不動産投資が生命保険の代わりになるって本当?両者を徹底比較

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不動産投資会社のセミナーなどに行くと、「不動産投資は生命保険の代わりになる」という言葉を耳にすることがあります。また、ファイナンシャルプランナーの方が講師となっていることや生命保険の見直しを進められることも多く、不動産投資を始めるにあたって生命保険をどうしていくべきかをご検討されている方も多いかと思います。

この記事では、生命保険と不動産投資の特徴を比較して、不動産投資を検討している方や運用している方が、生命保険をどのように扱っていくのが良いかを詳しく解説していきたいと思います。

  1. 掛け捨て型?貯蓄型?賢い保険はどっち?
  2. 死亡保険と医療保険、本当に必要なのはどっち?
  3. なぜ不動産投資が生命保険の代わりになる?

掛け捨て型?貯蓄型?賢い保険はどっち?

まず生命保険には、掛け捨て型と貯蓄型の2つのタイプがあります。掛け捨て型は定期保険とも呼ばれ、一定期間の保障を得る代わりに支払った保険料は戻ってこない保険商品です。一方、貯蓄型は積立保険とも呼ばれ、支払期間中の保障とともに貯蓄性をもたせた保険商品で、一定期間経過後に解約をすれば支払った以上のお金が手元に戻ってくる、という仕組みです。

これだけを聞くと、「保障を受けられて貯蓄もできるんだから、貯蓄型がお得では?」と思ってしまいがちですが、この2つで比べた場合、お得なのは掛け捨て型です。貯蓄型は10年以上の支払いを続けないと、解約したときに戻ってくるお金が100%を超えずに元本割れとなってしまうことが多く、長期間資金を拘束される割に得られるものが少ないのです。

たとえば、貯蓄型保険の一つである個人年金保険などは30年契約で110%~130%程度の返戻率の保険商品ですが、利率が比較的高い130%の貯蓄型保険であっても年率のリターンに換算すると1%となってしまいます。また、契約期間中の途中解約は元本割れとなってしまう点にも注意が必要です。不動産投資の年間の表面利回りはマンション投資で3%~5%、アパート経営で5%~10%程度であることを考えると、貯蓄型保険の利回りは魅力が低いと言えるでしょう。

生命保険には、貯蓄性などのオプションを求めず、「危険が起こった際に、収入を保障する」という本来の役割をシンプルに期待するのが良いでしょう。

死亡保険と医療保険、本当に必要なのはどっち?

死亡保険と医療保険のどちらが良いかという点も、保険に加入する時や見直しの際に悩むことが多いポイントです。医療保険は「病気で入院した際の医療費を負担する」という保険ですが、実は多くの場合で役に立ちません。ちょっとした事故や病気であれば、そもそも自己資金で支払いができるので保障が不要ですし、大きな病気は罹患するリスク自体が低いためです。

たとえば、代表的な医療保険である「がん保険」について考えてみると、国立がん研究センターの統計によれば、現在30歳の男性が10年後にがんに罹患する率は0.6%、がんで死亡するリスクは0.1%、20年後にがんに罹患する率は0.3%、20年後に死亡するリスクは0.4%(罹患率は2018年データ、死亡率は2018年データに基づく)と、若年層の罹患率・死亡率はともに低い数値となっています。(参考:「最新がん統計:[国立がん研究センター がん登録・統計]」

また、がんの治療費についても、早期がんであれば保険適用内の治療が可能で、1年間の費用も30万円前後でおさまることが多い上に、高額療養費という制度で一ヶ月の医療負担上限額を超える場合は払い戻しを受けることが可能です。たとえば、月収28~50万円以上の方であれば、8万100円+(医療費-26万7000円)×1%までが負担上限額(平成29年10月時点)ですので、30万円を窓口で支払った場合には、自己負担3割なので医療費は100万円となり、上記の計算式に当てはめると8万7430円までが自己負担、それ以上の金額については払い戻しを受けることができるのです。

こういったことを踏まえると、病気で高額の治療費が発生するケースは非常に少なく、あったとしても健康保険制度である程度の救済措置が図られているため、個人として医療に保険をかけておく必要性はそれほど高くないと言えるでしょう。

一方、死亡保障が必要なケースは、保険加入者が死亡した際に収入を保障しなければいけない配偶者や子どもがいるケースです。たとえば、共働きで経済的に自立している夫婦や、独身の方には死亡保障もそれほど必要ではありません。保険期間や保険金の目安としては、子どもが就職するまでの期間、あるいは死亡後に配偶者が20年間生活できる金額など、最低限のラインを検討してみると良いでしょう。

なぜ不動産投資が生命保険の代わりになる?

ここまでの話を整理すると、生命保険として最低限必要なのは、掛け捨て型の死亡保障のみということになります。元々の資産や遺族年金などもありますので、具体的な保険金のイメージとしては、たとえば死亡後の配偶者の生活を保障するケースであれば、毎月10万円×12ヶ月×20年間=2,400万円程度が目安といえるでしょう。死亡保障2400万円の保険料は、たとえば30代の方であれば月々4000円前後となります。

一方、不動産投資の場合、都心の新築ワンルームマンションが2,500万円前後で購入することが可能です。購入の際には、金融機関から融資を受けてローンを組むことになり、ローン契約時には、「団体信用生命保険(団信)」というものに加入をすることになります。

この団体信用生命保険というのは、ローンの借主が死亡した際に返済義務がなくなるという保険です。融資側の金融機関としても、借主が死亡した際のリスクヘッジをしておきたいので、不動産投資ローンが組まれる時は団体信用生命保険への加入を求められることが多いのです。

不動産投資が生命保険の代わりになるというのは、融資の際にこの団体信用生命保険に加入する必要があるためです。2500万円のマンションであれば、表面利回りが4%でも毎月の家賃収入が10万円となります。管理費が1割程度かかるとしても9万円が毎月の収入となりますので、収入保障としても十分です。また、何かのタイミングでまとまった資金が必要な場合には、物件を売却することも可能ですし、売却に必要な期間はマンションであれば3ヶ月以内で済みます。

団体信用生命保険の保険料に関しては、入居者がいれば毎月の家賃収入の中から支払いをすることができます。

もちろん、不動産投資には空室リスクや物件価格・家賃収入が上下動するリスク、金利上昇リスクなどがあるため、保険の面だけでなくリスクも踏まえて慎重に判断をすることが大切です。

まとめ

不動産投資をこれから始められる方や、すでに運用をしている方は、まずは現在の生命保険の加入状況を見直してみると良いでしょう。たとえば、医療保険や貯蓄型の保険の解約や、死亡保険金の金額・保険期間などを現在の状況と照らし合わせて必要最低限の水準に落とす、あるいは団体信用生命保険に集約するなどの選択肢を検討してみると良いでしょう。

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