リノベーションやリフォームを行う際、「リフォームローン」や「住宅ローン」などの金融機関のローンを活用する方法があります。手元にまとまった資金が無い場合、間取りの変更や耐震工事などの大規模な修繕をしたい場合などに便利に利用することが可能です。
しかし、物件の購入時に利用する住宅ローンとどのような違いがあるのか、金利などの融資条件はどのように設定されるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回のコラムは、リノベーション・リフォームで使えるローンを紹介し、それぞれメリットとデメリット、金利の目安も紹介します。
目次
- リノベーション・リフォームで使えるローンと金利の目安
1-1.リフォームローン
1-2.住宅ローン - リフォームローンのメリット
2-1.比較的審査が通りやすい
2-2.無担保型の場合は担保が必要ない - リフォームローンのデメリット
3-1 借入限度額が小さい
3-2 返済期間が短い
3-3 住宅ローンと比べて金利が高い - リノベーション・リフォームに利用する「住宅ローン」のメリット
4-1 借入限度額が大きい
4-2 返済期間が長い
4-3 リフォームローンに比べて金利が低い - リノベーション・リフォームに利用する「住宅ローン」のデメリット
5-1 担保が必要
5-2 審査に時間がかかる
5-3 審査が厳しい - まとめ
1 リノベーション・リフォームで使えるローンと金利の目安
項目 | リフォームローン | 住宅ローン |
---|---|---|
借入限度額の上限 | 500万円〜2,000万円 | 1億円〜2億円 |
借入期間 | 最長5年〜15年 | 最長35年 |
金利の目安 | 2%〜5% | 1%〜3% |
諸費用 | 保証料や事務手数料など(有担保型の場合は抵当権設定費用や司法書士費用などが必要) | 保証料や事務手数料のほか、抵当権設定費用や司法書士費用など |
担保 | 有担保型の場合は必要、無担保型の場合は不要 | 必要 |
審査期間 | 1日〜1週間程度 | 1週間〜2週間以上 |
リノベーション・リフォームで使える代表的なローンは、「リフォームローン」と「住宅ローン」の2つです。それぞれの特徴について見てみましょう。
1-1 リフォームローン
リフォームローンは、住宅をリノベーションしたり、リフォームする際に利用できるローンです。金利の目安は2%〜5%ほどで、借入期間は最長5年〜15年となります。用途がリノベーションやリフォームに限られており、申し込む際にはさまざまな条件があります。
例えば、みずほ銀行のリフォームローンでは、以下のように資金使途が限定されています。
・本人または親族等が所有する住宅のリフォーム資金
・他金融機関等のリフォームローンの借換資金
*賃貸用物件のリフォーム資金にはご利用いただけません。
※引用:みずほ銀行「リフォームローン」
なお、リフォームローンには担保が不要な無担保リフォームローンと、担保が必要な有担保リフォームローンの2種類があります。特徴が異なりますので、確認してみましょう。
無担保リフォームローン
- 借入限度額の上限が500万円〜1,000万円程度
- 返済期間は5年〜15年程度
- 審査にかかる時間は1日〜1週間
- 有担保型と比べると提出書類が少ない
- 有担保型と比べると金利が高い
- 有担保型と比べると諸費用は低い
無担保リフォームローンは、リノベーション・リフォーム総額が1,000万円未満の小・中規模のリフォーム工事に向いているローンです。担保が不要なため金利はやや高めですが、比較的審査に通りやすいという特徴があります。
リフォームローンを申し込む際には、本人確認書類や年収を確認できる書類(源泉徴収票、確定申告書、納税証明書など)、リフォーム工事の見積書など使い道を確認できる書類を提出することになります。また、諸費用としては事務手数料や保証料が必要になります。
有担保リフォームローン
- 借入限度額の上限が500万円〜2,000万円程度
- 返済期間は5年〜15年程度
- 審査にかかる時間は3日〜1週間
- 担保が必要
- 無担保型と比べると提出書類が多い
- 無担保型と比べると金利が低い
- 無担保型と比べると諸費用は高い
有担保リフォームローンは、主に1,000万円以上の大規模な工事の際に利用できるローンです。担保を提供するため、金利を低く抑えることができます。
無担保リフォームローンに比べて、担保評価などが必要になるため提出書類が多く、審査に時間がかかります。また抵当権を設定する費用も必要で、諸費用は高額になります。ただし金利が低くなりやすいため、高額の融資が必要な場合は有担保リフォームローンが検討できます。
1-2 住宅ローン
マンションの購入時などに利用できる住宅ローンは、物件購入と同時にリノベーション・リフォームをする場合や、一戸建て住宅の内外装全体をリフォームするために高額な融資が必要な場合などにも利用できます。すでに住宅ローンがある場合には、借り換えも検討できます。
借入限度額は1億円〜2億円程度、金利の目安は1%〜3%ほどで、借入期間は最長35年となります。リフォームローンに比べて金利も低いため、月々の返済額を抑えることができます。
中古住宅を購入して同時にリノベーション・リフォームをする場合は、一体型住宅ローンという商品を用意している金融機関もあります。1つのローンで住宅購入とリフォームができるため、二重にローンを組んだり、借り換えをするなどの手間や労力が削減されます。
2 リフォームローンのメリット
リフォームローンを利用するメリットとして代表的なのは、「審査が通りやすい」「無担保型は担保の必要がない」という2つです。
2-1.比較的審査が通りやすい
借入限度額が小さく、住宅ローンに比べると比較的審査に通りやすいのが第一のメリットです。ローン審査に通らないとリノベーション・リフォームができないため、審査に通ることを優先するとリフォームローンが第一選択肢になります。
2-2.無担保型の場合は担保が必要ない
無担保リフォームローンの場合は担保の必要がないため、用意する書類が少ない、抵当権設定に関わる費用がかからない、審査が早いといったメリットもあります。比較的に少額の借入をしたい場合には検討しやすいローン商品です。
なお、有担保型では抵当権を設定する費用が必要になるほか、審査に時間がかかりますが、無担保型に比べて金利は低くなります。借入が高額になる場合に検討できます。
3 リフォームローンのデリット
3-1 借入限度額が小さい
リフォームローンのデメリットとして第一に挙げるのは借入限度額が小さいことです。上限が500万円〜1,000万円程度であるため、一戸建ての内外装ともにリノベーション・リフォームするとなると上限ギリギリになる可能性があります。
3-2 返済期間が短い
リフォームローンの返済期間は、無担保型でも有担保型でも15年程度が上限となっています。早く返済できることはメリットですが、毎月の返済金額が大きくなりローン返済が滞るリスクもあるため、この点はデメリットとなります。
3-3 住宅ローンと比べて金利が高い
住宅ローンに比べて、リフォームローンの金利は高くなります。住宅ローンの金利は1%〜3%が相場ですが、リフォームローンの場合は2%〜5%が相場となっています。
例えば、融資金額1,000万円を15年で返済していく場合、毎月の返済額は以下のように差があります。
- リフォームローン(金利3%):月々の返済額69,058円、総支払額12,430,358円
- 住宅ローン(金利1%):月々の返済額59,849円、総支払額10,772,812円
月々の返済額では1万円弱の差ですが、15年間の総支払額では約166万円も多く支払うことになります。
4 リノベーション・リフォームに利用する「住宅ローン」のメリット
リノベーション・リフォームの際に、住宅ローンを利用するメリットとして代表的なのは「借入限度額が大きい」「返済期間が長い」「金利が低い」の3つです。詳しく解説していきます。
4-1 借入限度額が大きい
住宅ローンを利用する場合、借入限度額の上限は1億円〜2億円です。そのため、屋根や外壁を含め、家全体など大規模なリノベーション・リフォームをする場合でも十分な資金を確保することができます。
4-2 返済期間が長い
返済期間は最長35年となるケースが多く、毎月の返済額を抑えられる可能性があります。例えば、一体型の住宅ローンを活用する場合、中古住宅を購入してリノベーション・リフォームすることができるため、20代や30代などの若い世代がマイホームを購入する際にも活用しやすいのが特徴です。
4-3 リフォームローンに比べて金利が低い
前述したように、リフォームローンに比べて、住宅ローンの金利は低く抑えられます。上記の例で言えば、1,000万円を15年で返済していく場合、住宅ローンの方が月々の返済額は1万円弱、総支払額が約166万円抑えられることになります。
融資審査は、住宅を購入する際と同様に申込者の属性などで審査されることになります。主な項目は以下になります。
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数
- 資産状況
- 家族構成、など
融資の返済を適切に行っている、借入金がない、クレジットカードの利用が少ないなどで属性評価が高いと、より良い条件で融資を受けられる可能性もあります。
5 リノベーション・リフォームに利用する「住宅ローン」のデメリット
次に、リノベーション・リフォームで住宅ローンを借りる際のデメリットについて確認しましょう。代表的なのは「担保が必要」「審査に時間がかかる」「審査が厳しい」の3つです。
5-1 担保が必要
住宅ローンを借りる際に気をつけたいのは担保が必要なことです。リフォーム予定の住宅を担保にする場合、他の抵当権が設定されていると融資審査に通らない可能性もあります。また、融資審査に通った場合も、ローンの返済が滞った際に金融機関に担保物件を差し押さえられる可能性があります。
5-2 審査に時間がかかる
担保評価などが必要なため、リフォームローンに比べて審査に時間がかかるのも懸念点です。リフォームローンでは1週間以内に審査結果がわかるのに対して、住宅ローンでは1週間〜2週間が目安で、金融機関の状況によっては1カ月近くかかることもあります。
住宅にすでに欠陥があり、すぐにリフォームをしたい場合などには住宅ローンは利用しづらいでしょう。
5-3 審査が厳しい
借入額が大きく、返済期間も長く設定されることが多いため、審査が厳しいのも住宅ローンの特徴です。住宅を購入する際と同様に属性で審査されるため、年収や勤務先、勤続年収、資産状況などで返済能力が低いと判断される可能性もあります。
また、以下のケースでも住宅ローンの適用が認められないと考えられます。
- 申込者の健康状態に問題がある
- 一定以上の収入がない
- 自宅が他人名義になっている
- 住宅ローンの返済遅延の過去がある
- 自宅が建築基準法などに違反した増改築をしている
このように審査が厳しい点も住宅ローンを借りる際のデメリットとなります。
まとめ
住宅は建築物ですから、経年劣化によってやがて機能を損なうことになります。その場合に選択肢となるのは、建て直すか、新たな住宅を購入するか、リノベーション・リフォームをすることです。
リノベーション・リフォームは、現在の不具合を直したり、より快適に暮らすためのものですから、想定よりも費用がかかる可能性もあります。そのためリノベーション・リフォームの際に利用できるローンについて知識を持っておくことは大切です。
今回のコラムでは、リノベーション・リフォームの際に利用できるリフォームローンと住宅ローンについてメリットやデメリットを解説しました。借入金額や想定返済期間などによって、選ぶべきローンの種類は変わります。どのようにリノベーション・リフォームしたいかを家族間で話し合った上で、金融機関に相談するようにしましょう。
倉岡 明広
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