資産運用大手のナティクシス・インベストメント・マネージャーズは2026年9月24日、老後の生活の安定性を国際比較する「2026年グローバル・リタイアメント・インデックス(GRI)」を発表した。人口の急激な高齢化、過去最高水準に達した公的債務、長引くインフレによって、世界的に老後の生活の安定が厳しい状況に直面していることが明らかになったとしている。
GRIは、調査会社のCoreData Researchと共同で作成されたもので、「老後資金」「物質的な豊かさ」「健康」「生活の質」の4つの指数における18のパフォーマンス指標に基づき、44カ国の順位を相対的に算出する。2026年の世界総合ランキングは、ノルウェー(83%)とアイルランド(81%)が2年連続でそれぞれ1位、2位となった。主要先進国の中では、ドイツ(世界7位)が首位、英国(世界15位)が2位で、米国と日本がそれぞれ3位、4位と続いた。
日本の総合ランキングは、前年の26位から1つ上げて25位(総合スコア67%)となった。世界2位の平均寿命に支えられた「健康」で世界トップクラスの7位、「物質的な豊かさ」でも12位と堅調だった一方、「老後資金」は41位となり、全体の足を引っ張ったという。
「老後資金」指数のうち「インフレ」指標は、前年の12位から同率1位に急上昇した。同社は、政府のエネルギー補助金により電気・ガス料金が大幅に引き下げられ、消費者物価の伸びが4年ぶりの低水準近くまで低下したことを反映したものと説明する。ただし、こうした表面上の改善にもかかわらず、同社の「2025年世界の個人投資家調査」では、日本の投資家の半数(53%)が「インフレが老後の夢を台無しにしている」と回答しており、世界平均の38%を大幅に上回った。
また、環境要因ではスコアが22ポイント改善し、順位を1つ上げて27位となった。同社は、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する「30by30」への取り組みを反映したものだとしている。
今年の結果について、同社の日本法人で代表取締役社長を務める井上真司氏は「今年の調査結果は、長寿化や働き方の変化に合わせて、年金制度を進化・近代化させていくことが急務であることを改めて浮き彫りにしました」とコメントした。そのうえで「政策的な改革によって、人々が『老後のための貯蓄』から『老後のための投資』へと移行するよう促すことは、老後の経済的安定の可能性を高めます。しかし同時に、個人も自らの人生設計に主体的に取り組み、今から継続的に資産形成を行う必要があります」と述べている。
同社は、今日の老後生活のプレッシャーの多くが、20世紀の前提に基づいて構築された年金制度の不確実性に起因すると指摘する。公的年金・企業年金・個人貯蓄の「3本柱モデル」が高齢化や公的債務、インフレによって逆風に直面するなか、同社の個人投資家調査では、21カ国の投資家の78%が「老後資金を自ら手当てする責任が増している」と回答し、10年前の67%から大幅に増加したという。また、世界の個人投資家の43%が、老後の経済的安定の実現には「奇跡」が必要だと考えていると指摘している。
GRIは、老後が差し迫った課題となっている44カ国(IMFが定義する先進国、OECD加盟国、BRIC諸国)を対象に、2026年3月から5月にかけて分析された。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、15社を超える運用会社を擁するマルチ・アフィリエイト型の資産運用会社で、運用総資産は1.5兆ドルを超える(2026年6月末時点)。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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