最近話題を呼んでいる投資手法として、ロボアドバイザー投資とソーシャルレンディング投資の2つがあります。この2つの投資手法ですが、名前を聞くようになったのはここ2~3年という人も多いでしょう。
そのため、どんな特徴やリスクがあるのかについてよく分からないという人もいるのではないでしょうか? そこで今回は、ロボアドバイザー投資とソーシャルレンディング投資のそれぞれの特徴を見ながら、これらの投資手法がどんな方に向いているのかについてお伝えしていきます。
目次
- ロボアドバイザーとは一体どのような投資手法なのか
- ソーシャルレンディング投資の特徴や注意点とは
- ロボアドバイザーとソーシャルレンディングの比較
- ロボアドバイザーとソーシャルレンディングのおすすめの人
- まとめ
1 ロボアドバイザーとは一体どのような投資手法なのか
ロボアドバイザー投資とは、人工知能(AI)が投資家の資金やリスク許容、嗜好などを聴取しながら、その人にとって最適な投資手法を教える、もしくは代行する投資手法です。AIが相場や市況などを判断しながら、国内外のインデックスファンドやETFに分散投資して利益を積み重ね、またリスクヘッジしながら自動的に投資を行っていきます。
投資信託に似た性質を持っていますが、投資信託は人間が行うのに対し、ロボアドバイザーはAIに運用を任せることで信託手数料などといった運用コストの軽減を図っています。毎月コツコツと投資額を増やしていくこともできますし、解約も自由です。
1-1 ロボアドバイザー投資の種類
ロボアドバイザー投資には大きく分けて二つの投資があります。
アドバイス型投資はAIが投資家に対し、市況などを見ながらポートフォリオの構築の仕方についてのアドバイスを行います。あくまで投資するかどうかを判断するのは投資家に委ねられており、自動的に投資が行われるわけではありません。判断材料をもらいながらも、自分の頭で考えて最終的に決定していきたいという人向きです。
ラップ型と言われるロボアドバイザー投資は、投資先まで完全に人工知能に任せます。投資家はどの程度分散していくか、リスクを許容するかなどの方向性を決めますが、資金を入れた後の運用は完全にAIに委ねられます。運用する手間がかからないというメリットがあります。
1-2 ロボアドバイザー投資で有名な会社
本で運用されているロボアドバイザー投資の会社としては、以下の三社が代表的なロボアドバイザーとなっています。
THEO(テオ)
THEOは、2015年から運用を開始しているロボアドバイザーです。海外ETFを投資対象としており、運用手数料は資金の1%、ETF委託手数料もかかります。231種類のポートフォリオを組みながらのだ分散投資が可能です。
WealthNavi(ウェルスナビ)
ウェルスナビは、THEOと同じようにベンチャー企業が2015年に開始したロボアドバイザーです。運用手数料は預かり資産の1.1%(現金部分を除く、年率・税込)となっています。
楽ラップ
楽天証券が運営するロボアドバイザー。1%未満と業界内でも最低レベルの運用手数料となっています。インデックスファンドも分散投資対象となっており、国内外に投資することができます。
この他にもいくつかのロボアドバイザー会社があり、それぞれ運用手数料や投資対象の種類が異なっています。THEOと楽ラップは1万円からと少額投資が可能です。
2 ソーシャルレンディング投資の特徴や注意点とは
それではソーシャルレンディング投資の特徴や注意点を見ていきましょう。
2-1 ソーシャルレンディングの特徴
ソーシャルレンディング投資とは、クラウドファンディングのシステムを利用した投資手法です。ソーシャルレンディング運営会社が投資家から小額ずつ資金を集め、その資金が事業資金を必要とする会社に融資されます。融資を行う際の金利が投資家の利益となり、毎月などのように一定のタイミングで金利が分配されます。収入源は融資金利なので、貸し倒れが起きない限りは安定した収入が見込めます。
2-2 ソーシャルレンディング投資の注意点
ソーシャルレンディング投資は融資であるため、貸し倒れが起こる可能性があります。融資を受けた事業会社が返済できない場合には、融資時に設定した担保を換金して投資家に返済を行います。担保を換金しても全額返ってくる保証はありません。貸し倒れのサインで不動産担保や債権担保、また第三者保証付の案件などで投資家保護を図る会社も多いですが、必ずしも100%返金されるとは限りません。
また投資先の名前が明らかにされないので、事業内容や金利、運用機関などの情報から、自分でリスクを推測しなければいけないのです。また案件の運用期間中、自由に投資金を解約できない点も要注意です。投資金は案件の運用期間中拘束され、自分の金であっても自由に引き出すことができないのです。
またソーシャルレンディング事業を運営している会社が倒産した場合、信託保全が行われていないケースが多く、その場合は資産が全額失われる可能性があります。
2-3 有名なソーシャルレンディング会社
現在日本で運営されている大手のソーシャルレンディング会社として、以下の会社が挙げられます。
オーナーズブック
ユニコーンは、東証プライム上場企業100%子会社のロードスターインベストメンツ株式会社が運営しているソーシャルレンディングサイトです。不動産案件を専門にしており、不動産を担保に設定することで投資の元本割れリスクを軽減しています。累計募集金額はまだそれほど多くありませんが、上場企業が運営しているため、投資家から人気の高いソーシャルレンディング会社となっています。
3.ロボアドバイザー投資とソーシャルレンディング投資の比較
ロボアドバイザー投資とソーシャルレンディング投資を比較してみましょう。ロボアドバイザー投資はラップ型を使えば、自分で特に作業することなく不労所得が得られます。ソーシャルレンディング投資も一度投資した後は、分配金が振り込まれるのを待つだけですので投資運用の手間がかかりません。
その意味では不労所得に近い性質を双方持っており、毎月のインカムゲインを増やしたい人にとっては向いている投資手法となっています。
3-1 収益性の比較
期待される収益性を見ると、ソーシャルレンディングは平均的な利回りが5%から7%。一方でロボアドバイザーはリスク許容度によって利回りは2%~16%と幅があります。(ロボアドバイザーや、時期によってはマイナスになることもあります)
ソーシャルレンディングは貸し倒れが起きない限り、利回り通りの分配金が振り込まれますが、ロボアドバイザー投資は市況の影響を大きく受けます。そのため、ロボアドバイザーは価格変動のリスクがあるものの高い利回りを狙うことも可能となっています。
安定的な収益を見込むのであればソーシャルレンディング、高い利回りを狙うのであればロボアドバイザー。あるいは相場が上昇すると見込むのであればロボアドバイザー、相場が下落すると考えるならソーシャルレンディングといった使い分けをすることも可能です。
なお、ロボアドバイザーは本来、長期投資を想定した投資手法となるので、短期的な収益を狙う場合は元本割れの恐れがあることも頭に入れておきたいポイントです。
3-2 投資対象の比較
ロボアドバイザー投資は海外のETF、また国内外のインデックスファンドなど、様々な投資対象に対して自動的な分散投資が可能です。一方でソーシャルレンディング投資は海外事業を扱う会社や海外不動産を扱う会社もありますが、基本的には日本国内の不動産開発にかかる案件、また事業開発を基にした案件が中心となっています。
多種多様な投資先への分散はどちらの投資も可能であるものの、ロボアドバイザー投資はAIが自動的に分散投資をしてくれるのに対し、ソーシャルレンディングは自分で投資対象を選びながら分散投資する必要があります。
投資対象先が自由に選べる点は大差ありませんが、手間を考えればロボアドバイザー投資の方に分があります。
3-3 投資条件の比較
投資に伴う条件の比較を見ると、最低投資金額はロボアドバイザー・ソーシャルレンディングともに1万円からと少額投資が可能です。毎月コツコツと積み立てながら投資していきたいという人にとっては、ロボアドバイザー投資もソーシャルレンディング投資も向いています。
投資の運用期間に関しては、ロボアドバイザーは特に期限がありません。継続的に積み立てればその金額に応じて利益が増える仕組みで、5年・10年単位の長期投資に向いています。
一方、ソーシャルレンディングは案件ごとの運用期間が決まっており、短期案件は2~3ヶ月。長期では3年などの期間が決められています。長期案件は収入が安定しますが途中解約ができないため、市況の変化に伴うリスクに対応できないことがあります。
ロボアドバイザー投資は任意のタイミングでの投資、解約、引き出しなどが可能ですので自由度はロボアドバイザー投資の方が高くなっています。
ただ、ロボアドバイザーでは投資金額の1%前後を投資に関係する手数料として支払わなくてはいけません。反対にソーシャルレンディングは運用手数料がかかる会社はないため、運用コストを一切考えなくても良いというメリットがあります。
3-4 リスクの比較
ソーシャルレンディング投資は先に挙げたように、資金を自由に引き出せない、貸し倒れが発生するなどのリスクがあります。日本のソーシャルレンディング会社では貸し倒れが起きたという事例は現時点では少ないのですが、行政処分を受けたソーシャルレンディング会社が複数に及ぶ上、運営元が中小企業中心であるなどの事業者リスクを懸念しなければいけません。
現時点でのロボアドバイザー投資では事業者リスクなどは見られませんが、仮にリーマンショック級の経済危機が発生すれば、たとえ分散投資をしていたとしても一気に大きな損失が発生する可能性もあります。
3-5 確定申告の比較
所得が20万円以上発生した場合には、確定申告をして納税する義務があります。まず、ソーシャルレンディングでは分配金が振り込まれる際に20.42%の源泉徴収が行われます。その後1年間の収入が確定した後、自分で確定申告を行う必要があります。ソーシャルレンディングによる所得は雑所得に該当するため、所得金額に応じて最大で所得税が45%まで課税されます。
ロボアドバイザー投資では特定口座を利用して源泉徴収を会社に行ってもらえば、確定申告の必要がありません。そのため確定申告の手間が省けますし、税率も最大で20.315%と上限が低いです。税制面ではロボアドバイザー投資の方が優遇されていると言えます。
4 ロボアドバイザーとソーシャルレンディング、こんな人に向いている
それぞれの投資手法の特徴を知ったところで、どんな人がロボアドバイザー投資とソーシャルレンディング投資に向いていると言えるでしょうか。
4-1.ロボアドバイザー投資をおすすめする人
ロボアドバイザー投資はラップ型(投資一任型)を利用すれば、AIが自動的に分散投資を行ってくれるので手間をかけずに投資できます。確定申告も特別徴収を選択すれば発生しないので、とにかく手間をかけずに投資をしたいという方に向いています。
一方であくまで相場の変動に伴って利益が発生するため、短期的には損失が発生する可能性もあります。むしろ長期的にコツコツと投資金額を積み上げ、10年・20年といったロングスパンでまとまった利益を出していきたいという人向けです。
短期的なスイングトレードを好まず、貯金のつもりで積み立てながら投資を重ね、気がついたら大きな収入になっていたというように『堅実な投資』をしたい人に向きです。老後に備えたいという人も検討する価値があります。
4-2.ソーシャルレンディング投資をおすすめする人
基本的にソーシャルレンディング投資でも、投資後は手間があまりかかりません。また収益性の面も融資による金利収入であるため変動が少なく、収入額の計算が容易です。手堅い投資によって収入を増やしたい人向きの手法と言えます。
一方で融資先の返済不履行による貸し倒れリスクもあります。また融資先が明らかにされていないため、どのような会社に投資しているのかがわからないというリスクがあります。ロボアドバイザー投資に比べると、ミドルリスク・ミドルリターン的な投資手法だと言えます。
まとめ
本業を持つ人の場合、「副収入を得るため何か投資を始めたい。しかし株式投資やFX投資のように頻繁に売買を行う投資は難しいのでは」と、二の足を踏んでしまうこともあるものです。そういう方にとって、投資を開始すれば定期的に収入が入ってくるソーシャルレンディングや、自分の代わりに自動的に売買を行ってくれるロボアドバイザーは心強い味方になってくれます。
フィンテックの発展により、これら新規の投資手法が開発され、日本でも徐々に人気を獲得しています。しかしまだ新しい投資手法であるため、どんな潜在的な問題があるのか、また経済危機でどの程度損失を抑えられるのかなど、リスクに関しては未知数な面もあります。
投資で安定した利益を上げるためには、時期や投資対象などを慎重に見計らって分散を行う必要があります。ソーシャルレンディング投資、ロボアドバイザー投資とどれか一つの投資手法に頼るのではなく、様々な投資手法を組み合わせながら利益を着実に積み上げていくようにしましょう。
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