不動産一括査定サイトのおすすめは?大手査定サイト5社を比較

※ このページには広告・PRが含まれています

収益物件の売却はもちろん、急に転勤することになったときの自宅や遺産相続することになった実家など、不動産の売却が必要となるケースは意外と少なくありません。しかし初めての不動産売却では「納得のいく価格で売れるか」という不安があるかと思います。

そこで、売却の手助けとなるのが不動産一括査定サイトです。本記事は一括査定サイトを利用するメリット・デメリット、不動産一括査定サイトの比較などを取り上げていますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 不動産一括査定サイトの特徴
    1. 不動産一括査定サイトとは
    2. 一括査定サイトの3つのメリット
    3. 一括査定サイトの3つのデメリット
  2. 不動産一括査定サイトのおすすめは?大手査定サイト5社を比較
    1. SUUMO(スーモ)不動産売却査定
    2. RE-Guide
    3. すまいValue
    4. HOME4U
    5. イエウール
  3. 不動産一括査定サイトを利用する手順
    1. 査定依頼者の個人情報と物件情報を入力する
    2. 査定を依頼する不動産会社の選択
    3. 不動産会社から査定結果の連絡を待つ
    4. 査定価格の確認後、仲介か買取かを比較検討する
    5. 仲介で不動産を売却する際は媒介契約を締結する
  4. 不動産一括査定サイトで高く売るためのコツ
    1. 不動産売却価格の希望・目標額を決める
    2. 不動産査定に必要な書類・情報を集める
    3. 不動産に不具合があるか把握する
  5. 不動産一括査定サイトを利用した後の注意点
    1. 査定価格はあくまで参考価格
    2. 査定価格以外の販売活動も重視

1 不動産一括査定サイトの特徴

ここでは不動産一括査定サイトの特徴を理解するため、その概要、メリット・デメリットを説明します。

1-1 不動産一括査定サイトとは

不動産一括査定サイトでは、売却を検討している物件の査定を複数の不動産会社に一括で依頼することができます。通常、不動産の査定は個別に行いますが、不動産一括サイトを利用すれば1回の入力で複数社に査定依頼でき、回答があった中から良い条件を比較検討することが可能です。

一括査定サイトを利用する魅力

たとえば売却希望者のプロフィールや所有不動産に関する情報を入力すると、希望者に適した不動産会社が数社選ばれ、各会社から査定価格の連絡がもらえます。

一括査定サイトは無料で仲介先の候補となる不動産会社から売却の参考価格をまとめて取り寄せることができます。

一括査定サイトのビジネスモデルは?

不動産一括査定サイトは不動産会社から顧客紹介料を得ることを目的として、不動産関係・ウェブマーケティング関係の会社などによって運営されています。

売却希望者が一括査定サイトで査定を申し込むと、選出された不動産会社はサイト側に顧客紹介料を支払うという仕組みです。そのためサイト利用者は無料で一括査定の依頼ができます。

1-2 一括査定サイトの3つのメリット

次に、一括査定サイトを利用するメリットを見ていきましょう。

一度に複数の査定価格が得られる

前述したとおり、不動産一括査定サイトを利用すると査定価格が一度に複数社から得られ、相場の把握と売却価格の設定に役立ちます。

一括査定サイトを利用しない場合、相場を調べるために自分で不動産会社に確認したり、不動産情報サイトで相場を調査しなければなりません。しかし、一括査定サイトを利用すれば複数の不動産会社から査定価格が得られるので、不動産市場での相場や実際に売却できそうな価格を一度に把握でき、売り出し価格を決めることができます。

また、一括査定サイトでは売主や物件に適した不動産会社が選出されるように工夫されているため、その売主のニーズにあった不動産会社に依頼することが可能です。

不動産会社にはそれぞれ特定の地域や物件(戸建、マンション、オフィスビル、商業施設、工場等)に強い、弱いなどの特徴があります。一括査定サイトではそうした点が考慮されており、物件ごとの売却に最適な不動産会社が選出されるので売主が自ら調べる手間も省けます。

売却までの時間短縮につながる

不動産一括査定サイトは、より高く売却する可能性の高い不動産会社を複数選出してくれるので、「売却までの時間短縮」が期待できます。

一括査定サイトを利用しない場合、売主は各不動産会社に売却を相談し査定してもらうことからスタートしなければなりません。もし相談・査定した会社で満足のいく結果が得られないと、その時点から次の不動産会社に同様のアプローチをすることになるので手間となります。

こうしたやり取りを何度も繰り返せば売却までに相当の時間を要し、最適な売却時期を逃しかねません。しかし、一括査定サイトを利用すれば、短時間で依頼できそうな不動産会社が複数選出されるので、依頼先を選定する時間が短縮されます。

売却に熱心な不動産会社を選べる

一括査定サイトが抽出した複数の不動産会社を比較することで最も売却に熱心な会社を選びやすくなります。

査定価格も重要ですが、不動産会社の営業担当者が物件の売却にどれだけ熱心であるかも売却の実現に大きく影響します。地域の不動産市場の状況を分析したうえで、「最適な売却戦略を立案し具体的な方策を示してくれるか」「その他の相談にも熱心に乗ってくれるか」といった担当者の接客を見極める必要があります。

査定後の複数の不動産会社との商談の中で上記のような接客態度を比較すれば、最もやる気があり、理想の売却を実現する担当者に出会う確率も高まります。

1-3 不動産一括査定サイトの3つのデメリット

一方、一括査定サイトにはデメリットもあるので注意が必要です。

なかには悪徳業者もいる

不動産一括査定サイトに登録している悪徳業者とは、高い査定額を提示して媒介契約をとり、その後の売却に向けた活動では手を抜き、売却価格の値下げをすぐに提案する会社などです。高めの査定額で客を釣り、十分に営業活動せず仲介手数料だけを狙って値下げを要求します。

仲介手数料が不動産会社にとって大きな収入源となることから上記のような悪徳業者が一括査定サイトに紛れ込んでいる可能性もあるので、明らかに条件の良い提案などには注意が必要です。

マッチング精度は完璧ではない

不動産一括査定サイトにより提携している不動産会社のタイプが大きく異なるケースもあるので、タイプによっては売主のニーズにマッチしないこともあります。

一括査定サイトでは、提携している不動産会社が「大手不動産会社のみ」「中小業者が中心」「特定の地域の業者中心」というように特徴に違いが見られることがあります。また、得意としている物件の違いもあります。それらの違いを把握したうえで一括サイトを利用しないと、売主のニーズに合わない不動産会社に依頼することになります。

たとえば、大手の不動産会社に査定を依頼したくても大手と提携していないサイトではマッチングは困難です。このほか、売却の対象地域を営業エリア外とする査定サイトでも思い通りの売却は難しくなるでしょう。

多くの不動産会社から一斉に営業電話が来ることも

不動産一括査定サイトに査定を申し込むと選出された会社から一斉にコンタクトを受けることになります。特に査定の方法を「訪問査定」にしておくと訪問の日時の確認を含めた熱心な営業電話がかかってくるでしょう。

不動産会社は見込み客と契約を交わすために競合他社よりも早くアポイントをとり商談を進めたいと考えます。こうした行為はビジネス上必要なものですが、なかには相当熱心な営業電話もあり、対応に時間も奪われるので注意が必要です。

2 不動産一括査定サイトのおすすめは?大手査定サイト5社を比較

不動産一括査定サイトを利用する際は、前述したデメリットにも注意しながら登録する査定サイトを選択する必要があります。そこでここでは、悪徳業者の排除を積極的に行っており、全国エリアに対応している不動産一括査定サイトを5社紹介します。それぞれの特徴を比較して検討してみましょう。

SUUMO(スーモ)不動産売却査定

SUUMO不動産売却
サービス名 SUUMO(スーモ)不動産売却査定
サイトURL https://suumo.jp/baikyaku/
運営会社名 株式会社リクルート
提携不動産会社数(店舗数) 2000店舗以上
対応地域 全国
利用者数 非公開

SUUMO売却査定は複数の不動産会社へ査定依頼ができる、株式会社リクルートが運営する不動産一括査定サイトです。不動産会社での査定は全て無料で受けることができ、売却するかどうかは査定依頼の後で決めることが可能となっています。SUUMO売却査定では60秒程度の入力で簡単に無料査定をスタートできるのがメリットです。

SUUMO売却査定で査定を依頼できる業者は、全国の約2,000店舗です。特に注目したいのが、「大京穴吹不動産」「長谷工の仲介」「三菱UFJ不動産販売」などの大手企業や、中堅および地場の小規模事業者など規模に関わらず幅広い不動産会社を網羅している点です。つまり、全国組織の大手企業や、地域に強い中小企業のどちらにも査定してもらえるため、異なった角度からの意見を聞きたい時に便利なサービスです。

SUUMOを運営しているのは「リクナビ」や「タウンワーク」「ゼクシィ」「カーセンサー」などを展開する株式会社リクルートです。数多くの企業と取引実績がある同社では、独自の審査基準を設けて取引企業を審査しています。

SUUMO売却査定では、独自の審査基準において悪質な不動産会社が排除されています。最終的な判断は売主自身が行う必要はありますが、多分野の業界で実績のあるリクルートの審査基準をクリアした業者のみ提携しているという点は、利用者にとってメリットと言えるでしょう。

SUUMO売却査定で査定を一括で依頼できる不動産の種類は、「マンション」「一戸建て」「土地」の3つです。そのため「賃貸アパート」「賃貸マンション」「店舗」「事務所」などで利用することはできません。

RE-Guide

リガイド(RE-Guide)
会社名 RE-Guide
サイトURL http://www.re-guide.jp/
運営会社名 株式会社ウェイブダッシュ
提携不動産会社数 900社以上
一括査定会社数 最大10社
対応地域 全国
利用者数 非公開

投資・収益物件にも関心があるならRE-Guideがおすすめです。同サイトは、EC・仲介サービスサイトなども提供している株式会社ウェイブダッシュによって運営されています。同サイトは2006年に「SBI不動産ガイド」として運営が開始され、実績17年目の老舗一括査定サイトです。

同サイトの特徴としては、最大10社での査定が可能で、大手から地域密着型の会社まで幅広く全国対応が可能、提携会社は独自の審査で厳選するなどが挙げられます。

また、収益物件が得意な会社なども参加しており、同社の別サイトでは賃料査定も可能で、マンションなどの投資・収益物件の情報も提供されています。売却以外の収益・投資に関心のある方にも最適です。

すまいValue

不動産一括査定サイト「すまいValue」
会社名 すまいValue
サイトURL https://sumai-value.jp/
運営会社名 小田急不動産(株)、住友不動産販売(株)、東急リバブル(株)、野村不動産ソリューションズ(株)、三井不動産リアルティ(株)、三菱地所の住まいリレー(三菱地所ハウスネット(株))
提携不動産会社数 6社(875店舗)
対応地域 全国
利用者数 2021年度の成約件数11万件以上

大手不動産会社に査定してもらいたい方には「すまいValue」を検討してみると良いでしょう。同サイトは不動産業界を代表する小田急不動産、東急リバブル、三菱地所の住まいリレー(三菱地所ハウスネット)、住友不動産販売、三井不動産リアルティ、野村不動産ソリューションズの大手6社によって運営されています。

同サイトは、上記6社全国の営業店舗が875店、2021年度の成約件数11万件以上と、大手ならではの展開力と実績が特徴です。ただし、6社以外の地域に密着した不動産会社などからの査定は得られません。

HOME4U

HOME4U
会社名 HOME4U
サイトURL https://www.home4u.jp/sell/
運営会社名 株式会社NTTデータ・スマートソーシング
提携不動産会社数 約2100社
対応地域 全国
利用者数 年間約400万人

HOME4U(ホームフォーユー)は長年の実績と安心が魅力の一括査定サイトです。同サイトはNTTデータグループによって運営されている国内最大級の不動産情報サイトのひとつで、不動産の売却・購入、資産活用なども支援しています。一括査定専用サイトが用意されており、利用も簡単で便利です。

査定件数は累計50万件以上で、国内初となる不動産一括査定サービスの提供を開始し、20年以上の運営実積を誇ります。独自の審査基準で厳選した大手から地域密着型の約2100社の不動産会社と提携し、パトロールで悪質業者を排除して優良業者との提携維持に努めている点などが安心できます。

イエウール

不動産一括査定サイト「イエウール」
会社名 イエウール
サイトURL https://ieul.jp/
運営会社名 株式会社Speee
提携不動産会社数 2000社以上
対応地域 全国
利用者数 売却成立サポート件数は年間20万件

提携会社の豊富さで選ぶなら「イエウール」もおすすめです。同サイトはデジタルコンサルティング事業などを営む株式会社Speeeによって運営されています。

同サイトは、約60秒で済む簡単入力で6社からの一括査定が可能で、利用者数1,000万人の実績などが特徴に挙げられます。

提携会社は大手から地元密着型の優良不動産会社と幅広く、その数は2000社以上と一括査定サイトの中でも多くの不動産会社が提携しています。幅広い選択肢から利用者にマッチした査定価格の高い会社を選ぶことができます。

3 不動産一括査定サイトを利用する手順

次に、不動産一括査定サイトを実際に利用する手順を解説します。利用するサービスによって細かな設定は異なりますが、おおよその流れは共通しています。

3-1 査定依頼者の個人情報と物件情報を入力する

一括査定サイトの利用登録時には、査定依頼者の「個人情報」と査定したい物件の「物件情報」の2つを入力する必要があります。

個人情報は不動産会社が実際に連絡を取る際の連絡先となります。不動産会社とはメールや電話でのやりとりとなるため、連絡可能な情報を登録しましょう。

登録する物件情報には、所在地や築年数、構造、専有面積など細かな情報が必要となります。

これらは購入時の売買契約書や、物件の登記簿謄本が手元にあれば確認できます。登記簿謄本は不動産会社も取得することができるため、手元に正確な情報が無い場合はおおよその情報を記入しておきましょう。

3-2 査定を依頼する不動産会社の選択

登録が完了すると、次に実際に査定依頼をする不動産会社を選択します。複数の不動産会社を選択し、査定依頼をしましょう。

エリアや物件タイプによっては、大手不動産会社ではない地域密着型の不動産会社で高値売却に成功する事例もあります。提携社数の多い不動産一括査定サイトでは、中小企業の不動産会社も選択肢に加えて検討してみましょう。

3-3 不動産会社から査定結果の連絡を待つ

個人情報と物件情報の登録、依頼先の不動産会社の選択をしたら、査定依頼した不動産会社からの連絡を待ちます。

査定結果はメールか電話での連絡となりますが、この時、査定価格だけでなく不動産会社の担当者の対応内容についても比較してみましょう。不動産仲介の担当者はそのまま買主側の担当となることも多く、粗雑な対応をする担当者は買主へも同様の対応をしている可能性があるためです。

また、前述したように査定根拠についても併せて確認しておくことが大切です。複数社の査定価格を比較しながら、様々な視点から実際に売却を依頼する不動産会社を選定していきましょう。

3-4 査定価格の確認後、仲介か買取かを比較検討する

物件を売却する際は、仲介と買取の2種類の売却方法があります。それぞれどのようなものかを見てみましょう。

仲介で不動産を売却する

仲介は不動産会社が売主と買主の間に立ち不動産取引の仲介をする売却方法です。売主に仲介を依頼された不動産会社は募集広告を出し買主を募集します。仲介を依頼する際に、売主は仲介する不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類の契約方法があります。

仲介では後述の買取に比べ売却価格を高く設定できるメリットがありますが、募集広告を出して買い主からの問い合わせを待つため、長期間売却できないケースもあり、急いで売却をしたい方にとっては売却できない期間が続きかねないことがデメリットになります。

買取で不動産を売却する

不動産会社が直接物件を買い取る方法を買取と言います。買取の際は重要事項説明書と売買契約書を作成する必要があります。

買取価格は一般的に仲介で売却する際の価格より20%から30%程度安くなります。しかし、査定後すぐに買い取ってくれる不動産会社もありますので、現金化を急いでいる方にはその点がメリットになります。

3-5 仲介で不動産を売却する際は媒介契約を締結する

媒介契約とは、不動産仲介における売却活動を不動産会社に依頼する際に締結する契約のことです。媒介契約には3種類あり、委託できる社数の制限や不動産会社が負う義務などが異なります。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社への依頼 × ×
自分で見つけた買主との単独契約 ×
指定流通機構への登録義務
販売活動の報告義務
契約期間 規制は無し 3ヵ月以内 3ヵ月以内

一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼できるため幅広く募集ができますが、不動産会社としては他の不動産会社で仲介が決まった場合は営業活動が無駄になるため、不動産会社側での優先順位が落ちる可能性があります。

専任媒介契約と専属専任媒介契約は一社だけにしか依頼を行わないため、募集範囲が狭くなる点はデメリットと言えます。一方、不動産会社としては営業活動が無駄になる可能性が低く、販売活動を報告しなければならない縛りがあることから、販売活動を積極的に行ってくれる可能性が高い点はメリットとなります。

どの契約方法にするかは、個別の対応になってきますので、事前に各契約の特徴と良し悪しを把握した上で決めることが大切です。

どの不動産会社に依頼するか決めきれない時は、一般媒介契約を締結した後、契約更新のタイミングで専任・専属専任媒介契約に切り替えるなどの工夫をしてみましょう。

4 不動産一括査定サイトで高く売るためのコツ

4-1 不動産売却の希望価格・目標額を決める

不動産売却の目標額を設定しましょう。売却目標額の設定には、大まかに下記2つのパターンを作成します。

  • 最低売却価格:売却できる最低ラインの設定価格
  • 希望売却価格:できれば売却したい希望価格

最低売却価格は、売却が検討できる最低ラインの価格設定です。支払わなければならないローン残高や仲介手数料などを考慮し、設定してみましょう。一方、希望売却価格はできれば売却したい価格設定なので、相場を調べてやや高めに設定したり、住み替え(買替)の費用を考慮した価格で設定してみると良いでしょう。

このような価格設定を行うことで売却戦略を具体的に考えることができ、不動産会社への相談や買主との交渉の際にも役立てることができます。

なお、不動産一括査定サイトでは、おおよその希望金額を入力する項目がありますが、特に金額が定まっていない場合や、先に不動産会社の査定価格を知りたいのであれば空欄にしておくことも可能です。

4-2 不動産査定に必要な書類・情報を集める

次に不動産査定に必要な書類を集めます。売却する不動産の種類によって違いがあるためそれぞれ確認しておきましょう。

これらの書類全てを集めなくても不動産査定は可能ですが、多くの情報があることでより相場に近い査定価格を算出しやすくなります。また、買主にとっても多くの情報があることで安心感があり、条件交渉も起きにくくなります。手元にある書類や取得しやすいものから、集めておくと良いでしょう。

どの物件にも共通する書類

  • 購入時の売買契約書、重要事項説明書
  • 固定資産税評価額が分かるもの(課税明細・固定資産評価証明書、など)
  • 修繕履歴(マンションの場合、管理会社が記録しています)

マンション

  • 設備仕様・説明書
  • マンション管理規約

戸建・アパート

  • 土地測量図
  • 境界確認書
  • 建築確認済証
  • 検査済証
  • 建築設計図面

収益物件

  • 家賃表(レントロール)
  • ランニングコスト(管理費や修繕費、光熱費など)

4-3.不動産に不具合があるか把握する

売主側が物件の不具合を正確に把握していることは、不動産査定において重要なポイントです。不動産会社の中には、物件の不具合を理由に値下げ交渉を行うことがありますが、売主が不具合を把握していることで、不当な交渉を回避することにつながります。

なお、不動産を売却した後から契約書に記されていない欠陥が見つかった場合、買主から契約不適合責任を追及されることがあります。不動産の売買における契約不適合責任とは、民法第636条の規定に基づいて売主が負う責任のことで、これにより売主は引き渡す不動産の種類や品質について、売買契約の内容と適合させる責任を負っています。

契約不適合責任を追及されると、損害賠償請求をされたり、催告解除(契約解除)などをされてしまうことがあります。契約不適合責任を避けるという観点からも、あらかじめ不動産に欠陥がないか、買主側に伝えておくべきことがないか、売主側がしっかり把握しておくことは大切です。

5 不動産一括査定サイトを利用した後の注意点

不動産一括査定サイトを利用した後、売却で失敗しないための特に注意すべき点を説明します。

5-1 査定価格はあくまで参考価格

不動産一括査定サイトで選出された不動産会社からの査定価格はあくまで「売れそうな価格」としての見込み的な参考価格で、買取価格ではありません。

不動産会社からの査定価格は、その会社の判断基準に基づく見込価格ですが、その価格で売却を保証するものではありません。物件により差がありますが、査定価格よりも1〜2割程度低い価格で成約することがあります。

もちろん市況によっては査定価格以上で売却できることもありますが、通常は「(査定よりも)低い価格になることが多い」ということを認識して契約を考えましょう。

5-2 査定価格以外の販売活動も重視

売主としては査定価格の高い不動産会社に依頼したいものですが、売却に向けた販売活動の内容や熱心さ・誠実さといった点も考慮して契約先を検討しましょう。査定担当者はそのまま売却担当となるケースも多いため、査定担当者の対応力なども比較することが大切です。「返信が遅い」「細かなミスが多い」という場合、購入検討者への対応も同じようになり、せっかくの検討者を逃してしまうことも考えられます。

また、契約数を稼ぐために相場以上の高値の査定価格を提示して、契約後の販売活動では手を抜くといった悪徳業者が存在します。不動産査定の結果が返ってきたら、査定結果や査定の根拠を比較していきます。突出して高い金額を提示する不動産会社が出た場合には注意が必要です。

その他、初めの査定前に、他社の査定価格をしつこくヒアリングしてくる不動産会社にも注意しましょう。「とにかく他社より高い査定価格を出しておきたい」と考えている可能性があり、明確な査定の根拠や売却計画などが無いケースがあるためです。

不動産会社の説明に疑問や不安点が出た場合には、同時に査定依頼をしている他の不動産会社へ同じ質問をしてみることも有効な手段です。複数社と同時に話を進めることで、売り主に不利な提案がされないようにする対策にもなります。

このように、査定価格だけを単純に比較するのではなく、販売に関する提案内容や顧客本位の姿勢の有無についてのチェックが重要です。「市況などを分析して高く売れそうなタイミングを提案する」「希望の売却価格で売れる戦略を立案・実行する」といった市場の動向やエビデンスを基にした提案があり、行動や意欲が見られる担当者の会社を検討すると良いでしょう。

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」