マンション買い替えで便利なリースバックの仕組みは?メリット・デメリットも

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リースバックとは、居住用不動産を売却した後に、賃貸住宅として住み続けることができる不動産取引の新しい形態です。マンションの買い替え時に活用することで、仮住まいの必要がなくなるといったメリットもあります。

そこで今回のコラムでは、リースバックの仕組みや利用する流れなどを解説しつつ、メリットとデメリットも紹介していきます。

目次

  1. リースバックとは
    1-1.リースバックの仕組み
    1-2.リースバックを利用する流れ
    1-3.リースバックが利用できないケース
  2. リースバックを利用するメリット
    2-1.売却後も住み続けることができる
    2-2.まとまったお金を手にすることができる
    2-3.住宅ローンや税金などの負担がなくなる
    2-4.買い戻せる可能性がある
  3. リースバックを利用するデメリット
    3-1.自宅が自己所有ではなくなる
    3-2.買取価格は相場価格よりも安い
    3-3.リース料が家賃相場よりも高くなる可能性がある
  4. リースバックを利用する際の注意点
    4-1.賃貸契約の形態
    4-2.買い戻し時の物件価格は高すぎないか
    4-3.設備などの修繕費は貸主負担か
  5. まとめ

1 リースバックとは

リースバックとは、所有している住宅を不動産会社やリースバック事業者に売却し、賃貸住宅として住み続ける契約のことです。国土交通省の資料「リースバックについて」によると、リースバックの取り扱い件数(9社へのアンケート)は2016年の266件から2018年には920件となっており、ニーズが急増しています。

仕組みや流れなど、特徴について解説していきます。

1-1 リースバックの仕組み

国土交通省は、2022年6月24日にリースバックに関するガイドブック「住宅のリースバックに関するガイドブック」を公表しています。それによると、下記のようにリースバックを定義づけています。

住宅を売却して現金を得て、売却後は毎月賃料を支払うことで、住んでいた住宅に引き続き住むサービス

リースバックは、不動産だけではなく車などでも行われる新しい契約形態で、所有していた不動産や車などを売却して、その後に賃貸借契約(あるいはリース契約)をすることで使用し続けることができる仕組みです。そのため「セール・アンド・リースバック」「セール・リースバック」と呼ばれることもあります。

マンションの場合、所有者が不動産会社やリースバック事業者に売却し、その代金を受け取る一方、賃貸借契約を結びリース料(家賃)を支払うことで、マンションに住み続けることができる仕組みになっています。

1-2 リースバックを利用する流れ

所有しているマンションでリースバックを利用するにはどのような流れになるのか、具体的に見ていきましょう。代表的な流れは下記の通りです。

  1. リースバックを提供している業者を探す
  2. 現地調査や面談が行われる
  3. 買取金額およびリース料(家賃)が提示される
  4. マンションの売買契約および賃貸借契約を結ぶ
  5. マンションの売却代金が支払われる
  6. 契約日以降のリース料(家賃)を支払う
  7. 契約日になると賃借人としての入居が開始される

リースバックを利用すると、契約上は所有者から賃借人に切り替わりますが、その間もずっと入居していることになります。

1-3 リースバックが利用できないケース

リースバックは、すべての居住用不動産が対象になりますが、事業者によって利用に関する基準を設けています。そのため基準に満たないとリースバックが利用できないことになります。

基準は事業者によって異なりますが、下記のようなケースではリースバックが利用できないと想定されます。

買取金額よりも住宅ローン残高の方が多い

買取金額よりも住宅ローン残高が多い場合、マンションを売却しても住宅ローンが残ってしまい、リース料(家賃)と住宅ローンの支払いをすることになってしまいます。このようなオーバーローン状態では支払いが困難になることが想定され、リースバックが利用できないと考えられます。

収入が少なく家賃の支払いが難しい場合

マンションを売却するとまとまったお金が手に入りますが、その後、退去するまで家賃を支払っていく必要があります。そのため収入が少なく家賃の支払いが難しい場合は、審査をした後でリースバックの利用を断られることがあります。ただし、年金受給者などで、ある程度の貯蓄があれば、審査にパスする可能性もあります。

名義人全員の同意が得られない

不動産の名義人が複数の共有名義になっていれば、名義人全員の同意が得られないと売却することはできません。例えば、マンションを夫婦の共有名義で所有している場合、片方がリースバックに対して同意をしなければ、リースバックを利用することはできないことになります。

2 リースバックを利用するメリット

リースバックの利用者が増えているのは、さまざまなメリットがあるからです。代表的な4つのメリットについて解説していきます。

2-1 売却後も住み続けることができる

マンションを売却する場合、別の住居に引っ越す必要がありますが、リースバックではそのまま住み続けることができます。売却した後も、愛着のあるマンションで暮らすことができるのは大きなメリットとなります。

また、買取の場合は仲介手数料がかからないほか、引っ越し費用が発生しないなど経済的なメリットもあります。そのため、下記のような利用の仕方もできます。

  • 買い替え時に新居が決まるまでリースバックを利用して居住を続ける
  • マンションを売却して得たお金を頭金にして、新しい住居を購入する
  • 高齢者施設の順番待ちをしている際にリースバックを活用して居住を続ける、など

このように活用することで、買い替え時などに仮住まいをしなくてもいいなどの二次的なメリットも生まれます。

2-2 まとまったお金を手にすることができる

リースバックは事業者がマンションを購入し、元の所有者がそのまま住み続ける仕組みです。そのため、マンションを売却すると、元の所有者はまとまったお金を手にすることができます。

マンションの売却は、不動産市場で買主候補を探す仲介ではなく、リースバック事業者が買取を行うのが主流です。そのため、早ければ契約後すぐにお金を手にすることができます。「老後資金を確保したい」「高齢者施設の入居一時金を捻出したい」といった場合にも、有効な方法になります。

2-3 住宅ローンや税金などの負担がなくなる

マンションを維持していくには、住宅ローンの返済や下記のような維持コストを支払う必要があります。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税・都市計画税、など

リースバックを利用すると住居を替えることなくマンションを手放すことになるため、これらの住宅関連費用を支払う必要がなくなります。ただし、修繕積立金や管理費、家賃といった形で新しい所有者に支払う必要があります。

3 リースバックを利用するデメリット

リースバックにはメリットがある反面、デメリットもあります。代表的なのは下記の3つです。

3-1 自宅が自己所有ではなくなる

住宅を資産の一つとして考えた場合、自宅が自己所有ではなくなることはデメリットとも言えます。家族構成の変化に応じて間取りを変更したり、設備を更新したりといったことが自由にできなくなり、担保に入れて資金を調達するといったこともできません。

3-2 買取価格は相場価格よりも安い

不動産を売却する際は、不動産市場の相場にあわせて価格設定を行い、相場に即した価格で売却できるように計画します。

しかし、リースバックの場合は、事業者が買取価格を提示して、その金額で買取を行います。事業者では買取価格と再販価格の利ざやを取るがあるため、相場価格よりも2~3割程度安い買取価格が提示される傾向があります。

3-3 リース料が家賃相場よりも高くなる可能性がある

リースバックを活用する際、売却後に住み続けるにはリース料(家賃)を支払い続けることが必要です。このときの年間リース料は、リースバック事業者が利益を出せるように設定するため、家賃相場よりも高くなる可能性があるのです。

また、住み続ける間はリース料の支払いが続くため、経済的あるいは健康的な問題で支払いができなくなることもあり、不安に感じる可能性もあります。

4 リースバックを利用する際の注意点

リースバックは、事業者によって契約内容が異なります。そのため、複数の事業者に査定をしてもらい、比較しながら選ぶようにしましょう。その際の注意点は下記になります。

4-1 賃貸契約の形態

不動産賃貸借契約には、普通借家契約と定期借家契約という大きく2つの種類があります。定期借家契約とは、契約期間が満了した時点で退去する契約です。そのため「長く住み続けたい」「いずれ買い戻したい」といった希望が通らない可能性があります。賃貸借契約を締結する際には、契約の種類をしっかり確認するようにしましょう。

4-2 買い戻し時の物件価格は高すぎないか

売却時の契約内容によっては買い戻しができることがあります。買い戻しはリースバックのメリットですが、買い戻しの際の物件価格は売却時よりも高くなる可能性があります。売却価格と買い戻し価格が同じであれば、リースバック事業者の利益がないためです。

目安は売却価格の1.1〜1.3倍程度ですが、納得のできる買い戻し価格を設定してくれるリースバック事業者を選ぶようにしましょう。

4-3 設備などの修繕費は貸主負担か

賃貸マンションなどに入居していると、エアコンや給湯器などの住宅設備が故障した場合、意図的な故障でなければ修理費用は貸主の負担になります。しかしリースバックの場合は、借主が負担する契約になっていることもあります。契約を交わす前に、契約書の内容をしっかりと確認することが大切です。

5.INVASE(インベース)のダイレクトリースバック

インベース 不動産投資

INVASE(インベース)」」は、株式会社MFSが提供するオンライン不動産投資サービスです。ヤフー、マネックスベンチャーズ、電通など著名な企業が出資しているほか、テレビ番組や全国紙、経済誌など様々なメディアにも取り上げられています。

インベースでは、従来型のリースバックと異なる「ダイレクトリースバック」というサービスの提供を開始しました。

インベースのダイレクトリースバックでは、自宅を売却して利益確定したい、または住み替えたいマンションオーナーが、インベースグループ会社の仲介により、不動産による資産運用を考える個人投資家へ直接物件を売却する仕組みとなっています。

買取ではなくエンドユーザーに向けた仲介売却になるため、従来型リースバックに比べてより良い条件での売却が可能になります。また、買主側も通常の仲介では融資付けが難しい物件が購入できたり、購入後すぐに賃料収入を見込むことができるメリットがあります。

【関連記事】INVASE(インベース)のダイレクトリースバックの仕組みは?セミナー・懇親会の内容も

まとめ

リースバックは、マンションを売却した後も、家賃を払うことで住み続けることができる仕組みです。家賃が高くなり売却価格が安くなってしまうなどのデメリットがありますが、買い替え時に新居が見つかるまでの間に活用するといった便利な使い方ができます。引っ越し費用などが不要になるほか、仮住まいの必要もないなど、経済的なメリットがあります。

なお、インベースのダイレクトリースバックでは仲介売却になるため、買取となる従来型のリースバックと比較して売却価格を高く設定することが可能です。マンションの売却価格を出来るだけ高く設定したい場合には、利用を検討されてみると良いでしょう。

今回のコラムでは、メリットとデメリットを紹介したほか、注意点も紹介しました。契約内容をしっかり確認することが重要ですので、リースバックのご利用を検討されている方は、今回のコラムをぜひ参考にしてください。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。