不動産投資ローンの団体信用生命保険、仕組みや種類は?注意点も

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不動産投資では、物件をローンで購入する際に「団体信用生命保険」への加入を求められることがあります。団体信用生命保険(団信)に加入することで、ローン契約者に万が一のことがあった場合に保険金で物件のローンを弁済することが可能です。

保険料は毎月のローン金利に上乗せする形で支払うことになりますが、残された家族には不動産と、入居者がいる間の家賃収入を見込めるメリットがあります。

しかし、既に生命保険に加入しており、保障が重複している場合には団信に加入するメリットが少ない可能性があります。

この記事では、投資用ローンにおける団信の概要や種類、注意点を解説していきます。団体信用生命保険について詳しく知りたい方や、加入に迷っている方はご参考下さい。

目次

  1. 団体信用生命保険の概要と仕組み
  2. 団体信用生命保険の種類
    2-1.団体信用生命保険
    2-2.がん団体信用生命保険
    2-3.3大(8大)疾病保障特約付き団体信用生命保険
    2-4.ワイド団体信用生命保険
  3. 不動産投資における団体信用生命保険の注意点
    3-1.不動産投資における団信と生命保険の違い
    3-2.生命保険に加入している場合は保障内容を比較する
    3-3.健康状態によっては加入できない
    3-4.借入額が大きい場合、金利の上乗せ額にも注意する
  4. まとめ

1.団体信用生命保険の概要と仕組み

団体信用生命保険(団信)とは、保険金でローンを弁済する生命保険を利用した保障制度です。

団体信用生命保険契約は、不動産投資ローンで物件を購入する際にローンの契約者を被保険者として、金融機関と生命保険会社が契約を締結します。被保険者に万一のことがあった場合には、その時点での住宅ローンの残高が金融機関に支払われ、支払われた保険金によりローンの残りを弁済します。

家族はローンを完済した住宅が手に入る仕組みとなっています。金融機関にとっては、契約者に返済能力がなくなっても債務を回収できるため、融資条件によっては加入を義務付ける場合もあります。

マイホームの購入時に住宅ローンで団信に加入する機会がありますが、不動産単位で加入する保険であることから、金融機関から許可が下りた際には二重に契約する事も可能です。

ただし、住宅ローンの場合、多くのケースで団信に加入することになりますが、不動産投資では金融機関によっては団信に加入しなくても良いケースがあります。

その他、健康状態によっては加入できない場合があり、加入が必須である際にはローンを組む事が不可能となります。

2.団体信用生命保険の種類

投資用ローンにおける団体信用生命保険の種類には、通常の団体信用生命保険の他に、がん団体信用生命保険、3大(8大)団体信用生命保険、ワイド団体信用生命保険があります。

これらの保険の違いについてそれぞれ解説していきます。なお、金融機関によって取り扱っていない場合があるので注意しましょう。

2-1.団体信用生命保険

団体信用生命保険(団信)と呼ばれる保険で、加入者が死亡又は所定の高度障害になった際に物件のローンが弁済されます。保険料が金利に上乗せされずに加入できる金融機関も存在します。

2-2.がん団体信用生命保険

がん団体信用生命保険(がん団信)とは、加入者が死亡又は所定の高度障害に加え、「がん」が原因で死亡・高度障害になった際にローンを弁済する保険です。金利は0.1%程度上乗せされるケースが多い生命保険です。

金融機関や契約内容によっては、がんと診断された時や入院が必要になった時にも給付金が支払われます。

2-3.3大(8大)疾病保障特約付き団体信用生命保険

3大(8大)疾病保障特約付き団体信用生命保険は、死亡・高度障害になった場合に加え、3大(8大)疾病に罹患した際に保障を受けられます。

3大疾病は「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」で、これらの病気が原因で一定の要件に該当した場合、残りの住宅ローンを全額弁済する仕組みです。

8大疾病は3大疾病のがん・急性心筋梗塞・脳卒中に加え「高血圧・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎」も適用される保険です。多くの金融機関で、金利に0.2~0.3%が上乗せ設定される傾向があります。

2-4.ワイド団体信用生命保険

ワイド団信は、健康上の理由で通常の団信に加入できない方向けに条件が緩和された団信です。

通常の団信より上乗せされる金利が0.3%以上であることが多く、高めに設定されていますが、持病がある方でも加入できる可能性があります。

3.不動産投資における団体信用生命保険の注意点

団信と生命保険には契約期間や保障の受け方などの違いがあります。

また既に生命保険に加入しており、十分な保障を受けられる際には団信に加入するメリットが多くないケースもあります。金利が上乗せされる場合には、「保険として加入する必要があるか」を慎重に検討することが大切です。

不動産投資における団体信用生命保険の注意点について、ポイントごとに詳しく解説してきます。

3-1.不動産投資における団信と生命保険の違い

団信はローンを完済した時点で団信の契約が終了してしまいますが、生命保険は定められた契約期間中は保障が続くという契約期間の違いがあります。

また、生命保険は保険金として現金を受け取る事が出来ますが、団信は保険金がローン弁済に使用されますので、使い道が指定されているという制限があります。

一方で、生命保険は年齢が上がるにつれて保険料も上がっていきますが、団信は年齢によって金利の上乗せが変わることがありません。

自身が保障を受けたい時期や支払える保険料、保障の受け方など生命保険との違いをおさえた上で団信への加入を検討しましょう。

不動産投資の目的は賃貸事業で収益を出すことであり、団信はあくまでいざという時の保障制度となりますので、「保険として加入する必要があるか」を検討するようにしましょう。

3-2.生命保険に加入している場合は保障内容を比較する

既に生命保険に加入しており、団信と保障内容が重複している場合には団信に加入するメリットが多くない可能性があります。

保障内容や給付金額を確認して検討した結果、団信と生命保険のどちらか一方で保障が十分である場合には団信に加入しない、又は生命保険を解約しても差し支えないケースもあります。

ただし、団信を選んだ場合、ローンを支払い終えたら団信の保障を受けられなくなってしまうデメリットに注意が必要です。生命保険への再加入を検討しても、今より年齢を重ねて高い保険料で生命保険に加入する事になります。

生命保険を解約する場合は、不動産投資ローンを完済した後のライフプラン・マネープランも見据えて検討を行うことが重要です。

3-3.健康状態によっては加入できない

団信に加入する際には健康状態を告知する必要があり、場合によっては加入できないケースもあります。

団信への加入が必須でない場合には問題ありませんが、投資用ローンを組む際に団信への加入が必須である金融機関が存在します。

団信に加入できない場合には、ローンの契約自体が不可能になってしまうため、複数の金融機関をあたる、ワイド団信への加入を検討するなどの方法で対処を行いましょう。

3-4.借入額が大きい場合、金利の上乗せ額にも注意する

不動産投資ローンの団信は、借入額が大きければ大きいほど、金銭的負担も大きくなるデメリットがあります。

前述したように、団信に加入する場合は金利(0.3~0.7%)の上乗せという形で保険料を支払うケースが多くなります。金利の上乗せ額がリスク・リターンと合致するかどうか、他の金融機関のローンや生命保険の内容と比較するなどの対策が重要となります。

例えば、借り換えシミュレーションができる「インベース」というサービスでは、オンライン上で不動産投資ローンの借り換えシミュレーションから借り換え手続きの代行まで一貫して行うことが可能です。借入時の金利を改善したい場合、利用を検討してみると良いでしょう。

【関連記事】モゲチェック/インベースの評判・概要

まとめ

団体信用生命保険は生命保険を利用した保障制度で、通常の団信に加え、がん団信、3大(8大)疾病保障特約付き団信、ワイド団信が存在します。

生命保険との違いや保障の必要性、金利への上乗せなどを検討した上で加入を検討することが大切です。また、生命保険と異なり、不動産投資ローンの完済後には保険契約自体が亡くなってしまう点にも注意しましょう。

不動産投資ローンを完済した後のライフプラン・マネープランも視野に入れ、様々な視点から保障内容を検討することが重要です。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。