福岡県飯塚市でブロックチェーンを使った行政文書のデジタル化がスタート。chaintopeや近畿大学、九州工業大学が協力

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ブロックチェーン開発企業chaintopeが、近畿大学および九州工業大学による協力のもと行政文書のデジタル化社会実験を福岡県飯塚市で開始したことを、1月20日に発表した。

今回の取り組みでは、行政データのデジタル化を実現するための基盤となる「トラストシステム(認証局)」および運用体制の構築を行っていくとしている。2021年1月20日から2月28日にかけて、住民票をデジタルデータとしてスマートフォンにダウンロードし、そのまま会社や団体に提出、認証までを行うという。

本事業で構築されるトラストシステムは、証明書を要約したデータに発行者としての飯塚市が電子署名を行い、そのデータと交付した日時(タイムスタンプ)を保管する仕組みになっている。

タイムスタンプは、chaintopeが開発した独自のブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」によって公開される設計だ。実際の運用時には、複数の自治体や事業者によって分散管理される想定だという。

飯塚市によって発行される各種証明書の利用者は、自身のスマートフォンを使っていつでもどこでも自分自身の証明書をダウンロードすることができるようになる。証明書を提示された企業・団体は、トラストシステムを通してその証明書が不正に作成されたものでないことを確認することが可能だ。

chaintopeは、今回の社会実験を開始した経緯について次のように述べている。

「私達は新しい生活様式の中でどの様に市民生活を送るか、模索の日々を過ごしています。リモートワークの推奨や日中時間帯も含む不要不急の外出を避ける要請が出る中、国や地方行政が提供する住民サービスについても、デジタル強靭化による業務変革(BPR)に改めて関心が集まっています。」

chaintopeは2020年7月より、行政文書のデジタル化に向けた実証事業を飯塚市と共に実施してきた。その上で、「行政サービスに適した電子データの信頼性を確保する仕組みであるトラストサービスの構築を目指す実証事業を、飯塚市の住民情報システムの開発を手がけるGcomホールディングス株式会社と共同で実施する運びとなりました。」と説明している。

ここ数年、福岡県では行政主導によるスタートアップやテクノロジーへの取り組みが活発に行われている。飯塚市でも、今回の取り組み以外に「ブロックチェーンストリート」というプロジェクトを2019年より立ち上げていた。

これは、飯塚市が世界最先端のブロックチェーン情報と技術の集積地となることを目指した取り組みであり、古民家を活用することで地域の活性化にも繋げている。その他にも、2020年8月には飯塚市にある国の登録有形文化財「嘉穂劇場」で福岡県ブロックチェーンフォーラムを開催していた。

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株式会社techtec リサーチチーム

「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル) 」を運営。日本発のブロックチェーンリーディングカンパニーとして、世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@PoL_techtec