不動産を売却するときには、ネット上で簡単に査定依頼できる、不動産一括査定サイトを利用すると良いでしょう。ただ、査定サイトには色々な種類があるため、どの査定サイトを利用すれば良いか迷う方も多いと思います。
どの査定サイトを選んだ方が良いかは、「どのエリアで不動産を売却するか?」が深く関わってきます。というのも、エリアによって購入希望者の集客方法が異なるからです。
そこでこの記事では、「名古屋の不動産売却ならどの査定サイトが良いか?」という点を解説していきます。名古屋で不動産売却を検討している方はぜひ参考にしてください。
なお、この記事の筆者は不動産会社で仲介担当をしていた経験があります。また、自身のマンションを売却するときに一括査定サイトを利用した経験もあるので、実体験に基づいた内容になっています。
目次
- 名古屋の不動産売却におすすめの査定サイトとは?
1-1.HOME4U
1-2.RE-Guide(リガイド)
1-3.LIFULL HOME’S
1-4.すまいValue
1-5.イエウール - 名古屋の不動産売却の傾向
2-1.名古屋の中古マンション売買の傾向
2-2.名古屋の中古一戸建て売買の傾向 - 名古屋で不動産売却をする際の注意点
3-1.エリアによって売却しやすい平均専有面積が異なる
3-2.想定される被害についてハザードマップでの確認が必要 - 名古屋で不動産を売却するときの手順
- まとめ
1.名古屋の不動産売却におすすめの査定サイトとは?
名古屋の不動産売却に向いている査定サイトは以下5つのサイトです。
- HOME4U
- RE-Guide
- LIFULL HOME’S
- すまいValue
- イエウール
上記の査定サイトは、「色々な種類の不動産会社に査定依頼しやすい」という特徴があります。その特徴は、名古屋で不動産を売却するときに向いていると言えます。
名古屋は、東京・大阪と共に「日本の三大都市」に数えられている大都市です。名古屋のような大都市は人口が多く、広域からの集客を見込めるエリアも多数あります。ただ、名古屋の中でもローカルなエリアは、地元の方がメインターゲットとなるでしょう。
仮に、名古屋ではなく地方の不動産売却であれば、広域ではなく地元民が購入するケースが多いため、地元に密着した不動産会社へ依頼するメリットが大きいでしょう。
しかし、名古屋のような大都市の場合は「広域からの集客が見込める物件か?」「地元住民が中心になるか?」、という視点が重要になります。これらは豊富な不動産情報を持っている不動産会社でないと判断が難しいポイントでしょう。
そのため、大手の不動産会社や地元に密着した不動産会社など、色々な不動産会社を比較できる不動産一括査定サイトの利用が望ましいと言えます。
次章より、色々な不動産会社を比較しやすい5つの査定サイトを詳しく紹介していきます。
1-1.HOME4U
1つ目に紹介する査定サイトはHOME4Uです。HOME4Uには以下の特徴があります。
- NTTデータグループの運営
- 日本初の一括査定サイト
- 売却査定件数50万件の実績
- 全国2,100社と提携(2023年4月時点)
HOME4UはNTTデータグループが運営する日本初の不動産一括査定サイトです。21年間の運営実績を誇り、査定件数は2022年11月時点で累計50万件を突破しています。
特徴として「プライバシーマークを取得している」という点が挙げられます。プライバシーマークは適切に個人情報を保護している企業だけが認定されています。NTTのグループ会社が運営していることもあり、個人情報漏洩などのリスクは極めて小さく、物件情報や売却希望額などの個人情報の取り扱いに安心感があるというメリットがあります。
その他、HOME4Uは地域密着型の不動産会社と多く提携している点も魅力です。
1-2.RE-Guide(リガイド)
2つ目に紹介する査定サイトはRE-Guide(リガイド)です。RE-Guideの主な特徴は以下になります。
- 最大10社に査定依頼が可能
- 物件情報の入力が簡単(Yahoo!やFacebookから情報を引き継げる)
- 独自審査に通過した900社に厳選
- 投資用物件にも強い
RE-Guideがほかの査定サイトと最も異なる点は、最大10社に査定依頼が可能という点です。今回ご紹介しているほかの査定サイトは5~6社ほどに査定依頼できますが、10社に査定依頼できるのはRE-Guideだけになっています。
また、Yahoo!やFacebookのデータが引き継げる点も、RE-Guideならではのメリットと言えるでしょう。
ただし、1度に査定を依頼できる不動産会社が多い反面、多くの不動産会社から電話営業を受けることになります。やり取りの手間が増えてしまったり、判断材料が増えて不動産会社を決めにくくなるという点に注意が必要です。
1-3.LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス
3つ目に紹介する査定サイトは、LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス(以下「LIFULL HOME’S」)です。LIFULL HOME’Sの主な特徴は以下になります。
- サイト内の使い方が分かりやすい
- AI簡易査定「プライスマップ」で相場価格が調べられる
- 全国3,895社以上(2023年4月時点)が参画
LIFULL HOME’Sで査定依頼すると、不動産会社の紹介ページには「ココが強み!」や「ひとことアドバイス」という項目があります。また、不動産会社の特徴がアイコンとして表示されるため、一目で不動産会社の特徴が分かります。
これらは、長年不動産ポータルサイトのHOME’Sを運用してきたからこそのノウハウといえるでしょう。ほかにも、AIが参考価格を表示する「プライスマップ」で相場価格を調べられるので、事前に査定価格の予想がしやすい点もメリットです。
提携社数が多い一方で、提携会社の割合として大手不動産会社よりも地域密着型の不動産会社の数が多いという傾向もあります。大手不動産会社の査定を優先したい場合には、次に紹介するすまいvalueと並行して利用すると良いでしょう。
1-4.すまいValue
4つ目に紹介するのはすまいValueです。すまいValueはほかの査定サイトとは異なり、査定を依頼できる不動産会社が以下6社に限定されています。
- 三井不動産リアルティ
- 三菱地所の住まいリレー(三菱地所ハウスネット)
- 住友不動産販売
- 野村不動産ソリューションズ
- 小田急不動産
- 東急リバブル
言い換えると、すまいValueは大手不動産会社6社へ査定依頼できるサイトと言えます。
利用者の95.5%が「安心感がある」と回答(※2019年4月1日~2022年3月31日にすまいValueで媒介した顧客を対象に行ったアンケート結果)しており、エリアごとの相場価格を簡単に確認できる点もメリットといえます。また、6社合計の店舗数は841店舗となっており、全国に対応していることもメリットの一つです。2023年度の成約件数11万件以上という豊富な実績があります。
ただし、上述したように名古屋の不動産売却は地元密着型の不動産会社や大手不動産会社など、色々な不動産会社に査定依頼した方が良いでしょう。その点を考えると、すまいVlaueを利用しつつ、「ほかのサイトで大手以外の不動産会社に査定依頼する」という方法が検討できます。
中小企業を含む不動産会社とも提携している「LIFULL HOME’S」や「HOME4U」などの査定サイトと組み合わせながら、それぞれの査定結果を比較すると良いでしょう。
1-5.イエウール
最後に紹介する査定サイトはイエウールです。イエウールには以下の特徴があります。
- 全国2,000社以上に対応
- 最大6社比較できる
- 悪徳企業は排除している
- 査定依頼数No1 になったことがある実績(2022年1月、東京商工リサーチ調べ)
イエウールは全国2,000社以上に対応しており、悪徳業者を排除しているのも特徴の一つです。そのため、月間査定依頼者数は2万人、年間の売却成立サポート件数は20万件を突破しています。こうした実績から、東京商工リサーチが行った「不動産の一括査定サイトに関するランキング調査」において、「利用者数」「提携不動産会社数」「エリアカバー率」の3部門すべてで調査した7社の中で1位となっています。
イエウールに他社と比較して大きなデメリットはありませんが、強いて言えば運営会社の株式会社Speeeが未上場であるという点です。ほかの査定サイトは大手上場企業が運営しているケースが多いため、会社規模の点でややネックに感じる方は注意しましょう。
会社規模を気にせず、「とにかく実績を重視したい!」という方はイエウールの利用を検討してみましょう。名古屋もエリア内のため、イエウールを利用すれば色々な不動産会社を比較できるでしょう。
2 名古屋の不動産売却の傾向
不動産を売却する際、ある程度余裕が持てるのであれば、不動産事情がどういう状況なのかについても確認されておくと良いでしょう。情報を把握することで、不動産をスムーズに、また適切な価格で売却できる可能性が高くなります。名古屋ではどのような不動産が取引されているのか、その傾向を見ていきましょう。
2-1 名古屋の中古マンション売買の傾向
名古屋での中古マンション売買の傾向を確認するために、中部レインズ(公益社団法人中部圏不動産流通機構)が公表している市況レポートを紹介します。下記の表は、中部レインズ「中部圏市場動向」から、2022年1月から2023年3月までの3カ月ごと成約動向を抜粋したものです。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月〜3月 | 1,090件(-11.3%) | 2,299万円(6.5%) |
2022年4月〜6月 | 1,054件(-2.7%) | 2,235万円(0.5%) |
2022年7月〜9月 | 945件(-6.5%) | 2,332万円(4.1%) |
2022年10月〜12月 | 1,003件(-7.0%) | 2,380万円(4.0%) |
2023年1月〜3月 | 1,017件(-6.7%) | 2,335万円(1.6%) |
※出典:中部レインズ「中部圏市場動向」より抜粋
2022年の名古屋の中古マンション市場は、成約件数が減少していますが、3カ月間ごとでは1,000件前後になっており、比較的安定して不動産売買がされていると考えられます。一方、成約価格は上昇しており、売り手市場になっていることが窺い知れます。
2-2 名古屋の中古一戸建て売買の傾向
次は中古一戸建ての売買について見ていきましょう。同じく、中部レインズ「中部圏市場動向」から、名古屋の中古一戸建ての成約件数と成約価格の平均値を抜粋したのが下記の表です。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月〜3月 | 692件(-1.4%) | 2,966万円(6.4%) |
2022年4月〜6月 | 698件(3.9%) | 3,010万円(9.3%) |
2022年7月〜9月 | 651件(-5.8%) | 2,961万円(5.7%) |
2022年10月〜12月 | 724件(10.2%) | 2,895万円(0.9%) |
2023年1月〜3月 | 871件(25.8%) | 2,842万円(-4.2%) |
※出典:中部レインズ「中部圏市場動向」より抜粋
中古マンションとの大きな違いは、中古一戸建てでは成約件数の増加が見られることです。特に2023年1月〜3月は、前年同月比25.8%増の871件となっています。実数では179件の増加です。コロナ禍が終息に向かっていることから、中古一戸建ての市場動向が活発になってきたと考えられます。
ただし平均成約価格は、前年同月から71万円下落の2,842万円(前年同月比4.2%減)となっています。成約件数が増えているにも関わらず、成約価格が減少していることは注視したい点です。
3 名古屋で不動産売却をする際の注意点
名古屋での不動産売却の傾向について把握できたところで、売却する際の注意点を紹介していきます。
3-1 エリアによって売却しやすい平均専有面積が異なる
公益社団法人不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報システム「レインズマーケットインフォメーション」によると、名古屋市を東部と西部に分けた場合、東部の方が平均専有面積は広いという傾向があります。下記は、2021年4月から2023年3月までに成約された中古マンションの専有面積の3カ月ごとの平均値を表したものです。
地域 | 2021年4月〜6月 | 2021年7月〜9月 | 2021年10月〜12月 | 2022年1月〜3月 | 2022年4月〜6月 | 2022年7月〜9月 | 2022年10月〜12月 | 2023年1月〜3月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東部 | 112.01㎡ | 76.61㎡ | 76.18㎡ | 77.92㎡ | 77.45㎡ | 77.42㎡ | 76.09㎡ | 75.28㎡ |
西部 | 70.52㎡ | 70.14㎡ | 70.94㎡ | 70.41㎡ | 69.32㎡ | 70.00㎡ | 71.30㎡ | 69.35㎡ |
成約件数や平均成約価格にはそれほど大きな違いはありませんが、平均専有面積には上記のように5〜7㎡の違いがあります。以上のことから、東部では専有面積が広い方が売れやすい、西部は専有面積が狭くても売れるといった傾向があると考えられます。ただし、中古不動産市場は売主と買主の相対取引になるため、個々の案件で条件は異なります。
なおレインズマーケットインフォメーションでは、名古屋市東部と西部を下記のように分けています。
- 名古屋市東部…千種区、守山区、緑区、名東区、天白区
- 名古屋市西部…東区、北区、西区、中村区、中区、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区
名古屋市で不動産がなかなか売れないといった場合、価格や築年数などのほか、専有面積がエリアのニーズに合っていないといったことも考えられます。不動産会社のアドバイスを受けるなどして、売却活動をするようにしましょう。
3-2 想定される被害についてハザードマップでの確認が必要
2020年7月に宅地建物取引業法が改正され、不動産を売却する際は洪水、雨水出水、高潮といった水害ハザードマップによる重要事項説明が義務化されています。名古屋市は比較的災害が少ないとされますが、愛知県のホームページ「過去の災害情報」には、平成以降に大きな被害に遭った風水害として下記の3つが記載されています。
年月日 | 種別(名称) | 被害額 |
---|---|---|
平成3年9月18日〜19日 | 台風18号 | 60億円 |
平成10年9月21日〜23日 | 台風7・8号 | 33億円 |
平成12年9月11日〜13日 | 東海豪雨 | 2,800億円 |
※出典:愛知県「過去の災害情報」より抜粋
名古屋市では、「なごやハザード防災ガイドブック」で各区のハザードマップを公開しています。それによると、名古屋市内には庄内川水系、山崎川水系、天白川水系、境川水系、日光川水系の大小の河川が複数あり、洪水が発生すると北西部や北東部などで浸水深が5〜10mに達する危険性もあります。また、沿岸部では津波や高潮の影響を受けることも想定されています。
さらに、名古屋市での不動産売買で注意したいのは、40年以内に90%程度の確率で起きると国が発表している南海トラフ巨大地震です。名古屋市内で大きな被害が発生することが想定されており、名古屋市「南海トラフ巨大地震について」では、港区や南区、中川区などでは震度7程度の揺れが発生し、沿岸部には3mの津波が押し寄せると想定されています。
売却予定の不動産が大きな被害を受けやすい場所に位置している場合、売却がスムーズにいかないなどの影響もあると考えられます。不動産を売却する際にはハザードマップを確認し、どのような災害に遭いやすい状況にあるのか一度確認するようにしましょう。被害を受けやすい立地に位置している場合、また旧耐震基準で建てられている物件の場合、売却を依頼する際に不動産会社に相談されると良いでしょう。
4 名古屋で不動産を売却するときの手順
不動産を売却するには、不動産会社に査定を依頼し、仲介契約(媒介契約)を締結してから売却活動を始める流れになります。下記が代表的な手順です。
- 査定してもらう不動産会社を選ぶ
- 机上査定をしてもらい、結果を精査する
- 訪問査定をしてもらう不動産会社を選ぶ
- 訪問査定をしてもらう
- 提出された査定価格を検討する
- 売却活動をしてもらう不動産会社を選択する
- 不動産会社と媒介契約の締結をする
- 不動産会社が売却活動を開始する
売却活動が開始され、買主が現れると売買契約を結んで、引き渡す流れになります。
名古屋で登録している宅地建物取引業者は、一般社団法人不動産適正取引推進機構の「令和3年度末宅建業者と宅地建物取引士の統計について」によると、東京都、大阪府、神奈川県に続いて4番目に多い6,457となっています。都市圏の中では個人比率が高いのが特徴で、東京都が3.4%、大阪府が12.1%なのに対して、愛知県は15.3%となっています。
仲介業務を委託する不動産会社は大企業と中小企業の2つに大きく分けることができ、下記の表のようにそれぞれに特徴があります。
不動産会社のタイプ | 特徴 | 得意な広告戦略 |
---|---|---|
全国組織の大手企業 | ・ネームバリューがあり、幅広いターゲットに訴求できる ・買主候補が数多く登録されている |
大掛かりな広告展開ができる |
地元密着型の中小企業 | ・エリアの特性などを把握している ・地元の買主候補と取り引きがある |
エリアを絞った売却活動ができる |
会社の規模が異なると、得意とする売却活動の内容も異なります。また、設備や建物保証、引っ越しやリフォームメニューといった付属するサービスにも違いがあります。そのため、理想通りの売却活動をしてもらうためには、依頼する不動産会社を慎重に選ぶことが重要です。特に愛知県では、規模の小さな不動産会社の割合が多いため、付随するサービスなども比較して不動産会社を選ぶと良いでしょう。
まとめ
名古屋の不動産を売却するときは、色々な不動産会社に査定依頼できる上記5つのサイトを活用し、それぞれの査定結果を比較してみましょう。
不動産会社によって、売却時の価格や売却スピードは異なります。売却査定では、査定価格だけでなく、担当者の対応内容や査定結果の根拠など、様々な面を比較することが大切です。
中村 昌弘
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