【3T インタビュー】専門家が考えるカーボンクレジットの今とこれから

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今回HEDGE GUIDEでは3Tの共同創設者である清水イアン氏への単独インタビューを行い、創業のきっかけや同社の事業内容、カーボンクレジット市場のこれからについてお話を伺いました。

インタビュー概要

  1. 3Tの事業や紹介
  2. 3Tの強み
  3. カーボンクレジット市場の展望
  4. 会社の長期的な目標
  5. 日本の読み手に一言

1.3Tの事業や紹介

3Tはアフリカで100万ヘクタールの森林再生に挑むスタートアップです。私たちのパーパスは、 “creating restorative economies, one community at a time” (コミュニティ単位で、再生型経済を実装する)です。このパーパスには、私たちの森林再生に対する姿勢や想いが込められています。

気候変動をはじめとする環境問題が悪化の一途を辿っている根本的要因の一つが、森の近くに住む人々が森を切り倒すことでしか富を生産(お金を作る)ことができない状況にあるからです。私はボルネオや、ベリーズや、ガーナなど、森林が豊富な国々でフィールドワークを行った経験がありますが、どこに行ってもみんな生きていくためにしょうがなく森を切り倒しています。こういった人たちは、決して森を切り倒したいわけではなく、それしか選択肢がないのです。このように、富の生産の直接のトレードオフとして環境破壊がある状態を、 3T では「環境劣化型経済」と定義しています。

裏返すと、環境問題の解決策として必要なこととは、木を植え、森を育むことで人々が生きていくことのできる「環境再生型経済」を実装していくことなのです。3T では、森林再生をマネタイズすることで、森の近くに住む人々を雇用し、コミュニティ単位で環境再生型経済を実装していきます。これまで環境を破壊する活動をしてきた人々を、環境を再生するために雇用することのインパクトは、絶大なものがあります。

マネタイズする方法としてあるのが、カーボンクレジットです。3Tが現地の人々と作る新しい森は、CO2 を吸収し、その分カーボンクレジットを発行します。そのカーボンクレジットを販売することで森林再生が事業として成立し、コミュニティが継続的に豊かさを獲得していくことが可能となります。現在、私たちはガーナで 50,000ha のプロジェクト開発を行っています。現在プロジェクト実施地域に住むコミュニティの方々を対象にした、プロジェクト実施の手前段階で重要となる大規模調査を行っています。

2.3Tの強み

3T には複数の強みがあると思います。

一つは、ローカルとグローバルな要素を兼ね備えたリーダーシップチームです。3T には共同創設者が3人いますが、それが私(清水イアン)、ジョー・チョイ、そしてソロモン・ヤモアです。ジョーは金融業界やビジネスイノベーションのバックグラウンドがあり、COO としてオペレーションをリードしています。ソロモンはガーナで学校や環境団体を立ち上げた経験のある起業家で、ガーナやアフリカでのチーム設立やネットワーキングを含む現場レベルでのプロジェクト開発をリードしてくれています。私は、大学生時代から環境分野で起業家として活動してきた背景があり、CEO として全体をリードしています。この多様、かつローカル&グローバルなバックグラウンドを持ったリーダーシップチームはこの業界でもユニークであり、私たちの1番の強みだと考えています。

また、科学的エビデンスに基づいた森林再生手法の設計に大学と一緒に取り組んでいたり、コミュニティの方々を雇用しながらも作業効率を落とすことなく森林再生の実施を可能とするオペレーションの最適化に力を入れています。この二つのアプローチの融合が、大規模森林再生を、クオリティを落とすことなくスピーディに実施することを可能とします。こちらに関しては発達段階ですが、私たちの圧倒的な強みとなっていくエリアだと考えています。

その他にも、強力なアドバイザー陣がいることも強みと考えています。

3.カーボンクレジット市場の展望

国連の発表によると、このままいくと、2030年時点で 230億トンの Emmissions Gap(現時点で想定される 2030 の CO2排出量と、1.5℃目標を達成するために必要な排出削減の差)が生じます。これは中国の CO2 排出量に匹敵する量です。どこまで積極的に各国、各企業が削減努力をしたとしても、230億トンを全て埋められる確率はかなり低いでしょう。

また、IPCC の発表によると、カーボンニュートラルを達成するためには、2050年までに 100億トン分カーボン・ネガティブ(CO2を大気中から吸収している、賞味 CO2 ネガティブな状態)を達成しないといけません。1.5℃や2℃未満に温暖化を抑えるには、もはや大気中の CO2をキャプチャーしないといけないところまで来ているのです。そんな中、世界の排出量はまだ上昇傾向にあります。

このギャップを埋め、さらにカーボンネガティブを達成するためのツールとして、カーボンクレジット以上に適したものを、今のところ私たち人類は有していません。つまり、気候変動を乗り越える手段として、必然的にカーボンクレジットがより大規模に活用されていくと考えています。

カーボンクレジットが最適なツールと考える理由は3つあります。まず、メインストリームであること。すでに世界中の企業や政府がその活用を進めており、さらに活用していくと表明しています。次が定量的という点です。カーボンクレジットはトン単位で取引され、また厳正なプロセスを経て発行されます。最後が投資可能性です。カーボンクレジットを発行するプロジェクトには明確な資金回収スキームがあります。この三つの要素が組み合わさった気候変動緩和ツールは、カーボンクレジットしかありません。

4.会社の長期的な目標

長期的には、100万ヘクタール以上の森林再生を通じて、10万以上の雇用創出、そして1億トン以上のカーボンクレジットの生成を目指しています。

カーボンクレジットを生成する森林プロジェクトの開発だけではなく、自社プロジェクトや他社ディベロッパーのプロジェクトにも出資を行う nature base projects に出資するファンドを日本で設立。今後は、森林だけではなく、バイオチャーやブルーカーボンなどの違う種類のプロジェクトの開発を自社で行ったり、出資を行う考えでいます。また、日本やアジアにおいて今後高まると予想されるクレジット需要を、世界中の高品質の nbs プロジェクトやクレジットと繋ぐブローカー業などへのビジネス展開も予定しています。

5.日本の読み手に一言

カーボンクレジットに関しては、日本ではまだそれほどききなれないかもしれませんが、今後ますます重要になってくると思います。今後、クレジットを必要とする日本企業と世界中の、クオリティの高いプロジェクトやクレジットとの架け橋になることを目指して、今後とも頑張っていきたいと思います。

【公式サイト】3T

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HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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