不動産投資を行う上で不動産投資ローンは大きなポイントの一つとなります。
不動産投資を始める際に多額の不動産投資ローンを組むことに抵抗があったり、既に不動産投資の実績はあるものの、今後、どのように不動産投資ローンを活用していこうか、悩んでいたりする方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産投資ローンを組むメリット・デメリットを整理し、さらに金利を引き下げるコツや不動産投資ローンを組む際の指針について解説します。
目次
- 1.不動産投資ローンとは?
1-1.不動産投資ローンと住宅ローンとの違い - 不動産投資ローンを組むメリット・デメリット
2-1.不動産投資ローンの4つのメリット
2-2.不動産投資ローンの3つのデメリット - 不動産投資ローンの種類・金利・審査基準
3-1.アパートローンとプロパーローンの2種類がある
3-2.不動産投資ローンの金利
3-3.不動産投資ローンの審査基準 - 不動産投資ローンの金利を下げるコツ
- まとめ
1.不動産投資ローンとは?
不動産投資ローンは、不動産投資によって収益を上げることを目的として組むローンのことを言います。
不動産投資ローンの返済は投資物件の家賃収入によって行うため、購入する不動産がどれぐらいの家賃収入をどれぐらいの期間にわたって稼ぐことができるかを見極め、返済比率に余裕を持った融資条件を検討していくことが重要となります。
1-1.不動産投資ローンと住宅ローンとの違い
不動産投資ローンは住宅ローンと異なり、購入対象の物件が居住用ではなく投資用部件に利用できるローンです。
不動産投資ローンでは、ローン契約時の審査において、申し込み者の返済能力に加えて投資用物件の収益性や事業継続性も問われます。
生活に必要な家賃や家のローンとは別に融資を組むことになるため、同条件の物件でも不動産投資ローンは通常の住宅ローンよりも融資審査や融資条件が厳しくなる傾向にあります。
2.不動産投資ローンを組むメリット・デメリット
不動産投資ローンという金融機関の融資を利用できる点は、不動産投資の大きな特徴と言えます。
不動産投資ローンを上手に活用していくためには、不動産投資ローンが不動産投資家のキャッシュフロー(収入から支出を差し引いて手元に残る資金の流れ)や不動産投資の拡大にどのように関連していくのかについて知ることが重要なポイントです。
以下では、不動産投資ローンのメリット・デメリットを整理して解説していきます。
2-1.不動産投資ローンの4つのメリット
不動産投資ローンのメリットとして、考えられるのは次のような点になります。
- 手持ち資金を残すことができる
- 団体信用生命保険に加入することができる
- 不動産投資に対してレバレッジ効果が期待できる
- 返済資金を不動産投資の収益で賄うことができる
それぞれ詳しく見て行きましょう。
手持ち資金を残すことができる
不動産投資ローンを利用することで、当面の間、一時的に自己資金の支出を抑えることができ、手元に残った資金を他の用途に充てることができます。長期的にキャッシュフローが安定し、資金計画を立てやすくなる点は不動産投資ローンの大きなメリットです。
団体信用生命保険に加入することができる
不動産投資ローンを組むと、団体信用生命保険に加入することになります。債務者が死亡したり、高度障害を負ったりしたときに、債務者に代わって残債を弁済してくれる保険です。
団体信用生命保険に加入することで、債務者に万一のことがあったとき、購入した不動産がローンのない状態で残るため、家族にとっては生命保険代わりになるといえます。
不動産投資に対してレバレッジ効果が期待できる
不動産投資という目的面に重点を置いて考えると、不動産投資ローンを組むことでレバレッジ効果が期待できます。
レバレッジとは「テコの原理」を意味する言葉で、投資においては少額の資金で高額の資産運用を行い、利益率を高める方法をいいます。不動産投資であれば、金融機関の不動産投資ローンを活用することで、自己資金の3倍~10倍程度の資産を運用できる可能性があります。
レバレッジ効果によって、自己資金を使って不動産投資を行う場合よりも、高い収益性を得ることが可能です。
たとえば、利回り10%の1,000万の物件を100%自己資金で購入した場合と、自己資金200万を入れて残りをローンで補った場合(返済比率50%と想定)との収益割合(キャッシュフロー÷自己資金)を比較すると、次表のようになります。
自己資金 | 年間キャッシュフロー | 収益割合 | |
---|---|---|---|
100%自己資金 | 1,000万 | 1,000万×10%=100万 | 100万/1,000万=10% |
自己資金200万 | 200万 | 100万×(100%-50%)=50万 | 50万/200万=25% |
融資手数料等の費用はやや多くかかりますが、自己資金に対する収益の割合は、不動産投資ローンを組むことによって、10%から25%に上がることになります。
便宜的に、キャッシュフローには元本返済額を含めているため、売却によって当初自己資金の回収ができると、実際のレバレッジ効果はさらに高くなるといえます。
返済資金を不動産投資の収益で賄うことができる
不動産投資ローンでは、ローン返済の資金をローンの目的とした不動産の運用益、すなわち家賃収入で賄うことができます。住宅ローンとは異なり、返済額を自己資金以外の方法で支払える点も不動産投資ローンのメリットと言えるでしょう。
2-2.不動産投資ローンの3つのデメリット
一方で不動産投資ローンのデメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 投資用物件に抵当権が設定される
- 不動産投資ローンの金利は住宅ローンと比較して高い
- 不動産投資ローンの融資審査は厳しく、難航する可能性も
デメリットについてそれぞれ詳しく見て行きましょう。
投資用物件に抵当権が設定される
不動産投資用ローンを利用することで、金融機関から投資用物件に抵当権が設定されます。
抵当権とは、借主の返済が滞った際に金融機関が物件を差し押さえ、競売にかけることで貸付金の回収ができる権利のことです。抵当権が物件に設定されることで、投資家はローンの完済まで投資用物件が差し押さえられるリスクを背負うことになります。
一方、手元の現金で投資物件を購入した場合はローンの返済義務がないため、抵当権が設定されず、物件を差し押さえられるリスクはありません。
不動産投資ローンの金利は住宅ローンと比較して高い
不動産投資ローンのデメリットの一つに、住宅ローンの金利と比較して高い金利設定となることが挙げられます。金利が高くなる分、月々の返済額も増額します。
たとえば、1,000万円、借入期間30年、金利2%の不動産投資ローンを組んだ場合の返済額は、次の通りになります。
- 総返済額:13,306,320円
- 月々返済額:36,962円
こちらの例では総額で約330万の利息が発生することになります。
また、変動金利の場合には将来的に利率が上がるリスクもあります。利率が上がった場合も考慮し、返済比率には余裕をもって、ローンの組み方や物件の選び方を考えることが大切です。
不動産投資ローンの融資審査は厳しく、難航する可能性も
不動産投資ローンの審査は、住宅ローンの審査と比較して厳しく借主の与信をチェックされることになります。
不動産投資ローンの返済は投資物件の家賃収入によって行いますが、想定よりも空室率が高く収益性が低くなった場合や、経年劣化によって家賃が下落してしまった際には、借主の自己資金によって返済を行うことになるためです。
また、不動産投資ローンを扱っていない金融機関や扱っていても積極的な融資姿勢ではない金融機関などもあり、複数の金融機関にアプローチして融資の諸条件を交渉する手間がかかります。
融資交渉の際には、不動産会社が用意してくれる物件資料一式のほか、購入者自身の収入に関する資料、今後の不動産投資の収支計画などを自分で用意することとなります。
これらの書類を用意した後に、担当者にアポイントを取って物件の収益性について説明する、というのが基本的な手続きです。本業の忙しい方であれば、業務の合間にこれらの手続きをこなすことが困難である方も少なくないでしょう。
3.不動産投資ローンの種類・金利・審査基準
次に不動産投資ローンの種類や金利、審査基準について見て行きましょう。
3-1.アパートローンとプロパーローンの2種類がある
金融商品としての不動産投資ローンは、「アパートローン」と「プロパーローン」に分かれます。
アパートローンは、金利や融資期間などがパッケージ化されている商品で、審査基準などもホームページなどで公表されています。それらの基準を満たし、審査に通ることでパッケージの融資条件での融資が受けられます。
これに対して、プロパーローンは案件ごとに作られる商品で、融資希望者の資産背景や事業実績、物件の資産価値などを総合的に審査して融資条件などが設定されます。
公表されているアパートローンと異なり、プロパーローンは金融機関に問い合わせて確認する必要があります。
3-2.不動産投資ローンの金利
不動産投資ローンの金利には、「変動金利」と「固定金利」の2種類があります。
変動金利は、長期プライムレートを基準に利率が変動します。経済情勢によって金利が上がる可能性もありますが、固定金利よりは低い金利のケースが多く、ローンの返済額を抑えることができます。
これに対して、固定金利は融資時から完済まで金利が一定であり返済計画を立てやすいといえます。実務的には、一定期間経過後に固定か変動かを再度選ぶことのできる、選択型固定金利が多くなります。
3-3.不動産投資ローンの審査基準
不動産投資ローンの審査基準として、大きく分けて「融資希望者の属性」と「物件の資産価値」に分かれます。
融資希望者の属性の評価には、主に下記の点が注目されます。
- 資産背景
- 年収
- 年齢
- 勤務先・勤務期間・雇用形態
- 信用情報(過去の借入、返済など)
年収500万円以上が不動産投資ローンに通るための一つの基準とも言えますが、日本政策金融公庫や信用金庫、ノンバンクなど、個人の属性に関する審査は比較的緩めの金融機関もあり、物件の収益性や評価次第では個人の属性が押し上げられるケースもあります。
また、信用金庫では営業エリアの条件もあります。クレジットやカードローンの延滞があるなど、信用情報に問題があると、審査に通らない可能性があります。
一方、物件の資産価値は路線価や建物の残存価値による積算価格と、家賃収入による収益性を併せて審査します。建物の残存価値は、耐用年数の長いRCマンションなどが高めに算出されることが多いといえます。
4.不動産投資ローンの金利を下げるコツ
不動産投資ローンのメリットの一つに、レバレッジ効果があることは説明しました。このレバレッジ効果を最大限に生かすには、月々の返済額を最小限に抑えることが有効です。それには、より有利な融資条件で不動産投資ローンを組むことが重要となります。
融資条件のうち、金利は個人の属性や物件の評価次第で金融機関と交渉できる可能性があります。金利を引き下げてもらうコツとして、主に次のようなものが挙げられます。
- 属性の引き上げ
- 物件の選び方
- 不動産投資会社の紹介
- 複数の金融機関へのアプローチ
まずは、金融機関の審査を有利に運ぶことが重要です。金融機関の審査基準は、融資希望者の属性と物件の価値をみるので、この両方についてなるべく高い評価を受けられるようにしましょう。
属性を上げるには、収入のアップや、貯蓄を増やしたりすることが有効です。また勤務先が上場企業であれば、決算の内容が融資審査で有利に働くケースもあります。物件選びでは、物件価格に対して積算評価が高く、収益性に優れた物件を選ぶ方が有利といえます。
既にローンの返済実績がある場合は、その実績をアピールしたり、他行の融資条件を引き合いに出したりするなどして、金利交渉をすることも効果があるでしょう。やや難易度は高くなりますが、希望する金利で今後の事業計画をシミュレーションし、事業の継続と拡大を理由に金利交渉をするという方法もあります。
審査基準面以外では、提携金融機関数や融資付けの実績の豊富な不動産投資会社の紹介を受けることも、金利を引き下げてもらうには有効となります。
たとえば、東証プライム上場グループ企業で都心の新築マンション投資が中心・提携金融機関数が10社以上ある「プロパティエージェント」、同じく新築マンション投資の会社で東京23区・駅徒歩10分以内・最先端のIoT導入などで物件を差別化しており提携金融機関数が10社以上ある「インヴァランス」など、融資付けの実績が豊富な不動産会社に相談することで、自分を最も高く評価してくれる金融機関の紹介が期待できます。
まとめ
不動産投資ローンを組むメリット・デメリット、金利を下げるコツについてご紹介しました。
不動産投資ローンはレバレッジ効果によって、自己資金の3倍~10倍程度の資産を運用できるメリットがある一方、抵当権の設定や住宅ローンよりも高い金利を設定されるデメリットがあります。
不動産投資ローンによる返済遅延のリスクを下げ、レバレッジ効果を高めるためには、できるだけ金利を下げることが重要になります。より良い条件で融資を受けるためにも、預貯金や年収など個人の属性をできるだけ高め、評価の高い物件選びをしていきましょう。
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