賃貸併用住宅の売却を検討している人の中には、「調べても売る手順や注意点などが中々見つからない」と悩んでいる人もいるでしょう。賃貸併用住宅は通常の投資物件よりも数が少なく情報が少ないため、売却手順に悩む方は少なくありません。
そこで本記事では、賃貸併用住宅を売却する手順や高く売る方法、不動産会社の選び方などを解説していきます。賃貸併用住宅の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 賃貸併用住宅の売却は個別相談が必須
1-1.不動産査定時に詳細を伝える
1-2.大まかな売却手順は投資用物件と同じ - 賃貸併用住宅を高く売る方法
2-1.住宅ローンを利用した際のシミュレーションをする
2-2.満室稼働している状況で売り出す
2-3.オーナー住居の仕様・設備もアピールできるようにする
2-4.実績のある不動産会社を選ぶ - まとめ
1.賃貸併用住宅の売却は個別相談をする
賃貸併用住宅は通常の投資物件と異なるため、不動産会社へ個別に相談する必要があります。その点も踏まえ、この章では具体的な相談方法や売却手順について解説します。
1-1.不動産査定時に詳細を伝える
賃貸併用住宅を売却するときは通常の投資物件と同じく、不動産一括査定サイトなどを利用して、査定することから始めます。
しかし、不動産一括査定サイトによっては、「一棟アパート」や「区分マンション」など不動産種類を指定する箇所に、賃貸併用住宅という項目がない場合があります。
そのときは、不動産一括査定サイトの「その他」や「連絡事項」「備考欄」などに、賃貸併用住宅を査定したい旨を伝えましょう。通常の投資物件は全部屋投資用ですが、賃貸併用住宅は一部屋だけオーナー居住用として売り出すことが多く、査定価格に影響があるためです。
下記、主な不動産一括査定サイトの一覧です。これらの不動産一括査定サイトは悪徳業者の排除を積極的に行い、全国エリアの物件に対応している特徴を持っています。
主な不動産一括査定サイト
サイト名 | 運営会社 | 特徴 |
---|---|---|
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1-2.大まかな売却手順は投資用物件と同じ
賃貸併用住宅は自宅と投資用を兼ねている物件ですが、大まかな売り方は以下のように通常の投資用物件と同じになります。
- 不動産会社へ査定依頼
- 媒介契約の締結
- 広告活動による集客
- 物件案内や現地確認
- 申込み&契約
- 引渡し
物件案内の際は、自宅部分は内見してもらい、賃貸部分は空室であれば見学してもらうこともあるでしょう。満室稼働であれば通常の投資物件と同じく賃貸状況を記載したレントロールなどを見せて、購入するかどうか判断してもらいます。
その後は買い付けをもらい資金確定(融資の承認など)した後、売買契約を結び、引き渡すという流れです。
【関連記事】はじめての不動産売却、手順や流れは?不動産会社の選び方も
2.賃貸併用住宅を高く売る方法
賃貸併用住宅を高く売る方法は、賃貸併用住宅のデメリットである「利回りが低い」ことへの対策を講じることです。賃貸併用住宅はオーナーが居住する部分があるため、その部屋は家賃収入をもらえず、全部屋を貸し出している物件と比較して利回りは低くなります。
このような表面利回りの低さに対して対策を行うことが重要です。ここでは以下4つの対策を例に挙げています。
- 住宅ローンを利用した際のシミュレーションをする
- 満室稼働している状況で売り出す
- オーナー住居の仕様・設備もアピールできるようにする
- 実績のある不動産会社を選ぶ
それぞれ詳しく見て行きましょう。
2-1.住宅ローンを利用した際のシミュレーションをする
賃貸併用住宅でも、自宅部分が50%以上なら買主側で住宅ローンを借りられる可能性があります。個別に確認は必要ですが、金融機関の多くが「建物全体のうち自宅部分が50%以上であること」を住宅ローンの貸し出し条件にしているからです。
賃貸併用住宅はこの点が大きなメリットであるため、自宅部分を50%以上にしている物件が多いでしょう。
投資物件で利用される不動産投資ローンの金利は、借入者によって異なるものの3%前後になることも少なくありません。一方で住宅ローンは0.5%を下回る金融機関もあります。
仮に7,000万円を借り入れるとき、金利3%と0.5%だと以下のような違いになります。(借入期間25年)
- 金利3%:月々返済額331,948円、総返済額99,584,400円
- 金利0.5%:月々返済額248,269円、総返済額74,480,700円
このように月々返済額で約8.3万円、総返済額で約2,510万円もの差になります。この点を踏まえ、ローン返済額を加味した利回りをシミュレーションすると、売りやすくなるでしょう。
2-2.満室稼働している状況で売り出す
利回りが低くなりがちな賃貸併用住宅は、できるだけ満室稼働している状況で売り出すことが大切です。空室が多い状況で売り出すと、空室の部屋が埋まるまで収益が得られず、買主からすると収益性が低く見えるからです。
空室率を下げる対策はどの物件でも重要なポイントと言えますが、利回りが低くなりやすい賃貸併用住宅は特に満室稼働を意識した方が良いと言えます。
2-3.オーナー住居の仕様・設備もアピールできるようにする
賃貸併用住宅の買主は、自宅兼賃貸物件を探している人のため、自分が住んだときの快適さも重視します。その他の投資用物件とは違い、買主へ「住み心地」をアピールする必要があるため、オーナー住居の仕様・設備もアピールすることが大切です。
通常の投資物件であれば、購入検討者に対して単純に設備・仕様を伝えるだけです。しかし賃貸併用住宅は、自分がその部屋に住んで良かった点を具体的に不動産会社に伝え、購入検討者へきちんとアピールできるようにしましょう。
賃貸併用住宅は、投資物件を売却する視点と自宅を売却する視点の両方を持った方が高く売りやすいと言えます。
2-4.実績のある不動産会社を選ぶ
ここまで解説したように、賃貸併用住宅は通常の投資用物件とは特徴が異なります。そのため、仲介を依頼するなら過去に賃貸併用住宅を売却した経験がある不動産会社が望ましいと言えます。
過去に賃貸併用住宅を売却した経験があれば、広告の出し方や接客時のポイントなどのノウハウを蓄積している可能性があります。
ただし、賃貸併用住宅は売買事例が少なく、該当エリアでの売却経験のある不動産会社が見つけられないこともあるでしょう。そのような場合は、様々な物件タイプの売却実績が豊富な不動産会社を選ぶようにしましょう。
様々な物件タイプの売却実績がある不動産会社は、そのエリアで投資物件を探している投資家を多く知っている可能性もあります。賃貸併用住宅は通常の投資物件や住宅より検討者は少なくなるため、検討者幅を広げて母数を多くすることが大切です。
不動産会社を選ぶときは、「賃貸併用住宅を売却した経験があるか?」、「そのエリアで売却実績があるか?」という点を重視すると良いでしょう。
まとめ
賃貸併用住宅は投資用と自宅を兼ね備えている物件であり、投資用物件の中でも特殊と言えます。上述した「住宅ローンを利用した際のシミュレーションをする」や「満室稼働している状況で売り出す」などを意識して売り出しましょう。
特に不動産会社選びは売却価格を大きく左右するため、なるべく実績のある不動産会社を選ぶことが重要です。
中村 昌弘
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