生活資金の足しや老後資金の備えとして、ワンルームマンションへの投資に興味を持っている方も多いと思います。しかしワンルーム投資は、他の資産運用と比較して投資額が大きいため、失敗した場合の損失額も大きくなってしまうため注意が必要です。
今回は、主要エリア別にワンルーム投資の平均利回りは何%なのか、またワンルームの家賃の相場推移や融資のポイントについても解説します。
目次
- ワンルーム投資の平均利回りは全国的に低下
1-1.東京都内のワンルームの平均利回り推移
1-2.名古屋のワンルームの平均利回り推移
1-3.大阪のワンルームの平均利回り推移
1-4.福岡のワンルームの平均利回り推移 - ワンルームの家賃は全国的に微増
2-1.東京のワンルームの平均家賃推移
2-2.愛知のワンルームの平均家賃推移
2-3.大阪のワンルームの平均家賃推移
2-4.福岡のワンルームの平均家賃推移 - ワンルーム投資で融資を受ける際のポイント
3-1.長期的に運用が黒字となる物件を選ぶ
3-2.築年数が経過しすぎていない物件を選ぶ
3-3.投資を始めるまでにしっかり貯蓄する - まとめ
1 ワンルーム投資の平均利回りは全国的に低下
不動産投資と一口に言っても、アパート投資やマンション投資、戸建投資など様々な方法があります。アパート投資はアパート1棟を購入して運用するので投資額が大きくなる、戸建投資は需要・供給とも限られているという特徴があります。
一方、マンション投資の中でもワンルーム投資は規模が大きくなく需要も期待できるため、初期投資や空室のリスクを抑えられます。そのため、不動産投資の初心者でも始めやすいのがワンルーム投資と言えますが、リスクを抑えられるといっても長期的な家賃収入が保証されているわけではありません。
2019年5月時点においては、これまででマイナス金利政策のため金融機関が不動産投資に対して積極的に融資をするようになったことに加え、少子化で人口が減少傾向にあることから需要と供給のバランスが崩れつつあります。
その結果、ワンルーム投資の平均利回りは全国的に低下しているため、現状を把握した上でワンルーム投資を始めた方が良いと言えます。一般財団法人日本不動産研究所が公表した2016~2018年の主要政令指定都市における平均利回りを見ていきましょう(参照1・2・3)。
1-1 東京都内のワンルームの平均利回り推移
中央区、台東区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区の6区を含む城東エリアにおける平均利回りは、2016~2018年の3年間で4.8%、4.7%、4.5%と年々低下しています。城東と同様に、港区、品川区、目黒区、大田区の4区を含む城南エリアにおける平均利回りも、4.6%、4.5%、4.4%と年々低下しています。
2020年開催の東京オリンピックや好調なインバウンドに対する再開発などで注目を集める東京ですが、利回りで見ると低下しているので注意しましょう。
1-2 名古屋のワンルームの平均利回り推移
名古屋における平均利回りは、2016~2018年の3年間で5.4%、5.3%、5.1%と、東京と同様に年々低下しています。
名古屋も名古屋駅周辺で再開発が進行中であるほか、リニアモーターカーの停車駅として注目されていますが、直近の平均利回りは低下しています。
1-3 大阪のワンルームの平均利回り推移
大阪における平均利回りは、2016~2018年の3年間で5.3%、5.0%、4.9%と、こちらも年々低下しています。
大阪も大阪駅の再開発が進行中であるほか、2025年大阪万博が開催されることから注目を集めていますが、利回りは5%を割り込んでいます。
1-4 福岡のワンルームの平均利回り推移
福岡における平均利回りは、2016~2018年の3年間で5.6%、5.4%、5.2%と、こちらも年々低下しています。
福岡は、地価が安いことなどから賃料も安く、利回りが上記3都市よりも高いことから東京・大阪・名古屋に続く地域として注目を集めていました。しかし、こちらも利回りで見ると、3年間の利回り低下のスピードが速くなっているので注意しましょう。
2 ワンルームの家賃は全国的に微増
ワンルーム投資の利回りを見てみると、主要都市では4~5%が平均と言えます。利回り(表面)は「年間の家賃収入÷物件価格」で求めるため、家賃が下落した場合や地価の上昇などで物件価格が高くなった場合に利回りが低下します。そのため、家賃収入が減少して利回りが低下したのか、地価の上昇で利回りが低下したのかを調べることが重要です。
全国賃貸管理ビジネス協会が実施した2016~2018年のワンルームの全国平均家賃では、49,048円、49,768円、50,346円と3年間で微増傾向にあることが分かります(参考1・2・3)。利回りは全国的に低下していますが、家賃は全国的に微増傾向にあるため、地価の上昇が続いているということが分かります。
全国的には平均家賃が微増傾向となりましたが、主要都市の平均家賃はどうなっているのでしょうか?各主要都市の平均家賃の推移について見ていきましょう。
2-1 東京のワンルームの平均家賃推移
東京における平均家賃は、2016~2018年の3年間で67,088円、67,395円、67,691円と、約600円の微増となっています。
2020年東京オリンピックの影響で家賃相場が高止まり状態にあることから、大幅な増加は見られませんが、それでも高い水準を維持していると言えるでしょう。
2-2 愛知のワンルームの平均家賃推移
愛知県における平均家賃は、2016~2018年の3年間で45,808円、47,837円、48,313円と、約2,500円の増加となっています。
東京や大阪へのアクセスの良さなどから愛知は注目されています。この3年間で大幅に家賃が増加したことを見ると、賃貸需要が高いことの証明と言えるでしょう。
2-3 大阪のワンルームの平均家賃推移
大阪における平均家賃は、2016~2018年の3年間で52,717円、53,342円、54,253円と、約1,500円の増加となっています。
大阪は好調なインバウンドの影響や2025年の万博開催地に決まったこともあり、家賃が増加しています。2019年も地域によってはさらに家賃増加が期待できる可能性もあります。
2-4 福岡のワンルームの平均家賃推移
福岡における平均家賃は、2016~2018年の3年間で44,647円、45,578円、46,513円と、約2,000円の増加となっています。
東京は高値を維持する状況だったのに対して、愛知や大阪、福岡といった主要都市は、増加傾向が顕著です。家賃の増加=供給よりも需要が上回っていることが予想されるため、安定した入居率も期待できるでしょう。
3 ワンルーム投資で融資を受ける際のポイント
ワンルーム投資を利回りで見ると全国的に低下しているため、「少子化の影響でワンルーム投資は厳しいのかな」と感じた方もいると思います。しかし、家賃は全国的に増加しているため、物件価格の上昇が利回り低下をもたらしている可能性が高いと言えます。
地価の上昇や物件価格の上昇が続いているのであれば、ワンルーム投資を考えている方は今度さらに利回りが低下する可能性もあるため、早めに行動に移した方が良いと言えます。ワンルーム投資を始める際は自己資金では足りない場合が一般的なため、融資を受ける必要があります。その際のポイントは以下の3つです。
- 長期的に運用が黒字となる物件
- 築年数が経過しすぎていない物件
- 投資を始めるまでにしっかり貯蓄する
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
3-1 長期的に運用が黒字となる物件を選ぶ
融資を受けるためのポイント1つ目は、安定した長期的な家賃収入を生む物件を選ぶことです。ワンルーム投資で契約するローンは住宅ローンではありません。住宅ローンは、自身の居住用物件を購入するために契約するローンであるため、投資用物件の購入には住宅ローンを利用できず、不動産投資ローンを契約することになります。
住宅ローンは契約者の給料がどのくらいなのかが焦点になりますが、不動産投資ローンは購入予定のワンルームが安定して家賃収入を生むかどうかが焦点になります。例えば入居需要や入居率が低いとみなされる物件の場合には、長期的な家賃収入が期待しにくいため、融資審査に通りにくい可能性が高いと言えます。
融資を受けてワンルーム投資を始めたいのであれば、きちんと入居需要がある物件かどうかしっかりと確認してから審査に臨むことが重要です。このような入居需要があり融資審査に通りやすい物件を探すには、融資に強い投資物件を提供する不動産会社へ相談することも一つの方法となります。
例えば、東京23区・横浜に集中してマンション開発・販売を行うプロパティエージェントは、都心の利便性の良い立地を中心に厳選することで入居率99%以上と高い水準を実し、物件の担保力の高さからフルローンでの融資実績が非常に豊富です。融資審査に課題があるのであれば、このような不動産会社への相談を検討してみるのも良いでしょう。
3-2 築年数が経過しすぎていない物件を選ぶ
ポイントの2つ目は、築年数が経過しすぎていない物件を選ぶことです。築年数が経過した物件は、空室リスクや家賃下落リスクを伴う可能性が高く、入居者がいても修繕などの支出が増えて収入が不安定になる可能性も高くなります。
そのため、築年数が経過しすぎた物件を不動産投資ローンを契約して購入しようとしても、銀行からするとリスクが高くなるため、融資審査に通りにくい可能性が高くなると言えます。また、築年数が経過しすぎた物件は融資審査に通りにくいだけでなく、融資審査に通っても契約者にとって不利な条件になる可能性があるので注意が必要です。
例えば、住宅ローンは契約者の年齢などを考慮しながら返済期間が決まりますが、不動産ローンは物件の耐用年数を考慮しながら返済期間が決定されます。もし、耐用年数が47年、築10年のワンルームを購入予定の場合には35年ローンを契約できる可能性がありますが、築20年のワンルームであれば返済期間を短縮される可能性があります。
返済期間が短縮されると、1回あたりの返済額が大きくなってキャッシュフローが悪化するため、築年数が経過しすぎていない物件を選ぶと良いでしょう。
3-3 投資を始めるまでにしっかり貯蓄する
3点目は、投資を始めるまでにしっかり貯蓄するということです。不動産投資ローンは、購入予定の物件の収益性が良いか、築年数が経過しすぎていないかが重要と言いましたが、それだけを満たしていたからといって融資審査に必ず通るわけではありません。
アパート投資では、1部屋で空室が生じても他の部屋の収入があるというケースが多いため、家賃収入が0になるということは少ないですが、ワンルーム投資で1部屋しか所有していない場合は、空室が生じる=家賃収入が0ということになるので注意が必要です。
所有しているワンルームで空室が生じて家賃収入が0になった期間は、貯金や会社の給料から返済することになるため、ある程度の貯蓄をしておく必要があります。また、ある程度の貯蓄があれば、金融機関も融資がしやすいので返済期間を長く設定してくれる、融資額を増やしてくれるなど、融資条件を優遇してくれる可能性があります。
そのため、融資を受けながらワンルーム投資を始める際には、数ヶ月間空室によって家賃収入が0になっても問題ない程度に貯蓄をしておきましょう。
4 まとめ
ワンルーム投資の平均利回りは、2016~2018年の3年間で、全国的に右肩下がりになっています。一方で、ワンルームの家賃推移は微増傾向にあります。
家賃が微増傾向で利回りが低下しているということは、家賃の上昇以上に物件価格が上昇していることになりますので、ワンルーム投資を始めるための投資額も増えていることになります。
ワンルーム投資を始める際は不動産投資ローンを契約するのが一般的ですが、状況によっては融資審査に通らない可能性もあるため、審査に通りやすくするためにも、利回りなど収益性が高いワンルームを選ぶ、築年数が経過しすぎていないワンルームを選ぶようにしましょう。また、ワンルームを買う前になるべく貯蓄も増やしておくなどして、物件を買える状況を作っておくことが大切です。
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矢野翔一
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