中国不動産市場の動向や規制の状況・内容は?恒大集団の破産申請の詳細も

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中国では不動産企業である恒大集団の経営破綻が2020年以降から大きな経済リスクとして認識されていました。恒大集団は2023年8月17日にアメリカで破産申請しており、企業規模の大きさなどから今後の影響が懸念されています。

この記事では、中国不動産市場の動きについて時系列に沿って解説するとともに、恒大集団の動向についてもお伝えしていきます。

※本記事は2023年10月時点の情報をもとに執筆しています。最新情報はご自身でもご確認の上、ご判断下さい。

目次

  1. 中国不動産市場のこれまで
    1-1.中国不動産市場の2010年頃までの動き
    1-2.2010年以降の中国不動産市場
  2. 恒大集団の破産申請
  3. まとめ

1.中国不動産市場のこれまで

2000年代における中国経済の動向と合わせて、中国不動産市場の動きや規制の内容などについて解説します。

1-1.中国不動産市場の2010年頃までの動き

世界の中でも中国の経済が特に存在感を示し始めたのは2000年代に入ってからです。世界銀行の統計によると、中国の国民1人あたり所得増加率は、2001年には7.3%でしたが2007年には14.1%まで拡大しています。

※画像引用:世界銀行「GNI per capita growth (annual %) – China

GDP成長率を見ても2007年における中国のGDP成長率は14.2%を記録しており、2000年以降の最高値となりました。

※画像引用:IMF「Real GDP growth

当時中国経済発展の中心となったのは、自動車市場と不動産市場でした。国民所得の増加と都市化の進捗によって需要が拡大した中国不動産の価格は2004年頃から顕著な値上がりを見せています。

その後2008年に発生したリーマンショックの影響により、1度は市場の盛り上がりが後退しました。しかし、政府の景気刺激策として実行された利下げや公的投資に加え、国内外から投資マネーが流入したことなどをきっかけとして、一部の大都市では不動産価格が高騰する事態となっています。

結果的に、2010年時点の中国において、不動産関連のGDPは中国全体のGDPに対して5%を超えるほどの水準となっています。(※参照:国立研究開発法人科学技術振興機構「中国統計年鑑2011年版 2-06 第3次産業の付加価値」)

不動産市場の急拡大を経済的リスクと認識した中国政府は、2010年に住宅の購入規制を導入しています。規制の内容は主に税金に関するものです。

当時は北京の不動産のみが規制対象だったものの、2011年には他の都市にも規制を拡大しています。結果的に、2010年代初頭の中国不動産市場はその成長率を大幅に鈍化させました。

※画像引用:日本銀行「中国の不動産市場を巡る動向

なお、後に大きく注目された恒大集団は1996年に創業しており、2009年には香港証券取引所に株式上場しています。当時の恒大集団は主に低価格の集合住宅を供給しながら順調に事業を拡大していました。

1-2.2010年以降の中国不動産市場

一方で、2010年以降の経済指標を見ると、中国のGDP成長率や国民1人あたり所得の伸び率などは右肩下がりで推移するようになります。

経済拡大の勢いが弱まるとともに不動産市場拡大の鈍化が鮮明になってきたところで、2014年に中国政府は不動産市場に対する規制を緩和する方針に転換します。具体的には、実需向けに設けていた住宅ローンに関する規制が緩和されました。

そのほか、優良なデベロッパー向けの融資も奨励するなど、政府として不動産市場の再拡大に向けた支援が行われています。さらに、2015年には、外国企業や外国人による住宅の購入が条件付きで容認されるなど、外資向けの規制緩和も推進されました。

なお、中国のデベロッパー別販売額を見ると、恒大集団は2016年に初の国内トップへ躍り出ています。(※参照:三井住友銀行(中国)有限公司「中国住宅不動産市場の動向」)

また、恒大集団の創業者である許家印(シュー・ジアイン)氏が2017年のフォーブス中国人長者番付で1位になるなど、恒大集団はその存在感を強めていきました。

2017年における中国の業種別実質GDPへ目を向けると、不動産業と建設業が中国全体の経済に占める割合は13.2%まで拡大しています。(※参照:経済産業省「急速に変化する中国経済」)

さらに、2019年には不動産関連産業のGDPシェアが17%まで拡大し、不動産市場の動向は中国経済そのものに大きな影響を与えるようになりました。

しかし、不動産市場の拡大とともに、住宅ローンの残高や不動産企業が抱える負債も強い勢いで増加していきます。やがて、中国政府は不動産関連の債務増加を問題視するようになりました。

※画像引用:日本銀行「中国の不動産市場を巡る動向

2020年に中国政府は不動産企業向け融資の規制に踏み切ります。ここまで急速に企業規模を拡大してきた恒大集団は、政府が打ち出した規制によって窮地に立たされました。

2.恒大集団の破産申請

中国政府が2020年に打ち出した規制とは、主に以下3つの条件を満たさない企業には融資額の制限を課すというものです。

  • 保有する総資産に対して負債の占める割合が70%以下
  • 自己資本に対して負債の占める割合が100%以下
  • 抱えている短期負債の額を上回る現金を保有していること

恒大集団は上記の条件を満たしていなかったため、融資を積極的に活用できなくなりました。また、もともと多額の債務を抱えていた恒大集団は、融資の制限によって新たなプロジェクトを始めることもできなくなり、債務を返済する原資の確保が難しい状況に陥っています。

2021年12月にはドル建て公募社債の8,249万ドルに対して利払いを実行できず、恒大集団はデフォルトを起こしました。なお、決算発表ができなかったことを理由として、2022年3月には株式上場していた香港証券取引所での株式売買が停止されています。

恒大集団が2021年と2022年の決算報告に関する情報を発表したのは2023年8月1日で、2022年12月期の負債総額は2兆4,734億元に上りました。

そして、2023年8月17日に恒大集団はニューヨークの裁判所へ破産申請をしています。恒大集団の時価総額は世界でも指折りの金額となっていただけに影響の大きさが懸念されましたが、2023年10月時点において日中米の株式市場に大きな値下がりなどは起きていません。投資家の間では債務不履行に陥った時点である程度予測がついていたとの見方もあります。

なお、恒大集団の株式は2023年8月に取引再開されましたが、株価は大幅に下落しています。また、2023年9月末の時点では再び株式取引が停止されている状態です。

まとめ

恒大集団は破産申請をしたものの、経営そのものを停止したわけではなく、経営再建の意思を示しています。一方で、中国政府による規制は恒大集団だけに適用されるものではなく、他の不動産企業も規制の対象です。

恒大集団以外にも巨額の赤字を抱えている中国の不動産企業は少なくありません。2023年時点で中国の経済は世界2位の規模まで拡大している上に、中国全体のGDPに対して不動産業が占める割合は2割前後まで拡大しています。

他の企業も債務不履行に陥ったなどの場合は、世界経済に大きな影響が出る可能性もあるでしょう。大規模な経済不振を発生させることは中国政府にとっても本意ではないと考えられるため、今後の対策に期待がかかります。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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