離婚後、家の固定資産税はどちらが支払う?4つのケースを解説

結婚中にマイホームを購入し離婚後も家に住み続ける場合、法律的には不動産登記上の「所有者」に支払い義務があります。しかし、離婚時においては様々な事情により所有者ではない方が住み続けるケースも存在します。

基本的に「2人で話し合い、どちらが支払うかを決定する」事になりますが、場合によっては納税通知書の送付先を変更する、離婚給付等契約公正証書を作成などの手続きが必要になる可能性があります。

本記事では固定資産税の概要や支払い義務、離婚後のケース別対処法や注意点などを解説していきます。

目次

  1. 離婚後の固定資産税の支払い義務はどちらにある?
  2. 離婚後に固定資産税を支払う4つのパターン
    2-1.家の所有者(名義人)と住み続ける方が同じである場合
    2-2.家の所有者(名義人)と住み続ける方が異なる場合
    2-3.名義変更を行った場合
    2-4.共有名義の場合
  3. 離婚時の固定資産税に関する注意点
    3-1.納税通知書の送付先を変更する方法
    3-2.離婚給付等契約公正証書を作成しておく
  4. 固定資産税の支払いが滞った場合
  5. まとめ

1.離婚後の固定資産税の支払い義務はどちらにある?

固定資産税は不動産登記を行った際に所有者として登録した方に支払い義務があり、1月1日時点で土地、家屋及び償却資産の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方が対象となります。なお納税額は以下の通りになっています。

  • 土地:課税台帳に登録されている価格※×税率1.4%
  • 家屋:課税台帳に登録されている価格※×税率1.4%

※課税台帳に登録された価格は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて評価された額を知事や、市町村長が決定します。(3年に1回評価替えが行われます)

固定資産税には、土地は住宅用の場合、200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は台帳価格の1/6、200㎡を超える部分(一般住宅用地)を台帳価格の1/3として算出する特例があり、特例の要件に該当する際には税金が軽減されます。

なお、課税台帳に登録されている価格が、土地30万円以下、家屋20万円以下の場合には税金が免除されます。

固定資産税の納付は年4回で、自治体から所有者に納税通知書と課税明細書が送付されます。所有者と実際に住んでいる方が異なるケースにおいても所有者に納税義務が生じますが、2人で話し合い合意ができれば住み続ける方が支払う事も可能です。

2.離婚後に固定資産税を支払う4つのパターン

離婚後にどちらかが家に住み続ける場合、基本的に固定資産税は2人で話し合いどちらが支払うか、2人で支払う場合には負担割合をどうするかなどを決定します。

ただし、離婚時にはケース別で様々な問題が生じる可能性があります。例えば、所有者と固定資産税を負担する方が別である場合も考えられるでしょう。

家の所有者と住み続ける方が同じであるケース、異なるケース、名義変更を行ったケース、共有名義のケース別で解説していきます。以下、4つのケース別に解説していきます。

  • 家の所有者(名義人)と住み続ける方が同じである場合
  • 家の所有者(名義人)と住み続ける方が異なる場合
  • 名義変更を行った場合
  • 共有名義の場合

2-1.家の所有者(名義人)と住み続ける方が同じである場合

家の所有者と住み続ける方が同じである場合、所有者かつ居住者の方が固定資産税を支払うケースが多いと言えます。実態に則した形となるため、固定資産税の支払いを原因とした後のトラブルを防ぐことができます。

なお、双方が合意している場合には家を譲った方が支払う形でも問題ありません。ただし、税金を滞納した際には、所有者の方に督促状や催促の連絡が来ることになります。

2-2.家の所有者(名義人)と住み続ける方が異なる場合

家の所有者と住み続ける方が異なる場合においても、固定資産税は2人で話し合いどちらかが支払う又は共同で負担することを取り決め、支払う流れになります。

前の項で述べた通り、後のトラブルを防止するためには住み続ける方が所有者(名義人)となるよう名義変更を行い、「住み続ける方=所有者(名義人)」として固定資産税を支払う形にしておくと良いでしょう。

ただし、離婚後の家は住宅ローンが残っている場合もあり、名義変更が難しいケースが少なくありません。固定資産税を支払う方と住み続ける方が異なる際には、納税通知書が税金を支払う方の住所に送付されるよう、所有者が自治体に送付先変更の手続きを行っておきましょう。

また、取り決めた内容を離婚給付等契約公正証書として作成しておくことで、公文書として公証役場に保管され、いざという時に証拠として役立つ可能性があります。

2-3.名義変更を行った場合

固定資産税は上記の通り1月1日現在に所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方が納税義務者となります。

所有者と住み続ける方が異なるため名義変更を行った場合、税金の支払い義務に関しては「1月1日に所有者である方」に納税通知書が届きます。

よって名義変更を行った1年目には、殆どのケースで前の所有者である方に納税通知書が届く形になります。2人で話し合い、支払う方や負担割合を決定しましょう。

2-4.共有名義の場合

共有名義の不動産は名義人(所有者)全員に納税義務があります。離婚時には、共有名義の不動産は住み続ける方に名義変更することでトラブル防止に繋がります。

共有名義の場合でも上記の3つのケースと同様に、2人で話し合い支払いに関して取り決めを行います。ただし、ローン契約者も夫婦となっている場合、名義変更を行っても問題がないか金融機関へ確認する必要があります。

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3.離婚時の固定資産税に関する注意点

家に住み続ける方と固定資産税を納める方が異なる場合、納税通知書の送付先を変更することで、支払う方の住所に直接納税通知書が送付されます。あらかじめ納税通知書の送付先を変更する方法をおさえておきましょう。

また、固定資産税に関わらず、金銭に関する取り決めでは離婚給付等契約公正証書を作成しておくことで後のトラブルを防げる事があります。

3-1.納税通知書の送付先を変更する方法

家に住み続ける方と固定資産税を納付する方が異なる場合、固定資産税の納税通知書の送付先を変更しておくことで、確実に相手に書類が手元に渡ります。自治他によって手続き方法が異なりますので、所在地を管轄する自治体の役所へ問いあわせてみましょう。

例えば東京都の場合、送付先の変更手続きは郵送またはインターネットで手続きが可能です。なお、毎年6月に送付される納税通知書にも変更手続きの専用ハガキが同封されています。

郵送の場合は「固定資産税・都市計画税納税通知書送付先変更届(PDF)」を土地や家屋が所在する場所を管轄する税務署へ郵送します。

インターネットの場合は「東京共同電子申請・届出サービス」にアクセスし、「電子申請」のボタンをクリック、手続きを行います。

3-2.離婚給付等契約公正証書を作成しておく

離婚給付等契約公正証書とは、2人が離婚の合意や親権、養育費や財産分与などに関して取り決めたことを公証役場で公正証書として明文化したものです。

公証人立ち合いの元作成し、「強制執行認諾」の項で一定額の金銭の支払についての合意と債務者が強制執行を受諾した旨を記すことで、支払いが滞った際に相手の財産を差し押さえることができる可能性があります

4.固定資産税の支払いが滞った場合

どちらかが固定資産税を滞納してしまった場合、定められた期間内に納付しなかった際には延滞金を支払わなくてはいけません。

東京都の場合、納期限の翌日から1ヶ月以内は「税額×延滞した日数×2.5%」、1ヶ月を超えた場合には「税額×延滞した日数×8.8%」の延滞金が課されます。(2021年1月1日以降のケース)

督促状が送付され、督促状の送付を受けてもなお納付されない場合には、財産の差押えといった滞納処分が行われる事例があります。支払いが滞った時には、相手と早めに連絡を取る、立て替えるなどの方法で早めに納付しましょう。支払いが困難である場合には、管轄の税務署に申請を行うことで一括納付が猶予され分割納付が出来る可能性があります。

その他、固定資産税の支払いが困難である場合、支払いが負担となることが予想される場合には不動産の売却も検討してみると良いでしょう。不動産を売却することで、維持にかかる費用を削減することにつながります。

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まとめ

固定資産税は家の所有者に支払い義務がありますが、離婚時には2人で話し合った支払方法で税金を納めることになります。家に住み続ける方と所有者(名義人)が異なる場合、名義変更を行う事でトラブルが起こる確率は低くなります。

ただし、何らかの事情で名義変更ができない場合には、納税通知書の送付先を変更し支払う方に直接送付されるようにしておきましょう。

固定資産税を滞納すると延滞金が課され、最悪の場合差し押さえといった措置を取られる可能性があるため、離婚給付等契約公正証書を作成し取り決めた事柄を公文書として明文化しておくとトラブル防止に役立つことがあります。

離婚時には他にも行うべきことが多くありますが、家の固定資産税についてはこの記事を参考に話し合いや手続きを進めていきましょう。

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田中 あさみ

田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。