「人気の街に住みたい!」賃貸で住む?それともマンションを買った方が得?

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住宅情報誌を眺めていると、人気エリアの特集や街の魅力などが大きく取り上げられており、「いつかは住んでみたいな」と一度は思ったことがあるという方も少なくないでしょう。

今回は、人気のエリア・街に、賃貸で済んだ場合とマンションを購入した場合にどちらか得か、家賃だけではなく、その他の違いについても比較してみたいと思います。

目次

  1. 賃貸とマンション購入はどちらが得?
  2. 部屋の間取りは1DKや1LDKが人気
  3. みんなが住みたい街はどこ?
  4. 人気の街で、購入・賃貸それぞれの月々の支払額を比較
  5. 最近はコンパクトマンションが人気
    5-1.ワンルームマンションにはないグレードの高い設備
    5-2.立地の良い場所に新築のマンションが持てる
    5-3.ローンの返済が資産形成につながる
  6. まとめ

1.賃貸とマンション購入はどちらが得?

賃貸とマンションを購入して住む場合はどちらが得なのでしょうか。家賃と家のローンの支払いを比較した場合は、一般的には購入した方が安くなります。さらにローンが完済すれば借金のないマンションが残るという点でも購入した方が得です。

しかし、仕事や、その他の都合で引っ越しをしなくてはならなくなった場合は、売却の選択肢などを考えなければいけません。その場合は身動きのとりやすい賃貸の方が楽です。どちらが得かはお金の面だけでは比較できない部分があります。さらに細かく見てみましょう。

2.部屋の間取りは1DKや1LDKが人気

「マンションを購入する」と言うと、多くの方は2LDK以上のファミリータイプやワンルームマンションを想像されるのではないでしょうか。独身の方であれば、ファミリータイプは結婚してからで良いでしょうし、既婚者の方であれば、転勤や引っ越しの際の不動産の処分が面倒です。ワンルームは独身の時は良いですが、結婚した場合は2人で暮らすのはなかなか難しいでしょう。

このような点で、賃貸暮らしで慣れている方にとってはマンションの購入というと、色々な意味でハードルが高いかもしれません。しかし、間取りや部屋の広さの人気のトレンドを知ることで、懸念されている購入後の引っ越しなどの心配も減るのではないでしょうか。

ファミリータイプを購入した場合、自分と同じような家族構成の購入者に買い手が限られてしまいますが、1LDKのような間取りであれば、単身者や夫婦2人暮らし、子供が1人くらいの家庭でも十分快適に暮らせますので、購入者の対象が大きく広がります。1DKや1LDKタイプであれば、何かの都合で引っ越しをしなくてはならなくなった場合も、売却で悩む必要も少なくなるメリットがあります。

このようなことから、今回は1LDKタイプのマンションを対象に、賃貸で住んだ場合と購入した場合の様々な点を比較してみたいと思います。

3.みんなが住みたい街はどこ?

まずは最近の人気の街・エリアについて見てみましょう。不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」が調査・公表している「関東 住みたい街ランキング2018」は以下のようになっています。

順位 駅名 路線名 2017年の順位
1位 横浜 JR京浜東北線 3位
2位 恵比寿 JR山手線 2位
3位 吉祥寺 JR中央線 1位
4位 品川 JR山手線 5位
5位 池袋 JR山手線 7位
6位 武蔵小杉 東急東横線 6位
7位 新宿 JR山手線 12位
8位 目黒 JR山手線 4位
9位 大宮 JR京浜東北線 15位
10位 浦和 JR京浜東北線 19位

*不動産情報サイトスーモの「関東住みたい街ランキング2018」から引用

2018年の順位の特徴は恵比寿や吉祥寺、目黒といった都心の街は人気が停滞し、逆に1位になった横浜を筆頭に大宮、浦和といった東京都以外の街の人気が高まっていることです。

この3つの街に共通して言えることは、東京都ではありませんが渋谷や新宿、東京から電車で1時間かからないということです。駅に何本か路線が集まっていますので、都心の色々な駅から数十分で移動できます。また、住居の周りには大きな公園やショッピングモールが併設され、居住するには理想の環境が整っているということが言えます。

4.人気の街で、購入・賃貸それぞれの月々の支払額を比較

人気の街で、購入・賃貸それぞれの月々の支払額を比較住みたい街ランキング10位以内のそれぞれの街で、賃貸の場合の家賃とマンションを購入してローンを組んだ場合の月々の支払額を比較してみましょう。賃貸の情報は不動産・住宅情報サイト「ライフルホームズ」の家賃相場をサンプルとして使います。購入マンションの価格は同じくライフルホームズのサイトを以下の条件で検索して、実際に売りに出ているマンションの価格をもとに試算しました。

賃貸、購入物件の検索条件は以下の表のとおりです。今回は駅名で探すと物件が出ていない駅もありましたので、駅で出ない場合は町名、町名でも出ない場合は区で検索してみました。また築年数も物件がない場合は7年くらいまでは広げて探してみました。

物件の検索条件

間取り 広さ 築年数 駅からの距離
1LDKもしくは1DK 30㎡~40㎡(ない場合はある広さで比較) 新築もしくは築5年以内 徒歩10分以内

ローンの条件

融資額 金利 返済期間
物件価格満額 変動金利0.525%(11月1日の店頭金利に対して▲年1.95%優遇) 35年

以下が上記条件で検索して出てきた物件の家賃と返済額を比較したものです。

物件価格 月々のローン返済 賃貸の家賃相場 支払い差額
3,290万円 85,767円 135,400円 49,633円
5,938万円 154,798円 245,200円 90,402円
3,480万円 9720円 152,200円 61,480円
4,300万円 112,097円 229,300円 117,203円
5,880万円 153,286円 162,300円 9,014円
4,628万円 12648円 144,600円 23,952円
4,488万円 116,998円 225,700円 10,8702円
4,600万円(築6年) 119,918円 242,000円 12,2082円
4,598万円(55.67㎡) 119,866円 134,800円(50㎡~60㎡) 14,934円
2,598万円 67,727円 102,700円 34,973円

この結果から月々の家賃だけを比較した場合は、購入した方が負担が軽くて済むことがわかります。上記のローンはフルローンで組んでいますので、頭金を多く入れて融資額を減らせば、月々の返済額はまだ下がりますし、ボーナス払いを併用すればさらに減らすことができます。

ただ購入した場合は、不動産取得税や固定資産税がかかりますし、長期的に見ると大規模修繕費用などの出費があります。さらに金利上昇のリスクもあり、このままの返済額ではなくなる可能性もあります。

ただ、現在の低金利の状況であれば当分の間は購入した返済額の方が安いということが予測できます。購入するのであれば、低金利の状況の時に家賃との差額を貯蓄したりしてリスクに備えておく必要があるでしょう。

現状では家賃の面では購入した方が月々の支払い面ではメリットがあることがわかりました。では、家賃以外の面ではどのような違いがあるのかを見てみましょう。

5.最近はコンパクトマンションが人気

1DKや1LDKのようなワンルームタイプよりも広めのマンションをコンパクトマンションと言います。コンパクトマンションの仕様などを踏まえて賃貸に住む場合と比較してみましょう。

5-1.ワンルームマンションにはないグレードの高い設備

ワンルームマンションは、その建物のほとんどの部屋がワンルームタイプという造りになっています。ワンルームマンションは自宅用というよりは、賃貸として貸し出す収益物件として建てられていることが多いので、収支を良くするためになるべく物件にお金がかからないように作られています。そのため一部屋一部屋が狭く、設備も一人暮らし用の物になっています。20㎡~25㎡と大きさが少し小さかったり、機能が少し落としてあったりします。

それに対し、コンパクトマンションはファミリータイプのマンションと同じ物件に建築されることが多くなっていますので、そのようなタイプであればエントランスが広かったり、セキュリティシステムや設備などはワンランク上のグレードの物が導入されていたりします。

例えばこちらはプロパティエージェント株式会社が販売しているコンパクトマンションの「ヴァースクレイシア」シリーズの室内の写真です。


*プロパティエージェント物件紹介ページから引用

ワンルームでは部屋が狭いためウォークインクローゼットや対面式キッチンは設置が難しくなりますし、仮に設置しても窮屈になります。コンパクトマンションはこのようなグレードの高い設備を容易に導入することができます。コンパクトマンションは、ワンルームと比較して部屋が広いだけではなく、グレードの高い空間に住むことができるということがわかります。

住みたい街にランクインするエリアでは賃貸物件は古いタイプのものが多く、なかなかこのようなグレードの高いマンションは賃貸募集をしていません。また仮にあったとしても高額な家賃になります。賃貸の家賃より安くこのようなグレードの高いマンションに住むことができるのはマンションを購入するメリットと言えるでしょう。

5-2.立地の良い場所に新築のマンションが持てる

コンパクトマンションは駅から徒歩10分以内の立地の良い場所に建てられています。住みたい街にランクインしている街であれば周辺にはショッピングモールがあったり、大きな公園があったり、治安が良いといったように、暮らすために必要な環境が整えられています。

また、住みたい街にランクインしている街は企業が集中する東京都以外でも東京駅や新宿駅、港区といった街から数十分で移動できる距離にあります。通勤に時間がかからないため、平日でも自分の時間を取れる好立地の場所にあります。

特に近年は職住近接の施策が国で推進されているため、駅近くに建設される新築マンションにはニーズのあるコンパクトマンションが導入されていますので、購入すれば新築のきれいなマンションに住むことができます。以下は住みたい街NO.1の横浜駅から徒歩10分圏内で現在販売中のマンション(1LDK+WIC)が3,290万円から販売していましたので、仮にこの物件が3,290万円だとした場合の返済額を試算してみましょう。
  

物件価格 金利 返済期間
3,290万円 変動金利0.525%
(11月1日の店頭金利に対して▲年1.95%優遇)
35年ボーナス払い無し

この場合、毎月の返済額は8万5,767円です。ここでは、他の諸費用や今後かかる大規模修繕費用の額は勘案せずに試算しています。

同じく住みたい街NO.1の横浜で賃貸事情を見てみましょう。以下のグラフは、横浜駅徒歩10分圏内の40㎡以下のマンションを検索しまとめたものです。合計で224件出てきましたので、それを築年数別に何件あるか整理しました。

築5年以内 築5年~10年 築10年~15年 築15年~
29件 38件 37件 120件

この表から横浜駅から徒歩10分圏内には新築の40㎡以下の物件は賃貸では募集していないことがわかります。では築浅の築5年以内の29件の物件について内訳を整理してみましょう。

間取り

ワンルーム 1K 1LDK
0件 28件 1件

部屋の広さ

  

20㎡~25㎡未満 25㎡~30㎡未満 30㎡~35㎡未満 35㎡~40㎡
19件 7件 2件 1件

この結果から横浜駅から徒歩10分圏内では、築5年の1件の物件を除き全ての物件の間取りが1Kだということがわかります。1件だけ募集している1LDKの物件は家賃が12万円です。

このように、35㎡前後の1LDKの物件を、駅から徒歩10分以内の場所に絞り探すと、新築や築浅の物件では賃貸募集がほとんどないことがわかります。また、住みたい街ランキングにランクインするような人気の駅では中古でも家賃が下がりにくく、新築の物件を購入する際の支払額と比較しても家賃が数万円高くなります。

5-3.ローンの返済が資産形成につながる

ローンの返済が資産形成につながる賃貸で借りている間は、毎月の支払った家賃は掛け捨てていることになります。毎月の給与が見込める現役時代は問題ないですが、たとえば退職後など収入水準が落ちた場合に、賃貸の費用が重くのしかかってくることになります。

マンションを購入した場合、ローンを完済すると無借金のマンションが残りますので、毎月のローンを返済することは将来に向けて資産形成をしていることになります。購入するタイミングによっては、退職の時期にローンを完済している可能性があります。退職までに完済できれば、その後は家賃を払わずに住むことができます。

完済後であれば、自分で住むという選択肢以外にも、マンションを賃貸で貸すという選択肢もあります。賃貸の家賃相場と購入したマンションの支払額を比較した表を見ると、人気の街の1LDKの家賃は10万円を超えるケースが多いため、その額が老後に不労所得として入ってくるのは大きな魅力ではないでしょうか。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。