持続可能な燃料や低炭素型材料を製造するElyse Energyは12月5日、1億2,000万ユーロ(約190億円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、eメタノールや持続可能な航空燃料(SAF)の製造を加速させる。
フランスに本拠を置く世界最大級の水素ファンドHy24、オランダの年金基金PGGM、フランスの公的投資銀行Bpifrance、ESG(環境・社会・ガバナンス)に特化した運用会社Mirovaから調達した。
Elyseはフランスとスペインにおける持続可能なe-メタノールおよびSAF製造プロジェクトの開発を加速させ、航空、海運、化学の各分野における脱炭素化ニーズの高まりへの対応を図る。
Elyseのパスカル・ペニコー共同創業者兼社長は「今回の資金調達は当社にとって、さらに広くは欧州のe-fuel産業の発展にとって重要なマイルストーンとなる。これは産業、海運、航空の各分野の顧客から持続可能な燃料に対する需要が高まっていることを示している」と述べた(*1)。
Elyseは2020年に設立され、フランス・リヨンを拠点とする。低炭素電力や産業やバイオマスからリサイクルされた炭素から生成される持続可能な燃料の生産施設を設計、建設、運営するほか、水の電気分解による水素の製造を行っている。フランス政府が運用しているスタートアップ支援プログラム「フレンチテック2030」の認証も取得している。
フランスおよびイベリア半島において、SAFおよびe-メタノールの製造プロジェクトに関連した多様なポートフォリオを持つ。最も先進的なプロジェクトであるE-CHO、eM-Rhône、eM-Nummanciaは、年間70万トン近い二酸化炭素(CO2)の排出を回避し、欧州のエネルギー主権と地域の再工業化に貢献する。
今回の資金調達と新たなパートナーの支援により、Elyseはこれらのプロジェクトの開発を始める前の最終投資決定(FID)に踏み込める。プロジェクト・ポートフォリオを強化し、拡大していくこともできる。
世界でも最先端のプロジェクトとして認められている同社のプロジェクトは、欧州グリーンディールや航空燃料規制ReFuelEU Aviation、先般燃料規制FuelEU Maritimeなどに定められた、脱炭素化とグリーンな再工業化というフランスおよび欧州の目標達成に貢献する。
気候変動はかつてないほどの速さで進行している。その影響を抑制し、持続可能な未来を築くためには、科学者の意見は一致している。経済のあらゆる部門で脱炭素化を進める必要があり、今すぐにそれを実行しなければならない。
持続可能な燃料と低炭素型材料は、特に航空および海上輸送、化学産業において、既存のインフラと互換性のある即効性のあるソリューションを提供することで、脱炭素社会への移行において重要な役割を果たすことになる。
【参照記事】*1 Elyse Energy「Elyse Energy sécurise près de 120 millions d’euros auprès de Hy24, PGGM, Bpifrance et Mirova」
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