30代から始める投資信託、選び方や中長期運用に適したファンドは?

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一般的に30代という年齢は、仕事のキャリアをある程度積み重ね、少しづつ収入が増えてくる一方で、結婚や出産、家の購入資金や、教育費の工面などお金がかかり始める時期でもあります。

資産形成を考える場合、短期から中期資金となる住宅ローンの頭金や教育資金、長期資金となる老後に向けた資産形成といった資金のグループ分けが必要です。

記事内では、30代で想定されるライフイベントをもとに、資産形成の方法について紹介しています。30代以降の資産形成について、気になる方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 人生の選択が多い30代が取るべき資産形成の道は?
    1-1.なぜ投資をするのか?目的を考える
    1-2.目的と期間で資産運用を考える
  2. 30代で想定されるライフイベント
    2-1.結婚と出産
    2-2.家を建てる
    2-3.教育にかかるお金
  3. 目的別の運用方針
    3-1.住宅ローンの頭金
    3-2.子供の学費
    3-3.老後の資金
  4. NISAやiDeCoの活用
    4-1.つみたてNISA
    4-2.老後資金のためのiDeCo
  5. 中長期運用に適したファンド
    5-1.eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
    5-2.ニッセイ外国株式インデックスファンド
  6. まとめ

1.人生の選択が多い30代が取るべき資産形成の道は?

結婚や育児、家の購入など、人生の中で重大な決断を迫られることが多い、30代で取るべき資産形成の方法について、以下2つのポイントにて説明します。

  1. なぜ投資をするのか?目的を考える
  2. 目的と期間で資産運用を考える

1-1.なぜ投資をするのか?目的を考える

そもそも投資が必要なのか?運用商品は何がよいのか?という根本的な問いに答える必要があります。もし必要ならば何のために投資をするのか、目的を明確にしなければいけません。

一般的に個々の資産形成といえば、老後資金がよく言われますが、住宅ローンの頭金や、子供の学費などについても資産運用は有効です。目的が決まれば運用期間や許容リスクを明らかにできるため、まずは運用の目的を定めましょう。

1-2.目的と期間で資産運用を考える

目的と期間の大まかな目安を定めたあとは、運用商品を選定します。例えば、多くの人が直面する課題である老後の資産形成と子供の学費については、運用期間とリスク許容度を変更することで対応可能です。

子供の教育資金は値動きが小さく低リスクな投資信託で運用し、子供が大学進学中にタイミングをみて売却し、仕送り費用や学費の支払いに充てます。老後資金は、低リスクな投資信託をベースとして、適宜、収益も狙えるハイリスクなファンドも合わせて運用する、など機動的な運用も検討可能です。

ハイリスクなファンドは、あらかじめ設定しておいた利益を超えたら売却する、というルールを決めておき、遵守することが重要です。

2.30代で想定されるライフイベント

30代以降の資産形成を考える上で、各ライフイベントにおいてどのくらいの資金が必要となるのか、事前に知っておくと何かと心強くなります。30代で発生することが多いライフイベントにかかる平均的な資金について、以下に紹介します。

  1. 結婚と出産
  2. 家を建てる
  3. 教育にかかるお金

2-1.結婚と出産

近年では、都市部を中心に晩婚化が進み、未婚率も高まりつつあります。それでも結婚は人生の一大イベントということに変わりはありません。できれば人生の節目としてできる限りの結婚式を挙げたいと考える人も多いでしょう。

では、一般的な結婚式の費用はどの程度かかるのでしょうか。リクルート社が発行する結婚情報誌ゼクシィの結婚トレンド調査2018によると、披露宴・披露パーティ平均招待客69.4人に対して、挙式費用の平均は357.5万円となっています。また、結婚式に続くライフイベントである出産の費用は、全国平均50万円です。

結婚式から出産までの流れでかかる費用は、おおよそ400万円ということになります(ご祝儀等は加味せず)。

2-2.家を建てる

結婚式や出産と前後するライフイベントとして想定されるのは、家の建築や購入です。賃貸のほうがいいという考え方も根強くありますが、家族を持つなら一戸建てやマンションなど、自由度が高い持ち家で、将来の夢を思い描きたいという方も多いでしょう。

マイナス金利政策が続く日本では、特に住宅ローンの変動金利が安く、借り手側の負担が低い状態が継続中です。特に実店舗を持たないネット銀行の変動金利は大きく引き下げられています。しかし、リアル店舗を持つ銀行よりも審査が厳しいのが実情です。

住宅ローンを組むときの頭金は、どの程度入れておくと審査に通りやすいのでしょうか。
頭金の割合と用意する資金の平均を以下の表にまとめました。

住宅購入金額に対する頭金の比率

頭金の比率 割合
0% 13.6%
5%未満 24.7%
5〜10%未満 13.6%
10〜20%未満 16.4%
20〜40%未満 12.1%
40%以上 5.9%
全額キャッシュ 7.6%
不明 5.9%

頭金の金額

頭金の金額 割合
200万円未満 33.3%
200〜600万円 22.7%
600〜1,000万円未満 8.3%
1,000〜1,500万円 9.3%
1,500万円以上 20.6%

※参照:リクルート「2019年新築マンション契約者動向調査(首都圏)

5%から10%がボリュームゾーンで、頭金の平均は200万円~600万円がもっとも多くなっています。頭金なしの割合も13.6%と多めですが、4,000万円の物件を買う場合、頭金200万円は用意しておきたいところです。

2-3.教育にかかるお金

少子化が進み、一人っ子の家庭が増えるにつれ、子供にかける教育費の割合は増えつつあります。また、大学も学生集めに苦慮しており、比較的入学しやすい大学が増えています。今や、大学へ進学しない子供が珍しいほどです。

文部科学省の調査による「子供の学習費調査(平成28年度)」「平成28年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額」や、独立行政法人 日本学生支援機構「平成28年度学生生活調査結果」による幼稚園~大学までの教育費の平均は以下のとおりです。

  • すべて国公立の場合 1,237万円
  • すべて私立の場合 2,767万円

高校から私学、大学から私学というケースも想定されますが、私学へ進学する場合は、それなりの教育費が必要になります。

3.目的別の運用方針

資産運用の期間によって、許容リスクは変わります。目的ごとの資産運用について、3つの項目にて説明します。

  1. 住宅ローンの頭金
  2. 子供の学費
  3. 老後の資金

3-1.住宅ローンの頭金

住宅ローンの頭金は将来使う予定はあるものの、具体的な時期が決まっていない資金に分類されます。前述のとおり、購入する住宅に対しておおよそ5%~10%を目処に考えると、4,000万円の物件を購入する場合、200万円~400万円は用意したいところです。

運用期間を5年と想定した場合、円預金を中心とした、国債や社債、バランスファンドなどの運用商品が考えられます。

3-2.子供の学費

子供の教育資金の積立は、住宅ローンの頭金を用意する期間よりも長い期間での運用が可能です。また、教育資金専用のつみたて保険である学資保険もありますので、うまく組み合わせて教育資金の積立を進めると良いでしょう。

私学の学校を目指す場合と公立中心の進学では、費用がことなります。最もお金がかかる時期を想定して、マネープランを考えましょう。

10年以上の運用期間を確保できる場合、株式ファンドなど、少しリスクが高い運用商品を組み合わせることも検討可能です。

3-3.老後の資金

老後資金のための運用はスタートする時期にもよりますが、おおよそ20年を超える長いスパンで設計できます。長期間の運用時間を確保できると、時間の効果によるリスク分散も期待できるため、リスクの高い運用商品を検討することも可能です。

バランスファンドやiDeCoの運用をベースとして、株式ファンドなど、リスクはあるものの、収益も狙えるファンドを組み入れた運用も可能です。

リスクの高いファンドを資産運用のポートフォリオに組み入れる時は、一定の目標を決めておき、達成したら一度換金すると決めておくと良いでしょう。思わぬ相場の下落により長期間の相場の低迷に巻き込まれる可能性を抑えることができます。

4.NISAやiDeCoの活用

長期間の運用では、つみたてNISAやiDeCoの運用が効果的です。長期運用におけるNISAやiDeCoの役割を紹介します。

4-1.つみたてNISA

つみたてNISAは、毎年40万円を限度として最長20年間、運用に活用できる非課税口座です。金融庁が指定したファンドの中から選んで運用を行います。

つみたてNISAの口座で投資した運用商品から得た収益には、20.315%の税金がかかりません。長年運用したファンドの収益が大きくなればなるほど、つみたてNISAの恩恵を受けることができます。一方、収益が出ていない場合、繰越控除や損益通算ができないつみたてNISAの欠点が目立ってしまいます。

しかし約20%の税金が非課税になるメリットは大きいため、長期運用を検討するときは、つみたてNISAでの運用を検討すると良いでしょう。

4-2.老後資金のためのiDeCo

iDeCoは、公的年金の他に受けられる私的年金のことを指します。加入は任意で、申し込みや掛金の拠出、運用のすべてを自分の判断によって行う点が特徴的です。投資信託、保険商品、預貯金等、定められた運用商品の中から選びます。

原則60歳になった時点で、確定給付型の年金として受給できます。つみたてNISAと同じく、収益分の税金は非課税です。

元々、会社員向けだった確定拠出年金を一般に解放したのがiDeCoです。老後の公的年金をサポートすることを主な目的として施行されました。本格的な長期運用を考える上で、iDeCoは重要な運用制度です。

5.中長期運用に適したファンド

30代からスタートする資産運用では、低リスク運用とある程度の収益を狙うためのファンド選びがポイントです。選択肢となるファンドを2つピックアップしました。

5-1.eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

基準価額 13,582円
純資産 168,916百万円
信託報酬 0.154%以内
トータルリターン 5.38%(5年)
設定日 2017年5月9日

※情報は2022年11月18日時点の数値です

三菱国際UFJ投信が運用する7資産分散型のバランスファンドです。5年間でトータルリターン5%という数値は、少し戸惑ってしまいますが、ファンドの運用中に大幅下落があったことを考えると、納得できる数値ではないでしょうか。

7つの資産にリスク分散されているため、低リスクな長期運用を目指す場合に選択肢に挙がるファンドです。

資産構成

資産クラス 比率
国内株式 12.4%
先進国株式 13.0%
新興国株式 12.0%
国内債券 11.3%
先進国債券 12.4%
新興国債券 12.3%
国内REIT 12.7%
先進国REIT 13.0%

※情報は2022年10月31日時点の数値です

基本的な資産配分は、それぞれ12.5%です。各資産ごとの値上がりや値下がりによって比率は変更されますが、適宜リバランスを行い、12.5%から大きく外れないように調整されています。

5-2.ニッセイ外国株式インデックスファンド

基準価額 26,912円
純資産 435,755百万円
信託報酬 0.1023%以内
トータルリターン 13.19 %(5年)
設定日 2013年12月10日

先進国の株式市場に上場している銘柄へ投資をするファンドです。5年間のトータルリターンは13.19 %、設定来では175.9%と株式ファンドらしい運用成果をあげています。

組入銘柄は米国企業中心ですが、組入銘柄が多くリスク分散されています。更にリスクが取れる場合、米国株式ファンドや、新興国株式ファンドも選択肢にはいります。

1,267銘柄中組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率 国・地域
1.Apple 情報技術 5.4% アメリカ
2.Microsoft 情報技術 3.6% アメリカ
3.アマゾン 一般消費財・サービス 2.0% アメリカ
4.テスラ 一般消費財・サービス 1.3% アメリカ
5.アルファベット A コミュニケーション・サービス 1.2% アメリカ
6.アルファベット C コミュニケーション・サービス 1.2% アメリカ
7.ユナイテッド・ヘルスグループ ヘルスケア 1.1% アメリカ
8.エクソンモービル エネルギー 1.0% アメリカ
9.ジョンソン&ジョンソン ヘルスケア 1.0% アメリカ
10.バークシェアハサウェイ B 金融 0.8% アメリカ

※情報は2022年10月31日発行の月次レポートによるものです

銘柄構成は、時価総額の高さから米国企業が上位を占めています。先進国株式インデックスファンドの特徴は、組入銘柄数が多い点です。

全世界株式インデックスファンドは、さらに多くの銘柄数で構成されています。組入銘柄数が多いほどリスク分散の効果がありますので、リスク許容度に応じてファンドを選びましょう。

まとめ

30代から始める資産形成は、20代ほどではありませんが、運用期間の余裕がある世代です。低リスク商品を土台にしつつ、目標収益を定めたリスク商品の運用も検討できます。

投資信託では、全米株式インデックスファンドなどの株式ファンドが候補にあがります。そこまでリスクを取りたくない場合、世界の先進国株式へ投資するインデックスファンドの選択も有効です。

運用のスタートは早いほうが選択の幅が広がります。つみたて投資をうまく活用して、少しづつ運用の準備を進めていきましょう。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。