アパート経営でかかる月々の費用(ランニングコスト)は?削減のコツも

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アパート経営は、不動産投資のなかでも事業経営的な側面がより強いものとなります。事業には売り上げがあると同時に経費もかかるため、経費の内容や金額に関する把握が重要です。

本記事では、アパート経営で発生する毎月の費用と、費用を削減するためのコツについて解説します。

目次

  1. アパート経営でかかる税金
    1-1.固定資産税
    1-2.都市計画税
    1-3.所得税と住民税
  2. アパート経営でかかる税金以外の諸経費
    2-1.賃貸管理費
    2-2.建物管理費
    2-3.修繕工事費
    2-4.アパートローンの返済
    2-5.原状回復費
    2-6.入居者募集の広告費用
    2-7.税理士費用
  3. アパート経営でランニングコストを抑制する方法
    3-1.金利の引き下げまたはローンの借り換え
    3-2.管理会社の変更
    3-3.自分で確定申告を行う
  4. まとめ

1.アパート経営でかかる税金

アパート経営でかかるランニングコストは大きく税金とその他の費用に分けられます。まずはアパート経営によって発生する税金について解説します。

1-1.固定資産税

投資用不動産を保有している場合も、自宅を購入した場合と同じく固定資産税の支払いが必要です。固定資産税は、自治体によって決定される固定資産税評価額に税率を乗じて計算されます。

税率については標準税率が決められており、標準税率は1.4%です。ただし、実際の税率は自治体によって異なっており、1.5%や1.6%などの場合もあります。また、固定資産税評価額は3年に1度の周期で見直しが入り、人口増加などによって地価が上昇しているエリアでは、固定資産税評価額も高くなります。

固定資産税は、毎年一括払いもしくは四半期に1度のペースで支払いが可能です。自治体から郵送されてきた納付書を利用して支払います。

1-2.都市計画税

都市計画税も固定資産税評価額に税率を乗じて計算されます。なお、納付先も固定資産税と同様に各自治体です。ただし、税率は固定資産税と異なり0.3%です。固定資産税と同時に送られてくる納付書を利用して納税することになります。

1-3.所得税と住民税

アパート経営によって入ってきた家賃収入には、給与収入などと同じく所得税および住民税が課税されます。なお、サラリーマンの場合は給与所得とアパート経営による収支を合算可能です。

なお、建物部の減価償却費など、アパート経営で赤字が発生した場合は確定申告で給与所得と合算して申告することによって所得税と住民税を減らせる可能性があります。

2.アパート経営でかかる税金以外の諸経費

アパート経営には建物の維持管理に関連する費用と入居者募集に関する費用など、ハードとソフトの両面で費用が発生します。

2-1.賃貸管理費

賃貸管理費は、管理会社のサービスを利用する場合に管理会社へ支払う経費です。支払う賃貸管理費は管理会社によって異なりますが、大半の場合は3%〜5%など家賃収入に対する割合で決められています。

また、管理会社の業務内容は、入居者募集・入居者対応・家賃の集金など多岐に渡ります。具体的な業務内容については管理会社と締結する契約書に準拠するため、管理会社を入れる場合は、契約締結前に契約書の内容を把握することが重要です。

なお、管理会社を入れずに自主管理でアパート経営をする場合は、賃貸管理費はかかりません。

2-2.建物管理費

建物管理費は、法定点検を含む建物設備の点検・メンテナンス費用です。例えば各戸に設置される火災報知器については、毎年点検結果を消防署へ報告する必要があります。そのほかにも法定点検が必要な設備が設置されている場合は、点検費用が必要です。

2-3.修繕工事費

アパート経営は一棟単位で運用するため、屋根や外壁などの建物部分に破損が発生した場合は、発生の都度修繕費用を支払う必要があります。そのほか、住戸内の給湯器やエアコンなど設備が経年劣化によって故障した場合は、オーナーの費用負担による修繕が必要です。

修繕箇所によっては入居者を募集できなくなることもあります。修繕箇所が発生した場合は、可能な限り早めに修繕を完了させることが重要です。

なお、管理会社を入れている場合は、管理会社から修繕見積もりが提出されます。アパートのオーナーは、修繕内容と費用とを見ながら実施の有無を判断する必要があります。オーナー自ら相見積もりによって修繕業者を比較する方法もありますが、管理会社との関係を損ねる場合もあるので要注意です。

2-4.アパートローンの返済

アパートローンを利用してアパートを購入した場合は、毎月ローン返済が必要です。ローン返済は元本返済と支払金利とに分けられます。これらのうち、支払金利のみ確定申告で経費計上が可能です。

ローンの返済はアパート経営でかかる経費の中でも大きなウエイトを占めることが多く、変動金利で契約している場合は金利が上がることもあります。空室による赤字などを防止するためにも、物件を購入する前には収支シミュレーションを検証することが重要です。

2-5.原状回復費

入居者の退去が発生した場合には、次の入居者が入るまでの間に原状回復が必要になります。原状回復とは、フローリングのワックス処理や壁紙クロスの貼り替えに加え、クリーニングと呼ばれる清掃などを指しています。

クリーニングは大半の場合で行われますが、それ以外の作業要否については、退去後の住戸内確認による判断が必要です。原状回復費についても、管理会社を入れている場合は管理会社から見積もりが提出されます。

2-6.入居者募集の広告費用

新たな入居者を募集するときに、広告費用がかかることがあります。賃貸住宅用のウェブサイトや情報誌への物件情報掲載には広告費用が必要です。なお、広告費用は管理会社に支払う賃貸管理費に含まれている場合もあります。

2-7.税理士費用

確定申告を税理士に委託する場合は、管理会社に支払う管理費とは別途に税理士費用が必要です。管理会社が懇意にしている税理士がいる場合もあるので、伝手がない場合は紹介を依頼するのも有効です。

その他、「税理士ドットコム」というサービスでは、全国5,900名の税理士の中から無料で希望に沿った税理士を紹介してもらうことが可能です。複数の税理士を比較することが可能で、「費用はいくら?」「どんな税理士を選ぶべき?」といった税理士を選ぶ際の相談もできるため、これから税理士を探す際は利用を検討してみると良いでしょう。

【関連記事】不動産投資に強い税理士を探すポイントは?相場や相談方法も

3.アパート経営でランニングコストを抑制する方法

アパート経営でランニングコストを抑制するためには、各業務の委託先変更などが有効です。アパート経営の業務委託先としては、主に金融機関・管理会社・税理士などがあります。

3-1.金利の引き下げまたはローンの借り換え

ローン返済および金利の支払いはアパート経営でかかるコストの中でも大きな割合を占めています。このため、ランニングコストを抑制するためには、金融機関に金利の引き下げ交渉をするのも有効です。

ただし、一方的に金利の引き下げを要求するだけでは、引き下げに応じてもらえる可能性は低くなります。例えば、融資元の金融機関で定期預金口座を開設する、保険を契約するなどの条件を受けることで、金利引き下げにつながるケースも見られます。

そのほか、別の金融機関から低金利で借り換えることでもコストを抑制できます。ただし、もともと借り入れていた金融機関の印象を損ねることもあるので、借り換えは慎重に進めることが重要です。

例えば、借り換えシミュレーションができる「インベース」というサービスでは、オンライン上で不動産投資ローンの借り換えシミュレーションから借り換え手続きの代行まで一貫して行うことが可能です。借入時の融資条件が悪い場合には、利用を検討してみると良いでしょう。

【関連記事】モゲチェック/インベースの評判・概要

3-2.管理会社の変更

融資元の金融機関と同様に、管理会社の変更もランニングコストの抑制に寄与します。管理費は管理会社によって異なるため、現在よりも低額で請け負う管理会社が見つかった場合は、契約を切り替えるのも有効です。

管理会社との契約には、解約の申し出は1ヶ月前に行うなど、申し出時期に制約があります。管理会社の変更を検討する場合には、まず申し出時期について契約書を確認することが重要です。

また、物件の情報や入居者の情報などを常に整理しておくと、新たな管理会社から見積もりを取るときや不動産査定の際にも便利なため、準備しておくと良いでしょう。

3-3.自分で確定申告を行う

アパート経営をする場合には確定申告が必要ですが、確定申告は必ずしも税理士を介して行わないといけないわけではありません。

アパートオーナーが自ら確定申告することも可能です。収支の整理など手間はかかりますが、自主的に手続きすれば、税理士費用を削減できます。

ただし、アパート経営で発生した経費であるのか、私用に購入したものであるのか、家事按分の判断は専門家でも意見が分かれやすいポイントです。自身で確定申告を行う際は、このようなリスクがある点に注意し、慎重に検討しましょう。

【関連記事】アパート経営は節税になる?税金を軽減する仕組みや、確定申告の手順も

まとめ

アパート経営で発生するランニングコストは、各種税金や管理業務の委託費用など多岐に渡ります。全部を事細かに把握するのは手間がかかりますが、おおまかに分類して金額を把握しておくのは重要です。

また、アパート経営のランニングコストは、業務の委託先を変更することで削減できる場合があります。ただし、管理会社などは金額ありきで選ぶのではなく、物件の立地するエリアにおける実績など、複数の要素を検証して比較するのが重要です。

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