「毎月の家賃高いかも…?」と思っている方へ。知らないと損するマンション購入の話

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都内の駅近物件などに住んでいると、20㎡台後半の部屋でも毎月の賃料が10万円前後になってしまうといったことが珍しくありません。そのため、「いっそマンションを購入したほうがお得なのでは?」ということを一度は考えたことがある方も多いでしょう。しかし、購入後に転勤や結婚した場合、マンションをどうするかなど先々のことまで考えると、なかなか購入には踏み切れないというのが難しいところです。

そういった方から最近、人気が高まってきているのがコンパクトマンションと呼ばれる30㎡~50㎡程度の分譲マンションです。ここ数年で急激に数を増やしているコンパクトマンションですが、どのような点でメリットがあるのかを、大手不動産会社で実際にマンションを数百件販売されてきた青山和也さんにお聞きしました。

目次

  1. コンパクトマンションの特徴
    1-1.賃貸家賃とコンパクトマンションの価格比較
    1-2.独身者に好まれる部屋の広さは30㎡以上
    1-3.実際に売りに出されているマンションの実態
    1-4.都心の好立地の場所に建てられている
  2. 賃貸物件としてのコンパクトマンションの魅力
    2-1.設備、エントランスなどが高品質
    2-2.将来的にも需要がある広さと間取りになっている
    2-3.住居としての利便性と収益物件としての魅力
    2-4.サンプルシミュレーション
  3. まとめ
西宮光夏
今回は、最近人気のコンパクトマンションについて解説をお願いします。早速ですが、マンションを購入すると賃貸で住むより家賃が安くなる、とお聞きしました。
不動産投資のプロ
青山さん
そうですね、低金利を背景に購入のほうが賃貸の家賃より安く住めることは確かです。ただ、人気の要因は他にもあります。今までマンションの購入を考えるのは結婚して新居を構える時だとか、お子さんが生まれた時などが多かったのですが、最近は将来に向けての資産形成という目的でコンパクトマンションを購入する方も多くいらっしゃいます。
西宮光夏
将来に向けての資産形成ですか。具体的には、どのようなイメージでしょうか?
不動産投資のプロ
青山さん
最初は自分が住むというところからスタートして、住宅ローン完済後は収益資産としても運用するという考え方です。今回はコンパクトマンションの特徴やファミリータイプのマンションとの違いなどを確認した上で、物件としてどれくらいの需要があるのかを解説したいと思います。
西宮光夏
分かりました。よろしくお願いします。

1.コンパクトマンションの特徴

コンパクトマンションとはどういったマンションなのでしょうか。月々の支払額や部屋の広さ、立地などの特徴について見てみたいと思います。

1-1.賃貸家賃とコンパクトマンションの価格比較

賃貸で住む場合とコンパクトマンションを購入した場合とでは、月々の支払額はどちらが安いのでしょうか。コンパクトマンションのローンの月々の支払額と都心のマンションの家賃を見てみましょう。

今回はサンプルとして、SUUMO調べの2018年住みたい街ランキング7位にランキングされ、非常に人気が高い「新宿」で比較してみたいと思います。

まずは、不動産住宅情報サイトLIFULL HOME’Sでコンパクトマンションの価格を調べてみました。LIFULL HOME’Sで「マンション購入、新宿区、マンション、新築、35㎡~40㎡、1DK、1LDK 」で検索したところ、2019年6月に完成予定のマンションがありましたのでこちらで比較してみましょう。広さが39.84㎡、価格が3,990万円からでした。

同じ条件で賃貸マンションの家賃の相場を調べてみましょう。LIFULL HOME’Sの家賃相場一覧で同じように「賃貸相場、新宿区、マンション、新築、35㎡~40㎡、1DK、1LDK」 の条件で検索したところ、1DKで15万3,100円、1LDKで20万7,900円前後という結果がでました。

コンパクトマンションの3,990万円でローンを組んだ時の返済額と、賃貸の家賃を比較してみます。ローンの頭金は入れないと仮定して試算してみます。

比較ケース エリア 広さ 築年数 月々の支払い
コンパクトマンションを購入した場合 新宿区 35㎡~40㎡ 新築 10万4,015円
賃貸で借りた場合(相場)1DK 新宿区 35㎡~40㎡ 新築 15万3,100円
賃貸で借りた場合(相場)1LDK 新宿区 35㎡~40㎡ 新築 20万7,900円

*ローンは借入3,990万円、頭金なし、変動金利0.525%(11月1日の店頭金利に対して▲年1.95%優遇)35年ボーナス払いなしで組んだ場合

この表から新宿エリアにおいては、コンパクトマンションの購入と賃貸では、購入した方が1DKで5万くらい、1LDKでは10万円くらい安く住めることがわかります。

上記のシミュレーションでは、23区の中でも新築価格がトップクラスの新宿エリアで算出をしてみましたが、たとえば同じ山手線内でも物件やエリアを選べば、物件価格が3,000万円台前半から3,000万円台半ばで月々の支払いを6万円~7万円台に抑えることも可能です。

購入の良いところは、今よりも条件が良い物件にも関わらず月々の支払いが賃貸よりも安くなるという点に加えて、ローンの支払いが終わればそのマンションは個人の資産になるという点です。賃貸の場合は毎月の支払いが掛け捨てのようになってしまいますが、ローンの返済は毎月コツコツと支払いを続けることが資産形成につながっていくという魅力があります。

1-2.独身者に好まれる部屋の広さは30㎡以上

新築で建てられているマンションはワンルームが非常に少なくなっています。最近は広めの自宅でゆっくり過ごしたいという人が増えているのが原因だと思われます。以下は不動産情報サイトアットホームが2017年10月に「1人暮らしの社会人が、東京で幸せに暮らすために、最低限必要だと思う、【家の広さ(延床面積)】」アンケートの結果のグラフです。

アットホーム調査*アットホーム「“1人暮らしの社会人が東京で幸せに生活するために必要な住まいの条件”調査」から引用

この調査から必要な広さの平均が34㎡という結果が出ています。また、以下は、1人暮らしの社会人が東京で幸せに暮らすために最低限必要だと思う、【仕事がある日に、自宅でゆっくり過ごす時間】アンケートの結果(同調査)です。

アットホーム調査*アットホーム調査「“1人暮らしの社会人が東京で幸せに生活するために必要な住まいの条件”調査」から引用

平日に4時間以上自宅でゆっくりするには、一般的には20㎡は狭く感じるでしょう。以前の独身者の住むマンションと言えば20㎡前後のワンルームマンションが主体でした。独身のうちは仕事が忙しく自宅は寝るだけで良い、というライフスタイルから、家でも自分の時間を過ごしたいというライフスタイルに変化しているため、広めの部屋が好まれるようになったと思われます。

コンパクトマンションはこのような独身者の需要や、2人暮らしや子供一人いる家族構成の家庭の需要にあった間取り、広さを備えています。今の社会人のニーズに応えていると言えます。

1-3.実際に売りに出されているマンションの実態

では今売りに出されているマンションの実態はどのようになっているのでしょうか。不動産情報サイトLIFULL HOME’Sで調査してみましょう。条件を「マンション購入、新宿、新築、~50㎡、駅から徒歩10分以内」で検索してみました。ポイントは

  1. 部屋の広さの最低限の数値を制限しないこと
  2. ワンルームを削除しないこと

です。あえて狭い部屋とワンルームを削除せずに検索してみました。検索の結果部屋の広さや価格帯までわかる物件が7件出てきました。以下が検索結果をまとめたものです。

物件 広さ 間取り 駅からの距離 価格
物件A 30.12㎡~60.88 1LDK、2LDK 早稲田駅徒歩2分 4,488万円~7,088万円
物件B 44.77㎡~156.23㎡ 1LDK~3LDK 西早稲田駅徒歩3分 4,998万円~2億5,800万円
物件C 39.84㎡~59.77㎡ 1LDK~2LDK 大久保駅徒歩5分 3,990万円~6,090万円
物件D 30.69㎡~30.70㎡ 1K 中井駅徒歩5分 3,520万円~3,870万円
物件E 44.08㎡~53.87㎡ 1LDK~2LDK 新宿御苑前徒歩6分 4,990万円~7,540万円
物件F 40.35㎡~104.89㎡ 1LDK~3LDK 早稲田駅徒歩6分 4,990万円~1億6,600万円
物件G 45.50㎡~73.41㎡ 1LDK~2LDK+S 曙橋駅徒歩5分 6,290万円~9,590万円

LIFULL HOME’S検索結果 から作成、表示は結果順

新宿区では新築で売りに出されているマンションの最小の広さは物件Aの30.12㎡で20㎡クラスの部屋は1件もないことがわかりました。間取りはほとんどが1LDK以上でワンルームは1件もありませんでした。この結果から実際に売りに出されているマンションの部屋のタイプは、30㎡以上の広さがある、間取り1LDK以上の部屋だということがわかります。

1-4.都心の好立地の場所に建てられている

コンパクトマンションは都心の好立地の場所に建てられています。どうしてわざわざ土地が少なく、土地代が高いエリアに建てるのでしょうか。都心に建てる理由として、日本人のライフスタイルの変化が考えられます。

「仕事がある日に自宅でゆっくり過ごす時間」のアンケートでは平均4時間27分という結果が出ています。たとえば、夜の時間帯にその時間を確保することを考えてみると、夜の12時に就寝するとしても19時30分位には自宅に到着しなければならないことになります。

もし会社を19時に出て通勤に1時間かかる場所だと自宅につくのが20時00分になります。買い物や用事などがあればさらに帰宅時間は遅い時間にずれこんでしまうことになります。この時間に関する問題は、会社の近くに住み通勤時間を短くすることで解決します。

そういったことから、会社の近くに住み、自分の時間を多く取る人が増えています。

また、以下は2016年と2017年の都道府県別転入超過数を表すグラフです。

2017年における都道府県別の転入超過数*総務省「住民基本台帳人口移動報告 平成29年(2017年)結果」より引用

上記グラフから東京都に転入する人口が突出していることがわかります。東京の都心にコンパクトマンションが多く建設されるのはこのような需要に対応するためです。

西宮光夏
コンパクトマンションは都心の広い部屋で平日でもゆっくり過ごしたいという人の需要に応えるマンションなんですね。
不動産投資のプロ
青山さん
職住近接といって、国も都心の会社の近くに居住環境を整備する施策をすすめていますので、その影響もあります。
西宮光夏
ワンルームを借りるのではなく、1LDKの部屋を購入することで都心の広めのマンションに今よりも安く住めて、ゆくゆくはそれを賃貸で貸して賃料が得られるというのはとても魅力的なプランですね。
不動産投資のプロ
青山さん
まずは自宅として住むということからスタートしますが、完済後に自分で住み続けるのか、あるいは収益不動産として運用するかを選択できるのは大きなメリットです。では次に、コンパクトマンションの収益物件としての特性についても解説していきます。

2.賃貸物件としてのコンパクトマンションの魅力

コンパクトマンションが広さ・間取りの両方で現在の需要に合っているということは先に触れました。また建てられているエリアも東京都心の駅近と立地も良く、賃貸に向いていることがわかります。他にも収益性が見込める要因を見てみましょう。

2-1.設備、エントランスなどが高品質

ワンルームマンションは建物の中の部屋のほとんどがワンルームで、ほんの数部屋が少し広めの1LDKというタイプが主流です。もともと収益不動産として建築されていますので、なるべく費用を抑え、エントランスの広さや部屋の広さ、設備など、収支に影響しないような予算の中で造られます。

コンパクトマンションは同じ建物内に70㎡以上のファミリータイプのマンションが造りこまれています。ワンルームとは違い、家族が多く、一生そこに住む人もいますので、先進設備を使用したり、家族が団らんできるような広いエントランスを構えたりしているマンションが多くなります。設備などを見ても資産性が高いことがうかがえます。

2-2.将来的にも需要がある広さと間取りになっている

部屋として考えた時に広さや間取りは現代人が好む造りになっていることには触れました。賃貸経営は長期投資になるので、将来性も考慮しなければいけません。コンパクトマンションは将来的に見ても需要があるのでしょうか。以下のグラフを確認しましょう。2015年から2040年までの家族構成別人口の推移が予測されたものです。

日本の世帯数の将来推計(全国推計)*国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018年推計)を基に作成

このグラフから核家族(夫婦と子一人からなる家族)の総数は減るものの、「単独世帯(独身)」と「夫婦のみ世帯」は今後10年近くにわたって増加していくのがわかります。このことから単身者向け、DINKSと呼ばれる夫婦2人の世帯に向いているコンパクトマンションは将来的にも需要があることがわかります。

2-3.住居としての利便性と収益物件としての魅力

以下に住居としての利便性と収益物件としての特徴を表にまとめましたので確認しましょう。
 

立地 設備 広さや間取り その他
住居として 会社に近く利便性が良い ファミリータイプと同じ 自宅での時間をゆっくり過ごせる広さ 賃貸より安い支払いで住める
収益物件として 好立地 高級感が付加価値になる 人気の間取りと広さになっている 将来もしばらくは単身者と2人家族は減らないので需要がある
西宮光夏
コンパクトマンションは立地や設備、将来の需要見込みから自宅だけでなく資産形成にも適したマンションだということがわかりました。毎月の家賃を浮かせられるだけではなく、将来的には不労所得を生んでくれる資産としても考えられるという点が魅力ですね。
不動産投資のプロ
青山さん
立地や部屋の広さ、最新設備やセキュリティなど実際に住む際の利便性や快適さも高いため、自宅はもちろん賃貸物件としても非常に人気があります。

1点注意したい点として、住宅ローンは自宅で住むことを目的として低金利で借り入れができるものとなりますので、返済期間中に他人に賃貸をする場合はローンを借りている金融機関に相談をする必要があり、金利などについても契約当初の水準から見直される可能性があります。

コンパクトマンションを購入する前に、将来的に賃貸として貸し出した場合についての相談ができる不動産会社も増えていますので、気になる方はお問い合わせや見学時に一度相談をしてみると良いでしょう。

まとめ

賃貸を続けて家賃を支払い続けるよりもコンパクトマンションを購入したほうが、今よりも広く快適な物件に、月々の支払いを抑えて住むことができます。またローンの支払いが終わればマンションが丸々個人の資産にもなり、賃貸物件として貸し出すこともできるという魅力もあります。

「正直、毎月の賃料が高いかも?」と考えている方は、まずは今どのようなコンパクトマンションが販売されているのか、自宅として今よりも快適に住むことができそうかなど、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。