豊田通商のESG・サステナビリティの取り組みは?株価・配当推移も

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豊田通商はトヨタグループ唯一の総合商社です。直近では通期業績予想の上方修正を発表し事業拡大を伺える展開となっているほか、ESGやサステナビリティに対しても積極的に取り組んでいるため、投資対象として注目している方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、豊田通商のESG・サステナビリティの取り組み内容をご紹介します。また、企業の特徴や株価動向、過去の配当推移についても解説しているので、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2022年11月10日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 豊田通商の特徴
  2. 豊田通商のESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.環境
    2-2.社会
    2-3.ガバナンス
    2-4.サステナビリティ
    2-5.豊田通商のESG・サステナビリティに関する外部評価
  3. 豊田通商の業績・株価動向
  4. 豊田通商の配当推移
  5. まとめ

1 豊田通商の特徴

豊田通商はトヨタグループに属する総合商社です。企業理念として、代替不可能と唯一無二の存在になることを追求するため、「Be The Right ONE」をビジョンに掲げ、グローバルな視点で事業を展開しています。

豊田通商の主な事業内容は以下の通りです。

  • 金属
  • グローバル部品とロジスティクス
  • 自動車
  • 機械、エネルギー、プラントプロジェクト
  • 化学品、エレクトロニクス
  • 食料、生活産業
  • アフリカ本部

「金属本部」は、自動車薄板・金属製品・非鉄金属・資源循環」の4事業に分かれており、自動車向けを中心に、金属素材の流通や加工、廃車リサイクル事業などを手掛けています。また、ユーザーやサプライヤーの要求に応じて商品や物流も提案しています。

「グローバル部品とロジスティクス」では、顧客の生産活動に直結した物流サービスを提供しています。具体的には世界38ヶ国の現地法人や事業所を生かすことで、グローバルな規模で自動車部品をはじめとした輸出や輸入に対するサプライチェーンを構築し、物流サービスを提供中です。

「自動車事業」では、トヨタグループに属していることから、代理店を運営することで輸入販売を行うと同時に、補給部品やアフターサービスなども提供しています。「機械、エネルギーなどの事業」では、主に自動車産業向けに製造設備や部品、取引や設計または修理などをサポートする事業を展開中です。再生エネルギーにも力を入れており、風力や太陽光、バイオマスなどの次世代型のエネルギーの開発や運用を手掛けています。

「化学品、エレクトロニクス」では、自動車材料に必要な洗剤原料やヨード・ファインケミカルのような幅広い商品を製造・販売しています。バイオマスプラスチック事業を推進するとともに、自動車や産業機器などに組み込まれる電子デバイスの販売なども行っています。

「食料、生活産業」では、ブラジル産穀物の安定供給から繊維製品の企画から販売までを一貫して手掛けるほか、海外ホテルレジデンスの運営など事業内容は多岐に渡ります。

このほか、豊田通商はアフリカでの事業展開にも力を入れているのが特徴です。「アフリカ本部」では、ネクストモビリティ事業と称し、アフリカ全土の自動車販売やアフターセール、中古車の販売やリースなど現地の自動車産業で存在を強めています。また、自動車産業以外にも医療品の卸売や小売事業、スーパーマーケットの開発運営などにも注力しています。

2 豊田通商のESG・サステナビリティの取り組み

豊田通商はESGやサステナビリティに対して、次のように取り組んでいます。

2-1 環境

豊田通商は、地球環境に配慮した事業活動を推進しており、環境汚染の予防や軽減に努めています。例えば、環境ビジネスと題して、再生可能エネルギー事業としてトップの企業グループを目指して太陽光やバイオマス発電などに力を入れています。

また、汚染物質の排出を抑えるため、VOC排出量や塩化水素排出量のような使用量をパフォーマンスデータとして記録し、使用量の削減と効率的な利用に努めているほか、廃車やスクラップなどの廃棄物の削減として、廃棄物の有効活用にも取り組んでいます。

2-2 社会

豊田通商では、「人権を尊重し、人を育て、活かし、社会に貢献する人づくり」に取り組むことを掲げた人権方針を定めた上で、労働環境の改善や多様性の促進などを行っています。例えば、労働環境では、長時間労働の削減を基本方針にしつつ、全社員の勤務時間の把握に努め、社員の育児との両立を支援する目的でフレックスタイム制度や在宅制度の利用を推進しています。

多様性の促進としては、経営戦略としてダイバーシティ&インクルージョンを推進しており、年齢や性別、国籍を問わず社員一人ひとりが豊かな個性を発揮できるような強い組織を作ることを目指しています。

2-3 ガバナンス

豊田通商は、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスの遵守、リスクマネジメントにも積極的です。コーポレート・ガバナンスでは、コーポレートガバナンスコードを遵守するとともに、内部統制システム構築を基本方針に定め、経営の効率化や透明性、財務体質の健全化を推進しています。

また、コンプライアンスの遵守では、ITやAIのようなデジタルツールを用いて経費や財務諸表などの膨大なデータを分析することで、不正の抑制や早期発見に努めています。コンプライアンスの有効性について定期的に評価や検証を行うことで、談合や横領などの腐敗行為などを防止しています。リスクマネジメントについては、経営体力の範囲内にリスクの総量が収まっているかを定期的に計測することで、リスク管理を強化しています。

2-4 サステナビリティ

豊田通商では、サステナビリティの重要課題としてマテリアリティを特定した上で、重要課題ごとにKPIを設定しています。KPIの設定は定性目標を査定してから、より近い将来のための定量目標への切り替えを想定しています。そして、KPIの達成度を意識しながらPDCAサイクルを回すことで、事業活動を展開しています。

豊田通商が特定しているサステナビリティ重要課題は、SDGsのうちの11のゴールに関連しており、主に以下6つのマテリアリティを設定しています。

  • 安全で快適なモビリティ社会を実現
  • 脱炭素社会の実現に貢献
  • 廃棄物を資源化し、循環型社会に貢献
  • 開発途上国の社会課題の解決
  • 社会に信頼される組織であり続ける
  • 人権を尊重し、人を育て、活かす

例えば、「安全で快適なモビリティ社会を実現」のマテリアリティでは、交通事故の死傷者ゼロを目指すため、インド自動車運転教習事業の運営や、自動運転トラックを実証事業の事業化として検討するなどの施策を実行しています。

2-5 豊田通商のESG・サステナビリティに関する外部評価

豊田通商のESG・サステナビリティに対する取り組みは、以下のように外部からも高い評価を受けています。

2021年3月 経済産業省が主催する「健康経営銘柄2021」に選定
2022年3月 経済産業省が主催する「準なでしこ2022」に選定
2022年3月 「健康経営銘柄」に2年連続で選定
2022年7月 ESG投資指数「FTSE4 Good Index Series」および「FTSE Blossom Japan index Series」の構成銘柄に選定
2022年9月 「SUSTAINA ESG AWARDS 2022」の総合部門に置いて最上位となるゴールドクラス、および業種別部門でブロンズクラスに選出

3 豊田通商の業績・株価動向

豊田通商の株価は、2022年11月10日時点で5,070円と堅調に推移しています。過去10年間の動きを確認すると、2012年1月〜2022年11月までの株価は安値1,323円を付けてから、右肩上がりを続けており、10年で株価は4倍以上になった格好です。

直近の株価推移は、コロナショックがあった2020年3月に安値2,046円を一時的に付けましたが、そこからは反発して上場来高値5,660円を記録しています。2021年8月に株価5,530円を付けてからは、4,000円台前半〜5,500円前後のレンジを横ばいで推移しており、株価は右肩上がりで上昇トレンドを継続中です。

株価堅調の要因としては、好調な業績が挙げられます。売上総利益や営業利益、当期純利益ともに成長が続いており、2022年3月期に開示された今期の実績は、2021年3月期に開示された前期の実績と比べ、売上総利益が25%増加の1,516億円、営業利益が38%増加の811億円、当期純利益が65%増加の876億円となっています。

項目 21年3月期の実績 22年3月期の実績 23年3月期の予想
売上総利益 6,076億円 7,592億円(+25%) 9,400億円(+23.8%)
営業活動に係る利益 2,130億円 2,941億円(+38%) 3,800億円(+29.2%)
税引前利益 2,214億円 3,301億円(+49%) 4,100億円(+24.2%)
当期純利益 1,346億円 2,222億円(+65%) 2,700億円(+21.5%)

このような業績拡大の背景には、自動車の生産や販売増加が挙げられます。21年3月期のトヨタ自動車の生産台数は国内外合わせて818万台でしたが、22年3月期には857万台まで台数が伸びています。

また、2023年3月期来期の業績はさらなる成長を見込んでおり、22年3月期今期の実績と比較し、売上総利益は23.8%増加の1,808億円、営業利益は29.2%増加の859億円、当期純利益は21.5%増加の478億円を見込んでいます。

4 豊田通商の配当推移

豊田通商の配当推移について見ていきましょう。豊田通商では配当方針として、連結配当性向25%以上を掲げており、継続的な配当と1株当たりの配当増額に努めています。配当は中間配当と期末配当の年2回行われます。過去5年間の配当金の推移と今期の配当予想は、次の通りです。

項目 中間配当 期末配当 年間配当
18年3月期(実績) 45円 49円 94円
19年3月期(実績) 50円 50円 100円
20年3月期(実績) 60円 50円 110円
21年3月期(実績) 50円 62円 112円
22年3月期(実績) 70円 90円 160円
23年3月期(予想) 96円 96円 192円

また、2023年3月通期の配当予想としては中間配当96円、期末配当96円の年間合計192円を見込んでいます。なお、この配当予想は親会社に帰属する通期の当期純利益の見通しが2,700億円になることを前提としています。連結配当性向を配当金を決める基本方針に定めているため、今後も業績が良くなることで、配当金はさらに増える可能性もあります。

まとめ

豊田通商は、ESGやサステナビリティに対して積極的に取り組んでおり、外部からも高い評価を獲得しています。また、配当推移についても増配が続いており、業績が拡大していくにつれて、今後ますます増えていくことも予想されます。

豊田通商のESGやサステナビリティに関心のある方は、ご自身でもよくお調べの上、検討してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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