長期投資のメリット・デメリットは?具体的なやり方や投資の注意点も

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ここ数年、超低金利が当たり前となっていますが、銀行に預金するだけではお金を増やすことは難しくなっています。昨年、金融庁が発表した報告書を巡り「老後2,000万円問題」がメディアを賑わせたように、人々の将来に対する不安が膨らみ続けているなか、将来に備えた資産運用として「長期投資」に関心を寄せる方が増えてきています。

しかし、長期投資のメリットやデメリットが分からず、最初の一歩が踏み出せない方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、長期投資の種類や概要をお伝えした上で、現役のファンドマネージャーである筆者の観点からメリットやデメリット、具体的な投資方法について解説していきます。

目次

  1. 長期投資とは
    1-1.長期投資のメリット
    1-2.長期投資のデメリット
  2. 主な長期投資の種類と特徴
    2-1.株式
    2-2.投資信託
    2-3.REIT(不動産投資信託)
    2-4.国債
    2-5.不動産
  3. 投資信託の注意点
    3-1.損切りをきちんと行う
    3-2.余剰資金で投資する
  4. まとめ

1.長期投資とは

明確な定義はありませんが、長期投資に分類される投資の期間は3年超と考えればよいでしょう。長期投資は、長期間金融資産を保有し続けることで、目先の利益ではなく平均的な収益率を安定させ、無理なく資産形成することを目的としています。

利益を上げる方法は、インカムゲインとキャピタルゲインの二種類があります。インカムゲインは、保有しているだけで発生する収入のことで、株式の配当金や株主優待、債券の利息、不動産の賃料収入などが挙げられます。また、企業の成長などに伴う値上りにより、売却時に得られる収益をキャピタルゲインといいます。

長期投資は、老後の資産活用までを踏まえた投資方法です。分散投資や複利効果についても理解を深め、資産形成から資産活用までをライフプランとともにじっくり考えていきましょう。

1-1.長期投資のメリット

長期投資のメリットには以下のようなものがあります。

複利効果を高めやすい

複利運用とは、投資で得た利息や配当金を、そのまま投資元本に加えて次の投資に回す方法のことです。投資資金が増えていくことで利息も多くなるため「雪だるま式に資産が増加」していきます。

リスクコントロールがしやすく精神的な負担を軽くできる

長期投資の場合は、一時的に大きな値動きがあったとしても、長期的に見て値上がりしているかどうかがポイントなので、短期投資よりも精神的な負担が軽く、無理せず続けられます。うまく分散投資が出来ていると、一部が低迷しても全体としての利益の平均化に繋がり、1年あたりのリターンが安定してくることがメリットです。

時間をとられない

株やFXの短期取引では、変動し続ける値動きを常に注視して対応していくことが必要です。一方、長期投資であれば、日々の値動きに一喜一憂する必要がなく、市場に張り付かなくて済むため、本業を持つ会社員でも始めやすい投資方法といえます。

1-2.長期投資のデメリット

対して長期投資にはデメリットもあります。順番に解説していきます。

すぐには利益を得られない

長期的な視点での利益を求める長期投資では、短期的には大きな利益が得られません。例えば、株で長期投資をする場合には、投資先の会社が成長することを想定します。数週間での成長を見ているのではなく、利益を生むのは数年後です。そのため、すぐに大きな資産を形成したい、一気に稼ぎたいという場合には向いていません。

失敗するとお金や時間のロスが大きい

1年先の動向であれば予測もつきやすいものですが、5年後や10年後といった未来の予測は困難です。投資先の会社や物件の収益性が落ち込むこともあれば、最悪の場合には倒産したり、不動産であれば入居者がいなかったりという状況もあり得ます。

10年後に業界全体が衰退していたことに気づいても、実際の損失だけでなく10年間の機会損失もかなり大きいものになります。

運用コストが大きい

運用期間が長くなるほど、運用コストはかさみます。例えば、投資信託を利用して長期投資をする場合には、商品を保有しているだけでコストがかかります。利益の有無に関わらず管理費が発生することは、注意すべき点です。運用コストも加味したうえで、利益が出る商品を選ぶ必要があります。

2.主な長期投資の種類と特徴

以下では長期投資ができる主な投資対象について解説します。

2-1.株式

保有することで得られる配当金などのインカムゲインと、株価が上がり売却することによって得られるキャピタルゲインが期待できます。 株式で長期投資する場合、株価の変動リスクをいかに抑えるかが重要です。方法としては、倒産リスクが低い高配当銘柄を選んで配当収益に特化した運用スタイルにするか、債券と株を組み合わせた分散投資を行うかの二種類あります。

2-2.投資信託

投資信託は投資家から集めたお金を資金として「ファンドマネージャー」と呼ばれるプロが運用をする金融商品のため、投資について詳しい知識を持っている必要はありません。

既に分散投資がされている商品を選ぶことが可能ですし、時間の分散ということで、毎月少額からの積み立て投資信託という手法もあり、長期投資に向いています。また、長期投資の場合、分配金も再投資に回して複利効果を狙った商品の方が資産形成には強みがあります。

2-3.REIT(不動産投資信託)

投資家から集めたお金を基に、投資の専門家がマンションやビルなどの不動産を購入します。その購入した不動産から発生する賃料収入や、売却による収益が投資家に配分されます。投資家から集めた資金で不動産を購入するため、現物不動産への投資と違い自分一人で多額の支払いやローンを背負う必要がありません。分配金が多いのが特徴です。

2-4.国債

国が行う公共事業等に必要な資金を政府が国民から借り入れ、その際に発行する証明書のことです。一定期間ごとに利息が受け取れ、満期には元本が戻ってくるインカムゲインを重視した仕組みです。国が破綻しない限りは元本割れとなるリスクは少ないのですが、昨今の低金利のなかではメリットも殆どなくなってきています。

2-5.不動産投資

不動産投資は、アパートやマンションなどの不動産を使って利益を得る投資方法です。利益を得る方法は「インカムゲイン=家賃収入」と「キャピタルゲイン=不動産売却益」の2種類があります。

不動産投資は、長期投資に向いていますが、価格が高いことがネックです。借り入れにより不動産投資をする場合は、入居率100%を前提とした利回り想定では危険です。不動産特有のリスクも多いため、慎重に検討しましょう。

3.長期投資の注意点

以上を踏まえ、長期投資を行う際の注意点についてご説明します。

3-1.損切り

長期投資の場合、株価が下がっても長期的に見れば回復する可能性があるため、損切りは必要ないと思いがちです。しかし、投資開始当初から社会情勢が大きく変化し、投資先企業のビジネスモデルが通用しなくなった場合などは、勇気を出して損切りすることが重要です。そのまま保有していると極端に株価が下がり、最悪の結果になる恐れがあります。

3-2.余剰資金で投資する

ライフプランを立て、現在の貯金から当面の生活に使うお金と将来に使うお金(結婚、出産、教育費、住宅など)を差し引いて、余ったお金だけで投資するのがおすすめです。

よくあるのが、急に現金が必要になったときに、投資商品を解約したところが結果として一番底で損切りをすることになってしまったというケースです。あくまで投資に振り向けるのは余剰資金のみとしましょう。

まとめ

長期投資の最終目的は、60歳近くになって収入が減ってきたときに備えることです。途中、子供の教育資金や住宅ローンは、働いている内は給与収入の範囲内でなんとかやりくりできると思いますが、そのなかでどうやって老後の為の資金を作り出すかが課題となります。

そのためには、早いうちから投資を始めて複利効果を最大限活用するということが大事です。余剰資金が捻出できなければ最初は積み立て投資信託を始めてみましょう。対象資産は株式をおすすめします。企業成長によるインカムゲインが狙える一方、積み立てによる時間分散効果がありますので、そこまでリスクは高くありません。

徐々に投資への資金が貯まり始めたら、インカムゲインとキャピタルゲインに分けて考えましょう。ここで意識したいことはインカムゲインをどれだけ増やせるかということです。

運よくキャピタルゲインが得られたら、高配当株式や分配金が高いリートなどのインカムゲイン用の資産の割合を増やしていきましょう。最終的にインカムゲインだけである程度の収入になれば、老後の生活資金も確保しやすくなるでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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