メタ、AI向け電力需要増に原子力発電に注力。AIイノベーションとサステナ目標達成の両立目指す

米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)は12月3日、人工知能(AI)の普及拡大に伴う電力需要の急増に対応すべく、原子力発電に注力すると発表した(*1)。AIイノベーションの推進とサステナビリティ目標の達成の両立を目指す。

次世代のAIイノベーションを含む、人と人とのつながりの未来を築くテクノロジーの進歩には、信頼性が高く、クリーンで再生可能なエネルギー源を新たに受け入れ、送電網を拡大することが必要である。新たなイノベーションは各分野に大きな影響を与える技術的進歩をもたらし、経済成長を支える。中でも原子力は、データセンターとその周辺のコミュニティに電力を供給する送電網の増強ニーズを支える、安定したベースロード電力を供給するのに役立つと、メタは見ている。

電力網が拡大し、増大するエネルギー需要に対応していくためには、クリーンエネルギーの開発を支援することが引き続き優先事項でなければならない。メタは、原子力エネルギーがよりクリーンで信頼性が高く、多様性のある電力網への移行において重要な役割を果たすと確信している。

AIとサステナビリティ目標を達成するために、今後、原子力発電事業者を選定するための提案依頼書(RFP)を発行する計画だ。複数のユニットを展開することで大幅なコスト削減を実現するのに十分な規模を作り出すことができる原子力発電事業者を探す。

2030年代前半に1~4ギガワット(GW)の原子力発電容量の確保を目指す。メタの将来のエネルギー需要を満たすためであり、また、より広範な産業の脱炭素化を進めるためでもある。これらの発電所の建設許可、設計、エンジニアリング、資金調達、建設、運営を行うパートナーと協力することが、原子力技術の加速に必要な長期的な思考につながると確信している。

メタが投資を継続している太陽光や風力などの再エネプロジェクトと比較すると、原子力エネルギープロジェクトはより資本集約的であり、開発に時間がかかり、より多くの規制要件の対象となり、運用寿命も長い。

これらの違いにより、原子力エネルギープロジェクトの開発ライフサイクルのより早い段階から関与し、契約を設計する際に運用要件を考慮する必要がある。原子力技術の展開を拡大することがコストを迅速に削減する最善のチャンスであるため、プロジェクトや拠点を横断してパートナーと関与することで、戦略的に展開できる。

RFPプロセスにより、これらの考慮事項を念頭に置きながら、各プロジェクトに徹底的かつ慎重にアプローチする方針だ。

メタは、今後10年にわたる革新と成長を見据え、データセンターのエネルギー需要を計画しながら、同時に信頼性の高い送電網の構築に貢献し、サステナビリティへの取り組みを推進する。

太陽光、風力、バッテリー貯蔵、地熱といったクリーンな再エネを電力網に供給する取り組みを続けており、これまでに世界中で12,000メガワット(MW)以上の再エネ契約を締結した。20年以降、100%再エネによるグローバル事業の運営も行っている。

【参照記事】*1 メタ「Accelerating the Next Wave of Nuclear to Power AI Innovation

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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