不動産売却で検査済証が無い時はどうなる?紛失時の対策も

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不動産売却の際は、建築会社から建築が完了したタイミングで受け取る検査済証の提示を不動産会社から求められることがあります。

しかし、竣工から数十年が経過してから不動産を売却するケースも多く、探してみたものの検査済証が見つからなかったということも珍しくありません。

この記事では、不動産売却で検査済証が無い時にはどうなるのか、紛失時の対処法について紹介します。

目次

  1. 不動産の検査済証とは
  2. 不動産売却で検査済証が無い場合のデメリット
    2-1.住宅ローンを利用しにくい
    2-2.基本的に増築・用途変更できない
  3. 不動産売却で検査済証を紛失した場合の対策
    3-1.台帳記載事項証明書を取得する
    3-2.不動産会社に買取を依頼する
  4. まとめ

1.不動産の検査済証とは

建物を建築する際は以下のような手順で建築を進めますが、建築確認と完了検査の2回のタイミングで重要な書類を受け取ります。

  1. 建築計画
  2. 事前審査
  3. 建築確認
  4. 着工
  5. 中間検査
  6. 竣工
  7. 完了検査
  8. 引き渡し

建築確認とは、設計段階において建築基準法の規定に適合しているかを確認することです。建築基準法に適合している場合は確認済証を受け取ります。

完了検査とは、建築された建物が建築基準法の規定に適合しているかを確認することです。建築基準法に適合している場合は検査済証を受け取ります。検査済証は適法の建物であるということを証明する重要な書類なので、不動産売却の際に不動産会社から提示を求められることになります。

2.不動産売却で検査済証が無い場合のデメリット

検査済証は上記のように建物の竣工時に発行される書類なので、不動産を売却する頃には発行から数十年が経過しており、どこにあるのか探してみたものの、紛失していて提示できないという人も多いと思います。

不動産売却で検査済証を提示できない場合は、以下のようなデメリットがあります。

  • 住宅ローンを利用しにくい
  • 基本的に増築できない

各デメリットについて詳しく見ていきましょう。

2-1.住宅ローンを利用しにくい

不動産を購入する買主は、金融機関の提供する住宅ローンを利用して資金を確保します。この住宅ローンの融資審査では、購入する建物の検査済み証が重要な資料になります。

買主に住宅ローンを提供する各金融機関は、買主がローンを返済できなかった場合、担保を設定した不動産を売却して融資を回収します。しかし、資産価値の低い不動産だった場合、融資した資金を回収できるとは限りません。そのため、融資審査を行って資産価値が高い不動産かどうかを見極めます。

検査済証は不動産の資産価値を判断する重要な資料の1つです。金融機関は違法建築物への融資を行っていないため、検査済証が無いことを理由に融資を断られる可能性があります。

2-2.基本的に増築・用途変更できない

一定規模の増築や用途変更を行う場合は、建築申請が必要です。建築申請が認められるのは建築基準法に適合している不動産に限られます。

そのため、検査済証の無い建物の場合は、防火地域・準防火地域における増築、防火指定外地域における10㎡以上の増築ができません。また、200㎡以上の用途変更にも検査済証が必要です。

検査済証のある物件とは異なり、購入後の利用が一部制限されてしまうことを踏まえると、売却に不利になることが予想されるでしょう。

3.不動産売却で検査済証を紛失した場合の対策

検査済証は一度発行された後は再発行できません。そのため、検査済証を紛失した場合には、他の対処法で不動産売却に臨む必要があります。

他の対処法として、以下の2つが挙げられます。

  • 台帳記載事項証明書を取得する
  • 不動産会社に買取を依頼する

各対処法について詳しく見ていきましょう。

3-1.台帳記載事項証明書を取得する

検査済証の再発行はできませんが、台帳記載事項証明書を取得することは可能です。

台帳記載事項証明書とは、市区町村の建築確認台帳に記載されている以下のような事項を証明する書類です。

  • 建築主
  • 敷地の地名地番
  • 建築物の主要用途
  • 工事種別
  • 敷地面積
  • 建築面積
  • 延べ面積
  • 申請建築面積
  • 申請延べ面積
  • 構造
  • 階数
  • 確認済証の交付年月日・番号・交付者
  • 検査済証の交付年月日・番号・交付者

各市区町村で300円程度の費用で発行できますが、必ずしも検査済証の代わりになるとは言えません。不動産会社に検査済証を紛失した旨を伝え、代用手段として台帳記載事項証明書の提示を求められた場合に取得しましょう。

3-2.不動産会社に買取を依頼する

台帳記載事項証明書では検査済証の代用ができない場合には、不動産会社に物件の買取を依頼するというのも選択肢の1つです。

通常の不動産売却では不動産会社に仲介を依頼して購入希望者を見つけてもらいますが、買取では不動産会社が直接物件を買い取ってくれます。

そのため、契約条件に双方がすぐ合意した場合には成約までがスムーズになり、仲介ではないので仲介手数料を省けるというメリットがあります。一方、買取価格は仲介売却の成約価格と比べて2~3割程度低くなる点に注意が必要です。

なお、仲介で売却できなかった時にあらかじめ提示した買取価格で買取を行う、買取保証というサービスを行っている不動産会社もあります。仲介で高値売却を目指しつつ、買取保証によってあらかじめ決めたスケジュールで売却ができるため、不動産会社に相談されてみるのも良いでしょう。

【関連記事】不動産買取で売却するのに必要な費用はいくら?手数料や税金、諸経費を解説

まとめ

検査済証は、竣工後の完了検査で建築基準法に適合している場合のみ発行される書類です。

合法な建物であることを証明する大切な書類で、不動産の売却、住宅ローンの契約、建物の増築、用途変更といったように様々なシーンで提示が求められます。

検査済証を無くした場合、住宅ローンを利用しにくい、建物の増築ができない、用途変更が困難になるため、不動産の売却時に不利になります。不動産売却を速やかに行うためにも、事前に検査済証を探しておく、検査済証が見つからない場合は代替案を不動産会社に相談しましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。