米不動産サービス大手CBREは12月5日、2040年までに事業全体で温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにするためのロードマップとなる「気候変動移行戦略」を公表した(*1)。
同戦略では、科学に基づく目標イニシアティブ(SBTi)によって検証された短期および長期の目標を達成するための行動を特定し、優先順位付けするための枠組みを示している。
新たな2030年目標(2019年ベースライン)として、自社業務によるスコープ1および2の排出量を絶対値で50%削減する。顧客のために管理する物件および施設からの排出量も、1平方フィートあたり55%減を目指す。
CBREの総排出量の97%近くは、顧客の不動産の管理および開発に関連しているため、顧客やサプライヤーとの協力は、同社が目標を達成する上で不可欠となる。
CBREの最高サステナビリティ責任者(CSO)であるロブ・バーナード氏は「当社が計画を策定した目的の1つは、クライアントやサプライヤーに、何が可能で、どのような行動が前進につながるのかを示すことだ。排出削減における彼らの成功は、当社の成功でもある。複雑なものを単純化することで、当社、クライアント、そして業界全体の持続可能性の加速化を支援する」と述べた(*1)。
気候変動移行戦略の下での目標達成に向け、資源効率の最大化、再生可能エネルギーの拡大、ビルシステムおよび車両の電化、サプライチェーンの脱炭素化という4つの道筋を示した。
各道筋には、CBREが自社の業務および顧客物件の管理者としての役割において実施する行動が含まれている。19年以降、同社はスコープ1、2、3の総排出量におけるGHG排出量を18%削減した。
気候変動移行戦略はCBREの業務を基盤として、同社の事業を低炭素経済への移行に適合させるものである。CBREは気候変動対策の一環として、GHG排出量計算の実施に加え、Deepki、Emitwise、ClimateXなど戦略的パートナーシップへの投資を行っている。24年10月には、電力大手NRGの再生可能エネルギー・アドバイザリー・グループを買収すると発表し、不動産向けサステナビリティソリューションの大幅な強化を図っている。
CBREは世界最大級の不動産管理会社であり、米国最大級の商業用不動産開発業者でもある。施設管理や取引およびプロジェクト管理、投資管理、評価および査定、不動産賃貸、戦略コンサルティング、不動産販売、住宅ローンサービス、開発サービスなど、統合された一連のサービスを多様な顧客に提供している。
【参照記事】*1 CBRE「CBRE Releases Holistic Climate Transition Strategy to Achieve Net Zero Emissions by 2040 and Near-Term Targets for 2030」
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