住宅ローンの滞納、代位弁済通知が届いたらどうする?対応の手順、注意点も

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代位弁済通知とはローン契約者に代わって保証会社が金融機関にローンの一括返済を行ったことを知らせるものです。保証会社によって代わりに一括返済されたことで、契約者はローンを分割で返済できなくなってしまいます。

このまま放置すると家は競売にかけられ、所有者にとっては不利益を被る可能性が高いため早急な対応が必要となります。

本記事では代位弁済通知の概要とローン滞納の流れ、代位弁済通知が届いた時の対策3つ、新型コロナ感染拡大の影響でローンを滞納した場合の支援制度をお伝えしていきます。

目次

  1. 代位弁済通知とは
    1-1.住宅ローン滞納時の流れ
  2. 代位弁済通知が届いた時の対策
    2-1.可能である場合は一括返済を行う
    2-2.不動産の売却を検討する
    2-3.住み続けたい場合にはリースバックを検討する
  3. 新型コロナ感染拡大の影響で住宅ローンを滞納した場合
  4. まとめ

1.代位弁済通知とは

代位弁済通知とは滞納した住宅ローンを契約者の代わりに保証会社が支払ったという通知の文書で、特別郵便やハガキなど金融機関によって送付方法は様々です。

住宅ローンの契約を行う際に多くの場合、契約者は金融機関と共に保証会社との間で「保証委託契約」を結んでいます。

保証委託契約とは保証人(保証会社)が債務者(ローンの契約者)に委託され債務の保証を行う契約です。ローンが滞納された時には、契約者に代わり保証会社がローンの全額と利息を一括で金融機関に返済します。

債権者である金融機関から見ると債務者(ローン契約者)に代わる者(代位する者)から返済を受けることになり、契約者にとっては返済対象が金融機関から保証会社に移る事になります。

1-1.住宅ローン滞納時の流れ

住宅ローンを滞納した時は個人差があるものの、1~2ヶ月目に催告状や督促状が届きます。その後、3ヶ月程度が経過すると新たにローンを組む事が難しくなってしまいます。

約6ヶ月で分割返済ができる権利を失い、「期限の利益喪失の通知」書面が届きます。多くの場合、住宅ローンは6回滞納すると期限の利益喪失通知が届き、一括での返済を求められることとなります。その後は保証会社が代わりに返済を行い、代位弁済通知が届きます。

住宅ローンを滞納している場合は、ほとんどのケースで分割での支払いが困難な状況であるため「期限の利益喪失の通知」が届いた時点で一括返済は厳しく、代位弁済通知が来てしまう流れになります。

代位弁済通知が届いた後、保証会社から競売を申し立てられる「差し押さえ通知書」が届きます。差し押さえとは、債権者が融資したお金を返済してもらう権利を守るために、家の所有者が不動産を売却できないようにするための措置です。

差し押さえられたことによって裁判所から調査が入り、競売の入札が開始されます。入札された後、自宅は入札者に引き渡されます、

競売は通常の売却より売却価格が下がり、相場の7割前後になってしまうケースが多いため、ローンの残債が多く残るケースも少なくありません。契約者にとっては住む場所を失う上に、ローンが多く残り返済が続く生活状況となってしまいます。このような競売を避けるのであれば、早めの対策が重要となります。

2.代位弁済通知が届いた時の対策

代位弁済通知が届いた後の「競売」を避けるのであれば、できるだけ早急に以下の3つの対策を検討しましょう。

  • 可能である場合は一括返済を行う
  • 不動産の売却を検討する
  • 住み続けたい場合にはリースバックを検討する

2-1.可能である場合は一括返済を行う

契約者にとって代位弁済通知が届いた時には、返済先が金融機関から保証会社に移った状態となります。代位弁済が行われた後に、保証会社が分割返済に応じてくれる可能性は非常に低い状況です。

ローンの残債を全額用意できる状況であれば、一括返済を行うことで競売にかけられることを防ぐことが可能です。

2-2.不動産の売却を検討する

現金資金でローンの一括返済が難しい場合には、不動産の売却を検討してみましょう。できるだけ高く売却をすることで、ローンを返済し、手残り金を得られる可能性もあります。

しかし、住宅ローンが残っている状態の不動産には抵当権(家を差し押さえる権利)が設定されています。売却価格で残債を一括返済できないオーバーローン状態の物件は、差額を手元の現金資金で返済金を補う必要が出てきます。

このようなローンが残っている家の売却価格で返済が難しいオーバーローンのケースでは、「任意売却」を行う事で、金融機関に余裕のある返済スケジュールに変更して貰える可能性があります。

任意売却とは、売却の可否や売却価格を金融機関の承諾を経て仲介により売却することで、抵当権を外してもらう方法です。金融機関が任意売却に応じてくれない可能性がある点や期間や売却価格に条件がついてしまう点はデメリットですが、通常の仲介売却に近い価格での売却が可能です。

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なお、不動産売却で残債を一括返済するには、できるだけ高く不動産を売却することが重要となります。不動産の売却価格や売却に至るスピードは不動産会社によって異なるため、複数社の不動産会社へ査定を依頼し、査定結果や査定の根拠について比較しましょう。

下記は複数の不動産会社へ査定依頼ができる不動産一括査定サイトの一覧です。なお、各サイトでは物件情報の登録時に備考欄があり、詳しい事情や売却の希望条件についても書き込むことができます。滞納の状況について詳しく書くことで経験豊富な不動産会社へリーチできる可能性も高まるため、活用してみましょう。

主な不動産一括査定サイト

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2-3.住み続けたい場合にはリースバックを検討する

現在の家に住み続けたい方は「リースバック」を検討してみましょう。リースバックとは業者に自宅を売却し、売却後は業者と賃貸借契約を結び家賃を支払うことで、賃貸住宅として住み続けられる方法です。

まとまった資金が手に入り、今の家に住み続けられるというメリットがありますが、相場の売却価格より低く見積もられるケースが多く、家賃が相場より高くなってしまう傾向があります。

住宅ローンを滞納している状態でリースバックを行う際には、売却価格とローン残債を比較した結果や、今後家賃を支払っていけるかなどがポイントとなり、場合によってはリースバックができない事もあります。

【関連記事】リースバック契約で不動産を売却するメリット・デメリットは?注意点も

3.新型コロナ感染拡大の影響で住宅ローンを滞納した場合

新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減少しローンを滞納してしまった場合、様々な特例や政府の支援制度の対象となることがあります。例えば、住宅ローンを支払えなくなってしまった方には金融機関と相談し返済方法の変更(リスケジュール)が出来る特例が適用される可能性があります。

ただし、代位返済通知が届く段階では、返済先が金融機関から保証会社に移行しており特例の適用対象外となってしまうこともあるため、まずは金融機関に相談してみましょう。

その他、生活資金を無利子・無担保で借りられる制度や、納税の猶予制度の特例などの支援制度もあります。内閣官房の「新型コロナウイルス感染症に伴う各種支援のご案内」をチェックしてみましょう。

まとめ

代位弁済通知が届いた段階では信用情報機関に事故記録が掲載され、ローンの分割返済ができない状況となっています。

ただし、一括返済や任意売却などの対処を行うことで、不動産が競売にかけられてしまう事態を避けることが可能です。この記事を参考に適切な対処を行い、後の負担を少しでも減らしていきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。