家はいつ売るべき?築年数別の不動産価格と売却戦略を比較

「家を売りたいけれど古くなっているから売れないのではないか」と、不安に思う方は多いのではないでしょうか。実際に、家は新しいほど金融機関の担保価値が高く、築年数が経過するほど売却価格が下がる傾向にあります。

しかし、売る時期が早ければ早いほど、高く売れやすいかというとそうではありません。実際に売買が成約している中古住宅のデータを見れば、売れやすい築年数をつかむこともできます。

この記事では、築年数ごとの価格や成約件数の推移と、家を売るポイントを築年数別に解説します。

目次

  1. 築年数の経過とともに家の価値は下がっていく
    1-1.戸建てとマンションとで価値の下がり方は違う
    1-2.築年数別の中古住宅の成約件数
    1-3.何年経つと築古の家になる?
    1-4.古くても価値がある住宅とは
  2. 築年数別に見る家の価格や売却に向けた対応策
    2-1.築5年以内の中古物件の売却
    2-2.築10年前後の中古物件の売却
    2-3.築15年前後の中古物件の売却
    2-4.築20年前後の中古物件の売却
    2-5.築30年前後の中古物件の売却
  3. 築古物件を売るための注意点
    3-1.リフォームは対象箇所をよく検討する
    3-2.家の売却期限があるのなら「買取」も併せて検討する
    3-3.家の価格設定と売り出し時期について
  4. 定期的に不動産会社の査定を受けておく
  5. まとめ

1.築年数の経過とともに家の価値は下がっていく

立地などの条件に左右される部分もあるものの、家は築年数が経過すると価値が下がっていきます。しかし、マンションなのか戸建住宅なのかによって価値の下がり方は異なり、必ずしも古い家が売れにくいわけではありません。

まず、家の築年数と価格の推移のほか、築年数別の成約率などについて解説していきます。

1-1.戸建てとマンションとで価値の下がり方は違う

戸建住宅とマンションとの築年数別価格推移は、以下グラフの通りです。

*公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2019年10~12月】」を参照して編集部作成

戸建住宅は、全体的に緩やかに価格が下がっていきます。一方、マンションは築10年から築20年までは緩やかですが、築20年を過ぎると急激に価格が下がります。また、築30年以降はほとんど価格が変わっていません。

1-2.築年数別の中古住宅の成約件数

*公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2019年10~12月】」を参照して編集部作成

マンションも戸建住宅も、築30年超えが最も成約件数が多くなっています。なお、東日本不動産流通機構が出している過去のデータを見ていくと、売りに出される住宅の築年数の平均値は毎年上昇傾向にあります。

築30年以前で見ていくと、マンションは特に築15年までをピークに成約件数が上下しています。築年数の経過に伴い、下がってくる価格と物件の古さとがバランスするのが築15年あたりであると考えられます。

1-3.何年経つと築古の家になる?

築古という言葉に明確な定義はありません。ただ、マンションについては特に築20年を過ぎると価格が急激に下がることから、築20年を境目として捉えるのも一つの指標になります。

また、多くの金融機関では建物の担保価値を評価する際に法定耐用年数を採用しています。このことから、法定耐用年数が残っていない物件を築古物件と呼ぶこともあります。

下記は構造別に定められている法定耐用年数の表です。

構造 年数
軽量鉄骨造 19年
木造 22年
鉄骨造 34年
鉄筋コンクリート造 47年

所有している家の耐用年数が何年残っているのかを確認してみると良いでしょう。家の構造や建築年は、不動産の登記簿謄本でも確認することができます。

1-4.古くても価値がある住宅とは

築年数の経過とともに成約価格が下がる傾向があるのはすでに解説した通りです。しかし、築年数が経過しても価格が下がりにくい住宅も存在します。古くなっても価値が下がりにくい家の条件の一つとして、立地条件が良いことが挙げられます。

戸建住宅は土地とセットで売却されることが多く、土地は住宅と違って劣化しません。土地評価額の変動が少ない立地であれば価値が下落しにくい住宅と言えます。

またマンションの場合でも、駅から近く人口減少が起きていないエリアであれば賃貸需要が減少せず、築年数が経過しても売却価格が下がりにくい傾向があります。

住宅を選ぶときに将来的な売却も視野に入れているのであれば、立地を重視して選ぶことが大切です。駅からの距離やバスなど交通の便のほかに、駅前再開発の予定なども確認しておくとよいでしょう。再開発地域では、周辺人口の集積とともに住宅需要が高まりやすくなります。

2.築年数別に見る家の価格や売却に向けた対応策

家の売却では、住宅ローン控除の制限や修繕時期など考慮すべきことが複数あるうえ、時期によって気をつけるべき内容が異なります。ここでは築年数別の価格や、売却の注意点などについて解説して行きます。

2-1.築5年以内の中古物件の売却

築5年以内の住宅は価格の下落率は低いものの中古であるため、都心部の高級住宅を除いて新築時よりも価格は下落します。売却を検討する際はあくまでも周辺相場に合わせ、売り出し価格を上げすぎないように注意が必要です。

また、周辺で新築物件が多数売り出されているような状況だと、住宅の供給過剰が起こって売れにくくなることも考えられます。築5年以内で売り出すのであれば、新築物件の供給状況も確認しておくことが重要です。

2-2.築10年前後の中古物件の売却

築10年前後の住宅は、買い手から見ると購入検討がしやすい物件と言えます。新築時より価格が下がっている一方で、法定耐用年数が残っていることから金融機関の住宅ローン融資も受けやすいためです。

また売り手にとっても、6年目以降は住宅の売却益に課税される譲渡税の税率が下がり、売却を検討しやすい時期と言えるでしょう。

一方、築10年前後の時期は新築住宅を買った人が同様の考えから一斉に売り出す時期でもあり、競争が激しくなることが予想されます。スムーズな売却を成功させるために、不動産会社とコミュニケーションを欠かさないようにすることが重要です。

2-3.築15年前後の中古物件の売却

「1-2.築年数別の中古住宅の成約件数」でご紹介した築年数別の成約数を見ると、築15年前後の中古マンションは最も契約数が多くなっています。

しかしマンションの場合、築10年~築15年の間は一般的な大規模修繕工事の時期に差し掛かりますので注意しておきましょう。国土交通省が示しているガイドラインでは、築12年が1回目の大規模修繕工事を施行する時期とされています。

大規模修繕工事が始まると、外壁に足場がかけられて外観がわかりにくくなったり、バルコニーからの眺望がわからなくなったりなど、売却する上での障害が多くなります。

大規模修繕工事が始まると、工事が終わるまでに3ヶ月〜4ヶ月程度はかかるので、工事開始時期を把握するのが重要です。その他、工事に向けて管理組合の修繕積立金が不足していると一時金の徴収や修繕積立金の値上げなどが実施される可能性があります。

大規模修繕工事については、管理組合の理事会などで話し合いされるので、マンションの管理会社に問い合わせて確認するとよいでしょう。

また、築15年前後のマンションの場合は、買主が受ける住宅ローン控除についても注意しておきましょう。マンションの住宅ローン控除が使えるのは築25年までとなっており、築15年を過ぎると最長の10年間控除を受けられないことになります。

2-4.築20年前後の中古物件の売却

築20年を過ぎると、マンションは急激に売却価格が下がります。買い手目線で考えると、手頃な値段で買えるようになる一方で、立地条件などのメリットがないと選びにくい築年数と言えます。

また木造戸建住宅の場合は、築20年を過ぎると買主側で住宅ローン控除が使えなくなります。買主が住宅ローン控除を使えるようにするためには、耐震基準適合証明の取得が必要です。売り出す前に、耐震基準の適合性を確認しておくとよいでしょう。

2-5.築30年前後の中古物件の売却

築30年を過ぎると、マンション・戸建住宅ともに急激に成約件数が増えます。築30年の物件は金融機関の担保評価が低くなり、大きく価格が下落することで購入希望者が増えるためです。また、築古になった物件を手放したい売主の意向も背景としてあるでしょう。

築30年を過ぎている住宅を売却するにあたって注意すべきは、耐震基準の適合性です。1981年以前に建築された建物は、新耐震基準に適合していない可能性があります。

また、木造戸建の場合は建物部分の耐用年数がなくなり、再調達価格による評価がなくなっている状態です。希望価格での売却が長期化してしまった場合は、住宅売却だけではなく「土地の売却・土地活用」なども並行して検討してみましょう。

建物を含まない土地の売却、土地活用に関しては下記の記事でもご紹介しています。

【関連記事】土地売却をスムーズに行うには?売却前に確認したいポイント4つ

3.築古物件を売るための注意点

次に、築古物件を売る上でどのようなポイントについて注意すべきか解説します。

3-1.リフォームは対象箇所をよく検討する

できるだけ高く中古住宅を売却するために、あらかじめリフォームをして売り出すことを検討する方も少なくないのではないでしょうか。しかし、自分でリノベーションしたいと考えている買い手や不動産業者も多いため、リフォーム箇所は慎重に検討して実施することが大切です。

リフォームにかかった費用を売却価格に転嫁すると、売り出し価格が周辺相場と乖離することもあるためです。

リフォームをする際は最低限修繕しなければならない箇所を見極め、費用をあまりかけずに行うと良いでしょう。

3-2.家の売却期限があるのなら「買取」も併せて検討する

転勤などの事情により売却完了までの期限があるという人もいるでしょう。通常、住宅の売却が完了するまでの期間は3ヶ月〜4ヶ月が目安です。買い手がつかなければ、これよりも売却が長期化することになります。

売却完了までの期限があるのなら、不動産業者による買取も並行しながら検討するとよいでしょう。不動産業者の買取であれば、仲介による売却と比較して早期に売却できる可能性があります。

ただし、買取価格は仲介による売却よりも2割前後安くなる傾向があります。買取を選ぶ際は売却希望価格と売却期限の重要度を比較しつつ、慎重に検討しましょう。

3-3.家の価格設定と売り出し時期について

売り出し価格は買主からの指値交渉に備え、周辺相場の1割程度を目安に設定すると良いでしょう。

ただし、売出価格の設定は売却を依頼した不動産会社と相談しつつ慎重に検討することも大切です。周辺の相場状況によって値段の高さから買い手候補者に敬遠されてしまうこともありますので、状況に合わせて売出価格の設定を行いましょう。

また、一般的に毎年異動や転勤が多い2月〜3月は住宅を売りやすい時期とされています。

ただ、2月〜3月は住宅のニーズが全体的に高まりやすい時期であり、競争も激しくなります。住宅のエリアや間取りによって売却に適した時期が異なることがあるため、こちらも不動産会社の担当者と販売戦略についてよく話し合うようにしましょう。

4.定期的に不動産会社の査定を受けておく

データを見ることで、中古住宅の売却における築年数別の傾向が分かるものの、実際の最適な売却タイミングは所有する物件の条件によって大きく異なります。

不動産会社が行う不動産査定では、築年数だけでなく立地条件や周辺の賃貸需要の推移、土地評価額の推移など様々な状況を多角的に判断されるためです。

築年数が経過している家が実際にはどのような価格推移をしているのかを確認するため、不動産会社による物件査定を定期的に受けておきましょう。

不動産一括査定サービスを活用すると、物件情報を一度登録するだけで複数の不動産会社から査定結果を受け取ることができます。また、これらの不動産一括査定サービスは売却検討中の段階でも無料で利用できる点が大きな特徴となっています。

大がかりな訪問査定だけでなく、不動産会社が机上で計算する簡易査定を受けることも可能です。複数社の査定結果を確認し、物件の価格推移を定点観測しておきましょう。

主な不動産一括査定サービス

サイト名 運営会社 特徴
リガイド(RE-Guide) 株式会社ウェイブダッシュ 2006年にサービスを開始。2020年で15年目を迎える。独自の審査で厳選した700社の優良不動産会社が掲載。収益物件情報を掲載する姉妹サイトを持ち、他サイトと比較して投資用不動産の売却に強みを持つ。
すまいValue 不動産仲介大手6社による共同運営 東急リバブルや住友不動産販売など不動産業界大手企業が運営する不動産査定サイト。全国870店舗。利用者は2020年1月で36万件を突破。
LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス 株式会社LIFULL サービス利用者数は612万人を突破(2020年1月時点)。参加社数1,849社と、日本最大級の不動産・住宅情報サイト『HOME’S』の強みを生かしたサイトです
HOME4U 株式会社NTTデータ スマートソーシング 全国1300社の不動産会社を厳選。HOME4Uでは査定依頼をする際に、大手企業と地域密着型企業の両方への依頼を推進。
イエウール 株式会社Speee 全国1,600社が参加。「地方・地域密着」企業を多数掲載し、地域情報を交えたより詳細な情報から査定を追求。

不動産一括査定サイトによって、登録されている不動産会社が異なります。査定を依頼したい不動産に合わせて、利用するサイトを選んでみましょう。

【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

まとめ

統計を見ると、家を売るのに適したタイミングは、マンションならば築15年前後とも考えられます。戸建住宅については、築年数ごとに売れやすい明確なタイミングはありません。しかし、住宅ローン控除の制度について考慮すると、築10年前後がひとつの目安とも考えられます。

しかし、マンションも戸建住宅も、立地がよければ築年数に関係なく売れる可能性が高いとも言えます。築年数は家の売却タイミングを計るうえで一つの指標となりますが、立地や金融機関の融資状況など他の状況も踏まえて検討することが大切です。

最適なタイミングで家の売却を行うためにも、不動産会社の担当者とコミュニケーションをとって、適切な販売戦略を取るようにしましょう。

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