貸株金利の高い銘柄は?金利上昇の理由やリスク、貸株に強い証券会社も

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積立投資の広がりによって、長期的なスパンで株式を保有する手法に注目している方もいるのではないでしょうか。特に長期保有が前提の銘柄は、貸株サービスを利用することで金利を定期的に受け取れるため、投資資金の運用効率を高めることも可能です。

この記事では、貸株金利の高い銘柄をご紹介します。また、貸株金利が上昇する理由やリスク、貸株に強い証券会社も併せて解説するので、貸株サービスの利用を検討している方は参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2022年7月4日時点の情報に基づき執筆しているため、最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 貸株とは
    1-1.貸株金利が上昇する理由
  2. 貸株のリスク
    2-1.金利以上の損失が出る可能性
    2-2.投資家保護の対象にならない
    2-3.配当金相当額は確定申告が必要
  3. 貸株に強い証券会社
    3-1.楽天証券
    3-2.SBI証券
    3-3.GMOクリック証券
    3-4.松井証券
    3-5.マネックス証券
  4. 貸株金利の高い銘柄5選
    4-1.バルミューダ(6612)
    4-2.グローバルウェイ(3936)
    4-3.マクアケ(4479)
    4-4.INCLUSIVE(7078)
    4-5.テラ(2191)
  5. まとめ

1 貸株とは

貸株とは、保有する現物株を証券会社に貸すことで金利を受け取れるサービスです。貸株サービスを利用すると、株式を保有しているだけで金利収入を得られるため、資金の運用効率も高まります。

保有する銘柄によって貸株金利の水準は異なりますが、高い銘柄だと20%程度の金利を受け取ることも可能です。また、証券会社に株式を貸し出しても、売りたいときにはいつでも売却できるため、売り時を逃す心配もないのが特徴です。

1-1 貸株金利が上昇する理由

貸株金利は株式を貸したい人と株式を借りたい人の需給で決まるため、金利が上昇することもあります。

顧客が証券会社に貸した株式は一時的に証券会社の名義となり、証券会社の保有株となります。そして、これから株式が値下がりすると考える機関投資家や個人投資家に貸し出され、証券会社から株式を借りた投資家たちは空売りを仕掛けることで利益を狙おうとします。

空売りとは、信用取引の一種で証券会社から株式を借りて、「売り」から入ることで利益を狙う取引であり、株価が値下がりした後に借りた株式を買い戻すことで利益が出ます。このとき証券会社から株式を借りたい投資家が多ければ多いほど、その株式の需要が高まるため、株式を借りるコストが上がります。結果として、証券会社に貸し出した株式の金利が上昇することなります。

また、直近の経済動向としては、インフレ懸念の高まりを受けて米長期金利が上昇したことで、PER(株価収益率)の比較的高いグロース株が売り込まれる展開が続いています。そのため、株式を借りたい投資家も増え、貸株金利が上昇する傾向にあります。

さらに、米国市場の流れを受けて、日本市場でもPERの高い新興市場の銘柄が売られる展開も続いています。インフレを抑え込むための長期金利の利上げが継続される限り、グロース株に対して売り目線の投資家は減りにくく、貸株金利の上昇は今後も続くことが予想されます。

2 貸株のリスク

貸株金利の高い銘柄は、株価が下落すると考え、空売りする投資家が多いことも意味します。貸株サービスのリスクを確認してみましょう。

2-1 金利以上の損失が出る可能性

貸株金利が高い場合、それだけ多くの投資家が信用取引で株式を借りようとしているので、株価が値下がりする要因の一つとなります。貸株金利の高い銘柄を保有すると、株価下落によって受け取る金利以上の含み損を抱える可能性があります。

そのため、貸株サービスの利用を前提に株式を購入する場合は、その銘柄に悪材料がないか、あるいは業績動向に問題がないかなど、内容をしっかりと確認することも大切です。

2-2 投資家保護の対象にならない

証券会社では、通常、顧客の資産と証券会社の資産を分けて管理しています。そのため、証券会社が仮に倒産したとしても、株式の名義は顧客であるため、投資家保護基金により1,000万円を上限に資産が保護される仕組みとなっています。

しかし、株式を証券会社に貸し出している場合、証券会社に貸し出している株式の名義は顧客から証券会社に移っているので、投資家保護基金による保護の対象になりません。そのため、証券会社が倒産すると貸株に出していた株式の資産を全て失う可能性もあります。

2-3 配当金相当額は確定申告が必要

株式を証券会社に貸し出すと、配当金の代わりに配当金相当額を受け取れます。受け取る金額は配当金と変わりませんが、配当金相当額は雑所得扱いになるため、総合課税として確定申告が原則必要です。

しかし、配当金相当額の確定申告では配当所得控除を受けられず、株式等の譲渡損と通算できないため、税制上不利になる可能性があります。そのため、配当金の出る株式を貸し出す場合、株式を保有している企業の権利確定日に合わせて、証券会社から株式を返してもらう手続きを行うことで、「配当金相当額」ではなく「配当金」として受け取ることが可能です。

3 貸株に強い証券会社

貸株に強い証券会社では、以下のように各社独自の貸株サービスを提供しているため、利用者のニーズに合った証券会社を選ぶことができます。

中でも、保有している株式の権利確定日に顧客の口座へ自動的に貸株を返却する「権利自動取得」サービスに対応している証券会社では、配当金や株主優待の権利を忘れずに取得できるのがメリットです。

また、信用取引口座を開設している方が貸株サービスを併用できるか、現物株を信用取引の担保にしたまま貸株金利を受け取れるかも併せてご紹介します。

3-1 楽天証券

貸株金利 0.10%~20.00%
貸株金利1%以上 623銘柄
権利自動取得 配当金:〇
株主優待:〇
信用取引口座 併用:〇
代用有価証券の貸株:〇

楽天証券の貸株金利は0.10%~20.00%となっており、1%以上の貸株金利を受け取れる銘柄数は623銘柄です(2022年7月4日時点)。

楽天証券の貸株サービスでは、権利確定日に貸株金利を優先することで、1日分の貸株金利を通常の5倍貰える「金利優先コース」があります。また、配当金の権利自動取得にも対応しているほか、代用有価証券で貸株金利を受け取ることも可能です。

3-2 SBI証券

貸株金利 0.10%~20.00%
貸株金利1%以上 624銘柄
権利自動取得 配当金:×
株主優待:〇
信用取引口座 併用:〇
代用有価証券の貸株:〇

SBI証券の貸株金利は0.10%~20.00%、1%以上の貸株金利を受け取れる銘柄数は624銘柄です(2022年7月4日時点)。

SBI証券では米国株式を対象とした貸株サービス「カストック」を利用できます。カストックの貸株金利は0.01%~2.0%となっており、米国株式や米国ETFを保有していれば無料で株式を貸し出せます。対象銘柄は2,000本以上と多いのもメリットです。

国内株式の貸株金利と比べると見劣りしますが、米国株の貸株を行えることがSBI証券の特徴です。なお、SBI証券は配当金の権利自動取得には対応していないことに留意が必要です。

3-3 GMOクリック証券

貸株金利 0.10%~19.00%
貸株金利1%以上 607銘柄
権利自動取得 配当金:×
株主優待:〇
信用取引口座 併用:〇
代用有価証券の貸株:〇

GMOクリック証券の貸株金利は0.10%~19.00%、1%以上の貸株金利の銘柄数は607銘柄です(2022年7月4日時点)。幅広い銘柄の中から選べる上、多くの貸株金利を受け取りたい方に適した証券会社となっています。

なお、配当金の権利自動取得には対応していません。

3-4 松井証券

貸株金利 0.20%~11.00%
貸株金利1%以上 79銘柄
権利自動取得 配当金:〇
株主優待:〇
信用取引口座 併用:〇
代用有価証券の貸株:〇

松井証券の貸株金利は0.20%~11.00%、貸株金利が1%以上の銘柄数は79銘柄になります(2022年7月4日時点)。

松井証券では貸株の最低金利0.20%以上に定めるなど、他社と比べて高めに設定されています。また、配当金の権利自動取得に対応しており、代用有価証券から貸株金利を受け取ることも可能です。

3-5 マネックス証券

貸株金利 0.10%~14.00%
貸株金利1%以上 60銘柄
権利自動取得 配当金:〇
株主優待:〇
信用取引口座 併用:〇
代用有価証券の貸株:〇

マネックス証券の貸株金利は0.10%~14.00%、貸株金利が1%以上の銘柄は60銘柄です(2022年7月4日時点)。

マネックス証券では100株に満たない単元未満株でも貸株を行えるのが特徴です。1株から保有株式を貸し出せるため、少額でも資金効率を高めることができます。権利自動取得は配当金と株主優待の両方に対応しており、代用有価証券を貸し出すことで貸株金利を受け取れます。

4 貸株金利の高い銘柄5選

貸株金利は、値動きの激しい新興市場の銘柄ほど高くなる傾向があります。2022年7月4日時点で貸株金利の高い銘柄は、以下の5つです。

4-1 バルミューダ(6612)

項目 楽天証券 SBI証券 GMOクリック証券 松井証券 マネックス証券
貸株金利 14.50% 14.50% 11.00% 5.00% 14.00%

バルミューダは、スチームトースターやワイヤレススピーカーなど、家電製品の企画や製造販売を行う会社です。機能性とデザイン性において高い評価を集めており、メディアにも積極的に露出することで認知度を高めています。2022年7月4日時点の貸株金利は、10%を超える証券会社が多く、金利水準も高い点が特徴です。

2022年5月13日に開示した2022年12月期の第一四半期の連結業績は、営業利益において前年同期比で62.00%に減少、通期の経常利益においては46.0%減少の7億9,000万円を見込んでいます。

なお、日足チャートについては、2021年12月期の第3四半期連結決算を発表して以降、下落が続いていたものの、現在は底入れし3,000円付近で推移しています。

4-2 グローバルウェイ(3936)

項目 楽天証券 SBI証券 GMOクリック証券 松井証券 マネックス証券
貸株金利 9.00% 9.00% 15.00% 10.00% 3.00%

グローバルウェイは、就職・転職の口コミサイトである「キャリコネ」を運営している会社です。直近ではグローバルウェイの子会社が暗号通貨「タイムコイン」を発行したことで、暗号資産関連銘柄として物色されていました。2022年7月4日時点の貸株金利は高い水準にあり、9.00%を超える証券会社が多くあります。

2022年5月13日に発表した決算では、連結経常損益が4億4,600万円の黒字に転換したものの、2023年3月期の連結経常利益は7,000万円のように大きく落ち込む見通しです。

また、日足チャートは下落が続いており、現在の株価は300円台で推移しています。

4-3 マクアケ(4479)

項目 楽天証券 SBI証券 GMOクリック証券 松井証券 マネックス証券
貸株金利 20.00% 20.00% 19.00% 11.00% 0.50%

マクアケは、新商品のテスト販売に特化したクラウドファンディングサイト「マクアケ」を運営している企業です。2022年7月4日時点では、特に楽天証券およびSBI証券で貸株金利の高い銘柄となっています。

2022年4月26日に開示した22年9月期の第2四半期累計の経常利益は、前年同期比93.5%減少となる400万円に落ち込んだことに加え、通期の業績予想を4億6,000万円を2,000万円とする大幅な下方修正を発表しています。

なお、日足チャートについては、2022年3月に安値を付けたところで下げ止まり、現在の株価は1,500円を上回る水準で横ばいの状態が続いています。

4-4 INCLUSIVE(7078)

項目 楽天証券 SBI証券 GMOクリック証券 松井証券 マネックス証券
貸株金利 10.25% 10.25% 10.00% 4.00% 1.50%

INCLUSIVEは、出版社やテレビ局などの事業会社に向けてWebメディア支援を行う企業です。企画・制作から収益化まで一貫して運営することに強みを持っています。直近では、新しい事業として宇宙開発事業にも乗り出しており、人工衛星を活用した事業を総合的にサポートするサービスを展開すると発表しています。貸株金利は高く、証券会社の中には10%を超える金利を設定中です。

2022年5月16日に発表した22年3月期の連結経常損益は、3,900万円の赤字に転落したものの、従来予想として示していた4,800万円の赤字からは上放れて着地しています。また、23年3月期の連結経常利益は8,500万円の黒字に急浮上する見通しです。

なお、日足チャートは横ばいが続いており、800円を上回る水準で推移しています。

4-5 テラ(2191)

項目 楽天証券 SBI証券 GMOクリック証券 松井証券 マネックス証券
貸株金利 11.00% 11.00% 7.00% 4.00% 0.50%

テラは東大発のバイオベンチャーであり、樹状細胞ワクチン療法に強みを持つ企業です。証券会社によっては貸株金利10%以上と高めに設定されている銘柄の一つです。

2021年10月14日に東京証券取引所から特設注意市場銘柄の指定を受けており、上場契約違約金として2,000万円の支払いを求められていました。しかし、2021年12月13日に四半期報告書が提出されたことで、監理銘柄の指定が解除され、上場廃止を回避しています。また、直近の業績では、非開示としていた通期の業績予想について、6.3億円の赤字と赤字幅が縮小する見通しです。

上場廃止を回避したことで、株価は下げ止まりを見せています。そして、現在の株価は75円付近で底打ちした後、90円付近で推移しています。

まとめ

貸株金利の高い銘柄の中には10%を超えるものもあるので、好水準の金利収入を期待することができます。ただし、貸株金利は、証券会社から株式を借りたい投資家の需要によって左右されるため、高金利が今後も保証されているわけではありません。

また、貸株金利の高い銘柄ほど、値下がりを見込んで株を借りている人も多いので、株価動向にも注視する必要があります。

貸株金利の高い銘柄を利用する際は、このようなリスクがあることを念頭に検討してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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