400円:2021年7月時点)といった端数で購入できます。
最初から大金を投資につぎ込んでしまうと、損が出た場合に通常の判断ができなくなるリスクを抱えることになります。特にビットコインはボラティリティが大きいので、ドルコスト平均法で平均取得単価を平準化するのが定石です。
仮想通貨取引所によって最小注文数量は異なり、中には500円から一定周期で自動積立投資が可能なサービスも存在します。投資プランに応じて、こうしたサービスを利用することもお勧めです。ある程度資金が拡大したら、レンディングサービスを利用して賃借料を稼ぐなどの資産運用を検討しても良いでしょう。
⑤仮想通貨市場のリスク
仮想通貨を手に入れる方法には、国内の仮想通貨取引所、海外の仮想通貨取引所、分散型取引所(DEX)などがあります。最近では、ハイレバレッジや流行りのアルトコインを求めて海外の仮想通貨取引所を利用する日本人ユーザーも少なくありません。しかし、こうした取引所には規制面でカウンターパーティリスクが高い傾向があります。
仮想通貨はまだ法制度がしっかりと整備されていない状況であり、世界各国がそれぞれ仮想通貨について議論しながら、規制枠組みを構築しています。何が起きても対処できるように、投資家は不確実性の高い取引所の利用を避け、海外の取引所に預けておく資金を一定割合に抑えるなど、規制リスクに対処するようにしましょう。
【関連記事】:【投資初心者向け】仮想通貨投資で抑えておきたい7つのリスクを解説
⑥仮想通貨の税金計算
仮想通貨投資を始める方の中には、初めて確定申告を迎える方もいると思います。まず、注意したいのは確定申告のタイミングまで必要な利益を確保しておくことです。損益計算自体の複雑さは自動計算サービスでも解決できるので、おいおい理解していけば良いでしょう。
例えば2021年度の確定申告は、2021年1月1日~12月31日の1年間に生じた所得とそれに対する所得税額を計算し、2022年の2月16日~3月15日の期間内に行います。2022年の提出時には所得税を支払い、年後半には住民税を支払うために資金を確保しておかなければなりません。
仮想通貨投資で発生した損益に対して、どの程度の税率がかかるのかも把握しておきましょう。仮想通貨投資による利益は「総合課税」区分の「雑所得」に分類されます。例えばサラリーマンには給与所得がありますが、仮想通貨投資で「雑所得」を得た場合には、給与所得と雑所得を合算して所得税を計算し、加えて住民税が一律10%発生します。
所得税の速算表
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
【出所】国税庁ホームページ 「 No.2260 所得税の税率 」
サラリーマンは原則として給与以外の所得の合計額が年間20万円を超える場合には確定申告が必要となります。申告漏れが判明すると、過去5年間遡って無申告の所得税が請求され、延滞税と無申告加算税が課されます。仮想通貨の税計算に関する記事を参考に、しっかりと確定申告を行うようにしましょう。
【関連記事】:仮想通貨の税金計算を徹底解説!課税対象となるタイミングを把握しよう
⑦まとめ
仮想通貨投資をこれから始める方向けに、最初に知っておくべき業界の常識として6つご紹介しました。基本的に、ビットコインの少額投資からスタートし、販売所ではなく取引所を利用することで、不要なコストを下げ、より効率的な投資行動につながります。その上で、レバレッジ取引でヘッジをしたり、余裕があればアルトコイン投資で追加のリターンを狙うなど、戦略に幅を持たせると良いでしょう。
仮想通貨市場のリスクに注意し、特に規制の変化やブラックスワンが起きた際に、損失を最小限に抑えられるようにしておくことが肝心です。レバレッジ取引のポジションの持越しを避け、仮想通貨取引所に保管する資金を抑えるなどの工夫が考えられます。年間でせっかく利益を得ても、翌年にアルトコイン投資に失敗してしまい、税金の支払いに困窮していては意味がありません。仮想通貨の税金計算を踏まえ、大切な資金を安全に運用するよう心がけましょう。
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