ソーシャルレンディングに関するありがちな5つの誤解と注意点

ソーシャルレンディングは、数ある投資の中でも、運用がシンプルな投資方法です。投資の知識が十分ではなくてもはじめやすく、投資の初心者からベテランまで、幅広い層に人気があります。しかし、ソーシャルレンディングを利用する中で、投資家に誤解されやすいポイントもいくつかあります。

そこで、この記事では、ソーシャルレンディングに関する、ありがちな誤解と注意点を5つご紹介します。この記事を通じて、ソーシャルレンディングの正しい理解が深まるはずです。

目次

  1. 元本は保証されていない
    1-1.事業者HPに「利回り◯%」と表示されている
    1-2.人気案件は早い段階で満額になりやすい
    1-3.貸し倒れ件数がゼロ件という事業者が存在する
  2. 「利回りが低い=リスクが低い」わけではない
  3. 「融資先の匿名化=怪しい」わけではない
  4. 利回りがそのまま利益になるわけではない
  5. 担保ありでも全額が戻るわけではない
  6. まとめ

元本は保証されていない

ソーシャルレンディングは、元本が保証された投資方法と誤解されることがあります。その理由としては、

  • 事業者HPに「利回り◯%」と表示されている
  • 案件の募集が早い段階で満額になりやすい
  • 貸し倒れ件数がゼロ件という事業者も多い

などが考えられるからです。

事業者HPに「利回り◯%」と表示されている

株式やFXなどの投資方法において、いくら利益を上げられるかどうかは、銘柄の

  • 値動き
  • 保有期間

によって異なります。つまり、利回りをどれほど得られるかの保証が、誰にもできません。よって、投資家にとっても、「どれだけの利益が手に入る」という、具体的な利益のイメージがわきにくいでしょう。

一方、ソーシャルレンディングの場合は、投資期間中の利回りが基本的に変わりません。それは、

  • 事業者
  • 融資先企業

の2者間で、あらかじめ利息が決められるからです。よって、事業者は投資家にわかりやすく、「利回り◯%」とアピールができます。

一方、ソーシャルレンディング初心者の投資家の中には「定期預金と同じように、お金を預ければ利回り◯%がもらえるということかな?」という印象を持つ方も少なくありません。

しかし、実際には「貸し倒れのリスクもありますが、うまくいけば利回り◯%を分配しますよ」という表記ですので、投資を始める前に誤解の無いようにしておきたいポイントです。

人気案件は早い段階で満額になりやすい

ソーシャルレンディングにおける案件の紹介ページでは、募集金額に対して、投資状況がパーセントで表示されています。それに加えて、ソーシャルレンディングの人気案件は、募集の早い段階で満額になることが多くあります。

「昨日見たときは10%だったのに、今日改めて見たらもう90%になってる…」というケースが起こるのです。募集額に対して、応募が埋まる(満額になる)と、それ以上の投資はできません。

よって、「いいな」と思った案件があったとしても、タイミングを逃すと投資ができなくなってしまうため、気がはやってしまい下調べが十分でない状態で投資をする方も出てきてしまいます。

貸し倒れ件数がゼロ件という事業者が存在する

こちらは悪いことではないのですが、業界全体で高い利回りに対して貸し倒れの率が少ないという点も、元本保証型の商品と誤解されがちなポイントです。

たとえば、ソーシャルレンディング大手サービスの一つ「オーナーズブック」では、77億5,950万円の募集実績に対して元本割れの件数は0件となっています。ソーシャルレンディング投資をオーナーズブックだけで行っている方は、これまで元本割れが起きていないために、定期預金のような感覚で投資を続けている方もいるでしょう。

ただ、これはあくまで「貸し倒れが起きなかった」過去があるだけです。たしかに、その実績は素晴らしいものです。しかし、今後も貸し倒れが起こらない保証にはなりません。

今後のことは何もわかりません。リーマンショックも、誰にも予測できませんでした。よって、ソーシャルレンディング=元本が保証された投資方法とは考えないようにしましょう。

「利回りが低い=リスクが低い」わけではない

ソーシャルレンディングに関するありがちな誤解として、利回りとリスクの関係があります。それは、「案件の利回りが低いと、リスクも低い」と誤解されやすいことです。

利回りが低いと、融資先企業が負担する利息も安いように思われがちです。しかし、案件や事業者によって、

  • 投資家が受け取る利回り
  • 融資先の企業が負担する貸付金利

これらの差が大きいケースがあります。つまり、投資家の利回りは5%の募集にもかかわらず、事業者が融資先企業に求める貸付金利が10%を超えるという場合もあるのです。

反対に、「SBIソーシャルレンディング」のように事業者の手数料率が1%~1.5%という良心的な水準で案件が提供されている場合は、投資家の利回りは8.5%でも貸付金利は10%に収まるといった案件もあります。

このことからわかるのは、「利回りが低いから安全」とは限らないということです。いくら利回りが低くても、貸付金利の厳しさが理由で、融資先企業が資金の返済ができなくなる可能性を考えなくてはいけません。

それでは、「利回りと貸付金利の差も投資材料に入れればよいのか」と思われるかもしれません。しかし、SBIソーシャルレンディングのような例外を除くと、融資先企業への貸付比率は未公開の会社がほとんどです。

事業者の決算情報に記載される融資の収益分と、事業者が1年間に集めた投資金額の関係で、ある程度の貸付金利は推測できるかもしれません。しかし、それは簡単に計算できるものではなく、あくまでも推測の域を出ない状況です。

事業者の貸付金利がはっきりわからない場合、投資家としては「利回りが低い=リスクも低いから大丈夫」という考えを捨てた方がよいでしょう。

「融資先の匿名化=怪しい」わけではない

ソーシャルレンディングでは、事業者によって、融資先の企業名が伏せられています。それは、相手が特定できる資金融資は、国が”貸金業”と認めるからです。貸金業を行う場合、資金融資を行う者は、貸金業の登録が必要になります。

ただ、その登録手続きは、手間や時間が多くかかります。ソーシャルレンディングの利用者は、あくまで資産運用がしたいのであり、貸金業を営みたいわけではありません。

したがって、貸金業の登録は、事業者が行うようになりました。そして、事業者が融資先を匿名化することで、誰もがソーシャルレンディングを介して、手軽に融資できるようになったのです。

つまり、融資先が匿名なのは、ソーシャルレンディングという投資の仕組みを円滑に回すために事業者が行った工夫なのです。

ただ、「融資先の企業がわからないと、安心してお金を預けられない」という方もいるでしょう。実際に、投資家が投資を行う際には、

  • 事業内容
  • 融資期間
  • 担保や保証

などの情報を判断材料に、投資をしなくてはいけません。

しかし、投資家が安心して投資を行えるように、事業者は独自で厳しい融資の審査基準を設けています。審査基準は基本的に公開されていませんが、本来であれば、投資家が行うべき投資対象のチェックを、事業者が代わりに行ってくれていると考えることもできるでしょう。

利回りがそのまま利益になるわけではない

案件ページで紹介される利回りは、投資額に対する収益を指標化しています。たとえば、100万円を1年間投資して、その収益が10万円あった場合、利回りは10%と計算されます。

ただ、この案件ページに表記された利回りは、投資家が実際に受け取れる利回り(利益)ではありません。それは、源泉徴収税が差し引かれていないからです(2018年現在の源泉徴収税率は20.42%)。

よって、実際の利益は、以下の計算式を使う必要があります。

【投資金額 × 利回り ÷ 365日 × 運用日数 × (1 – 源泉徴収税率) = 実際の利益】

少しややこしいので、実際の例で考えていきましょう。たとえば、利回り5%の案件(運用期間300日)に10万円を投資しました。その場合、利益の計算式は以下のとおりです。実際の利益は3,270円です。

【10万円 × 0.05 ÷ 365日 × 300日 × (1 – 0.2042) = 3,270円】

「利回りが10%で、運用期間が1年間の案件に10万円を投資したら、利益が1万円になる」
そのように誤解される人もいますが、実際の利益は、上記の計算どおり、源泉徴収税(20.42%)が差し引かれた金額ですので、注意が必要なポイントです

なお、各事業者HPの案件ページでは、実際に受け取れる金額が表示されるシミュレーター機能が付いています。したがって、自分の利益が知りたいときに、わざわざ案件ごとで計算をする必要はありません。ぜひ案件詳細ページのシュミレーター機能を活用しましょう。

担保ありでも全額が戻るわけではない

ソーシャルレンディングの案件には、不動産の担保が付いている場合があります。担保付きの案件に投資すると、貸し倒れが起きた際に、資金返済のサポートがあります。つまり、事業者が担保物権を売却することで、投資額が戻る可能性があるのです。

しかし、担保があることで、「投資額がすべて戻る」と誤解をしている人もいます。事業者は、不動産担保を適正な金額で売却することで、はじめて資金が回収できます。しかし、

  • 担保の価値が下がる
  • 担保の売却先が見つからない
  • 投資額のすべてがカバーできない

という可能性が考えられるのです。

担保の評価額は、案件の募集前に、担保を評価したときの金額です。よって、貸し倒れが起きたタイミングでは、評価額が大きく下がっている場合があります。また、その担保物件の需要も減っているかもしれません。つまり、貸し倒れが起きたとき、スムーズに担保物件が売却できるとは限らないのです。

また、担保が投資額をすべてカバーしているとも限りません。募集金額の50%しか担保が設定できていないケースもあります。その場合、投資額はすべて戻ることがないかもしれません。

したがって、募集案件に担保が付いていたとしても、無条件に安心しきるのは避けた方がよいでしょう。

まとめ

以上、ソーシャルレンディングに関するありがちな誤解と注意点をご紹介しました。

おさらいすると、

  • 元本は保証されていない
  • 「利回りが低い=リスクが低い」わけではない
  • 「融資先の匿名化=怪しい」わけではない
  • 利回りがそのまま利益になるわけではない
  • 担保ありでも全額が戻るわけではない

というソーシャルレンディングにまつわる5つの誤解をご紹介しました。

正しい理解をもとに、ソーシャルレンディング投資にチャレンジしてみましょう。

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石村淳

石村淳

ローリスクでの資産運用を目指すフリーライター。ソーシャルレンディングや仮想通貨などで、少しずつ資産を増やしています。HEDGE GUIDEではソーシャルレンディング記事が担当です。読者の方の疑問が残らないように、わかりやすく読みやすい文章を心がけています。