これで悩まない!不動産売却価格の値下げの極意5つと注意点2つ

不動産を売却しようとしてもなかなか売れず、値下げに踏み切ろうかと悩んでいる・悩んだことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、適切に値下げするタイミングや効果的な値下げ幅を間違えると、いつまでも買い手が現れずに保有しつづけることになります。

そこで今回は、不動産を売却する際に正しく値下げするポイントをご紹介します。値下げの適切なタイミングや値下げ幅の設定方法、値下げする際の注意点など説明しますので、ぜひご参考ください。

目次

  1. そもそも不動産の売却に値下げは必要?
    1-1.値下げは物件や市況次第
    1-2.値下げは需給の調整手段
  2. 不動産価格値下げの手順
    2-1.一般的な物件売却ステップ
    2-2.値下げするタイミングが多い時期はいつ?
  3. いくら値下げする? 正しい値下げ方法を紹介
    3-1.売出価格の設定方法
    3-2.値下げ幅の決め方
    3-3.問い合わせ件数を増やすコツ
    3-4.値引き交渉の対応方法
    3-5.需要の高い売出時期
  4. 売却価格を値下げする上での注意点
    4-1.値下げの前に売却戦略を見直す
    4-2.不動産会社による値下げの提案は慎重に検討する

1 そもそも不動産の売却に値下げは必要?

最初に付ける売出価格で物件が売却できれば苦労しませんが、値下げを余儀なくされるケースも少なくありません。ではなぜ値下げをしなければならなくなるのでしょうか。

1-1 値下げは物件や市況次第

中古不動産を売却するとき、売主の希望を加味した売出価格を設定して買主を募集することになりますが、値下げする必要があるかどうかは不動産市場の需要と供給の状況に依存するため、全ての物件で必要になるとは限りません。

売出価格の設定の仕方にもよりますが、売却物件に対する需要がある程度以上見込めれば、相場から大きくかけ離れていない限り値下げせずに売却できることもあります。

一方で、最初の売出価格からの値下げは付き物とも言え、実際に値下げされるケースは多くあります。値下げ幅の程度は、売却物件の立地条件、建物のタイプ、付属の設備・機器などでも異なりますが、人気の高い物件や地域の不動産市場が活況である場合には小さくて済みます。

逆に、立地や建物自体に人気がなく不動産取引が活発でない地域などでは、相場を下回る価格まで値下げしても売却が難しいというケースがあります。
このように物件や市況により値下げの必要性や程度が変わってくることを認識しておきましょう。

1-2 値下げは需給の調整手段

売主は自分の物件をできるだけ高く売却したいため、相場より高めで売出価格を設定する傾向にありますが、買主はできるだけ安く購入しようとします。そこで需給を一致させるために、売主側が相場を含む不動産市場の状況や物件の内容に合わせて、買主が「この価格なら買いたい」と思う水準に値下げする必要があります。

このように値下げは需給の調整手段となるのです。物件がいくらで売れそうかの相場を把握した上で売出価格を設定し、それでも買手が現れないなら値下げで売却を実現させる(=需給を一致させる)という方法が不動産売却では取られています。

なお値下げする際は、そのタイミングや適切な値下げ幅にしないと足元を見られることがあります。以下からは正しい値下げの仕方を見ていきましょう。

2 不動産価格値下げの手順

不動産価格の値下げを適切に行うには、どのような手順で売却が進められ、値下げがどのタイミングで実施されることになるのか、手順を把握することが大切です。

2-1 一般的な物件売却ステップ

不動産の売却がどのような流れで進められ、その中でいつ値下げが行われるかを見ていきましょう。一般的に不動産会社の仲介による売却は下記の手順で行われます。

  • 不動産売買仲介会社に査定価格を依頼
  • 査定価格等の情報を参考に、不動産会社と媒介契約を締結
  • 不動産会社と相談して売却戦略・売出価格を決定
  • 売出しの開始
  • 問い合わせ数など購入希望者の反応などに基づいて値下げ
  • 購入希望者による値引き交渉
  • 売買契約の締結

売出価格が設定され実際に売出されてから一定期間内に、市場の動向や購入希望者の反応を見極め、値下げするかどうかを検討します。反応が悪ければ後述する方法で値下げ幅を決め、購入希望者が現れた後は、値下げした価格からさらに値引きの要請を受けることも少なくないため、その対応をすることになります。

なお、「値下げ」も「値引き」も売出価格を下げるという意味では同じですが、前者は「購入希望者を呼び込むため」、後者は「購入希望者との契約を決定づけるため」というようにニュアンスが異なります。

2-2 値下げするタイミングが多い時期はいつ?

物件の売出価格は売出してからの期間によって、次のように分けられ設定・変更されるケースが多く見られます。たとえば、以下のようなケースです。

  • 売出後3カ月以内:相場より少し高めの希望価格に設定
  • 売出後3~5カ月程度:相場と同等程度の価格に値下げ
  • 売出後6カ月以降:売却可能な最低価格に値下げ

売り出してから3カ月以内は相場よりも高い強気の希望価格が多く見られます。物件や市況にもよりますが、相場よりも1~2割程度高めに売出価格が設定されます。

3カ月過ぎてから買手側からの問い合わせや内覧希望の数が少なければ、相場の価格帯に値下げします。もしその値下げで購入希望者が現れれば値引き交渉で契約を決めるという流れになります。

しかし、半年近く有力な購入希望者が現れない場合には、売出価格としての最低限度となる価格へ値下げする必要が出てきます。

3 いくら値下げする? 正しい値下げ方法を紹介

不動産売却で売出価格の設定方法や、値下げ幅の決め方を見ていきましょう。

3-1 売出価格の設定方法

売出価格を正しく設定するには、相場を意識した購入者側の目線で希望価格を決めるのがポイントです。

例えば一般的な物件情報検索サイトは、物件価格を「2,500万円以下」「3,000万円以下」「3,500万円以下」「4,000万円以下」などの価格帯ごとに希望する物件を探すことができるシステムになっています。購入希望者は価格帯を決めたうえで「築年数」「間取り」「駅徒歩」などの条件から物件を検索します。

仮に売却したい物件の相場が、築年数や間取りなどの条件から2,800万円前後と見られるにもかかわらず、売出価格を「3,400万円」と強気に設定した場合、物件情報サイト上では「3,000万円以下」の価格帯には掲載されないため、検索ヒット数は必然的に少なくなります。また、「3,500万円以下」と検索した場合でも、同じ価格帯の物件に比べて見劣りし敬遠される可能性も高くなります。

このように、売り出してから購入希望者側の反応が悪い原因の一つとして、そもそも希望者が検索する適切な価格帯に引っかかっていない可能性があります。そのため相場に見合う価格を意識した値下げが必要になります。上記物件の例で言えば、相場範囲の「2,900万円前後」に設定すれば、物件の各条件で検索した際にヒットしやすくなるでしょう。

3-2 値下げ幅の決め方

相場に見合った売出価格であっても、買手側の反応が悪ければ値下げを余儀なくされますが、その際の値下げの割合は「5~10%程度」にするのがポイントです。物件の特徴や価格にもよりますが、5%未満の値下げはインパクトが弱く、価格的な魅力が感じられる可能性が低くなるからです。

また、5~10%という値下げ幅の設定は、実際の売出価格と売却できた価格の差がその範囲に収まる傾向があり、「値下げ幅の相場」とも言えるようなレンジなのです。以下の首都圏における中古マンション売却のデータをご覧ください。

売出価格と成約価格の乖離率グラフ
東京カンテイプレスリリース「中古マンションの価格乖離率(首都圏)」より引用
*データは2007年~2016年のもの

このように、値下げを検討する売主が多い「売出後3~5ヶ月」という期間においては、売出価格からの値下げ率が5~10%の範囲にほぼ収まっています。なお、売出後5ヶ月までの事例が集計全体の82.3%を占めていることから、5~10%程度の値下げで成約に至る可能性が高く、妥当な値下げ幅であると考えることができます。

3-3 問い合わせ件数を増やすコツ

売出価格の設定や値下げ価格の設定では、買い手の心理を考慮した端数価格の設定も効果的です。端数価格の設定は消費者心理をくすぐるために消費財などのマーケティングでよく採用されていますが、不動産売却でも端数価格を利用すると効果が期待できます。

端数価格とは、一般的な販売価格の大台から若干下げ、端数を付けた価格のことを言います。たとえば通常価格1,000円のものを980円、300円のものを298円といった端数付きの価格を指します。不動産売却の場合、相場3,000万円程度のマンションの売出価格を2,980万円といった端数価格に設定することになります。

このように売出価格を設定すると、価格帯を一つ下げること(「〇〇万円未満」で絞り込むサイトの場合)と端数価格による心理的効果が加わり、問い合わせ件数や内覧希望の増加といった効果が期待できます。

3-4 値引き交渉の対応方法

購入希望者が現れ、売買契約に向けた最終的な交渉時には、買い手側から値引きを要求されることがあります。物件にもよりますが、内覧前の提示価格から価格の端数の部分が値引きの対象となるケースが多く見られます。たとえば、2,970万円が売出価格となっている場合、値引き交渉で端数の70万円が値引き要求されることになります。

高額物件になると百万円単位の値引きになることもありますが、あらかじめ端数価格をつけておき、端数部分で値引き依頼に応じて売買契約を決めてもらうという方法も効果的です。売出価格の設定段階から最終的な値引きを考慮して、端数価格に設定しておくと良いでしょう。

なお、必ずしも値引きに応じる必要はありませんが、かたくなに拒否すると買い手の購入意欲が失われることがあるため注意してください。

また、売出しから内覧依頼が多いなど反応が良ければ複数の購入希望者が現れる可能性もあるため、すぐに値引き依頼に応じる必要はありません。値引きするタイミングは売り出しからの時期や反応の状況などを踏まえて検討することが重要です。

3-5 需要の高い売出時期

値下げせずにできるだけ希望の価格で売却するには、需要の高い時期を見極めることがポイントです。需要の高い時期は、国内の経済状況等を反映した「不動産市場の状況」と、年間を通じた「一般的な需要動向」が参考になります。

不動産市場の状況では、GDP、長期金利、日経平均株価、住宅着工件数、住宅等の供給戸数・売れ残り戸数などから需要の強さをある程度計ることができます。一方、一般的な需要動向は、会社員の転勤時期や学生の入学時期など冬から春にかけての時期が参考になります。

購入希望者が多く現れる時期に売り出すと、売出価格の相場も上がり、売却の実現可能性も高まります。需要の高い時期で相場に応じた売出価格に設定すれば、値下げする必要もあまりなく、値下げ幅も小さくなるでしょう。

4 売却価格を値下げする上での注意点

最後にまとめとして値下げで特に注意しておきたいポイントを2つ紹介します。

4-1 値下げの前に売却戦略を見直す

売出してからの買い手の反応、物件への問い合わせや内覧希望の件数、広告用のWEBページでの閲覧数などが少ない場合は値下げの必要もありますが、逆に一定数以上あれば急いで値下げする必要はありません。むしろ値下げを実施する前に、売却戦略など売れない原因を徹底的に分析することが大切です。

購入希望者の反応が悪い原因はさまざまですが、不動産会社の売却戦略と需要のミスマッチや、売却活動の弱さなどの可能性もあります。たとえば、不動産会社でのチラシの配布、WEBサイトのPR、メール等による直接的な集客、オープンハウスの開催などの内容や活動が適切であるかどうかの確認が必要です。売出価格については直近の取引事例などから相場の再確認を行いましょう。

このように売却活動で不十分な点があれば不動産会社に戦略の見直しと改善を要求しましょう。それでも改善されない場合は媒介契約を更新せず(契約は通常3カ月間)、別の不動産会社と契約することをおすすめします。

4-2 不動産会社による値下げの提案は慎重に検討する

不動産会社の中には仲介手数料を早く得たいという思惑から売主に値下げを早々と提案する会社もあるため、簡単に受け入れないよう注意しましょう。

不動産の売却を仲介する会社にとっては売却の早期実現が自社の利益となるため、彼らの中には売主の利益よりも自社の利益を優先し売り急ぐケースが時折見られます。

たとえば、売出しから3カ月も経たないうちに1割を超える大幅な値下げを提案してくることもあります。もう少し待てば高値で売却できたという場合、売主は大きな損を被ることになります。明確な根拠がない値下げの提案については、すぐに承諾せずに似た物件の相場価格を調べるなどして慎重に検討するのが良いでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」