仮想通貨の税金計算を徹底解説!課税対象となるタイミングを把握しよう

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今回は、初心者投資家にとって難解と言われる仮想通貨の課税対象やタイミングについて、仮想通貨・暗号資産の確定申告などに関するサービスを提供する株式会社クリプタクト代表取締役の斎藤岳氏にお話を伺いました。

目次

  1. 仮想通貨の売買における所得のタイミング
  2. 仮想通貨同士の交換(売買)での所得のタイミング
  3. その他の取引について
    3-1. マイニング、エアドロップ、レンディング、ステーキング報酬など
    3-2. ハードフォーク
    3-3. 仮想通貨で買い物をするなど
  4. まとめ

こんにちは。株式会社クリプタクトの代表取締役、斎藤です。

仮想通貨を取引する場合、どういったタイミングで税金が発生する可能性があるか気になる方も多いかと思います。基本的には所得が発生したとみなされる取引を行った際に、その所得に応じて税金が発生する可能性があります。それでは、どういった取引を行うと所得が発生したとみなされるのか、またその所得の計算方法について解説したいと思います。

なお、前回は「投資のプロフェッショナルが徹底解説!2020年確定申告で3つの注意点」について解説していますので、ご参考までにご覧いただければと思います。

①仮想通貨の売買における所得のタイミング

所得が発生するタイミングとは、一言で言えば、「損益が確定したとき」となります。損益が確定するとは、保有している通貨を売却するなど、反対売買を行うことにより実際に生じた損益を意味します。具体的な事例で見ていきましょう。

例えば、2019年に50万円で購入したコイン1枚が値上がりし、2019年の年末にコイン価格が80万円だった、というケースを考えます。

ここで実際に年末に80万円に売却したとすると、利益は30万円となり、この30万円が所得として認識されます。この売却取引が「損益が確定したとき」に該当し、所得が発生するタイミングとなります。

なお、2020年に入ってからこのコインを売却して、例えば30万円の利益が生じたとします。この利益は2020年に入ってから確定したものとなるため、2020年の所得として認識され、2019年の申告の対象取引にはなりません。例では利益のケースを考えましたが、損失のケースでも考え方は全く同じです。

②仮想通貨同士の交換(売買)での所得のタイミング

①のケースは日本円建で仮想通貨の売買を行った時の所得の認識について説明しました。これはそれなりに想定しやすい状況であるかと思います。一方で、あるコインを他のコインに替えた場合、つまり仮想通貨同士の交換の場合では、どのような所得認識がされるのでしょうか。

仮想通貨同士の交換では、交換時点の円建の時価でそれぞれの仮想通貨を評価して計算されます。そして、仮にこの損益がプラスであれば、実際に日本円を手にしたわけではなくても、所得として認識され納税が必要となる可能性があります。

こちらも具体例を見ていきましょう。例えば、ビットコインが50万円のときに1枚購入したとします。その後ビットコイン価格が100万円になったときに、ビットコイン1枚をイーサリアム50枚と交換したとします。このビットコインとイーサリアムの交換取引は、下記2つの取引に分解して所得計算することになります。

  1. ビットコインを時価(100万円)で売却
  2. イーサリアム20枚を時価(100万円)で購入

もともとビットコインを50万円で1枚購入していたことから、1つ目の取引がまさにビットコインの「損益が確定」する取引に該当します。つまり、1つ目の取引から50万円の利益が発生し、これを所得として認識することになるのです。

一方で、2つ目の取引についてはイーサリアムを購入しただけであれば、イーサリアムの利益は原則確定するわけではありません。そのためこの取引に関しては損益は発生せず、その後イーサリアムを円建てで売却したり、あるいはまた別の仮想通貨に交換したときに、イーサリアムに関しての利益が発生することになります。

なお、ICOの参加も基本的に仮想通貨同士の交換と同じ考え方で、所得認識することになります。

③その他の取引について

マイニング、エアドロップ、レンディング、ステーキング報酬など

①や②の売買や交換では、所得が発生するタイミングは反対売買を行うことで所得が確定するとき、と説明しました。一方で、マイニングやエアドロップ、レンディングやステーキング報酬などの取引では、売買のように損益を認識していないケースでも、所得が発生している場合もあるので注意が必要です。

これらの取引では、「仮想通貨を受け取った時点の時価で所得を認識」することになります。例えば、時価100万円の時にビットコインを0.01枚マイニング(エアドロップやレンディングなどに置き換えても同じです)で取得したとします。

この時、0.01枚のビットコインは時価ベースで1万円の価値となるため、取得したタイミングで1万円の所得が発生した、と認識されます。売買をしたわけでもなく、ただ取得しただけでも所得認識されてしまうので注意したほうがいいでしょう。

なお、その後にこの取得したビットコインを仮に0.01枚で1.5万円で売却したとすると、売却時点でさらに5千円の所得が認識されることになります。逆に価格次第では損失を認識することも当然あります。

同じような計算の取引は、例えばボーナスやキャンペーン等で取引所から配布される仮想通貨も対象となります。これらも、取得した枚数に対してその時点の時価で評価し、所得として認識されることになります。

ハードフォーク

ハードフォークで得られる仮想通貨は、取得した時点では所得認識されません。これは、マイニングやエアドロップなどと少し異なるように思うかもしれません。ただ考え方は同じで、ハードフォークの場合、ハードフォーク時点の時価は(誕生したばかりなので)0円としてみなされることで、ハードフォークで取得した時点では所得認識されません。

その後売却したり交換したりすれば、その時点でさらに損益が計算され確定されることになります。

仮想通貨で買い物をするなど

仮想通貨を使って買い物をした場合は、買い物したタイミングで損益が計算され、所得認識を行うことになります。計算方法は、購入した商品の時価と使用した仮想通貨の枚数から、その仮想通貨の売却取引として価格が計算され、損益計算が行われます。具体的な事例を見ていきましょう。

例えば、0.01枚のビットコインを3千円で購入し、その後5千円の商品を0.01枚のビットコインで購入したとします。この時、所得計算としては、あなたが「0.01枚のビットコインを5千円で売却した」という取引として扱われます。そのため、商品を購入したタイミングで、1で説明した仮想通貨の売買と同じ扱いですが、この例の場合2千円の利益が確定することになります。

購入する商品やサービスの円建の時価がない場合などは、その時点のビットコインの価格で計算されることになります。例えば先ほどの例で、購入した商品の価格が日本円や他の法定通貨建てでは存在せずに、0.01BTCのみの価格だった場合を考えてみます。この場合、商品購入したときにビットコイン0.01枚分の時価が4千円だったとすると、この時価で売却したとみなされることで、千円の利益が確定したとみなされることになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、仮想通貨の所得がどういったタイミングで発生し、どのような計算で行われるのか取引種類によって解説しました。皆さんが日々されている様々な仮想通貨の各取引について、今回解説したような計算を行い、それぞれの損益を合計して年度ごとに仮想通貨の所得を計算することになります。その場合、取引所ごとに計算するのではなく、全取引所、全取引を合算して計算していくことになります。

クリプタクトでは自動でこういった計算を行う仮想通貨損益計算サービスを無料で行っていますので、これを機に詳しく知りたい方はぜひ詳細ご覧いただければと思います。

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斎藤岳

株式会社クリプタクト代表取締役 Co-CEO。新卒でゴールドマン・サックスに入社してから計12年間、株、債券、為替など流動性のある資産から、不良債権、船舶、不動産など、幅広く投資・運用を経験。クリプタクトは投資支援プラットフォームであるCryptactを運営。仮想通貨の自動損益計算サービスを皮切りに、投資において役立つITツール開発に注力。前職での投資経験を活かして、レポートやコラムも多数執筆。Twitter:@Cryptact_gaku