円安が進行、ポジションはどう取る?日銀政策会合やトレード方法を解説【2023年9月】

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2023年9月の日銀政策会合は、円安が再度進行する中で、金融政策のスタンスや見通しが変化するかどうかが注目されました。政策や緩和の修正への手がかりが出てくるのではないかとの市場予想に反し、植田総裁の会見にはサプライズはありませんでした。

円安が進行した一方で、為替介入への警戒感から、ドル円のトレード戦略を決めかねている方も多いのではないでしょうか。

本稿ではプロトレーダーの筆者が日銀政策会合のドル円への影響や、テクニカルでみたドル円のポイントを解説します。参考にしてみてください。

※本記事は2023年9月26日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. 日銀政策会合の結果
  2. 日銀政策会合を受けた今後のドル円のポイント
  3. テクニカルでみたドル円のポイント
    3-1.ドル円の上限予想とトレード戦略
    3-2.ドル円の下限予想とトレード戦略
    3-3.ドル円の水準は変化している
  4. まとめ

1.日銀政策会合の結果

日銀政策会合の結果を解説します。政策金利は市場の予想通り据え置きとなり、特段のサプライズはありませんでした。またYCCの枠組みも維持となっており、全会一致で金融政策を現行のまま維持し、変更はありませんでした。

市場では物価上昇が進行する中で、日銀の経済見通しや金融政策が変化するかが注目されました。しかし政策が修正されるのではないか、もしくは緩和修正の手がかりが出てくるのではないかとの予想に反し、植田総裁の会見にはサプライズがありませんでした。

植田総裁の会見のポイントは以下の通りです。

  • 物価安定目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況ではない
  • 物価目標の実現が見通せる状況に至ることができれば政策修正は当然検討する。しかし時期や具体的な方法については、決め打ちはできないことから、情勢を鑑みて判断する
  • 引き締めが遅れるリスクよりも拙速に引き締めるリスクの方が大きいという認識には変わりはない
  • 為替市場に対して踏み込んだ発言は避けたい
  • マイナス金利を解除する可能性については毎回の決定会合で判断する
  • インフレによる家計の負担が大きいことは認識している

上記のコメントを総合的に判断すると、市場が予想していたよりもハト派的な内容だったと言えるでしょう。インフレに対しての見解や、円安に対しての対策・意見を、記者陣が幾度も引き出そうとしていましたが、植田総裁は上手に逃げ切った印象です。円安牽制発言がある程度出てくる期待もありましたが円安に関しての言及はなく、円売りを行いやすい地合いとなりました。

植田総裁は10月の展望レポートに向けて、物価見通しを精査すると発言しました。そのため10月の政策会合も引き続き重要となるでしょう。

住宅ローンに関しては金利の上昇幅は限定的であり、全体における経済への影響も限定的と発言しました。米国経済に関してはソフトランディングの期待が高まっているが、米国の金融政策が日本の今回の政策決定会合の意思決定に強い影響を及ぼしてはいないとしました。

参考:NHK「【詳細】日銀会見 “粘り強く金融緩和を続ける必要がある” 」 

総じてサプライズはなく、市場は政策修正や為替・インフレに対してアプローチする発言を予想していたことから、ハト派だったと言えるでしょう。

2.日銀政策会合を受けた今後のドル円のポイント

2023年9月現在、ドル円を占う上では日本の金融政策や、短期的には為替介入が行われるかどうかが注目されています。ドル円の動向は、日本円の動きに着目すると予想しやすいでしょう。

今回の日銀で政策変更に関する発言はなく、円売りをしやすい地合いとなりました。発表直後は、ドル円は147円台前半から148円台まで回復する動きとなっており、その後植田総裁の発言でもサプライズはなかったことから円ショートの巻き戻しも発生せずに148円台前半で推移しました。

サプライズがなかった割には大きく円安が進まなかった理由は、政府の為替介入の警戒感が残っているためです。インフレによる消費者の実質賃金の低下やセンチメントの悪化から、円安対策の必要性が指摘されています。日銀が対策を行わなくても、政府が為替介入で対応する可能性がまだ残されているということです。

ドル円の短期的な動向としては為替介入が一つのポイントになります。アメリカのイエレン財務長官は日本の為替介入に対して容認するようなコメントも出しており、為替介入がしやすい環境です。

介入した場合には145円割れの水準まではすぐに到達する可能性があります。そのためリスクリワードを考えると、上昇したタイミングで、ショートでエントリーするトレード戦略も選択肢の一つでしょう。

参考:ブルームバーグ「米財務長官、日本の為替介入に理解-海外当局と認識共有と神田財務官

長期的にみても、米国の利上げは年内に1回あるかないかです。一方で日本は緩和方向を強めることはなく、マイナス金利解除の方向に動くでしょう。ドル円がここからさらに上昇する材料は乏しいと言えます。

3.テクニカルでみたドル円のポイント

週足チャート
※図はTradingViewより筆者作成

チャートからドル円のポイントを考えてみましょう。上記はドル円の週足チャートです。綺麗な上昇トレンドを描いています。目立ったレジスタンスラインもなく、2022年の高値である152円が現実味を帯びてきています。

3-1.ドル円の上限予想とトレード戦略

上昇トレンドとなっている2023年9月現在ですが、高官からも強めのトーンで円安牽制発言が出てきており、150円付近が上限となると考えています。そのため、プロトレーダーの筆者としては、148円台後半からショートでエントリーし、ストップロスを150円よりも上の位置で設定する戦略を検討しています。

3-2.ドル円の下限予想とトレード戦略

下落した場合の目処を確認しましょう。145円に軽いサポートラインができています。急落した場合、145円はチェックされそうな雰囲気ではあるものの、為替介入の場合は145円のサポートラインを突破する可能性があります。

以前の介入では7円程度の円高が進行したため、介入は3円では終わらないと予想します。145円のラインを突破した場合、138円が次のサポートラインとして注目されると考えておきましょう。

また、この付近まで下落した場合は、一旦はロングで攻める水準となるでしょう。介入を考えた場合、140円付近に指値を少しずつ置いておき、刺さればラッキー程度で注文を出しておく戦略も選択肢の一つです。

3-3.ドル円の水準は変化している

日米金利差が完全に0になることはなく、米国の政策金利が日本の政策金利よりも大きい構図は変化しません。ドル円の水準は過去110円から120円程度と想定されていたレンジが大きく上方向に切り上げてきたと考えて、下落時はしっかりと拾っていくというスタンスが長期的にも無難な戦略でしょう。

4.まとめ

本稿では日銀政策会合のまとめから、今後ドル円をトレードする上でのポイント、長期的なシナリオについてプロトレーダーの筆者が解説しました。

2023年の年内は日本サイドの材料でドル円が変動する可能性が高いことから、日銀や政府の為替に関する発言には注意してみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12