賃貸物件の収益性を、表面利回りだけで判断するのは十分とはいえません。原状回復費や住宅設備機器の交換といった想定外の支出によって、期待した収益が得られない場合があるためです。
本コラムでは、表面利回りには表れない想定外の支出について解説します。あわせて、実質キャッシュフローを守る手段として「フリーメンテナンス」という選択肢を紹介します。
目次
- アパート経営の利益は「収入−各種経費」
1-1.表面利回りは「家賃収入」しか見えない
1-2.手元資金を左右するのは実質キャッシュフロー - アパート経営で突発的に発生するコスト
2-1.原状回復費
2-2.住宅設備機器の交換 - フリーメンテナンスサービスとは?
3-1.住宅設備機器の修理や交換にかかる費用を負担
3-2.経営の安定化にもつながる
3-3.フリーメンテナンスを選ぶ際のチェックポイント - フリーメンテナンスを利用できるアパート経営会社
株式会社シノケンプロデュース - まとめ
1 アパート経営の利益は「収入−各種経費」
他の事業と同様に、アパート経営でも家賃収入から各種経費を差し引いたものが利益となります。ただし、実際に資産形成につながるかどうかは、手元にどれだけ資金が残るか(キャッシュフロー)によって左右されます。ここでは、アパートの収益をどのように捉えるとよいかを整理します。
1-1 表面利回りは「家賃収入」しか見えない
物件選びの目安として広く用いられている表面利回りですが、算出するには以下の計算式を用います。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
この式のとおり、表面利回りは購入時の物件価格と年間家賃収入のみで計算されます。管理委託料や修繕費、固定資産税、空室による家賃の減少といった運営上の支出は含まれないため、実際の収益性とは差が生じやすい数値といえます。
たとえば、2026年時点で都市部の一棟アパートの表面利回りは、5%~6%程度が一つの目安です。同じ物件でも、表面利回りと実質利回りには次のような差が生じます。
| 項目 | 金額・数値 |
|---|---|
| 物件価格 | 6,000万円 |
| 年間家賃収入 | 360万円 |
| 表面利回り(=家賃収入÷物件価格) | 6.0% |
| 年間の諸経費(管理委託料・修繕・固定資産税・原状回復・空室損など/ここでは家賃収入の20%と仮定) | 72万円 |
| 実質利回り(=(家賃収入−諸経費)÷(物件価格+購入諸費用420万円)) | 約4.5% |
この試算では、諸経費を差し引くだけで利回りは6.0%から約4.5%へ下がります。数値は前提の置き方によって変わりますが、表面利回りだけを見ていると、こうした運営コストによる差は見えてこないという点が重要です。
1-2 手元資金を左右するのは実質キャッシュフロー
アパート経営で重視すべきなのは、オーナーの手元に最終的に残る資金である実質キャッシュフロー(CF)です。家賃収入には一定の上限があるため、支出をいかに抑えるかが収益性を左右します。
アパート経営の支出には、毎月・毎年発生することがわかっている支出と、突発的な支出があります。整理すると以下のとおりです。
| 毎月または毎年ある支出 | 突発的な支出 |
|---|---|
| 管理委託料 共用部の電気代・水道代 清掃費 ローン返済額 インターネット利用料 固定資産税・都市計画税、など |
原状回復費 住宅設備機器の修理・交換 外観・屋根などの大規模修繕 共用部の設備の交換 排水管の交換 消防設備の点検・修繕、など |
このように、表面利回りに含まれない経費に加え、原状回復費や住宅設備機器の修理・交換といった突発的な支出もあり、これらが収益を大きく左右します。安定した資産形成を目指すうえでは、利回りだけでなく長期的な支出まで見据えて物件を選ぶことが重要です。
2 アパート経営で突発的に発生するコスト
アパート経営において実質キャッシュフローに大きな影響を与えるのが、「原状回復費」や「住宅設備機器の交換」などの突発的に発生するコストです。以下で詳しく見ていきます。
2-1 原状回復費
原状回復とは、入居者が退去した後に次の入居者を迎えるために行う工事のことです。室内の状況に応じて、以下のような工事を行います。
- クロスや床材の張り替え
- 建具や設備の補修
- 網戸の張り替え
- ハウスクリーニング、など
学生など一部を除き、入居者がいつ退去するかを予測するのは難しいものです。そのため、原状回復工事に備えて費用を手元に残しておくことが、アパート経営のポイントの一つとなります。なお、原状回復工事は入居期間が長くなるほど規模が大きくなる傾向があります。
2-2 住宅設備機器の交換
住宅設備機器は入居者の満足度を左右する設備ですが、半永久的に使えるわけではありません。機器によりますが寿命は10〜20年程度とされ、故障した場合は修理や本体交換、設置工事などの費用が必要になります。
以下は、主な住宅設備機器の交換時期と費用の目安をまとめた表です。
| 住宅設備機器 | 交換時期の目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| キッチン | 約20年ごと | 20〜80万円 |
| バスルーム | 約20年ごと | 30〜100万円 |
| トイレ | 約20年ごと | 10〜20万円 |
| エアコン | 約10年ごと | 10万円前後 |
| 給湯器 | 約15年ごと | 20〜50万円 |
| 暖房器具 | 約20年ごと | 3〜10万円 |
| インターホン | 約20年ごと | 3〜5万円 |
これらの設備は、保有期間が長くなるほど交換の時期を迎えます。1室を10年間保有した場合に想定される主な出費を整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 発生の目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| エアコンの交換 | 約10年で1回 | 約10万円(6〜8畳用・本体+工事の市場相場。機種や設置状況により変動) |
| 給湯器の交換 | 約10〜15年で1回 | 約20〜50万円(10年前後で交換時期に近づく) |
| 退去時の原状回復(オーナー負担分) | 退去のたび | 物件・入居年数・退去状況により変動 |
複数戸のアパートでは、同時期に設置したエアコンなどが一斉に寿命を迎えることもあり、オーナーにとって大きな負担となる可能性があります。
なお、これらの突発的な出費のうち、エアコンや給湯器・配管設備の修理・交換費用は、後述するフリーメンテナンスの保証対象になり得ます。
3 フリーメンテナンスサービスとは?
入居者の退去時期はアパートオーナーにとって予想しにくいものです。そのため、原状回復費や住宅設備機器の修理・交換費用をどのように抑えるかも、アパート経営では重要です。
近年、こうした費用への備えとして活用できるのがフリーメンテナンスサービスです。以下で詳細を解説します。
3-1 住宅設備機器の修理や交換にかかる費用を負担
フリーメンテナンスサービスとは、住宅設備機器の修理や交換工事にかかる費用の一部または全部を管理会社が負担する、あるいは工事を請け負う仕組みです。管理会社やアパート経営会社が、管理プランやオプションとして提供しています。
無償または割引価格で原状回復工事や設備交換ができれば、退去時の支出を抑えられます。
3-2 経営の安定化にもつながる
アパートは長期間保有するほど、設備の老朽化に伴う修理や交換の機会が増えていきます。そのため、フリーメンテナンスサービスの効果は10年、20年と保有期間が長くなるほど大きくなると考えられます。
修理・交換に関わる費用を抑えられれば、手元に残るキャッシュフローも安定します。年間の収支計画も見通しやすくなり、空室対策や設備投資、将来の大規模修繕や新たな投資に備えた資金を確保しやすくなります。
3-3 フリーメンテナンスを選ぶ際のチェックポイント
フリーメンテナンスとひと口にいっても、提供する会社によって仕組みが異なります。そこで、この項目では選ぶ際のポイントを紹介します。
対象範囲はどこまでか
まず確認したいのは保証内容です。事前に以下の項目について確認しておきましょう。
- どの機器が対象か
- 故障機器は修理か、交換か
- 機器を交換する場合、工事費は含まれるか、本体価格のみか
- 原状回復費に対応しているか、など
保証範囲が広いほど将来的な支出を抑えやすく、より安定したアパート経営につながります。
保証期間は十分か
保証内容だけでなく、保証期間の長さも重要なチェックポイントです。設備の多くは設置から10〜20年程度で故障や交換が必要になるため、数年間の保証では十分とはいえません。長期間にわたって保証が継続するサービスであれば、設備更新の時期を迎えても対応しやすくなります。
とりわけ物件を長期保有する予定であれば、保証期間と保有計画が合っているかを確認しましょう。
保証条件は適切か
保証の有無だけでなく、「どのような条件で利用できるのか」まで把握しておきましょう。保証が付いていても、適用には条件が設けられている場合があるからです。
たとえば、物件の築年数や規模、定期点検の実施状況、メーカー保証との併用に関わるルールなどです。また、故意に破損した場合など、故障の原因によっては保証対象外となるケースもあるため、契約内容を細かく確認しておくことが大切です。
4 フリーメンテナンスを利用できるアパート経営会社
フリーメンテナンスは、提供する会社によって対象設備や保証期間、適用条件が異なります。また、すべての物件が対象なのか、自社が提供した新築物件のみが対象なのかも会社によって異なるため、事前の確認が欠かせません。ここでは、フリーメンテナンスを提供するアパート経営会社の一例として、株式会社シノケンプロデュース(賃貸管理はグループ会社のシノケンファシリティーズ)を紹介します。
株式会社シノケンプロデュース

株式会社シノケンプロデュースは、投資用アパートの企画・開発・販売を手がけるシノケングループの中核企業です。首都圏をはじめ、福岡・大阪・名古屋・仙台などの主要都市を中心に、これまで8,000棟以上のアパートを供給しています。
物件の管理は、2025年12月末時点で53,000戸以上の管理実績があるグループ会社のシノケンファシリティーズが担っています。自社企画開発物件の入居率は99.0%(2025年年間平均)です。
シノケンファシリティーズが提供するフリーメンテナンスの主な内容は以下のとおりです。
| 項目 | エアコン | ガス給湯器・配管設備 |
|---|---|---|
| 内容 | エアコンが故障した場合、修理費や本体交換費、交換工事費が保証されています。 | 給湯器や配管設備が壊れた場合、修理または交換に関する費用が保証されています。 |
| 保証期間 | 管理契約を締結している期間中(最長22年間) | 管理契約を締結している期間中 |
先に見たとおり、エアコンは約10年で1回の交換(約10万円)を迎え、給湯器や配管設備の修理・交換費用も突発的に発生します。これらはいずれもフリーメンテナンスの保証対象です。シノケンでは、通常1台あたり約10万円かかるエアコンの修理・交換費用も対象に含まれ、オーナーの負担が生じません。実質キャッシュフローを圧迫しやすい突発支出の大きな部分を抑えられる点が特徴です。
シノケンプロデュースが提供する新築物件に加えて、シノケンファシリティーズが紹介するプレミアム中古物件もフリーメンテナンスの対象です。
シノケンプロデュース一棟アパート経営の特徴
| 主要エリア | 首都圏・福岡・名古屋・大阪・京都・神戸・仙台 |
| 投資対象 | 新築アパート |
| 販売実績 | 8,000棟以上 |
| 管理戸数 | 53,000戸以上(2025年12月末時点) |
| 入居率 | 99.0%(2025年年間平均/自社企画開発物件) |
なお、シノケンプロデュースでは「失敗しないための不動産投資セミナー」をテーマに、アパート経営に関する無料セミナーを定期的に開催しています。不動産投資のリスクとその対策、自己資金を抑えた投資手法、長期的な満室経営のポイントに加え、不動産市況や金融機関の融資動向などを体系的に学べる内容です。オンライン形式での受講にも対応しています。
まとめ
アパート経営では、表面利回りだけでは本当の収益性は判断できません。原状回復費やエアコン・給湯器の交換など運営中に発生する想定外の支出が、実際に手元に残るキャッシュフローを左右するからです。
そのため、長期的に安定した資産形成を目指すには、利回りだけでなく、維持管理費や修繕費まで含めて物件を選ぶことが大切です。
フリーメンテナンス付きの管理プランを選べば、こうした将来の負担を軽減し、アパート経営を続けやすくなります。
保証内容や管理プランの詳細を確認し、安定したアパート経営計画を検討していきましょう。
倉岡 明広
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