家の住み替え・買い替えを検討するタイミングは?住み替え手順も

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家の住み替え・買い替えは住環境が大きく変わり、家計にも大きな影響を与えます。そのため、どのタイミングで検討すれば良いのかお悩みの方も多いのではないでしょうか?

住み替えのタイミングは住宅ローンの金利や住宅の築年数といった外的な要因に加え、個人ごとに異なるライフイベントの変化という環境的な要素が影響します。1つの側面だけでなくこれらの視点から多角的にとらえ、それぞれに適したタイミングを推し測ることが大切です。

そこでこの記事では、住み替えを検討するタイミング、購入・売却といった住み替えの流れ、また、新居の購入を先に行う「買い先行」と、先に現在の住居を売却する「売り先行」の2つのパターンのメリット・デメリットについて解説していきます。

目次

  1. 住み替え・買い替えの適切なタイミングとは?
    1-1.住宅ローンの金利
    1-2.住宅の築年数
    1-3.譲渡所得税(長期譲渡所得・短期譲渡所得)
    1-4.ライフイベントの変化
  2. 住み替え・買い替えの流れと手順
    2-1.住宅購入の流れ
    2-2.住宅売却の流れ
    2-3.売り先行か買い先行か
  3. まとめ

1.住み替え・買い替えの適切なタイミングとは?

住み替えのタイミングと判断基準として、住宅ローンの金利、住宅の築年数といった経済的背景に加え、世帯の構成人数やライフイベントの変化などによる個人の事情が影響していきます。

1-1.住宅ローンの金利

住み替えの際には、住宅ローンの金利動向をチェックしておくことで、低金利で融資を受けられる可能性が高くなります。

住宅ローンの金利は、日本銀行の政策により 2009年以降変動金利型のローンは年2.475%、固定金利型は3%台と低水準を維持しています。

住宅ローンは住宅の購入金額や金融機関によっても金利が異なりますが、住宅金融公庫の「フラット35」において借入期間が21年以上35年以下の場合、最も多くのケースで用いられた金利は年間1.57%となっています。

高額な借り入れとなりやすい住宅ローンは、金利変動の影響を大きく受けることになります。低金利の時期に住宅ローンを組むと総返済額が少なくなりますので、住み替えを予定している方は金利の動向に注意しましょう。

※出典:住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

1-2.住宅の築年数

不動産の売却価格は物件の構造や築年数、地域等により異なりますが、物件の売り時を判断する要素としては、築年数が基準の1つとなります。

建物は経年劣化とともに価値が下がっていくため、新築時が価値のピークとなります。人が住んで1、2年経過した物件は価値が下がり、築15年を境にさらに大きく価値が下がってしまいます。

大まかな目安として「築10年から15年の間」の木造戸建の住宅は、不動産価格を大幅に下げることなく売却できる可能性が高い時期であると言えます。築20年を経過すると、物件によっては建物の価値がゼロになってしまうケースがあります。

ただし、街中で駅から近いといった利便性の高い戸建や、首都圏のマンションなどは不動産の資産価値に地価の割合が多く、築年数が経過しても価格が下がりにくい傾向にあります。

【関連記事】家はいつ売るべき?築年数別の不動産価格と売却戦略を比較

1-3.譲渡所得税(長期譲渡所得・短期譲渡所得)

不動産を売却して得た収益を「譲渡所得」と呼び、一定の税率を基に「譲渡所得税」として算出され税金が課されますが、譲渡所得税は物件の保有年数により税率が異なります。

譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地・建物を譲渡して得た収益を長期譲渡所得、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の土地・建物を譲渡して得た収益を短期譲渡所得と呼びます。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。

所有期間 所有期間
長期譲渡所得 譲渡した年の1/1に所有期間が5年を超える 課税長期譲渡所得金額×15%
短期譲渡所得 譲渡した年の1/1に所有期間が5年以下 課税短期譲渡所得金額×30%

※2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

このように、所有期間によって税率が約2倍異なります。例えば、所有期間が5年に近い物件で住み替えを急いでない場合は、5年を超えてから売却する事で支払う譲渡所得税をおさえることができるため、売買タイミングを考えるうえで一つの目安となるでしょう。

ただし、譲渡所得税は住宅売却において譲渡益(利益)が出た時に課税される税金です。またマイホームの売却では、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用されると、3,000万円以下の譲渡所得については控除されます。

住宅の住み替えで3,000万円以上の利益が出てしまうケースは多くありませんが、多くの売却益が予想され、該当する場合には譲渡所得についても注意しておくと良いでしょう。

1-4.ライフイベントの変化

国土交通省が行った2018年の「平成30年住生活総合調査」によると、ファミリー世帯(親と子から成る世帯)が住み替えを行う目的の第1位は「広さや部屋数」、続いて「使いやすさの向上」「新しさ・きれいさ」「子育てのしやすさ」という結果になりました。

なお、高齢者が住宅で改善したい点としては、「きれいにする(痛みを直す)」「高齢期の住みやすさ」「使いやすさの向上」が上位となっています。

ファミリー世帯は子供が大きくなったことにより家が狭くなり住み替えを行う方、築浅の物件に引っ越したいという方が多く、高齢者は現在の家をリフォームしたい方やバリアフリーといった機能を付けたいという希望をもつ方が多い結果となっています。

単身者は世帯構成別で見ると住み替えを行う割合が最も高く、理由として「通勤・通学の利便性」を挙げた方が35.1%で最も多くなっています。転勤や転職、進学等がきっかけとなり住み替えを行う方がファミリー層より多い傾向にあります。

金利や不動産価格といった経済的な面だけではなく、上記のようなライフイベントの変化も、住み替えを行うタイミングと言えます。それぞれの状況に合わせて、売買タイミングを検討してみましょう。

2.住み替え・買い替えの流れと手順

家の住み替えを行うにあたって、新居の購入と現在住んでいる家の売却の流れを把握しておきましょう。新居の購入だけでも物件探し、見学や内覧、購入を決めた後契約を結びローンの申し込み、最後に引き渡しと1つずつ手順を踏んでいくことになります。

また、家の住み替えでは、基本的に現在住んでいる家の売却を先に行う「売り先行」と、新しい家の購入を先に行う「買い先行」、の2つのパターンが存在します。

購入と売却の流れ、売り先行と買い先行のどちらを選んだら良いかをご紹介していきます。

2-1.住宅購入の流れ・手順

住宅購入の大まかな流れは、以下の通りになっています。

  1. 物件を探す
  2. 物件の見学・内覧
  3. 購入決定
  4. 売買契約を結ぶ
  5. ローンを利用する場合、ローンの申し込み
  6. 引き渡し

購入する物件が新築で建築中の場合、引き渡しのタイミングが建築後となりますので場合によっては数ヶ月から1年かかるケースがあります。住宅ローンを利用する場合はローンの申し込み審査の時間を踏まえた上で、スケジュールを決定しましょう。

2-2.住宅売却の流れ・手順

次に、住宅売却の大まかな流れを見て行きましょう。

  1. 不動産会社に査定を依頼
  2. 物件価格の調査
  3. 媒介契約
  4. 売却活動
  5. 売買契約を結ぶ
  6. 引き渡し

住宅売却は購入希望者がすぐに表れるかどうかわからないため、住宅購入と比較してスケジュール調整が難しくなります。売却手順の中でもポイントとなりやすい、「不動産会社へ査定を依頼する」「媒介契約を結ぶ」という2点について詳しく見て行きましょう。

不動産会社に査定を依頼する

不動産会社に査定を依頼する際は、複数の会社に依頼し、査定価格や査定の根拠を比較するようにしましょう。悪徳な不動産会社によっては査定価格を根拠も薄いままに高く提示し、案件獲得を優先するケースがあるためです。

複数の不動産会社に査定を依頼する場合は、物件情報を一度登録すると複数社へ同時に査定依頼ができる「不動産一括査定サイト」の利用を検討してみましょう。不動産一括査定サイトを活用することで、効率的に複数社の査定価格や査定の根拠を比較することが可能です。

以下は、主な不動産査定サイトの一覧です。ここでご紹介している不動産一括査定サイトは、悪徳業者の排除を積極的に行い、全国エリアの物件に対応している特徴があります。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
SUUMO(スーモ)不動産売却[PR] 株式会社リクルート 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産査定後は、仲介を依頼する不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を行った後、購入希望者と契約を交わし引き渡しという流れになります。

仲介による売却で結ぶ媒介契約は、複数社に仲介依頼が出来る「一般媒介契約」と、仲介を1社に限定する「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれメリットとデメリットが異なります。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社への依頼 × ×
自分で見つけた買主との単独契約 ×
指定流通機構への登録義務
販売活動の報告義務
契約期間 規制は無し 3ヵ月以内 3ヵ月以内

どの不動産会社に仲介を依頼するか迷う場合は、まずは複数社と一般媒介契約を締結し、売却ができずに契約更新となったタイミングで1社との専任・専属専任媒介契約に切り替えるなど、工夫をしてみましょう。

【関連記事】はじめての不動産売却、手順や流れは?不動産会社の選び方も

なお、転勤や離婚等、急いで売却したいケースでは不動産会社に買取を依頼すると仲介より早く売却できます。

ただし、買取の場合は売却価格が相場の6~7割になる傾向があります。時間をかけても出来るだけ高く売却したい場合には不向きな手段とも言えますので、買取を検討する際は注意しておきましょう。

【関連記事】不動産売却、買取相場を知る方法は?売却価格の調べ方や仲介との比較も

2-3.売り先行か買い先行か

新居の購入と現在住んでいる家の売却のどちらを先に行うかで、引っ越しのタイミングや新居探しの期間等が異なり、売却価格にも影響があります。

現在の家の引き渡しと新しい家への入居が同時期であれば、一度仮住まいに引っ越した後に再度新居に引っ越す、ローンが二重になってしまう、といった事態を避けられるためスムーズで負担の少ない住み替えが可能です。

ただし時期の調整が難しいため、多くの場合は売り先行、または買い先行のどちらかのケースとなります。それぞれのメリットとデメリットを見て行きましょう。

買い先行のメリット・デメリット

購入を先に行う「買い先行」の場合、新居探しに時間をかけられる、一度仮住まいの物件に引っ越す必要がないといったメリットが存在する一方で、売却のタイミングによってはローンが二重になってしまう等のデメリットがあります。

また売却を急ぐパターンが多いため、売却価格が安くなってしまう傾向があります。

売り先行のメリット・デメリット

売却が先の「売り先行」では、売却価格が決まってから新居を探すので、資金計画が立てやすい、売却に時間をかけられるため価格交渉が行いやすいといったメリットがあります。

ただし仮住まいが必要となるケースがあること、新居探しに時間をかけられない可能性があるといったデメリットも存在します。

買い先行と売り先行にはそれぞれ上記のようなメリットとデメリットがありますが、「経済的な面より納得のいく新居探しを行いたい」という方は買い先行、「売却価格を高くしたい」「資金の計画をきちんと立てたい」という方は売り先行を検討してみましょう、

【関連記事】家の住み替え、スムーズに行う手順とは?適用したい住宅ローン控除も

まとめ

住宅を買い替える・住み替えるタイミングを考えるにあたり、ローンの金利や不動産価格の推移、譲渡所得税などが一つの目安となります。また、金利や築年数といった経済的な面だけではなく、個人ごとに起こるライフイベントの変化も、住み替えを行うタイミングと言えるでしょう。

また、住み替えを検討している方は、購入と売却の流れや手順を確認し、「売り先行」「買い先行」のメリット・デメリットをおさえておくことも重要です。それぞれの状況や不動産の状態に合わせ、適切な買い替え・住み替えの時期を見極めていきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。