愛着のあるマンションでも、子供の独立やライフスタイルの変化などで間取りや立地が不便に感じてしまうことがあります。ライフスタイルの変化に合わせて、買い替えを検討されている方も多いでしょう。
しかし、マンションの買い替えは購入時と異なり、売却と購入を同時に進めなければならないという点で手間がかかります。また、売却に失敗したり時間がかかりすぎてしまうと新居選びにも大きな影響が出てくる可能性もあります。
そこで今回のコラムでは、マンションの買い替えに失敗しない順番について解説し、住宅ローンを利用する注意点も紹介します。マンション買い替えを検討されていた方はご参考ください。
目次
- マンションを買い替える流れ
1-1.売り先行のマンション買い替えの流れ
1-2.買い先行のマンション買い替えの流れ
1-3.同時進行でマンション買い替えを行う流れ - 買い替えの際に住宅ローンを利用する注意点
2-1.ローン申込者の属性を上げておく
2-2.つなぎ融資を利用する際は資金計画の見直しを
2-3.住宅ローンが完済できない場合は住み替えローンを利用する - マンションの買い替えで失敗しないためのポイント
- まとめ
1 マンションを買い替える流れ
マンションを買い替えるには、現在住んでいるマンションを売却することと、新しいマンションを購入するという2つのことを行わなければいけません。大きく分けると「売り先行」「買い先行」「同時進行」という3つの流れがありますので、それぞれについて流れを解説していきます。
1-1 売り先行のマンション買い替えの流れ
売り先行とは、現在住んでいるマンションを売却してから、新しいマンションを購入することです。主な流れは以下になります。
- (売却)既存マンションの査定をしてもらう
- (売却)売却活動をしてもらう不動産会社を選ぶ
- (購入)新しいマンションを探す
- (売却)買主が見つかる
- (売却)買主と不動産売買契約を結ぶ(手付金が支払われる)
- (購入)新しいマンションの不動産売買契約を結ぶ(手付金を支払う)
- (売却)既存マンションの引き渡しを行う(売買代金の残額が支払われる)
- (購入)新しいマンションが引き渡される(住宅ローンが実行される)
- (購入)新しいマンションに引っ越す
売り先行は、現在のマンションの売却代金を、新しいマンションの購入代金に充てたいという意向のある方に多い方法です。売却が確定してから新しいマンションを購入するため、資金計画が立てやすいというメリットがあります。
失敗しないためのポイント
新しいマンションが引き渡される前に、現在住んでいるマンションを引き渡してしまうと仮住まいをする必要があります。その場合は、現在のマンションから引っ越し先、引っ越し先から新しいマンションといったように引っ越しを2回することになります。
そのため、④で買主が見つかる前に新しいマンションを探し始め、買主と不動産売買契約を締結する頃には、新しいマンションの申し込みを行っているような流れで進めると良いでしょう。既存マンションの売却が確定して手付金をもらうことができるため、新しいマンションの売買契約を結びやすくなります。また、既存マンションの引き渡しと、新しいマンションの引き渡しをほぼ同時期に行えるようになります。
1-2 買い先行のマンション買い替えの流れ
買い先行は、新しいマンションを購入してから、住んでいるマンションを売却するという流れになります。順番を追って見てみましょう。
- (購入)新しいマンションを探す
- (購入)新しいマンションの不動産売買契約を結ぶ(手付金を支払う)
- (購入)新しいマンションが引き渡される(住宅ローンが実行される)
- (購入)新しいマンションに引っ越す
- (売却)既存マンションの査定をしてもらう
- (売却)売却活動をしてもらう不動産会社を選ぶ
- (売却)買主が見つかる
- (売却)買主と不動産売買契約を結ぶ(手付金が支払われる)
- (売却)既存マンションの引き渡しを行う(売買代金の残額が支払われる)
売り先行は、新しいマンションの購入に関わる自己資金が用意できている方に向いている方法です。そのため、既存マンションがなかなか売れないっといった影響を受けずに、新しいマンションに引っ越しができるのが特徴になります。既存マンションを売却するタイミングは、新しいマンションに引っ越してからでも、それ以前でも構いません。
売り先行では、既存マンションから引っ越した後に空室状態の部屋を買主候補に見てもらえるのがメリットです。ホームステージングなどを行って売却活動ができるため、早期かつ値崩れを起こさずに売却できる可能性が高まります。
失敗しないためのポイント
既存マンションの住宅ローン残債がある場合、2つのローンを抱えるダブルローン状態になる期間ができてしまいます。ダブルローンの場合、審査が厳しくなることに加え、実際にローン返済が始まると、家計への負担が大きくなってしまいます。
また、2つのマンションを維持する必要があるため、管理費、修繕積立金などの維持費、固定資産税・都市計画税などの支払いが2倍になります。既存マンションがなかなか売却できない場合は、この状態がずっと続いてしまうことになるのです。
こうした状況を回避するには、②の新しいマンションの売買契約を締結するあたりで、⑤の既存マンションの査定を行い、売却活動を始めるような流れが良いでしょう。
また、ダブルローンを避ける方法には「住み替えローン」を活用するという手段もあります。住み替えローンは前の住居と新居のローンを一本化でき、住宅ローンの残債があっても住み替えができるというメリットがあります。
ただし、住み替えローンは借入額が高額になってしまうことで金利が高くなったり、通常の住宅ローンで活用できた優遇金利が利用できなくなってしまうケースがあります。利用を検討される際は十分に注意しておきましょう。
【関連記事】住み替えローンのメリット・デメリットは?利用の手順や注意点も
1-3 同時進行でマンション買い替えを行う流れ
同時進行でマンションを買い替える際は、既存マンションの売却と新しいマンションの購入をほぼ同時に行うことになります。理同じ日に決済をし、数日間の猶予期間内に引っ越しを済ませるという流れになります。詳しく見てみましょう。
- (売却)既存マンションの査定をしてもらう
- (購入)新しいマンションを探す
- (売却)売却活動をしてもらう不動産会社を選ぶ
- (売却)買主が見つかる
- (売却)買主と不動産売買契約を結ぶ(手付金が支払われる)
- (購入)新しいマンションの不動産売買契約を結ぶ(手付金を支払う)
- (売却)既存マンションの引き渡しを行う(売買代金の残額が支払われる)
- (購入)新しいマンションが引き渡される(住宅ローンが実行される)
- (購入)新しいマンションに引っ越す
売り先行の流れと同様に、売却と購入の売買契約日、さらに引き渡し日を近くに設定することで仮住まいの必要がないなどのメリットがあります。
失敗しないポイント
同時進行は、特に売却と購入のタイミングが難しくなります。例えば、想定範囲内の金額で購入を希望する買主が現れた場合、新しいマンションを見つけるまで待ってもらうか、それとも売り先行に切り替えるか、などの判断をすることになります。
一方、条件に合ったマンションを見つけた場合、既存マンションの売却を急ぐために販売価格を下げてしまうといったこともあります。その場合、手元に残る資金が減ってしまうため、資金計画を見直す必要が出てきてしまいます。
このように同時進行でマンションの買い替えを進める場合、必ずしも想定通りに進まないことが考えられます。そのため、状況に合わせた柔軟な姿勢で判断することが必要です。
2 買い替えの際に住宅ローンを利用する注意点
マンションの買い替えは、住宅ローンをうまく利用することも重要です。3つの注意点を見ていきましょう。
2-1 ローン申込者の属性を上げておく
住宅ローンを利用する際は、返済能力を確認するために審査を行います。そのため、ローン申込者の属性を少しでも上げておくようにしましょう。
ローン申込者の属性とは、その人が持っている社会的および経済的な背景のことで、属性が良いほど住宅ローンの審査に通りやすくなります。金融機関によって審査内容は異なりますが、概ね下記の項目が審査対象になります。
- 年収
- 年齢
- 勤務先
- 勤務年数
- 雇用形態
- 家族構成
- 資産の状況
- 借入金の状況、など
年齢や勤務先などはすぐに変えることはできませんが、資産や借入金の状況などによって評価を上げることができます。例えば、他の借入がある場合には返済しておいたり、貯蓄を増やす、クレジットカードの利用を控える、不要なカードを解約しておくなどの対策をしておきましょう。
買い替えの場合は、特に既存マンションの住宅ローンを遅滞なく返済しているかも審査されますので、確認しておきましょう。税金や国民年金、健康保険料などの支払いが遅延していないかも確認事項です。
また、買い先行の場合はダブルローンになる可能性が高く、その場合は金融機関の審査がより厳しくなることも覚えておきましょう。2つの住宅ローンを抱えるため、返済能力が厳格に審査されます。
2-2 つなぎ融資を利用する際は資金計画の見直しを
つなぎ融資とは、既存マンションの売却より前に新しいマンションの購入代金の支払いをする際に利用できる短期の融資です。一時的な資金不足を補うためのもので、借入期間は1カ月〜1年以内が主流です。
気に入ったマンションの購入を逃したくない場合など、買い替えをスムーズに進めることができますが、資金面ではデメリットもあるので注意が必要です。下記が主なメリットとデメリットです。
メリット | デメリット |
---|---|
気に入ったマンションを購入できる 仮住まいをしなくていい |
金利は住宅ローンよりも高い 事務手数料がかかる 資金計画が狂うケースもある 融資期間内に売却する必要がある |
つなぎ融資は、既存マンションの売却が確定しないうちに利用するため、売却価格が低下してしまうと返済に苦慮することもあります。そのため、相場よりも低い売却価格を見込んで、資金計画を見直すといったことが必要になります。
また、つなぎ融資は返済期限が1カ月〜1年の短期の融資で、返済期限が終わるタイミングで借入金を返済する必要があります。この時点で既存マンションの売却が決まっていない場合は、自己資金で返済するなどの対応が必要で、返済が遅れた場合は遅延損害金が発生してしまうことになります。
2-3 住宅ローンが完済できない場合は住み替えローンを利用する
住宅ローンを返済中のマンションを売却する際は、金融機関が抵当権を設定しているため、住宅ローンの完済が条件の一つになります。抵当権がついたまま物件を売却することもできますが、実際には買主が現れにくいため、抵当権の抹消が条件になっているのです。
そのため、住宅ローンの残債と査定価格を比べて、売却の際に住宅ローンが完済できるような価格で売却することが必要です。
ただし、査定価格が想定よりも低く、ローン残債より高く売れない可能性もあります。その場合、買い替えを断念することも考えられますが、住み替えローンを利用する方法もあります。住み替えローンとは、ローン残債と新しいマンションの購入資金を合わせて借りられる金融商品で、住宅ローンを利用している金融機関に相談されると良いでしょう。
3 マンションの買い替えで失敗しないためのポイント
マンションの買い替えを失敗しないためには、既存マンションの売却活動を適切に行うことです。想定よりも売却価格が低くなると住宅ローンの完済ができなくなったり、売却が進まないと買い替え自体の流れが滞ってしまいます。そのため、売却活動を行ってくれる不動産会社を適切に選ぶことが必要です。
マンション売却を依頼する不動産会社を選ぶ際のポイントは下記になります。
- 物件のあるエリアに精通している
- スピーディーな対応をしている
- 売却する物件タイプを得意としている
- 豊富な実績がある
- 親身になって相談に乗ってくれる
- 知識に基づいたアドバイスをしてくれる、など
また、複数の不動産会社に査定を行ってもらうこともポイントの一つです。査定価格の相場が確認できたり、不動産会社選びに役立ちます。その際に便利なのが不動産一括査定サイトです。下記の表は、代表的な不動産一括査定サイトです。
主な不動産一括査定サイト
サイト名 | 運営会社 | 特徴 |
---|---|---|
SUUMO(スーモ)不動産売却[PR] | 株式会社リクルート | 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。 |
すまいValue[PR] | 不動産仲介大手6社による共同運営 | 査定は業界をリードする6社のみ。全国841店舗。利用者の95.5%が「安心感がある」と回答 |
LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス[PR] | 株式会社LIFULL | 全国3826社以上の不動産会社に依頼できる。匿名での依頼も可能 |
リガイド(RE-Guide)[PR] | 株式会社ウェイブダッシュ | 17年目の老舗サイト。登録会社数900社、最大10社から査定を受け取れる。収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却に強みあり |
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
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【関連記事】不動産一括査定サイトのおすすめは?大手査定サイト5社を比較
まとめ
マンションの買い替えを行う際は、大きく3つの方法があります。自己資金がある場合や気に入ったマンションをすぐに購入したいといったケースなどで、どの方法を選ぶかは異なってきます。
どの方法を選んでも基本的な手順がありますので、できるだけ沿うように進めていきましょう。ただし、不動産市場は日々動いているもので、想定通りに進まないこともあります。そのため、柔軟な視点で判断することも重要です。
また、買い替えを失敗しないためには、既存マンションの売却、新しいマンションの購入をスムーズに進める必要があります。不動産会社を選ぶ際には不動産一括査定サイトが役に立ちますので、利用を検討されると良いでしょう。
倉岡 明広
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