持続可能で環境に配慮したまちづくりを目指すために、サステナブル住宅を対象として一部の金融機関では「サステナブル住宅ローン」を設けています。
サステナブル住宅は、災害に強く長期間の利用が可能で環境に配慮された住宅のことを指しており、一部のリフォーム項目では補助金などの国が後押しするための支援を設けています。
そんなサステナブル住宅の分譲などで利用できるサステナブル住宅ローンや、既存住宅をリフォーム・リノベーションしサステナブルにする方法を当コラムでは紹介していきます。
目次
- サステナブル住宅ローンとは?
- サステナブル住宅ローンを提供している金融機関の一例
2-1.ソニー銀行「環境配慮型住宅への住宅ローン特別金利」
2-2.武蔵野銀行「サステナブル住宅応援プラン」
2-3.東邦銀行「とうほうサステナブル住宅ローン」 - サスティナブルな住宅を実現するためのリフォーム・リノベーションアイディア
3-1.地震に強い屋根材への葺き替え工事
3-2.高遮熱塗装を使用した外壁・外壁塗装
3-3.空き家をリフォーム・リノベーションし賃貸物件へ
3-4.太陽光発電・蓄電システムの導入 - まとめ
1.サステナブル住宅ローンとは?
サステナブル住宅ローンとは、SDGsの観点に貢献する住宅購入やリフォームで利用可能な金融機関が設けている融資制度です。
サステナブル住宅ローンの利用要件については、金融機関によって異なります。例えば、一部の地域では環境に配慮したまちづくりを目指すため、太陽光発電などの環境に配慮した設備が導入されたサステナブル住宅を購入した方向けに金利額の差引などが行われています。
新築の購入であれば借入金利をお得に利用することが可能なため、住宅購入者にもメリットがある融資制度でしょう。また住宅ローンの他にも電気自動車や太陽光発電など、SDGsの概念に貢献できるものに利用できる融資制度が設けられている場合もあります。
例えば「JAおきなわ」のように電気自動車を購入する場合、住宅ローンの借入と組み合わせてローンを組むことで返済負担を軽減・長期借入ができる「JAバンク住宅ローン(協同住宅ローン保証付)の商品概要(新築・購入コース/借換コース共通」といった商品も展開されている事例もあります。(※参照:JAおきなわ「JAバンク住宅ローンにおけるサステナブルの取組みについて」)
2023年9月時点、取り扱いを実施している金融機関は少数ですが、今後増加していくことも期待されます。
2.サステナブル住宅ローンを提供している金融機関の一例
2-1.ソニー銀行「環境配慮型住宅への住宅ローン特別金利」
ソニー銀行ではSDGsの観点にも貢献できる環境配慮型住宅に対して「環境配慮型住宅への住宅ローン特別金利」が設けられています。断熱性能の向上や環境に配慮した設備システムを導入したZEH(ゼッチ)(ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅を購入する場合に利用が可能です。
「環境配慮型住宅ローン」の定期用条件
- 職域および提携不動産業者を通じたお申し込みは対象外です。お借り入れに際し、他の優遇と併用できません。
- 特別金利の適用可否については、本審査時にお申し出いただいたうえで、ソニー銀行所定の方法により確認します。
- 2022年2月1日(火)以降の仮審査お申し込み受付分が対象です。
※引用:ソニー銀行「環境配慮型住宅への住宅ローン特別金利の提供開始のお知らせ」
ソニー銀行が提供している「環境配慮型住宅への住宅ローン特別金利」は、ネット銀行でサステナブル住宅ローンを利用できる数少ない事例です。ただし、提携不動産を通じた申し込みや、他の優遇制度との併用ができないため注意しましょう。
2-2.武蔵野銀行「サステナブル住宅応援プラン」
武蔵野銀行では環境等配慮型住宅の購入者に対して、通常の住宅ローンより低金利で借入ができる「サステナブル住宅応援プラン」を提供しています。こちらを活用すると
店頭金利年2.725%から2.235%差し引くことが可能で、変動金利年0.490%の金利で利用できます。
がん団信付住宅ローンにより、がんと診断された場合は年齢に関わらず金利上乗せが0%になるのも、武蔵野銀行が提供する「サステナブル住宅応援プラン」の特徴です。
武蔵野銀行が指定する団体信用生命保険への加入が、サステナブル住宅応援プランを利用する条件となります。また、最終返済時の年齢が満81歳を超える場合には、サステナブル住宅応援プランは利用できない点にも注意が必要でしょう。
2-3.東邦銀行「とうほうサステナブル住宅ローン」
東邦銀行では分譲地の音質効果ガス削減に貢献する取り組みのサポートを行う「とうほうサステナブル住宅ローン」を提供しています。一例として全戸太陽光パネル搭載を目指している伊達市高子駅北地区土地区画整理事業地の販売にあわせて、「とうほうサステナブル住宅ローン」の取り扱いを開始しました。
とうほうサステナブル住宅ローンを利用することで、東邦銀行が設けている変動金利応援コース・全期間応援コースといった住宅ローンの融資率が最下限金利となります。対象となる地域が限られている点に注意が必要です。
※参照:東邦銀行「とうほうサステナブル住宅ローン」
3.サスティナブルな住宅を実現するためのリフォーム・リノベーション
既存住宅を利用したリフォーム・リノベーションは、サステナブル住宅を実現するためのアイディアとしても有効です。そこで「環境・地域・生活」の3つに特に貢献できる、サステナブルなリフォームやリノベーションの一例を紹介していきます。
3-1.地震に強い屋根材への葺き替え工事
日本の住宅に使用されているケースが多い陶器瓦は非常に耐用年数が長い反面、重たいというデメリットを抱えており住宅の重心が建物上部に集中するため地震に弱いというデメリットがあります。そのため、巨大地震などで建物の重要構造部にダメージを与える可能性が高く、最悪の場合倒壊などを引き起こす恐れも考えられるでしょう。
持続可能なサステナブルな住宅へリフォーム・リノベーションとして選択肢として考えられるのは、近代の科学技術により開発された軽量で耐用年数が長い屋根材への葺き替え工事です。葺き替え工事とは既存の屋根材を撤去して、新たな屋根材へと変更する屋根の大規模修繕工事です。
一例として近年開発されたガルバリウム鋼板やスーパーガルテクトといった屋根材は軽量で耐用年数も長いため、高い人気を誇ります。そのため、次世代へと引き継ぎが可能で、安全性の高い地震に強いサステナブルな住宅を目指すのであれば、地震に強い屋根材への葺き替え工事も検討材料の1つでしょう。
【関連記事】次世代に受け継ぎやすい住宅の特徴は?長寿命住宅の制度や間取りのポイントも
3-2.高遮熱塗装を使用した外壁・外壁塗装
外壁塗装や屋根塗装に使用する塗料に遮熱性塗料や遮光性塗料の使用を検討するのも、サステナブルな住宅へリフォームするための選択肢の1つです。高遮熱塗装とは太陽の光を反射させる性質を持つ塗料で、夏場の室内温度上昇をおさえる機能を期待できます。
住宅の耐熱性脳の工場は、夏場のエアコン利用による電気代の節約などを期待できるサスティナブルなリフォームです。また自治体によっては排気ガスなどで引き起こされるヒートアイランド現象を抑制するために、補助金が設けられているケースもあります。以下は、2023年9月時点でさいたま市で実施されている補助金の事例です。
さいたま市は住宅でのエネルギー削減に向けて『創エネ・省エネ機器』設置の促進を図るため、高遮熱塗装での塗装が補助金の対象として含まれています。
3-3.空き家をリフォーム・リノベーションし賃貸物件へ
住宅の建て直しには新たな資源の消費と、既存住宅の解体による廃材の処分など環境負荷が高いデメリットを抱えています。そこで、既存の空き家をリフォーム・リノベーションを行い賃貸物件として活用を行うのもサステナブルな住宅利用の一例と考えられるでしょう。
特に地方ほど空き家問題がいっそう深刻な課題になることが予想されています。リフォームやイノベーションを活用して解体・建て直しのサイクルを長くする活動も脱炭素と環境保護に貢献する取り組みの1つです。
【関連記事】SDGsの観点から見た空き家投資の意義は?空き家活用のアイディアも
3-4.太陽光発電・蓄電システムの導入
住宅用の太陽光発電や蓄電システムの導入も火力発電で発生する温室効果ガスの削減へ貢献できるため、サステナブル住宅としてリフォーム・リノベーションを施す際に選択肢となる設備の1つでしょう。太陽光発電は電気代の削減や余った電気を電力会社へ売却するなど経済的メリットもあります。
ただし、周囲に高い建造物や山、森林がある住宅では影が掛かる時間が長く、見込んでいた発電効率が大きく下がる可能性がある点に注意が必要です。加えて屋根カバー工法が施行された屋根や陸屋根、金属瓦屋根には太陽光パネルを設置することができません。そのため、太陽光パネルを設置予定の場合は、一部の屋根には施工が行えない点に注意が必要でしょう。
また太陽光パネルの設置は専門的な技術者が施工を行う必要があるため、設置費用の目安は200万円以上と非常に高額です。一部の自治体では、既存住宅の太陽光パネル設備に補助金が利用できる場合があるため、検討される場合は対象の自治体のウェブサイトを確認されてみると良いでしょう。
※参照:東京都環境局「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」
まとめ
今回のコラムでは、サステナブル住宅ローンの概要や、サステナブル住宅を実現するために押さえておきたいリフォーム・リノベーションの事例を紹介していきました。サステナブル住宅は環境に配慮できるだけの取り組みではなく、経済面や利便性の向上を期待できるケースがある点も大きなポイントでしょう。
なお、サステナブル住宅ローンについては各金融機関によって利用要件が異なります。またリフォーム・リノベーションについても自治体によって補助金の金額や条件が違い、またそれぞれの住宅の立地条件・間取りによって住環境と環境負荷のバランスをとるために適した方法は異なるものです。
サステナブル住宅の購入、リフォーム・リノベーションを検討する際はこれらの資金調達の面から検討されてみるのも良いでしょう。条件に合致するローン商品や補助金などがあれば、活用を検討してみましょう。
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