近年、女性を対象とした分譲マンションの広告を見ることが多くなりました。その多くは都心の立地の良い場所に建てられている、小さめのファミリータイプのような広さで高級感の漂うマンションです。
女性が都心にそのようなマンションを買うメリットはどのような点なのでしょうか。今回は不動産を購入しようと思っている女性へのアンケート結果などをもとに、女性が都心にマンションを買う3つのメリットについて考えてみたいと思います。
目次
- 住みたい場所は都心が人気?
- 賃貸より持家の方が金銭的に得
- 30㎡から50㎡くらいの面積が好まれている
- 女性が都心にマンションを買う3つのメリット
4-1.メリット1 通勤時間が短くなる
4-2.メリット2 毎月の支払いが楽になる
4-3.メリット3 長期的に見て物件のニーズがある - まとめ
1.住みたい場所は都心が人気?
以下のグラフは、女性のための住み替えサイト、ノムコム・ウーマンが不動産購入を考えている独身の男女に「不動産を探す際に重要視している項目」を調査した2015年6月のアンケート結果です。
*「ノムコム・ウーマン」男女比較!シングルの住まい選びアンケートから引用
このグラフから、不動産を購入する際に重要視する項目は1位がエリア、2位が駅からの距離が近い、3位が通勤しやすいエリアで男女とも共通していることがわかります。さらにどのエリアに住みたいかを聞いたアンケート結果のうち、首都圏の回答のみを抜粋したものが以下のグラフになります。
*「ノムコム・ウーマン」男女比較!シングルの住まい選びアンケートから引用(同上)
こちらのアンケート結果から、半数近くの人が都心(ここでは千代田区・港区・中央区・渋谷区・新宿区・文京区)に不動産を購入したいと思っていることがわかります。
2.賃貸より持家の方が金銭的に得
同じくノムコム・ウーマンで不動産の購入を検討している人に、購入を考えるようになった理由を聞いたアンケート結果が以下のグラフになります。
*「ノムコム・ウーマン」男女比較!シングルの住まい選びアンケートから引用(同上)
女性の場合は家賃を支払うより購入した方が金銭的に得だという理由が最も多く、同じ割合で「もっと好条件の部屋に住みたい」と思ったという理由が多くなっています。
好条件というのは、金銭面以外の、駅からの距離や設備の充実などが考えられます。好条件の部屋に住みたいという理由は男性のアンケートでは最も多い理由になっています。
3.30㎡から50㎡くらいの面積が好まれている
では、部屋の広さはどれくらいのものが好まれているのでしょうか。以下は「女性のための快適住まいづくり研究会」が2017年12月~翌年1月に調査したマンション購入に関するアンケートからの抜粋です。マンションを購入して5年以内の女性に、初めて購入したマンションの専有面積を聞いたアンケート結果になります。
*「女性のための快適住まいづくり研究会」プレスリリース、マンション購入に関するアンケートから引用
この結果から、女性が購入したマンションでは30㎡から50㎡の広さに集中していることがわかります。20㎡台のワンルームタイプや70㎡以上のファミリーマンションタイプは非常に少ないこともわかります。
以上のようなアンケート結果から、マンションを購入している人や、購入したいと考えている人では、エリアが都心で広さが30㎡から50㎡といった点を、購入するマンションの条件にしている人が多いということがわかります。
4.女性が都心にマンションを買う3つのメリット
以上のようなアンケートから、実際に女性が都心にこだわりマンションを購入していること、30㎡から50㎡程度の広さが人気であることがわかりました。では、なぜそのような条件の物件が好まれるのでしょうか。その理由を3つのメリットからご説明します。
4-1.メリット1 通勤時間が短くなる
都心に住むことで、通勤時間が短くなるメリットがあります。以下の表は不動産情報サイトアットホームが2014年6月に実施した、住宅を購入した都内勤務のサラリーマンを対象に行った通勤時間の調査結果です。
*住宅情報サイトアットホーム調査「住宅を購入したサラリーマンの通勤時間」から引用
こちらのアンケート結果から、通勤時間で最も多かったのは60分から69分で、全体の平均時間が58分だということがわかります。
では、都心に住むと通勤時間はどれくらいになるのでしょうか。例えば、自宅の最寄り駅が新宿駅で会社が東京駅近辺だとした場合、電車の乗車時間は14分しかかかりません。
*Yahoo!路線情報にて検索
さらに理想の通勤時間に関するアンケート結果が以下の表になります。
*住宅情報サイトアットホーム調査「住宅を購入したサラリーマンの通勤時間」から引用(同上)
通勤時間別の理想と限界についてのアンケート結果から、理想の通勤時間は35分だという結果になっています。新宿から東京までの乗車時間が14分で、自宅と会社がそれぞれ駅から徒歩10分だとしても34分ですので、理想の通勤時間の範囲に入っていると言えます。
上記のアンケートをもとにシミュレーションしてみると、現在の通勤時間が58分、都心に住んだ場合の通勤時間が34分である場合、その差は片道24分ですので、往復で48分時間が空くことになります。一ヶ月の出勤日数を20日で換算すると、48分×20日=960分=16時間となり、20日間で合計16時間もの空き時間が作れることになります。
16時間あれば、習い事に行ったり、友人と食事に行ったりといった、通勤時間が長くて普段はやりたくてもできなかったことにトライすることができます。そういった点で通勤時間が短縮されるメリットはとても大きいと言えます。
4-2.メリット2 毎月の支払いが楽になる
マンションを購入すると賃貸で家賃を支払うよりお金の面で得をすることが、女性がマンションを購入したいと思った理由で最も多い回答でした。実際にはどれくらい得をするのでしょうか。
以下はファイナンシャルプランナーが、賃貸に住み続けた場合と新築のマンションを購入した場合の50年間でかかる住居費を比較するために作成したシミュレーションです。
*住宅情報サイトスーモ調査「賃貸vs持ち家、どっちがトク?FPに相談してみた」から引用
賃貸の場合、子供の成長に合わせて引っ越しをした場合の費用が含まれています。入居時の年齢が世帯主が33歳、子供が3歳ですが、このシミュレーションでは子供が中学生になる時点で広めの部屋に引っ越しをし、子供が成人した時点で、2人暮らしに見合った広さの部屋に引っ越しをする設定になっています。
購入した場合も世帯主と子供の設定年齢は同じです。こちらのシミュレーションではローンの返済額や頭金、修繕積立基金、管理費、固定資産税、の基本的にかかる費用のほかに21年目のリフォーム代と36年目にバリアフリー工事をした費用を算出しています。
この表によると、住み始めてからの50年間にかかる住居費を比較した場合は、購入した方が700万円お得だということがわかります。
また、以下は新宿区のマンションを賃貸で借りた場合の家賃の額と、購入した場合のローンの月々の返済額を比較したものになります。
種別 | 駅からの距離 | 広さ | 月々の支払額 |
---|---|---|---|
賃貸の場合 | 早稲田駅徒歩8分 | 34.5㎡ | 13万円 |
購入した場合 (4,488万円) |
早稲田駅徒歩2分 | 30.12㎡ | 9万6,460円 |
このように同じ築年数で同じような間取り、広さのマンションに住む場合は、賃貸より購入した方が毎月の支払いが3万円以上低くなることがわかります。この場合ボーナス払いを併用していますが、均等払いにしても、購入した方が低くなりますし、賃貸の場合は更新料が発生しますので、賃貸の支払いはもう少し膨らみます。
4-3.メリット3 長期的に見て物件のニーズがある
女性が購入したマンションの広さは30㎡から49㎡くらいの広さが最も多いことがアンケートでわかりました。ファミリータイプほど広くはありませんが、夫婦2人、小さい子供1人位までであれば十分暮らすことができる広さです。このタイプであれば単身の時だけでなく、結婚しても当分は住み続けることができます。
ただ、子供が2人以上になり、手狭になった場合はもっと広いマンションに引っ越しをすることを考えなければいけませんので、マンションは売却するか、賃貸することになります。その場合のニーズはどれくらいあるのかを見てみましょう。以下は日本の世帯数の将来推計を示したグラフです。
*国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計』資料から引用
*●が2018年調査、○は前回(2013年)調査
このグラフから一般世帯総数は2025年をピークにその後は減少することがわかりますが、単独世帯数と夫婦のみの世帯数は2040年くらいまでは横ばいでほぼ減少しないことがわかります。
また、東京都による平成29年3月時点での人口予測データによれば、東京都心部の人口は2040年において増加しているとされており、特に千代田区・中央区・港区の増加予測には目を見張るものがあります。
*東京都の統計『東京都区市町村別人口の予測-統計データ-平成29年3月 区市町村、男女別将来人口 -総数-』より引用、HEDGE GUIDE編集部にてグラフ作成
このように、女性が都心に購入している30㎡から50㎡くらいの広さのマンションは、単身者や2人で住むことができる点や今後の人口増加が見込める点で、ローン完済後に賃貸として貸す場合や売却をする場合でも長期的に一定のニーズを期待することができます。
まとめ
女性が都心にマンションを買うメリットについて紹介いたしました。賃貸で暮らすより購入した方が支払い額を抑えられる可能性が高かったり、賃貸や売却で利益を上げることもできたりと金銭面でメリットがあることがわかりました。
しかし、都心のマンションであれば必ず金銭的なメリットが得られるというわけではありません。受けられるローンの状況から、本当に賃貸より毎月の支払い額が抑えられるのか、将来賃貸や売却をしてもいいのか、ということを考えておく必要があります。
西宮光夏
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