転職や失業等の収入減や、子供の成長に伴う学費を始めとした支出の増加など、予想より住宅ローンの返済の負担が大きい等の事態により家計が圧迫され、住宅ローンの返済に頭を悩ませる方も少なくないでしょう。
住宅ローンの返済が厳しい場合、どのような対処法があるのでしょうか?住宅ローンを滞納してしまった際の流れ、ローンの借り換え、売却、リースバック等5つの対処法を解説します。
目次
- 住宅ローンが払えなくなった時の流れ
1-1.住宅ローンを滞納しそうな場合は、早めに家計の見直しをする - 住宅ローンの返済が苦しい場合の対処法5つ
2-1.別の金融機関のローンへ借り換える
2-2.現在の金融機関に相談してリスケジュール
2-3.不動産の売却、または任意売却を行う
2-4.リースバックで現在の家に住み続ける
2-5.個人再生を利用する - まとめ
1.住宅ローンが払えなくなった時の流れ
まずは住宅ローンを払えず滞納してしまった場合の流れを見て行きましょう。
滞納して1ヶ月目は電話や郵便で金融機関からローン滞納の通知の旨が伝えられますが、2~3ヶ月目には督促状や催告状といった返済の要求を強く求める書類や電話がローン契約者の元に来てしまいます。
それでも滞納してしまった場合、約3ヶ月目で個人信用情報へ事故記録が掲載され、新しくクレジットカードを作ることやローンを組む事が困難になります。
6ヶ月経過するとローンを分割で返済する事が不可能となり、10~11ヶ月目で競売を申し立てられます。競売とは法的に家が差し押さえられた状態で、入札により買主が決定した所で立ち退きを要求されます。
ローンを滞納し続けることで個人信用情報に載る上に、家が人の手に渡り住む場所がなくなってしまうこととなります。
1-1.住宅ローンを滞納しそうな場合は、早めに家計の見直しをする
上記のような状態に陥らないためにも、住宅ローンを滞納する前にできるだけ早く家計の見直しを行いましょう。
家計の見直しにはキャリアの携帯電話を格安スマホに変更する、保険の見直し、電気・ガス会社の変更等、固定費をできるだけ減らすことが大切です。
また時間に余裕のある方は副業を行う、投資を始める、夫婦どちらかが専業主婦(夫)の場合は共働きとするなど、収入を増やすことを同時に始めてみましょう。
ローンの返済が不可能になった時は早目に行動することで、被害を最小限に食い止めることができます。「返済が苦しい」と感じた時点でスピーディーに行動しましょう。
2.住宅ローンの返済が苦しい場合の対処法5つ
ローンの返済が苦しい場合には、主に下記の5つの方法が存在します。
- ローンの借り換え
- リスケジュール
- 売却・任意売却
- リースバック
- 個人再生
これらの方法はそれぞれメリットとデメリットがあります。例えば、ローンの借り換えは金利が減額できる可能性があるものの、返済状況が滞ってしまった後には審査が厳しくなるデメリットがあります。
また、リスケジュールは金融機関からの信用度が下がる、売却は家を手放す、個人再生は個人信用情報に載ってしまう等のデメリットがあります。
ローンの残債や物件の条件、生活環境等により対処法は異なります。それぞれメリットとデメリットを確認し、状況に適した方法を選びましょう。
5つの対処法を順番にご紹介していきます。
2-1.別の金融機関のローンへ借り換える
借り換えとは、現在の不動産ローンを別の金融機関の融資によって返済し、新たなローン契約を締結することです。後に紹介するリスケジュールのように金融機関の信用を下げず、売却のように環境が変化しないメリットがあります。
借り換えによって現在より金利が低くなった場合、毎月の返済額や総返済額が少なくなる可能性があります。返済期間を35年より短く設定している場合、長期固定金利に切り替えることも検討できるでしょう。
ただし、借り換えが出来る場合でも想定通りに金利を下げることが出来なかったり、融資年数が限られてしまう可能性があります。再び「ローンの返済が苦しい」という事態に陥らないためにも、借り換え後の返済をシミュレーションした上で借り換えを行いましょう。
また、ローンの返済期間が短縮可能で住宅ローン控除を受けている場合は、返済期間によっては住宅ローン控除の対象から外れてしまうケースがあります。引き続き住宅ローン控除を受けられるかを確認しておきましょう。
2-2.現在の金融機関に相談してリスケジュール
別の金融機関で住宅ローンの借り換えが困難なケースや、負担を減らすことができない場合には現在ローンを組んでいる金融機関にリスケジュールを相談しましょう。
リスケジュールとは、融資・ローンにおいて返済が困難となった場合に金融機関に借り入れ条件の変更を行うことで、通称「リスケ」と呼ばれています。
一時的な返済額の減額や返済期間を延長して貰うことで債務者(ローンの契約者)の負担を減らすことができます。1年程度金利部分のみを支払い元本の返済を猶予してもらう措置や、返済期間をローン返済の最長期間35年まで伸ばす等の方法があります。
ただし金融機関からの信用は落ちてしまい、ローンの借り換えが難しくなることや新しい融資を受けづらい事態に陥ってしまうケースがあります。
2-3.不動産の売却、または任意売却を行う
「住宅を手放しても構わない」という方は売却・任意売却でローンを一括返済しましょう。売却を行う上で注意すべき点は売却代金でローンの一括返済ができるかという点です。まずは複数の不動産会社に見積もりを依頼し、売却代金の相場を知っておきましょう。
下記は物件情報をサイト上に登録すると複数の不動産会社に査定が依頼できる「不動産一括査定サイト」の一覧です。1社ずつ問い合わせることなく査定結果を同時に比較することが出来るため、利用を検討してみましょう。
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
査定の結果、売却代金でローンを一括返済できる「アンダーローン物件」の場合は、不動産会社に仲介を依頼し、購入希望者が見つかった際に交渉を行い引き渡す流れで売却が可能です。
一方、家を売却した代金でローンを一括返済できない「オーバーローン物件」となってしまった場合は、差額を現金で支払うか、任意売却という方法で売却をする必要があります。
任意売却とは?
任意売却と通常の売却との違いは、売却するにあたり「金融機関の許可」が必要な事です。
住宅ローンには持ち主がローンを返済できなくなった際に家を担保にする権利(抵当権)が金融機関によって設定されています。ローンの返済が出来なくなった場合、金融機関は抵当権を行使することで家を競売にかける事が可能となります。
任意売却は金融機関から抵当権の解除の許可を条件に不動産売却を行うため、実行を希望する際は金融機関の許可が必要となります。
金融機関は融資したローンの残債をできるだけ回収したいため、売却価格でローンの残債を賄えない時は、購入希望者が現れても金融機関が売却価格に納得しないケースがあります。
オーバーローンで売却を希望する際はまず金融機関へ相談し、任意売却の条件について確認することが大切です。
2-4.リースバックで現在の家に住み続ける
リースバックとは、ローンが返済できなくなった家を専門業者に売却し、買主である業者から売却した家を賃貸物件として借り、家賃を支払う事で今までの家に住み続けられる仕組みのことです。
利用できるかどうかは、リースバックのサービスを提供する業者の判断によって異なります。例えば、売却代金が残債を上回るアンダーローンの場合や、賃貸需要の見込める物件であるなどの一定の条件が必要とされるケースがあります。
まとまったお金が手に入り、現在の家に住み続けることができるメリットがある一方で、家の名義が変わってしまい、売却代金が相場より低く家賃が高くなる可能性がある等のデメリットも存在します。
【関連記事】リースバック契約で不動産を売却するメリット・デメリットは?注意点も
2-5.個人再生を利用する
住宅ローン以外の債務(車のローンやキャッシング等)の返済にも問題があるケースでは「個人再生」で債務の返済総額を減額し、残りを原則3年間に分割で支払うという方法があります。
個人再生は個人信用情報や官報に掲載されてしまい、手続きが煩雑であるというデメリットがあるため、慎重に検討する必要があります。しかし、「今月の返済すら厳しい」「生活費もままならない」といったケースでは個人再生の利用を検討してみましょう。
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者再生」があり、両方住宅ローンについての特約を希望する事ができるものの、減額の対象にはなりません。
住宅ローン以外の債務は小規模個人再生を選択した場合、100万円未満の場合全額、100万円以上500万円未満では100万円、500万円以上1500万円未満は総額の1/5と負担を大幅に減らすことができます。(*2020年7月時点)
まとめ
住宅ローンの返済が苦しい場合は、家計の見直しを行いまずは家庭で対処を行いましょう。
家計を見直しても困難な時は今回ご紹介した5つの対処法をケースバイケースで利用していきましょう。それぞれのメリット・デメリットを比較し、状況に合わせて対処していくことが大切です。
田中 あさみ
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