SAFスタートアップのランザジェット、マイクロソフトより資金調達。世界展開やAI活用も視野

持続可能な航空燃料(SAF)スタートアップのランザジェット(LanzaJet)は4月22日、マイクロソフトの気候イノベーションファンドから投資を受けたことを発表した(*1)。ランザジェットはSAFの世界展開を進めるとともに、マイクロソフトが有するデータと人工知能(AI)を活用し、コーポレート機能とSAF製造技術の向上も模索する。

今回の出資は、2022年にマイクロソフトの気候イノベーションファンドより、プロジェクトファイナンス(#1)で5000万ドルの融資を受けたものに続くものだ。調達した資金を元手に、24年1月には、世界初のエタノール由来のSAF生産工場であるジョージア州ソパートンのフリーダム・パインズ・フューエルズを開業した。

同工場は、24年第2四半期に年間1,000万ガロンのSAFと再生可能ディーゼルの生産を開始する。

ランザジェットのジミー・サマルツィス最高経営責任者(CEO)は「マイクロソフトと継続的なパートナーシップを組むことにより、弊社のSAF製造技術を世界展開するためのチーム、能力を迅速に構築することができる」と述べた(*1)。

マイクロソフトはランザジェットに投資することで、持続可能な燃料(SAFと再生可能ディーゼル)、および将来ランザジェットが手掛けるプロジェクトから得られるSAF証書(SAFc)を利用することができる。SAF証書はSAFの環境価値を取り出したものだ。

これらにアクセスできるようになることは、マイクロソフトが30年までにカーボンネガティブを実現するのをサポートする。

ランザジェットは20年に創業した再生燃料のスタートアップだ。エタノールを用いたAlcohol to Jet(ATJ、#2)製法を活用し、高効率で大規模なSAF生産に優位性を持つ。技術的に発展途上段階にある植物由来のSAFは、品質規格が厳しく、効率的に大規模生産することが難しかったが、同社は独自の触媒技術の開発などを通じて量産を実現した。

ランザジェットには、全日本空輸(ANA)や三井物産、ビル・ゲイツ氏が創設したブレークスルー・エナジー、英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ、石油メジャーの英シェルなども出資する。

(#1)プロジェクトファイナンス…特定事業に対して融資を行い、そこから生み出されるキャッシュフローを返済の原資とし、債権保全のための担保も対象事業の資産に限定する手法。

(#2)ATJ…アルコール(エタノール)を原料に触媒反応を通じてSAFを製造する技術。

【参照記事】*1 ランザジェット「LanzaJet Announces Investment from Microsoft’s Climate Innovation Fund, Supporting Continued Company Growth

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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